8月  漢方サロンの相談会

サロンの相談会の前に劉怜先生の不妊に関わる御話がありました。

毎回好評で、まず自分の体を知ること、今自分の体に何が治療のために
されているかを知ることはとても大切ですね。

今回は「着床」についてのお話でした。

卵管の膨大部で卵子と精子が出会い受精し、受精した卵はすぐ分割をはじめ、
卵管のなかを分割しながら2細胞胚、4細胞胚、8細胞胚、桑実胚と割球しながら
子宮内にたどり着き、内膜に着床するのですね。

この大事な役目をする子宮の大きさは皆様御存じでしょうか?
卵巣の大きさは?結構知らないものですね。

子宮は縦7~8cm×横4cmくらいで重さは約50gの大きさをしています。
子宮は赤ちゃんが10カ月の間育つ部屋ですね。もし育つ赤ちゃんがいなければ、
不要になった内膜が剥がれて月経血になって排泄されるのですね。

子宮内膜の厚さは、排卵期は8㎜以上あると理相的ですね。
6mmは着床にとってはグレーゾーン。6mm以下は着床困難んと言われています。
黄体期の子宮内膜の厚さは14mmはほしいですね。
せっかく受精し胚の分割が繰り返され、胚盤胞となって子宮に戻ってきて着床するとき、
薄い内膜では受精卵も心もとないでしょう。
せめて14mmくらいの暖かいふかふかベットが必要でしょう。

5日~7日かかっての長旅をしてきた胚盤胞を迎える子宮内膜を準備することが必要ですね。
暖かくて軟らかい子宮内膜のベット。
やはり着床しやすい子宮環境作りが必要ですね。

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[Fertile window]妊娠可能な時期

女性の周期中の妊娠可能な時期のことを、英語では[Fertile window]と呼んでいるそうです。
Fertile =繁殖 の意で、妊娠に至る”窓”が開いている時期ということで、
この時期を逃してしまうと”窓”が閉じられてしまうというのです。

いままでに多くの研究報告がなされていて、[Fertile window]は排卵日を含む排卵日前の6日間で、
その中でも最も妊娠しやすいのが排卵日2日前、その次が排卵日前日、それから排卵日の順である
とされています。排卵日当日では妊娠率は低下していると言われています。

この[Fertile window]は非常にばらつきがあって、正確に予測するのは困難です。
“窓”は開いている長さ、またいつ開くのかも周期によって違うし、夫婦によっても違うというのです。
つまりは日数も時期も違うのですから”窓”を予測してのタイミングは難しいといわれています。

最近はタイミングを狙うよりも”回数”多く持つことが大事といわれています。

毎日のほうが周期あたり妊娠率は37%、
隔日では周期あたり妊娠率は33%
周に1回の場合は周期あたり妊娠率は15%
毎日のほうが妊娠率が最も高くなり、周1回のペースでは妊娠率が低くなるのです。

また、先日の研修会では
「精液が卵巣機能にも影響し、LHサージと排卵との間隔が短くなる。黄体のプロゲステロン産生を高める」
という学術論文が弘前大学医学部の産科婦人科教室から発表を紹介してくれました。
つまり、精液は卵巣機能への排卵促進作用、黄体促進作用があるというのです。

[Fertile window]を考慮してタイミング療法に誠実に向うより、ランダムに回数を多くしたほうが
妊娠率がより上がるようです。

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排卵障害の1つ

排卵障害には高プロラクチン血症など様々な原因がありますが、その1つに多嚢胞性卵巣(PCO)があります。卵巣の皮が固くなり、卵巣の中に十分に成長していない卵胞が多くでき排卵を妨げているのです。

症状としては、「不妊」「生理不順(間隔が長い)」「無月経」「肥満」「にきび」「不正出血」「多毛症」などがあります。

診断は、脳の下垂体から分泌される黄体形成ホルモン(LH)が過剰に分泌されること、卵巣に多数の卵胞の嚢胞状変化が確認されること、などの基準が当てはまることによりなされます。

