うまくコントロールを

50歳間近のTさん。ここ最近生理の量がかなり多くなり、だらだらと続き、周期も短くなってきて月に2回もあるようになってきました。

2年ほど前に筋腫が4cmほどのものが2つもあることがわかりましたが、生理の量が増えてきたのはここ半年のことのようです。半年前に婦人科へ行くと、「筋腫が原因でその症状が起こっている」ということで、ホルモン剤により生理を止め、筋腫を小さくする治療が行われました。しかし、3ヶ月ほど続けた結果、その間、生理も止まることなく、筋腫の大きさも全く変わらなかったために、その治療を止められました。

そして次に頭に浮かんだのが漢方薬でした。

西洋薬を服用することに抵抗があったTさんにとって、自然のものからできている漢方薬なら抵抗なく飲むことができる、と考えたからです。

Tさんの不正出血は、子宮筋腫もその原因の1つでもありますが、周期が短くなってきたり量が過度に多くなったりするようになったのが、半年前よりもここ2~3ヶ月ほどあることから、ホルモン治療後の副作用も多少はあるかもしれません。また年齢的にも少し崩れてくる時期であることもあるでしょう。

今現在「貧血」もあり、顔は艶のない白色で、爪も白く、舌はもったりとした状態であるために、まずは無駄に出血している状態を止めなければなりません。

そこでTさんにお勧めしたのは「文山田七」です。

あまり多くのお薬を飲むことを望まれなかったTさんには、まずは「文山田七」から始めました。不正出血が治まった後で、残っている症状を確認し、それに対して調整することを次の治療ステップにしていきます。

Tさんの場合はホルモン治療をされたのは3ヶ月のみですので、それによるバランスの崩れはすぐに改善されることでしょう。ただ子宮筋腫による不正出血に関しては、筋腫を取り除く手術を望まないのであれば、閉経まで何らかの治療を続ける必要があります。

Tさんのように、西洋薬が嫌で、手術はもっと避けたいことなのであれば、症状に合わせて「文山田七」を使用することで、体質改善を図る方法をオススメします。

朝食は健康のもと

朝食を摂らない人が年々増加し、過去最高の比率になったと厚生労働省の調査の報告がなされました。

しかも若い年代にその率が多いようです。

朝食を摂らない理由は、朝は食欲がわかない、朝食を抜いたほうがすっきりする、ダイエットのため・・・など様々ですが、若いほど特に小さな子供の時ほど朝食を摂った方が良いことが調査でわかっているのです。

「成績が良いこと」と「朝食を摂っていること」は比例するというデータが出ているのですから、これは子供を「塾に通わすこと」よりも重要なことなのではないでしょうか。

朝食を摂らないと体温が上がりにくく、低体温になる原因となったり、午前中の血糖値があがりにくいためにエネルギーが供給されず、脳へのブトウ糖不足により頭が働かないという現象が起こり、学力低下や居眠り、疲れやすい、などへと繋がることになるのです。

そういったことで、最近「食育」の講座が小学校で開かれるなど、「食」の大切さを伝えようとする活動が多くなってきています。

子供が「授業中に居眠りをする」「疲れやすくてぐったりする」などといったことは、健康な子供であれば普通は考えられないことです。まずは生活習慣を見直し、もともと体力が弱い子供であれば、小さい頃より体力がつくように、漢方の力を借りてみてください。

乳幼児から小学生・・・何歳でも、何歳になっても、漢方は量を調整することで、安心して飲むことができます。もしお子様が「風邪を引きやすい」「体力がない」などの症状をお持ちであれば、お尋ねください。きっと力になれることでしょう。

不妊治療支援に思うこと

ここ最近「少子化社会対策」としてますます広がる国や自治体、企業や民間の支援制度。

国や自治体は「助成の増額や期間の延長」を行ったり、企業は「低利融資や休業制度」を取り入れたりしているようです。

しかしまだまだ患者の負担は大きいもの。特に特定不妊治療は保険が適用されないためにその負担額はかなりのものになります。

この「特定不妊治療」とは、不妊治療のうち、高度生殖医療の「体外受精」と「顕微授精」を指します。

「体外受精」は一般的に、卵管が詰まっているなどの場合に、卵子と精子を取り出して試験管の中で人為的に受精させ、受精卵を子宮内に戻す方法で、「顕微授精」は精子無力症などの場合に、顕微鏡を使用し、精子を卵子の中に人為的に送り込む方法ですが、果たして、本当に、この方法をすべき人がこの治療を受けているのだろうか、と少し疑問に感じることがあります。

まだ20代であったり、十分に自分の力を引き出すことのできる30代でも、「生理不順」であるために、それを調整するためということで「ホルモン治療」が始まり、「人工授精」「体外受精」へとどんどんステップアップしていくケースが多くあります。

