胃を整えて

37歳Tさん。5年経っても恵まれないので、ご夫婦で不妊治療を受けようと検査をされたのですが、西洋医学的には特に問題はありませんでした。

問題は、「疲れやすく」、「肩こりが酷く」、「寝つきも悪く」、「胃も弱い」などの症状を持つご主人のTさんの方に原因があるのではないかということで、奥様がご主人Tさんの相談票を記入し、ネットにて相談をされました。

Tさんの症状はたくさんあり、ご本人も家族も大変だと思われます。

「気虚症状」の 「疲れやすい」「体がいつもだるい」「衰弱」など
「肝郁症状」の「イライラする」「気分が沈む」「眠れない」「寝つきがよくない」など
「肝血虚症状」の「涙が良く出る」「視力減退」「眼のかすみ」など
「腎虚症状」の 「体がほてる」「汗」「尿が近い」「耳鳴り」「腰痛」「夢を見る」「眠りが浅い」など
「肝脾不和症状」の 「胃が弱い」「食後のゲップ」「胸焼け」「心下痞」「昼間なまあくびがでる」「下痢」「歯槽膿漏」「口内炎」など

たくさんの不調がありますが、まずは「肝脾不和」を改善し、胃を元気にすることが大切です。

胃が元気でないと「胃の気」が低下し、結果的に先天の気の「腎」の力も弱ってきます。「腎」が生命力を養う大切な経絡で、特に生殖器系に深く関係しているところです。男性に限らず女性も不妊で悩む人は、生命力の源である「腎経」を補っていく必要があります。

Tさんの場合は、「腎」を補うことも必要ですが、胃腸が働いていないと大切なお薬も吸収することができず、その効き目も半減してしまいます。

そこで、「肝脾不和改善」と「補腎のため」に「半夏瀉心湯」と「参馬補腎丸」をオススメしました。それらを併用することで、胃腸の血行がよくなり機能が回復し、併せて補腎されることで、様々な症状が少しずつ改善していくことでしょう。

よく2~3種類の漢方薬を症状に合わせておすすめすると、その効能書きを読み「自分には関係ない症状だから要らない」と判断され、片方だけのお薬を選ばれることが多くあります。

しかし漢方薬は生薬も単味よりも複数のものを混ぜてその相互作用を利用するように、より効果があがるように複数のお薬を混ぜたりします。また記入されている効能書きは代表的なものしか記すことができず、その中の生薬の何がどんな風に作用するので、それに効くのかといったことは記入されていません。

従って、生薬そのものの働きを利用して症状に合わせて処方することが多く、効能書きからはかけ離れた使い方をすることの方が多いのです。

数種類おすすめするのは、それぞれの働きを相互に利用したいからで、どれも改善には必要なものなのです。できれば数種おすすめしたものは、併用され使われるのが良いです。

周期11日目の出血

月経期でもないのに「出血」が起こる「不正出血」は不可解なものです。一体何が起こっていて出血しているのか、心配になります。そんな時に、基礎体温表をつけていると、何が原因で出血が起こったのかが大体わかり安心します。

33歳Kさん。「周期11日目で出血しているのですが、どうしたら良いでしょう?お薬はそのまま飲んでも良いでしょうか?」との問合せ。

しかしKさんは基礎体温表をつけておられないので、どんな状況下で出血したのかが把握することができず、通常であれば黄体(高温)期になる3~4日後が過ぎたもう少しの期間、様子をみてもらうことにしました。Kさんは基礎体温をつけることがストレスになるためにつけておられませんが、この様な通常でないことが起こったときに、少し不便な上に心配が募ってしまいます。

基礎体温表をつけていた場合の「周期11日目の出血」の分析は、以下のようになります。

①卵胞(低温)期であった場合は、卵胞(低温)期の不正出血となります

②排卵期の出血なら排卵期出血になります

③黄体(高温)期なのに体温がガクッと下がってしまったときの出血なら、ホルモンのアンバランスによる不正出血です

④黄体(高温)期の体温が37度を越えるような高い中での出血なら、血熱による不正出血です

⑤月経期の延長上の出血なら、月経期排泄不充分による不正出血です

⑥過度の疲労やストレスがかかった後の出血なら、体調を崩したことが原因の不正出血です

その量や期間にも寄りますが、月経血の排泄不足による不正出血の⑤以外は、排泄を促す漢方薬ではなく、止血や補気作用のあるものを使用することになります。また統血作用が弱っていることも多くみられるために、「脾」を補うものを併せて使っていきます。

