春と肝

東洋医学では、「春」は「肝」に当てはまり、その時期には経絡の「肝経」にトラブルが起きやすい時期になります。

また「春」は「木」の性質を持ち、「青」の色に偏りやすくなります。つまり、「木」が真っ直ぐ上に伸びるように、体内に巡っている「気」が上がりやすくなる時期であり、そういう状態になると、顔色や眼の色が青っぽくなったりします。

イライラして青筋を立てている人、気が上って独り言や歌を歌う人、肝経が乱れ生理不順になる人、ニキビが酷くなる人、などがこの時期、周りに増えていませんか?

それは「春」の「いたずら」なのです!

それらの症状はこの時期の一時的なものですが、長引いたり、そのまま症状を持ち続けることのないように、調整が必要です。

まずは「疏肝理気」が必要です。

漢方薬では「逍遥丸」です。その中に含まれる「柴胡」と「薄荷」が肝気を疏肝してくれますし、「当帰」と「芍薬」は肝気を柔らかくしてくれます。また「茯苓」、「白朮」、「甘草」、「生姜」が健脾し、脾を苛めないように予防してくれるので安心です。

しかし、あまりにも肝気が欝滞しすぎて「脾」を痛めつけてしまった場合は、「逍遥丸」では少し力不足のために「開気丸」の力を借りることになります。

不妊や生理不順などで悩んでいる人達は、もともと「脾」が弱いことが多いものです。従って、「春」が深まって「肝の気」が多くなり、「脾」を苛めるようになるこの時期は、ますます「脾」が弱り、基礎体温表が乱れてしまうことになります。

当店でもこの今の時期、「開気丸」の処方をよく使っています。

食材では少し「酸味のあるもの」を摂ると良いです。今、旬の甘夏や八朔なんか良いでしょうね。後は、気が欝滞しないように、適度な運動や深呼吸を心がけてください。

「肝」の強い気に負けないように、しっかり「脾」の力を立て直し、これから本番を迎える「春」に備えていきましょう!

子宮腺筋症も怖くない

子宮腺筋症とは、子宮の筋層にできた子宮内膜症のことです。

子宮の内膜が筋肉の中に入り込み増殖して発病します。子宮筋腫のように子宮が腫大し、子宮の筋肉層に潜り込んだ子宮内膜が、月経時にはその場で出血をしてしまうために、酷い生理痛が起こるとともに出血が止まりにくくなります。

それが度重なると、卵巣や腸との癒着が起こり、子宮内膜症を合併することも少なくありません。

これを西洋医学的に根本的に治療するとすれば、子宮を摘出すれば良いのですが、未婚や妊娠を希望している女性にとってはそれは避けなければなりません。病巣の部分だけを取り除く手術もありますが、多くは病巣が広範囲に及んでいることが多いために根治には繋がらず、再発する確率が高いと言われています。

そこで、おすすめしたいのは、病巣を取り除き、その後は再発しないように体質改善を漢方薬にて行っていく方法です。

つまり内膜症や癒着が起こりやすい体質であることがもともとの原因ですので、活血・疏肝作用のある漢方により、その体質を徐々に改善していけば再発には繋がらないということです。またもともとその様な体質であることがわかっていれば、漢方薬を続けることで腺筋症を含む内膜症、子宮筋腫にもならずに済むわけです。

35歳Mさんは、その方法で成功し、現在妊娠中です。

Mさんには活血・疏肝に加えて、補腎作用のある漢方薬も加えて、腎も強めるようにしていきました。その土台作りによりMさんはめでたく授かることができたのです。

現代医学では治療が難しいと言われる「子宮腺筋症」ですが、西洋医学と東洋医学の良いところをうまく利用することで、その症状改善も夢ではありません!是非ご相談ください。一緒に良い方法を見つけて行きましょう。

眼と肝と腎の関係

35歳Yさん。職場で今まで以上にパソコンを使う機会が増え、画面も大きく、デュアルディスプレイで仕事をこなしていかなくてはならなくなってから、だんだん遠くのものが霞んで見えるようになってきました。

今までなら夕方にそのような状態になっても寝て朝起きたら眼もすっきり、ばっちり遠くまで見えていたのが、最近は朝から遠くが霞むようになってきました。おまけに夕方の車の運転はかなり危ない状態になるほど、辺りが見えにくく、焦点が合わなくなってきてしまいました。

さらにパソコン機器に囲まれて電磁波の中で仕事をしているためか、その時期に責任ある仕事を任され、かなりの精神的ストレスがかかったためか、生理不順にもなってしまいました。

仕事をバリバリこなす一方、Yさんは妊娠も希望していたので、生理不順になることはこの上なく悲しい出来事だったのです!しかも昔から「眼が良いこと」が、視力の悪い人口が増えたこの現代では、唯一Yさんの自慢できる事柄だったのに、それが果敢なくもなくなってしまうかもしれない事態が起こっているのです!