検査で卵管や精子などの異常が見られない場合でも、それが行われていることが多く見受けられます。「早い結果を」ということで、次の治療、次の治療・・・とそうせざるを得ないようになっていくようです。

2003年に生まれた新生児の65人に1人は体外受精児というデータが出ていますが、本当にこんなにも多くの人が、体外受精をするべきだったのでしょうか。かなり疑問が残るような気がします。

国や自治体、民間、企業が行っている支援の中に、できれば「漢方薬」も入れてもらいたいものです。

妊娠するまでの対処療法ではなく、これからの人生を快適に過ごすためにも崩れた体調、弱い体質を改善することが大切です。それには生活習慣や食生活の改善ももちろんのことですが、それに加えて漢方薬の力を借りれば、早期改善につながるものです。

これからも漢方薬がもっと広まり、その効果が認められ、支援の対象となれば良いですよね。

排卵痛

「生理痛」は有名ですが、「排卵痛」は意外と知られていないものです。

それは、「生理痛」は生理が起こっているときに起こるので、わかりやすいのですが、「排卵痛」はタイミングを測るなどのために基礎体温表をつけている人や自己管理をしている人であればわかるのですが、そうでない人にはその痛みが「排卵と関係している」ということは、わかりにくいものだからです。

しかしこの症状は結構あるものです。

当店で周期療法をしている人たちの中でも、多くの人がこの症状を持っています。

「排卵痛」と言っても、その原因は様々で、その症状も様々です。

多嚢胞性卵巣(PCOS)などのために排卵しにくく、それが原因で痛みを伴うもの、

卵巣が腫れたり癒着があるために、排卵の際に、痛みを伴うもの、

黄体機能不全でなかなか高温期にならず、排卵がうまくいかないために重い感じの痛みを伴うもの、

これといって病名はついていないけれどもいつも排卵時に卵巣付近の下腹部が痛むもの、

などなど。

排卵しにくいのであれば、排卵をスムーズにするような漢方薬を、癒着があるのであれば、癒着を軽減するような漢方薬にてその症状を調整します。

ただし、「痛み」が酷い場合は、それに併せて「芍薬甘草湯」を飲むことで、急な筋肉の攣急を沈め、痛みを治してくれます。

漢方薬は、その効能からは思いも付かないような使い方をする場合もあります。これぞ漢方の長い歴史あってのなせる業です。

偏頭痛の対策

もともと偏頭痛持ちの32歳Nさん。今までは偏頭痛が起きると気持ちが悪くなり、嘔吐してしまうので、そうなる前に痛み止めのロキソニンを服用していました。

しかし妊娠中のNさんには西洋薬の痛み止めは、服用することができません。だからと言って、偏頭痛はなくならず、定期的にその症状が訪れるのです。その症状が訪れると、会社を休み、家では嘔吐を繰り返す日々でした。

たまたま近くまで仕事に来られていたKさんは、「鍼灸治療」の看板を見て来店されました。しかし求められた治療は、「鍼灸」でも「漢方」でもなく、「指圧」の治療でした。

Kさんの症状を診ると、その偏頭痛は主に左の肩から後頭部にかけてのもので、その部分がかなりの緊張状態になっているために起こるものだと思われました。

通常であれば、Kさんのタイプから「痰湿中阻」と捉えられ、その改善方法としては「燥湿化痰」を行い、ツボとしては「風池」「中脘」「豊隆」などを使用するのですが、Kさんは現在妊娠中ですので、それらのツボは使用できません。

しかし全体の流れをよくし、溜まっている「湿痰」を除かないことには今後おそらく「妊娠中毒症」が出てくることでしょう。

従って、「三陰交」をうまく使い、運化機能を上げることで流れを良くしてその症状を和らげるようにし、上部背部の夾脊穴、安胎のツボの「至陰」を調整していきました。週1回の治療です。

その後、時々「偏頭痛が起きるかな」という感じはあっても、以前ほど嘔吐するような酷い症状は出ていないようです。

先日来店された際には前回の検診で、逆子だったとのことでしたので、逆子の治療を加えました。治療の最中に赤ちゃんがグルッと動き、元に戻ったようです。おそらく職場の冷房で足が冷えたためでしょう。