どの漢方薬を使うかは卵胞(低温)期や黄体(高温)期によって異なってきますので、その症状が起こった時が周期のどこに当るのか、を知ることができていれば早くに対処することができるのです。

妊娠や出産を望んでおられない人でも、もし不正出血などの症状がみられる場合は、是非基礎体温表をつけてみてください。原因がわかり、安心することができます。

もう8ヶ月

36歳Mさんから可愛いGくんの顔写真入りのお便りが届きました。

写真の画面にはおもちゃを握り締めたGくんの元気な姿が写っていました。写真はMさんの家のある一部分を切り取ったものですが、そこからは家全体に広がり包まれる明るさや、笑い、声が聞こえ、十分にMさんの幸せが伝わってくるものでした。

Mさんは25歳までは順調に月経が来ていたのが、25歳を過ぎた頃から徐々にその量が減り、周期も早まるようになってきました。3年前に体調を崩したことがきっかけで、月経が半年以上もない日が続き、その後は一定の周期で来朝することがなくなっていました。

Mさんが漢方の道を進み始めたのは一昨年の春。その年の2月からまた月経がない日々を過ごしていた時でした。その頃、病院からは黄体ホルモンの「ノアルテン」を処方され、月経周期の調整がなされていました。また多嚢胞性卵巣であることも診断されていました。

ノアルテンを服用している関係で基礎体温は高めであったために、良い卵胞が育ちにくい状態であったこと、育っても多嚢胞性卵巣のために排卵が難しいこと、などが問題点であることが見て取れました。また、「立ちくらみ」「腰痛」「口渇」があり、下は「胖大」「薄白」であることから「気虚」「腎虚」などもあることがわかりました。

一昨年春から本格的にMさんの漢方薬による体質改善が行われました。

まずは周期を整えること、基礎体温を低くすること、に重点を置き、周期療法ではなく、全周期を通して漢方薬を服用しつつ改善するのを見ていくことにしました。使ったのは「トウシャン」「六味丸」「桂枝茯苓丸」「シベリア霊芝錠」など。

そして夏ごろには月経周期が27日ほどになってきていました。その頃より、漢方の処方は周期療法に変え、「クロミッド」と併用しながら周期を整え、卵の質を良くするように計っていきました。

そしてその秋。Gくんが宿ったのです!

11月末にはGくんの心臓の音が確認され、それ以降その心臓は鼓動を止めることなくGくんはこの世に無事に誕生したのでした。

あれからもう8ヶ月。

育児を楽しみながらふっと一昨年の春のことを思い出されたMさん。

「その頃は『不妊』という現実を受け止められず、『どうしよう』と考えてばかりいました。『漢方だけは珍しく真面目に毎日飲んでたね』と主人に言われ、半年という短い期間で妊娠できたのは、やっぱり漢方のおかげだなぁ、と本当にそう思います。」

と元気いっぱいのGくんの写真にメッセージが添えられていました。

幸せいっぱいのMさん。これからも人生山あり谷ありですが、Gくんの笑顔に会う日までの高い山も乗り越えてきたのですから、これからやってくる山も難なく乗り越えることができることでしょう。

子供を持つ幸せ

『「子供を持つことができる」ということが支えになり、辛い治療も耐えることができた』とがん治療を行った25歳Nさんは語ります。

抗がん剤などの影響で、不妊になっても妊娠できるように、がん治療を受ける前に卵子を採取し凍結する保存技術の進歩は著しく、融解後の卵子の生存率は95%を超えるようです。

しかし全ての患者が採卵できる条件が揃っているわけではなく、採卵までには1ヶ月弱の期間を要するために、病状が安定していることが必要です。そのためにがん治療前に卵子を採取・凍結することを断念する患者も多いようです。