これは何とかしないとなりません!Yさんはすがる思いで漢方薬を求めて来られました。

Yさんの中で起こっていることは「肝血不足」です。また「肝腎陰虚」もあるようです。

「肝」は眼を養うのですが、眼の使いすぎにより肝血が不足し、また仕事の残業により寝不足もあったことから「肝を養う時間」に就寝できていず、寝不足が「腎」をも弱らせてしまった結果、生理不順を引き起こしてしまったのです。

その治療には主に「滋補肝陰作用」のある「杞菊地黄丸」を使用し、併せて「婦宝当帰膠」による「補血・疏肝理気作用」により、何とか肝血を潤すように持って行かなければなりません。

周期に合わせてその他の漢方薬も組み合わせ、Yさんの症状の改善を計っていきました。

初めはあまり変化がわからなかったのが、3周期ほど続けた頃から徐々に変化が現れ始めました。

今まで卵胞期が長くなっていた生理不順の状態も、少しおりものが見えるようになってきて変化が現れてきました。それと同時に朝から眼が霞むこともなくなってきたのです。さらに夕方の焦点が合わなくなる症状もなくなりました。

要するに、水晶体や眼筋の働きが年齢のために衰えたのではなく、無理な眼の使いすぎやストレスにより「肝」「腎」にかなりの負担がかかったことが原因でそのような症状が出たのです。もちろんそのまま放っておくと、もう視力も元に戻らなくなってしまったでしょうから、Yさんが何もせずに過ごしていたら、原因は年齢ということになっていたことでしょう。

早めに「肝腎」の調整をして良かったですよね。まだしばらくYさんは、現代人の希少価値である「視力2.0」を掲げることができそうです。

子供に守られるママ

「1人目を出産した後のママが一番きれい」とよく言われます。

それはママになったということ、そして子供を持てたという「幸せに満ち溢れている顔」をしているからだけでなく、今まで体に溜めていた悪いものを出産により子供と共に外に出すからなのです。

出産をした人よりも出産をしていない人の方が、子宮や卵巣などのトラブルが多いこともそのようなことが関わっているのかもしれません。

出産後は子供が自立するまで特別なことがない限り、ママは子供を守り続けます。出産前ももちろんお腹の中でママは子供を守り育てていくのですが、その反対のお腹の中の子供がママを守ってくれることもあるのです。

灯油やガスなどの不完全燃焼により生じる一酸化炭素。一酸化炭素は酸素よりも約250倍も赤血球内のヘモグロビンと結合しやすいために、頭痛、耳鳴り、眩暈、吐き気の初期症状を経て、昏睡状態に陥ってしまうという、空気中の濃度が高いと危険なものであることはよく知られています。

40歳Cさん。夜中に産気づきかけたのと少し寒くて眼を覚ましました。「あなた、病院に行かなくちゃ!ねぇ、ストーブは消しちゃったの?」隣に寝ていたご主人に声をかけましたが、ぐっすりと眠っている様子。隣の部屋で寝ていた子供達にもこれから病院に行くことを告げるために様子を見に行ったCさんは、家族の異変に気づきました。

家族はみんな寝ているのではなく、一酸化炭素中毒にて昏睡状態に陥っていたのです!

即救急にて病院に運ばれ、家族みんなの無事が確認されました。また病院にて出産したCさんの赤ちゃんも高圧酸素療法により、一命を取り留めました。

あの晩、Cさんだけがなぜ中毒にならなかったのか・・・?それは体内の赤ちゃんが、ママの代わりに一酸化炭素を吸収してくれていたからなのです。またそのお陰で家族みんなの命も救われました。

体内にいながらにして家族を守る赤ちゃん。赤ちゃんの、生命の、「力」は想像以上にすごいものですね。

女性の健康週間

3月3日はひな祭り、3月8日は国際女性の日であることから、3月1日~8日は「女性の健康週間」とされ、この1週間に各地で女性の健康づくりについてのセミナーや講習会などのイベントが行われていました。

月経開始の12歳頃の「思春期」から、30歳前後の「成熟期」を経て、閉経までの50歳前後の「更年期」、そして閉経後の「老年期」。

それぞれの「期」で女性の体はどんどん変化していきます。その基となるのが女性ホルモンの「エストロゲン」。「エストロゲン」は思春期以降に卵巣から分泌されるホルモンで、このホルモンのバランスが保たれることで、月経周期が整い、妊娠できる体になっていくのです。