もし無月経のまま治療をせずにいると、稀に子宮体癌の発生に繋がることもあると言われています。

しかし治療といっても、排卵誘発剤を使用して排卵を促すか、カウフマン療法やピルを使用して月経を起こすことしかできず、それにより根本治療には至らないのが現状です。ただ質の良い卵が育ち排卵すれば妊娠は可能なために、不妊治療では排卵誘発剤がよく使用されます。

しかしこの誘発剤、あまり長く使用すると、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりますので、 期間を区切って、3周期使用すれば、3周期休み、そしてまた3周期・・・と卵巣の様子をみながら進めていくのが良いでしょう。卵巣が腫れてしまってから休めるのでは遅いです。回復にも時間がかかりますので、反って治療を長引かせることになってしまいます。

また西洋薬の排卵誘発剤は多胎妊娠を多く招きます。その症状の程度にもよりますが、できれば漢方薬の「爽月宝」「冠元顆粒」などにより調整していくのが良いでしょう。

漢方薬にて多胎になったり卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になることはまずありません。あくまでも漢方は自分の力を引き出すだけで、自分の力以上の無理な力を加えるわけではないからです。

「排卵障害かな」と感じている人は、まずは検査をし、自分の状態を把握しておくことが大切です。その上で、自然派志向の人は是非漢方薬をお選びください。

無排卵の背景

脳下垂体から放出される刺激ホルモンである「プロラクチン」、これが正常値の15ng/mlの倍以上になっていると、卵巣での排卵が抑えられてしまい、その結果生理が止まってしまいます。子供を産んでいないのに乳汁が出てくることもあります。

その原因は、不明であることが多いものですが、原因となることには「流産後」「人工中絶後」「子宮や卵巣の手術後」「脳下垂体の腫瘍」「ドグマチールによる胃潰瘍・精神科での治療」などがあげられます。

流産や中絶、手術などによるものであれば、卵巣に負担をかけたある期間は休めてあげることで回復することでしょう。しかし年齢的に35歳を過ぎてから行った結果であれば、回復期間に少し漢方薬の力を借りた方が良いかもしれません。

その場合に使用するものは「炒麦芽」「逍遥丸」を主とし、症状によっては「芍薬甘草湯」などを加えることで調整します。

3ヶ月ほどしても回復しない場合は、少し西洋薬の高プロラクチン血症治療薬を使うのが良いでしょう。排卵を復活させないことには妊娠することからどんどん遠ざかってしまうからです。

途中で1回、薬により生理を起こし、子宮内をきれいにお掃除することが大切です。

そしてまた漢方薬にて良い卵を作るようにしていくのが良いでしょう。そうしていくうちに、体が排卵することを思い出し、自力で良い卵を作って排卵できるようになっていきます。

そのようにして体が自分の力で自然に整っていけば、妊娠することは当たり前のことになるはずです。決して焦らず自分の力を信じて進んでください。

自力で取り戻した体は、妊娠中も産後もそして2人目も元気で居られるはずなのです。

黄色いオリモノ

排卵期に透明な白味の生卵のようなオリモノが出るのは排卵の証拠で良いことです。ところが、その時期でもないのにオリモノが出て、しかも黄色い場合は、少し問題です。

体から出るもの、例えば、尿、鼻水、痰、オリモノ・・・などが、「黄色い」というのは、「熱」や「炎症症状」があると捉えられます。逆に、オリモノは別ですが、「無色透明である」というのは、「冷え」があると捉えられます。従って、単に「鼻水が出る」と言ってもそれがどんな色をしているのかによって、対応するお薬は変わってきます。

排卵期の正常なオリモノは、無色透明の生卵の白味のようなものなのですが、それが黄色っぽいというのは、「炎症」が考えられます。例えば、カンジタ菌、トリコモナス菌に感染しているなどです。特に、排卵期以外にもそれが多い、というのは、その可能性が大きくなります。