そこで別の取り組みとして、放射線治療の際に、卵巣機能をできるだけ温存するために、卵巣の上に放射線を遮断する板を覆うなどする臨床研究も始められています。

そしてさらに、卵巣組織の一部を凍結保存して、がん治療終了後に凍結組織を患者にもどす方法で妊娠の機会を提供できるような治療もなされています。この方法であれば、卵巣はすぐに採取できるために諦めることもなく、がん治療後に自然妊娠する可能性もあるといわれています。

昨今、婦人科系のがん患者が急増しています。乳がんの発症率も30歳以下で増加しているといいます。乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えるピンクリボンキャンペーンなどの活動により、早期がん治療の成果が上がっている一方で、その後の不妊対策も同時に取り組んでいかなければならないと考えます。

しかし一番大切なことは「がん」などの病名がつく前に「未病」の治療をすすめていくこと。「未病」は病気になっていない状態を現すのではなく、「未だ病にならず」という意味で、もう既に体の中では経絡的にバランスが崩れている状態なのです。

その状態を発見し治療をすすめ、「病」にならないようにするのが「東洋医学」の強い部分です。西洋医学では何ら病名がつかない状態で、治療の方法もありません。是非、「未病」を早期に発見し、漢方薬もしくは鍼灸などで治療をされることをおすすめします。

「子供をお腹の中で育てそして産む幸せ」は女性の特権です。どんな時も諦めないで、しかし焦らないで、その幸せを掴みましょう。

心と体を全体で捉えて

「特に女性の治療家に多い症状ですね。心包経が虚していますよ。だから腎経が関係している生殖器系に影響して不妊や生理不順の症状になっているのですよ。」

初の「ホロトロピック・センター」を築いたY医師のところを訪れた鍼灸師の35歳Kさん、勉強も兼ねて治療を受け、そのように診断されました。

「ホロトロピック」とは、グロフ博士の造語で、「全体性へ向かう」という意味で、意識の成長・進化を現しているようです。

西洋医学がどんどん高度化していく一方で、その限界が指摘され、最近では東洋医学や民間医療を取り入れた「ホリスティック医療」が盛んになっています。特にその方法を推進しているのが西洋医学を学んできた医師であることが、よりその医療の限界を感じた結果であると言えるでしょう。

漢方や鍼灸を取り入れ、治療を行っている医師の中で、特に外科医が多いように感じるのは、結局悪いところを取り除いてもまた違うところから悪いところが再発し、また取り除く・・・。結局追いかけっこの末に亡くなっていくパターンが多いからだと感じざるを得ません。

「ホリスティック」はギリシャ話のホロスが語源で英語で「全体」を意味するものです。「ホリスティック医療」とは、病気を部分として捉えるのではなく、心と体は一体であるとし、その全体を調整することで病気を根治しようという考え方です。

「ホロトロピック」も「ホリスティック」も「全体」という部分では同じなのですが、「ホリスティック」は医療に関することに限られるのに対し、「ホロトロピック」は意識の成長・進化を中心に考えているのが主な相違点のようです。

Y医師のセンターでは、様々な治療方法を取り入れ、人間の心身がアンバランスになってしまった状態を根本より改善していくように個々人のプログラムがなされているようです。

Kさんの場合、刺絡治療により経絡の調整が行われました。心包経と三焦経、小腸経もアンバランスになっているということで、「内関」「郄門」「外関」「小海」に刺絡が行われました。その後、胸がすっとしたようです。

「治療家が心包経を痛める」という理由は、「治してあげたい」と思う気持ちが強すぎて、自分の「気」を入れ込んでしまうからだとY医師は言います。熟練した治療家であれば、人に自分のものを与えてしまうようなことはないのですが、まだ慣れていない治療家や熟練していても少し弱くなっている場合は、「想い」が同調してしまい、特に心包経を痛めてしまうことが多いのです。

また漢方薬の「桂枝加竜骨牡蛎湯」を処方されました。これは桂枝湯に「竜骨牡蛎」を加味したもので、「竜骨・牡蛎」には鎮静、強壮の効き目があるので、虚弱な人で興奮しやすく疲れやすい人に使うものです。脈は力がなく、臍の部分で動悸がしていることが多いものです。