しかしそのバランスが崩れることで、卵巣機能も崩れ、「不妊」「月経痛」「子宮筋腫」「卵巣嚢腫」「子宮内膜症」「ニキビ」などの疾患を引き起こすことになるのです。

またそのホルモンが減少してくることにより、「更年期障害」「骨粗鬆症」「動脈硬化」「高脂血症」などの疾患を引き起こすことになります。

女性であるがゆえに健康と密接に関わっている「エストロゲン」。うまくそれが分泌され、卵巣がしっかり働いているかどうかを自分で確かめことが大切です。その手段としてあるのが「毎朝基礎体温をつけること」なのです。

このことは婦人科医も良く知っているはずのことなのですが、病院にて治療を行っている人が「先生から基礎体温表はつけなくていい、と言われていますのでつけていません」と言われることが多くあります。

おそらくホルモン療法を行っている最中は、自分の力での基礎体温ではないので参考にならない、との判断なのでしょうが、ホルモン療法を行っている時でも基礎体温は大切なものです。ホルモン剤にしっかり反応しているか、この時期までは反応していたのに、ここからは反応しなくなった、などの情報を掴むことができます。

それにより、ホルモン療法をもう少し続けると良い結果を得られるか、このまま続けていても体を壊すだけなのか、がわかるのです。

初めての相談の中でも基礎体温表をつけていない人が多くいます。妊娠を希望していなくても、自分の女性ホルモンの経緯が良く把握することができますので、是非、女性であれば初潮から閉経まで基礎体温表をつけていくことをおすすめします。

その体温表より、今自分の体の中で何が起こっているのか、把握することができ安心です。例えば、若い人であれば「ニキビ」が出てきたら、確かに基礎体温が乱れていたり、動悸やホットフラッシュ、不眠などが出てきたら、女性ホルモンの不足が基礎体温表に現れているはずです。

その様にバランスが少し崩れた時だけ、婦人科に行って調整したり、そうならないように日頃「婦宝当帰膠」「加味逍遥散」などの漢方薬で予防したりすることで、いつまでも健康で美しい女性であることができるのです。

やっとここまで

気象庁から「ソメイヨシノ」の開花予想日が発表されました。例年よりも早い開花で、大阪では25日だということです。

43歳Sさん。1年半前に当店を訪れたときは、絶望の中でフラッと立ち寄られたのでした。

その日は婦人科病院からの帰りで、医師より「もう卵がほとんど出来ていませんので、あなたが妊娠できる確率は5%です。」と・・・。あまりにものショックでどうして良いかわからずに、途中駅で見た看板を見て、それが指し示す方向へ進んでいったのでした。

そして辿りついたのが当店の漢方薬局でした。

今までの経過、今後の治療計画を話されていくうちに、今まで曇っていたSさんの心が少しずつ晴れてくるのがわかりました。

「漢方で何とかなるかも・・・。」

Sさんはそう感じ、曇天の隙間から差し込む明るい光を発見したかのように、気持ちがほぐれ、全身の血液が巡って行くのを感じ、Sさんの顔に血の気が戻ってくるのが見て取れました。

Sさんは高プロラクチン血症、不規則な生理の改善のために「カバサール」と「プラノバール」を服用されていました。また時にはエストロゲンを補うために「プレマリン」を、黄体ホルモンを補うために「デュファストン」を服用され、Sさんの基礎体温表は、あたかもきれいな線を描いているかのようでした。

しかし、これも作られたもので、Sさん自身の力ではありませんでした。

その証拠に育つ卵はほとんどない状態。

何とか自分の力を取り戻し、良い卵を作ることができるようになれば、体外受精も成功するはずです。

一昨年の10月末から本格的な周期療法を始め、「婦宝当帰膠」「杞菊地黄丸」「双料参茸丸」「シベリア霊芝錠」「オリジン」「冠元顆粒」などを使い分け、良い卵が採卵できるよう調整していきました。

そしてそれから4ヵ月後、「できない」と言われた「卵」が出来るようになったのです!これには婦人科医も驚いた様子でした。しかし採卵までは至らず、そのまま漢方の調整は続きました。

そして1年後の先月、やっとやっと採卵が出来たのです!しかも今月、分割した卵を戻すことができたのです!!この日をどれだけ待っていたことか・・・!

この日を夢見ても、夢と化してしまいそうだった1年半のあの時、フラッと何も考えずに立ち寄ってしまったけれども、あの時にSさんが漢方に出会わなければあのままこの日に巡り合うことはなかったことでしょう。導かれるべきして導かれた、と言っても過言ではありません!