32歳Hさん。多嚢胞卵巣、抗精子抗体陽性にて、人工授精9回、体外受精2回行っても良い結果に辿りつけないために、この夏から漢方の力を借り、周期療法を始めています。

Hさんの基本薬は「婦宝当帰膠」と「衛益顆粒」。多嚢胞卵巣であることもあり、排卵期には「爽月宝」を追加し、調整を行いました。

そして3周期目、基礎体温表からだんだんと体の調子が整ってきたことが見て取れました。ところが、Hさんから「排卵期以外の時にオリモノが見え、それが黄色い」との報告を受けました。

以前人工授精や体外受精を行っていた際にもそのようなことがあり、カンジタ菌に感染していることがあったとのこと、おそらく今回も治療のストレスや、仕事のストレスなどにより、免疫力が低下し、菌に感染してしまったものと思われました。

どうしても仕事をしながら婦人科に通い、治療を行う、というサイクルは、女性にとても負担がかかるものです。最近はそれを支援してくれる企業が増えてきているようですが、現実問題としては、その制度の恩恵を受けている人にまだお会いしていませんので、あまり普及していないようです。

そこでHさんには無理しないようゆっくり過ごしてもらうこと、と症状が改善するまで「五行草茶」を併せて飲んでもらうことで調整をしました。

早く免疫力を高めて元気になって、次のステップに移りましょう!

チェッカーがあるだけに

排卵がどの時期かを確認できる「排卵チェッカー」。これも使い方でイライラの根源になることもあります。

35歳Aさん。結婚5年目。結婚して間もなく何も計画もなく自然に妊娠したのですが、その後持続せずに流産。その後、3年経っても妊娠の兆しすらありませんでした。

婦人科で検診すると、ホルモン値など何も問題なく、原因がわからないので、少し排卵が早めということで、お薬が使われました。しかしそれをきっかけとして今まできれいだった体温が明らかに乱れ、体調も悪くなり、めまいも起こるようになってしまいました。

その結果、半年で薬をストップしました。しかしその後も不調が続くため、体調を整えるために漢方の扉を叩かれたのです。

Aさんにはまず体に残っているホルモンを取り除き、副作用を除去することで乱れてしまった体温を調整すること、から始めました。おそらく卵巣にもかなりの負担をかけてしまったでしょうから、こんな時には「シベリア霊芝錠」が強い味方となってくれます。それをベースとし、調整を行いました。

そして1年。やっともとのAさんの体調を取り戻すことが出来、体温も以前より増して良いものになりました。

今は病院へは排卵チェッカーをもらって、排卵日を特定し、タイミングを合わせる「タイミング療法」のためのみ通っています。医師からはお薬をすすめられますが、前のこともあり、Aさんにとってはその治療は避けたいところです。

病院からもらう排卵チェッカーはやはり市販のものよりも優れもので、排卵日を正確に特定することができます。しかしだからといって、その日のみのタイミング、というのはどうでしょうか。その日がもっとも妊娠しやすい日であるかもしれませんが、排卵チェッカーといえども多少の誤差はあるはずです。しかも義務的に月に1回だけタイミングを合わせるだけでは、ますます確率が低くなってしまいます。

Aさんの場合も結婚5年目で、だんだんと義務的になり、排卵チェッカーの示すまま「その日だけ」タイミングを取っているようです。女性の日は、そこが一番良い日でも、男性の日はその日は悪い日かもしれません。というより、男性の方が、寝不足、疲れ、ストレスに過敏に影響され、良くない日にすぐに陥るのです。

排卵チェッカーがあるだけに、「決められた日」にタイミングを合わせなければいけない、合わせられないとイライラする・・・なんてことが起こっているのではないでしょうか。

もっと自然のままに、オリモノが見えたら、その辺で・・・というので良いのではないでしょうか。

排卵痛

「生理痛」は有名ですが、「排卵痛」は意外と知られていないものです。

それは、「生理痛」は生理が起こっているときに起こるので、わかりやすいのですが、「排卵痛」はタイミングを測るなどのために基礎体温表をつけている人や自己管理をしている人であればわかるのですが、そうでない人にはその痛みが「排卵と関係している」ということは、わかりにくいものだからです。