結論としてKさんの今の体のアンバランスは「心」の乱れから来ているもので、それを調整すれば、頭からの異常命令による月経不順は改善されるといった診断でした。

Kさん自身もわかっていることでしたが、一度はまり込んだポケットからはなかなか抜け出せずにいてずるずると来てしまった現状から早く抜け出さないとならないことを認識されたようです。改めて自分自身の鍼灸治療と当店の漢方薬にてポケットから抜け出せるように計画中です。

Y医師のような心と体のバランスを診て、治療方針を立ててくれる実力のある治療家がもっと日本で育っていって欲しいものです。もしそれが1人でできないのであれば、その道で実績のある漢方医、医師、鍼灸師・・・などが力を併せて予防医学に取り組んでいけるようなセンターを築いていきたいものです。

排卵障害の1つ

排卵障害には高プロラクチン血症など様々な原因がありますが、その1つに多嚢胞性卵巣(PCO)があります。卵巣の皮が固くなり、卵巣の中に十分に成長していない卵胞が多くでき排卵を妨げているのです。

症状としては、「不妊」「生理不順(間隔が長い)」「無月経」「肥満」「にきび」「不正出血」「多毛症」などがあります。

診断は、脳の下垂体から分泌される黄体形成ホルモン(LH)が過剰に分泌されること、卵巣に多数の卵胞の嚢胞状変化が確認されること、などの基準が当てはまることによりなされます。

もし無月経のまま治療をせずにいると、稀に子宮体癌の発生に繋がることもあると言われています。

しかし治療といっても、排卵誘発剤を使用して排卵を促すか、カウフマン療法やピルを使用して月経を起こすことしかできず、それにより根本治療には至らないのが現状です。ただ質の良い卵が育ち排卵すれば妊娠は可能なために、不妊治療では排卵誘発剤がよく使用されます。

しかしこの誘発剤、あまり長く使用すると、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりますので、 期間を区切って、3周期使用すれば、3周期休み、そしてまた3周期・・・と卵巣の様子をみながら進めていくのが良いでしょう。卵巣が腫れてしまってから休めるのでは遅いです。回復にも時間がかかりますので、反って治療を長引かせることになってしまいます。

また西洋薬の排卵誘発剤は多胎妊娠を多く招きます。その症状の程度にもよりますが、できれば漢方薬の「爽月宝」「冠元顆粒」などにより調整していくのが良いでしょう。

漢方薬にて多胎になったり卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になることはまずありません。あくまでも漢方は自分の力を引き出すだけで、自分の力以上の無理な力を加えるわけではないからです。

「排卵障害かな」と感じている人は、まずは検査をし、自分の状態を把握しておくことが大切です。その上で、自然派志向の人は是非漢方薬をお選びください。

補腎でまだまだ

あと何年かで50歳を迎えるUさん。

昨年までは病院の治療も漢方薬の周期療法もしっかり続けておられました。しかしどんどん変わっていく体、なかなかホルモン剤にも反応してくれなくなった体に、もう薬漬けの不妊治療は止めようと決意されたのです。

漢方薬に出会ったのは一昨年の終わり頃。漢方薬にもっと早くから出合っていれば、ここまで来ずにもっと変わっていたかもしれません。

しかしそれは結果論であって、早くに出会っていても同じことだったかもしれませんが、明らかに漢方薬に出会ってからUさんの体は元気を取り戻し、排卵期のおりものが増加するなど卵巣がしっかり働いてくれている指標となることが多く現れたのは事実です。

今年に入り、Uさんはもう治療を止めたと言えども急速に体が衰えていくのを黙って見ていることはせずに、自分なりに「漢方薬の補腎薬は飲み続けよう」と決め、「婦宝当帰膠」「杞菊地黄丸」「補陰湯」を続けておられます。

それから無排卵の月経が2度来潮。その状態に体温を見るのも測ることも嫌になり、基礎体温表をつけることを放棄。3月に入って世の中は冷え込んでいるのに自分自身が温かいことに気づき、思い出したように体温を測ったところどうやら高温期に入っている様子。しばらくその高温が続き、そして来潮。

もう卵が出来ることもそして排卵することも諦めていたUさん。きちんと排卵して高温期になり、正常な月経が来たことにとても幸せを感じたと言われました。

そうなのです!「高温期がある」ということは「きちんと排卵した」ということで、「排卵した」ということは「卵がきちんと出来ていた」ということであり、まだまだ女性ホルモンが出て、卵巣が働いているという証なのです!