妊婦さんは、これから暑い夏の冷房には足を冷やさないように気をつけてください。赤ちゃんの環境が悪くなってしまいます。

なかなか止まらない母乳

33歳Kさん。お子様が1歳半ですので、そろそろ断乳をしたい頃です。

しかし、止めようと思ってもどんどん出てくるお乳。出さないと胸が張り、痛くて仕方がなくなるので、搾乳するのですが、いくらでも出てきてしまいます。

1ヶ月ほど前に2週間ほど「炒麦芽」のエキス剤を1日「寝る前に2包」を飲んでもらっていました。大分とマシになってきたものの、まだまだ出てきてしまうので、Kさんから「炒麦芽」の服用量を増やしたい、との要求がありました。

「炒麦芽」の1日最大量は6包までですので、朝・昼・晩で2包ずつ、6包をまた2週間ほど服用してもらいました。

そして2週間後、以前よりマシになったとのことですが、まだ出るのでもっと増やしたい、との要望がまたありました。

しかし「炒麦芽」のエキス剤の最大量は6包まで。これをこれ以上増やしても、効き目は望めません。

そこで、生薬の「炒麦芽」を煎じてお茶として、併せて飲んでもらうことにしました。

これで大分と治まってくることでしょう。

しかしKさんはまだ母乳が出ることと、子供が欲しがるために、駄々をこねると今でも母乳をあげているようです。まずはそれを断ち切ってもらわないことには、治まるものも治まりません。

それとともに、一般的に母乳を出やすくする食品、例えば「もち米」を使った食品などは避けてもらうことも大切です。また、胃腸が弱い人にこのような症状が起こりやすいので、胃腸を整えることも大切です。この時期、暑いですので、冷たいものを取りすぎたりと、胃腸を弱めることをしないようにすることも心がけるように、指導をしました。

それらのことができれば、きっと出すぎの母乳はスムーズに治まってくることでしょう。

漢方と出会ってから

<Kさんからの体験記>

私の漢方との出会いは1年ほど前の夏でした。

現在34歳の私は、12年ほど前に無理をして体調を崩し、生理が止まってしまいました。事の重大さに気づき、きちんと病院に通ったのは、それから2年近く経ってからでした。それから仕事をしながらずっと婦人科に通っていました。初めはクロミッドを飲んでも排卵もしない状態。排卵するまでに4年近くかかりました。

30歳に結婚し、そのまま病院にも通いました。排卵し生理が来るようになれば、妊娠するような気がしていましたが、一向に妊娠する気配はなく・・・。婦人科の治療も少しずつ進んで、ホルモン剤なども使うようになっていました。

そんなとき、ネットで漢方のことを知ったのです。でもその時は、まだホルモン治療との併用でした。そして新しい年を迎える今年の正月ごろ、人工授精のすすめを受けました。でも自力で排卵できない状態で、人工授精をしたとしても、授かる可能性はどのくらいあるのだろうか・・・。迷いの中、健伸堂の古村先生にメールを送りました。

薬で排卵させることを続け、そのまま赤ちゃんができなかっとしたら、その後に残るのは、余計に赤ちゃんができにくくなった体なのではないか・・・?ただ排卵しなくなることにも怖さがあり、ためらいがあり、そのまま止めることもできずにきてしまいました。

早い結果ばかりを求めるつもりはないのだけれど、できれば近いうちに赤ちゃんを授かりたい。でもそのためには「急がば回れ」ということなのだろうか。

古村先生のお返事は、

「卵が成熟したら必ず排卵します。ご自分のお体に自身を持って、今年はチャレンジされることを願っています。人間は自分で卵を作り、自力で排卵する力を持っているものです。」

というものでした。

悩んだ末に、不安もいっぱいの中、漢方だけを飲む日々をスタートさせました。

でも、なんと、1ヵ月後、ほぼ予定通りに生理が来たのです!妊娠を望んでいる身で生理を喜ぶというのは変かもしれませんが、あのときの喜びと驚きは忘れることができません。自分の体が正常な方へ少しずつ歩んでいるように思いました。

そして、それから2ヵ月後、なんと、本当に妊娠することができたのです!

今では良かったと思えますが、34歳という年齢で、あとになったらもっと治療を休むことはできなくなる、休むのは今しかない!とそのときの私にとっては賭けのようなものでした。

初期の切迫流産で安静の時期も、漢方の助けを借りて乗り越え、力強く鼓動する小さな心臓の映像をエコーで見たときは、感動と共に今までの日々、悩み、が頭をよぎりました。

検診の度に、お腹の中の赤ちゃんは劇的に成長し、生命の力というもの、漢方の不思議な(不思議ではないのかもしれませんが)力を改めて感じている毎日です。

あの時、先生が私の背中を押してくださらなかったら、今の私はなかっただろうと感謝の気持ちを込めてペンを取りました。本当にありがとうございました。

赤ちゃんをこの手に抱く日まで、まだまだ漢方にはお世話になります。これからもよろしくお願いします。

大切な卵の成熟

34歳Kさん。結婚4年目。「レディース相談表」による相談を受けたのは昨年の夏でした。

排卵障害の症状を持つKさんは、クロミッドにより排卵を促す治療を続けていました。ホルモン治療による反応は良いように見えたKさんの基礎体温表でしたが、高温期の不安定さが卵の質が良くないことを現していました。