しかしこの症状は結構あるものです。

当店で周期療法をしている人たちの中でも、多くの人がこの症状を持っています。

「排卵痛」と言っても、その原因は様々で、その症状も様々です。

多嚢胞性卵巣(PCOS)などのために排卵しにくく、それが原因で痛みを伴うもの、

卵巣が腫れたり癒着があるために、排卵の際に、痛みを伴うもの、

黄体機能不全でなかなか高温期にならず、排卵がうまくいかないために重い感じの痛みを伴うもの、

これといって病名はついていないけれどもいつも排卵時に卵巣付近の下腹部が痛むもの、

などなど。

排卵しにくいのであれば、排卵をスムーズにするような漢方薬を、癒着があるのであれば、癒着を軽減するような漢方薬にてその症状を調整します。

ただし、「痛み」が酷い場合は、それに併せて「芍薬甘草湯」を飲むことで、急な筋肉の攣急を沈め、痛みを治してくれます。

漢方薬は、その効能からは思いも付かないような使い方をする場合もあります。これぞ漢方の長い歴史あってのなせる業です。

終わっちゃった?!

40歳Kさん。漢方による周期療法を始めてからほぼ1年。だんだん体温も安定し、短めだった低温期もしっかり2週間あるようになり、排卵もしっかりできるようになってきました。

タイミングでは今まで良い結果に結びつかなかった経験があるために、40歳を機に体外受精をする決意をされました。

体外受精を行うに当たって漢方薬は「採卵まで」、「採卵後3日間」、「胚移植後14日間」とそれぞれ異なる薬を処方します。

Kさんの場合も採卵まではしっかり「質の良い卵」を作るように「シベリア霊芝錠」を中心とした漢方薬を処方し、体外受精に望みました。

ただKさんは最後まで「できれば自然のままに」ということで採卵までも排卵誘発剤など使用せずに自然に排卵する直前まで待ち、採卵する形式を取ることにしていました。

周期12日目の卵胞チェックで、3日後くらいに排卵するかも、と言われました。そして期待に胸を膨らませ、2日後に再度卵胞チェックに病院を訪れたところ、「もう排卵してしまいましたね」との診断。

「えぇーっ!」

残念ながら今回は見送ることに。

仕方がないので、今周期はタイミング療法ということになってしまいました。

「極力自然のままに」というのには限界があるのでしょうか、でも「誘発剤は使用したくない」というその気持ちは大切にしながら、次周期は逃さないように臨みたいですね。

排卵期の腰痛

10年以上のホルモン治療を半年前に止めて、漢方と鍼灸の治療に変更されたYさん32歳。

今まで10年以上もホルモンにより生理を起こさせていたことの名残で、少し卵胞期が長くなっています。今周期は特に長引いているようで、本日周期20日目で、まだ排卵しない様子。

そんな中、「腰痛が起こった」と鍼灸治療に来店されました。

よく診てみると、「腰痛」という位置でも痛みでもなく、「仙骨部が下に引っ張られるような重だるさ」がYさんが感じている症状でした。

卵胞期は陰であり、そこから高温期の陽に移るのですが、その途中の排卵期は陰の中に陽が存在する期間です。つまり、卵胞が陰でその陰を動かす力が排卵の陽であるのです。

その陽の力が足りないために、排卵ができずにいる状態となり、胞脈(子宮を巡る脈)が滞り、その表裏にある仙骨部や下腹に痛みや重だるさを生じさせているのがYさんの症状です。

Yさんの場合は、長年のホルモン治療による「腎気」の不足もありますので、「腎気」を強め、「任脈」を通じさせるような治療を行いました。

加えて排卵を促進させるように「陽」を増やすツボにも治療を行いました。

Yさんのように排卵の力不足だけでなく、不妊や生理不順の原因は、先天的なものの異常を除くと、多くは「腎気不足」や「衝任脈の気血不足」によるものです。

そのバランスを整える治療をすれば、月経周期が整い、妊娠することも可能になるのです。あくまでも自然の流れに逆らわず、自分の力を呼び起こすように治療をすることが大切です。スムーズに治っていくためには、無理なホルモン治療を何ヶ月も続けることは避けたいものです。