諦めずにここまで来て、良かったですよね。

これから桜が美しく咲くように、Sさん夫婦にも心の花が咲き、その花が散ったあとはきっと可愛い実を結んでくれることでしょう。

断乳のために

今日は啓蟄。24節気の1つで、大地が暖まり、冬の間土の中に眠っていた虫が這い出てくる日、とされています。

ところが今日は日本列島は冬型の気圧配置になり、雪が舞うほどの気候でした。昨日までは暖か過ぎるほどの気候でしたので、花粉や黄砂も加わって、「腎」と「肺」の弱い人には辛い時期だと思います。

さて暖かくなる4月を前にして「そろそろ断乳をしようかな」というママは多いのではないでしょうか。

最近は1歳を過ぎても無理に母乳をやめさせる必要はない、という考え方が主流のようです。しかし赤ちゃんに「卒乳」を任せていると、どんどん知恵がついてきてなかなか止められなくなってしまい、親子共々辛い思いをしないとならなくなりますので、1歳くらいで止めるのがちょうど良いでしょう。

断乳するときは、突然止めたりしないようにしてください。まずはお乳を与える時間を短くしていき、次に回数を減らしていき、3日ほどあげない日を作っていく・・・というように徐々に離れていくようにしないと乳腺炎を起こしてしまったりします。

またその時期に油っこいもの、カロリーの高いもの、甘いもの、などを食べると詰まりやすくなっている乳腺が余計に詰まってしまいますので、気をつけてください。

そして漢方薬の「炒麦芽」を服用すると、よりスムーズに断乳ができます。夕方から夜にかけて、お乳を出すホルモンであるプロラクチンの値が高くなっていきますので、特に夕方以降に「炒麦芽」を服用するのが効果的です。

いつでもどこでもサポートしてくれる漢方薬。お困りのことがあればいつでも何でもお問合せください。

腎陰虚

腎陰虚に対する治療法則は「滋補腎陰」「滋陰降火」です。漢方薬は「六味地黄丸」。症状は「腎虚」の症状に加えて「手足がほてる」「頬が紅い」「口渇」「不眠」「潮熱」「便秘」などです。

それよりももっと熱象が強い「陰虚火旺」の場合は、それに「知母」と「黄柏」を加えた滋陰清熱作用のある「瀉火補腎丸」を使います。症状は「六味地黄丸」の症状の「手足のほてり」「口渇」「潮熱」などの熱象がより強く現れます。

これらの漢方薬は、補腎陰が必要である卵胞期によく使用します。特にホルモン療法により基礎体温が高くなってしまった場合、また更年期様症状により卵胞期の体温が高めの場合、に使用します。

39歳Iさん。漢方のことを勉強され、ご自身が医師であるために自分で自分の漢方処方を行い、周期療法を試みられていました。

ホルモン療法を行っているわけではありませんが、卵胞期の体温が高めであることから「六味地黄丸」を、また「お血」症状があることから「冠元顆粒」を服用されていました。

何となく改善されてきたように思えましたが、改善のスピードが今ひとつだったために、また自分なりに処方を変えていきました。しかしだんだん卵胞期が乱れ、それに連れて黄体期も乱れてきてしまいました。結局自分でどうしたらよいかわからなくなり、一度診て欲しいと問合せをされました。

まずは崩れてしまった体調の立て直しが必要です。決して処方が間違っていたわけではありませんが、もう少しそれに加えたら良いものやこの時期には飲まない方が良かったものなどがあったようです。

道に迷ってしまったときは、そのまま先に進まずに、正しい道を確かめることをおすすめします。

桃にちなんで

「桃の節供」については昨年その歴史や慣わしについて書きました。

 ★「桃の節供」 http://www.tsudo-pre2mama.com/2006/03/post_1823.html

今年は「桃」について記します。

さて「桃の節供」ですが、なぜ「桃」だったのでしょうか?「桃」については、旧暦の3月に咲く花で、3月を代表する花だったことからのようです。また「桃」は女性を思い子とさせる花であることから、女の子の節供には「桃の花」ということになったようです。

それなら「桃」から産まれた「桃太郎」はなぜ男の子だったのか?これにはたくさんの説がありますが、実は香川県では女の子だったという話もあるようです。あまりにも可愛かったために鬼にさらわれないように「桃太郎」と名づけたとか。

この「桃太郎」の話ですが、上流から流れてきた桃を食べた老夫婦が若返った結果、桃太郎を授かったというものが明治初期まで主流でした。これは神話の中に、桃には邪気を祓い、不老不死の力を与える霊力のある果実とされていたり、仙人には桃は欠かせない果実とされていることから、霊力のある桃から産まれる「桃太郎」の話が生まれたようです。