質の良くない卵をクロミッドで排卵させても、その成功率は低いものです。反対に、質の良い卵ができれば自力で排卵するようになるものです。

今まで10年間もホルモン治療をしてきたKさんは、なかなかその治療から離れることができませんでした。10年も続けてきたことですから「少しお休みする」ということに、「不安」と「迷い」が生じてしまうのは仕方のないことでしょう。

しかしKさんは、不安と迷いを振り切って、今年に入ってから今まで続けてきたホルモン治療を休むことを決意されました。

そして漢方の周期療法のみの治療が始まりました。改善点は「卵を成熟させる力をつけること」。毎周期ごとに卵胞期に「オリジン」「炒麦芽」「シベリア霊芝錠」などの薬を調整し、その能力を引き出させるようにしました。

昨年夏から漢方を服用していたこともあり、底上げが出来ていたのでしょう。3ヵ月後の4月、春の訪れと共にKさんのもとに小さな命が訪れたのです。

今年の初め、不安と迷いを振り切る勇気をKさんが持つことができたこと、そしてその選択が誤っていなかったこと・・・本当に良かったですよね。

明日Kさんからの「体験記」を紹介します。

「夏ばて」「夏かぜ」対策

明日19日は「土用の入り」。大体「土用」の期間は暑くてむしむしするものです。今年は少し異常気象で梅雨明けが遅れ、まだ夏本番にはならずに暑さも多少はマシですが、土用の丑の23日頃には暑い季節が到来することでしょう。

こんな時、さっぱりしたもの、冷たいもの、のどごしの良いもの、を食べたくなりますが、あまり冷たいものを取りすぎると、帰って胃が冷えて、夏ばてになってしまいます。

そこでオススメは、しゃきしゃきした歯ごたえの「ラッキョウ」。

7月頃に収穫されたばかりのラッキョウは生のまま焼いて食べても美味しいですが、今の時期、甘酢につかったものはその「甘味」と「酸味」が夏ばての食欲不振を解消してくれます。

ラッキョウには「脾胃」を温めてくれる働きがありますので、冷たいものを取りすぎたり、冷房に苛められた胃腸にはもってこいのものです。薬用としては、疲労回復、咳止め、腸炎を改善するものとして、用いられてきました。

「冷え」は女性の大敵です。特に「過度冷房」による冷えはかなりきついものです。足元から冷える冷房は、大切なお腹を冷やし、「卵」が育つ畑であるお腹が冷えることによって、育つものも育たなくなってしまいますし、妊婦の人であれば暖かいはずの赤ちゃんの環境が冷えてしまい、「逆子」や「切迫流産」の可能性を高めてしまいます。

日頃食卓の仲間として、ラッキョウを置いておくと「夏ばて予防」に良いでしょう。

もし風邪を引いてしまってせきが出た場合も良いようです。それに加え、早くに改善するために、是非「天津感冒片」の力を借りてください。夏かぜは嫌なものです。「予防」と「早くの手当て」を心がけてください。

ホルモン治療の思わぬ産物

「更年期障害」の治療として、不足したエストロゲンを補うためにホルモン剤による治療が行われてきました。しかし、ホルモン剤による治療は、乳癌を誘発する確率が高くなる危険性が言われ続けています。

不妊治療でもホルモン治療がよく行われます。何年もホルモン治療を続けていても、何も問題ない場合もあれば、たった1年間の治療のために乳癌や子宮癌を誘発してしまう場合もあるのです。

35歳Kさん。

3年間、ホルモン剤による不妊治療を続けていました。何回も婦人科には足を運び、検査もしていたにも関わらず、先日子宮癌が発覚したのです。早急に手術をするほどのステージではないようですが、もし妊娠すれば、妊娠することによるホルモンの関係により、癌が進行してしまう可能性が大きくなってしまいます。

まずは妊娠することよりも癌細胞を小さくしたり、消滅させることが第一になってきます。

妊娠するためのホルモン治療でしたが、代わりにとんでもないことが起こってしまったものです。

Kさんには「プロポリス」「シベリア霊芝錠」を続けてもらうことにしました。

今後、経過をみながら、不妊治療を進めていく予定です。今は、その検査結果が、間違いであることを願ってしまいますが、まだ手術や妊娠を諦めるようなことが起きたわけではありません。漢方の力で、良い方向に向かうことを信じています。