まだまだ諦めることはありません!しっかり補腎をしていれば、これからも卵巣が働き卵ができることでしょう。いつまでも希望と夢は持ち続けてください。その夢は時期によっていろんな形に変わっていくでしょうが、夢を持ち続けることはとても大切なことです。Uさんの今の夢は何でしょうか?これからも夢に向かって輝くUさんでいてくださいね。

原因は?

「下唇の下の方に赤い筋が現れるんですけど、何でしょう?鍼で何とかなりますか?」

26歳Eさんが3ヶ月ほど前に鍼灸治療に来られた際に言われました。もともとアレルギー体質で頚肩凝り症のEさんは、近くにお住まいの2年前にはほぼ週1回のペースで鍼灸治療に通っておられました。

その間、頚肩凝りが良くなっただけでなく、アレルギーの症状が出ることも少なくなり、肌の調子が良くなり、以前はシーズンに1回は耳が痛くなり、耳鼻科のお世話になっていた症状も全く無くなったと言うので、楽しく治療に通っておられました。

しかし半年前に大阪から飛行機で1時間半ほど離れたところへ居住することになってしまいました。3ヶ月に1回くらいの割合で、その他の用事も兼ねて、Eさんは鍼灸治療に足を運んでくださっています。

3ヶ月前のEさんの「下唇の下の方の赤い筋」の症状は、場所的に明らかにホルモンバランスが崩れているものと思われました。Eさんは少し前に歯医者に掛かった時、抜歯の際の強い麻酔が原因だと思っていたようです。麻酔をしたのはその側の下歯でしたので、その影響でアレルギー反応が出たのだと思ったのです。

しかしその麻酔をしてからやや1ヶ月は経過しているのにまだその赤い筋が出ているのは、おかしいことです。麻酔の影響であればもう回復しているはずです。それがまだ存在するのですから他の原因であるはずです。

「きっとホルモンバランスが崩れているはずですから、基礎体温表をつけてみてください」と指示しました。

そして約3ヶ月が経ちました。

あれからEさんは真面目に基礎体温表を付けていました。そして自分の体調が手に取るようにわかってしまう基礎体温表に、驚きと楽しさを感じているようでした。

「ちょうどお正月前後に無茶してたらこんなになって、生理が来なかったんです!」

その時期の基礎体温表は、延々と低温(卵胞)期が続いていました。そしてミニ高温期が出来て、来朝していました。またその時期のお肌の調子は最悪だったらしく、顔は赤く腫れあがり、熱を持っていたようです。まさに血熱です。出るべきものが出ずに熱となってEさんの弱い皮膚に症状が出たのでしょう。

今周期はきちんときれいな体温を現し、予定通りに来朝していました。

そして「下唇の下の方の赤い筋」の症状は、以前より薄く、出ない日もあるようになったようです。

その症状が、Eさんが無理をしていることが分かるリトマス紙のようなものだと言うことを告げ、Eさんには生活スタイルに気をつけてもらうように話をしました。

以前であれば定期的に鍼灸治療にて調整することができましたが、距離が離れてしまった今は、ある程度のことは自分自身でケアしてもらわなくてはなりません。今までの無理しすぎていた生活から、自分をケアする良い方向へ進めるように3ヶ月ごとにこれからも指導をしていく予定です。

陽性反応!?