さてこの「桃」ですが、漢方では「花」「葉」「種」をそれぞれその薬効に応じて使用しています。

「花」は、「白桃花」と称し、利尿・緩下薬として浮腫、便秘の治療に使われます。

「葉」は「桃葉」と称し、皮膚病の浴剤として使用されています。特に赤ちゃんの「あせも」には安全で効果的であるために、よく利用されています。

「種」は「桃仁」と称し、活血・排膿・潤腸の効能があり、月経障害、腹部腫瘤、下腹部痛、神経痛、打撲傷、化膿症、便秘などに使用されています。それを含んだもので、「お血」による月経障害や生理痛などに使用する「桂枝茯苓丸」はとても有名で多く使用されています。

生活に馴染み使用されてきた「桃」、それには神秘的な力も備わっていることは昔から感じられていたようです。そんなことを考えながら桃を見ると、何だか違って見え、その神秘的な力を受けることができるのではないか、と思ってしまったりします。

壁を乗り越えて

38歳Cさん。結婚7年。自然妊娠を希望し、極力ホルモン剤などには頼りたくなく、ましてや体外受精に対しては拒否反応を占めるほど。

実際に子供を望むようになったのは3年ほど前。それと同時に漢方薬も「婦宝当帰膠」から徐々に始めていました。

周期療法を始めたのは2年前。周期療法を始めてからしばらくして、基礎体温の改善は見られるものの一向に兆しが見えないことに「どうもおかしい」と思ったCさんは、初めて婦人科を受診。その結果、着床を妨げている子宮筋腫が見つかったのです。大きさは3cmほど。しかしちょうど卵が着床するべき位置に存在するために、それが受精卵の着床を妨げている可能性が大きいとの診断でした。

「まだ間に合う!できることはしておこう。」と手術を決意し、腹腔鏡下手術により核摘出手術を行いました。

それから半年の昨年10月、とてもきれいな基礎体温表になったので、「今回は・・・?!」と期待していたけれども結果は残念!しかし安定してきた体調に良い兆しだと思っていた頃でした。

しかし、10月の安定した基礎体温は奇跡のように、11月そして12月と全く排卵する兆しもなく、低温期が延々と続いていました。

「おかしいなぁ」と再度婦人科を受診。血液のホルモン検査により、女性ホルモンであるエストロゲンの数値が低く、排卵期に多くなるはずの脳下垂体前葉から出る卵巣刺激ホルモン(FSH)が高く、黄体化ホルモン(LH)も高い数値であることがわかりました。つまり卵巣がお休みしている状態で、卵胞が育っていないのに排卵させようと刺激ホルモンが無理に働いている状態なのです。要するに、更年期様症状です。

Cさんにとってはかなりショックな結果でした。手術したことが卵巣に負担をかけてしまったのかもしれませんが、これは一概には言えず、手術しなくても子宮筋腫が卵巣に負担をかけ、行く行くはこの様な状態になっていたかもしれません。

「少しピルの力を借りて、卵巣を休めた方が良いかもしれませんね」と婦人科医。

しかしCさんは自分の身体の力を信じたくて、漢方薬にて特に「腎」の「滋陰」をするように「煎じ薬」を、補血・養血・調経のために「婦宝当帰膠」の服用を続けました。

しかし・・・!

1月、2月そして3月が来る頃にも全く身体の反応はなく、低温期は続いていました。もう3周期以上経ってしまったので、Cさんは断念して婦人科へ。

「お薬をお願いします!」とCさん。

「そうですね。このままだと閉経してしまうかもしれませんので、一度お薬で月経を起こしましょう。」

結局Cさんの不本意な道を歩まなければならなくなってしまいました。2週間のホルモン剤の服用です。ノルゲストレル・エチニルエストラジオールが成分である女性ホルモン補充薬です。

Cさんは「こんな感じでホルモン剤の壁を乗り越え、知らぬうちにホルモン漬けになり、体外受精などの道へ進んでしまうことになるのでしょうね・・・。」とポツリと呟かれました。

しかしこれはCさん次第で、今回のことも長い人生の中の1つの選択肢で、決してホルモン剤がいけないことではなく、うまくそれを利用して、自分の力を呼び起こすようにしていけば良いのです。2~3周期間は少しホルモン剤の力を借りて卵巣を休め、新たな身体で再スタートすれば良いことです。

その頃には季節も良くなり、身体への負担も軽くなる頃です。きっと良い方向に進むことでしょう。