「いつもより生理が遅れているので、妊娠検査薬にてチェックしたら陽性反応が出たんです!」と喜ぶTさん。

基礎体温表を見てみましたが、決してきれいな基礎体温表になっていず、排卵の時期も特定できないくらいのもので、低温と高温の差もほとんど見られない状況でした。

体温表を見る限りでは妊娠したようには見受けられないものなのですが、もしかしたら計り方がよくないのかもしれません、陽性反応が出たということですので、しばらく漢方の安胎薬を服用しながら様子を見てもらうことにしました。

妊娠が成立すると、絨毛膜から胎盤が形成され、その胎盤の絨毛組織からヒト絨毛性ゴナドトロピンと呼ばれるホルモンが急速に分泌され、妊娠を存続させます。この分泌されたヒト絨毛性ゴナドトロピンは、尿に排泄されます。

ヒト絨毛性ゴナドトロピンを分泌する絨毛は受精卵由来であるために、絨毛の存在は「受精卵の存在」を意味し、さらに「妊娠」を意味していることになるのです。

この陽性反応がすぐに陰性になることは多くあり、ごく初期の流産で、臨床的には確認されないまま自然流産をしていることはよくあることなのです。不妊治療をしていたり妊娠を常に意識している人だからこそ、陽性になることを確認できるのであって、通常の場合は、それも確認しないうちに通常のように来朝していることになっていることでしょう。

ただ不妊治療や黄体機能不全でヒト絨毛性ゴナドトロピンを投与している場合は、陽性反応が出てしまいます。

また妊娠していない女性や男性でヒト絨毛性ゴナドトロピンが確認される場合は、hCG産生腫瘍などが考えられますので注意が必要です。しかしこれは極めて稀な疾患です。

また閉経後の女性で、妊娠とは無関係なヒト絨毛性ゴナドトロピンが尿中に認められ、陽性反応が出ることがありますが、妊娠の時とは異なり、その数値が増加することはなく一定であるために妊娠ではないことがわかります。

反対に妊娠している人で、ヒト絨毛性ゴナドトロピンの値が低かったり、異常に高すぎたりする場合は、妊娠の異常が考えられます。妊娠中であれば、定期的に検査に行きますので、適切な処置がなされるでしょうが、それ以外の場合は、何らかの処置が必要かもしれません。何か不思議に感じたときは、早めに産婦人科へご相談ください。

もっとチーズを!

器質的疾患がなく、生理不順や不妊症で悩む人達は、比較的体力のない人、血圧や体温が低めの人、が多いように見受けられます。

その原因として「朝食をしっかり摂らない」「不規則な生活」「寝不足」などが多くあげられます。つまりそのような不規則なことをすることによって、血圧や体温を調節している自律神経が乱れてしまい、結果としてそれらの症状を引き起こしてしまうのです。

動脈硬化の予防には、血圧は低い方が良いのですが、低血圧であれば「冷え症」「むくみ」「だるい」「頭がぼーっとする」「めまい」などの症状を伴い、辛いものです。

その改善策としては、「朝食をしっかり摂る」「十分な睡眠をとること」「適度な運動を行うこと」を心がけてください。

朝食がどうしても食べられない人には「ケイギョク」「婦宝当帰膠」などが飲みやすくて良いでしょう。

朝食を食べることができる人には「チーズ」を取り入れると良いというデータも出ているようです。朝食でなくても1日に50gを目安に特にチェダーチーズを食べると、低血圧の改善につながると言われています。

何となく「チーズ」と言えば、脂肪分のかたまりで、「太る」というイメージがありますが、反対にエネルギー代謝を促進し、肥満解消に効果があるとされているビタミンB2を多く含むためにその心配もありません。また、皮膚や粘膜を整えるビタミンAも豊富のために、美容にも良いです。

またお酒の共にチーズを食べるのも理にかなっていて、チーズに含まれる8種の必須アミノ酸の中のメチオニンは、アルコールの分解を円滑にしながら肝臓の働きも高める作用もあるというので、もってこいのおつまみということになります。

血圧が低めで、むくんだり、冷えたり、やる気がでなかったり・・・で悩んでいる人は、是非、生活スタイルを改善するとともに、「ケイギョク」、「婦宝当帰膠」、「チーズ」などを食生活に加えてみてください。きっと元気が出てくるはずです!