眼と肝と腎の関係

35歳Yさん。職場で今まで以上にパソコンを使う機会が増え、画面も大きく、デュアルディスプレイで仕事をこなしていかなくてはならなくなってから、だんだん遠くのものが霞んで見えるようになってきました。

今までなら夕方にそのような状態になっても寝て朝起きたら眼もすっきり、ばっちり遠くまで見えていたのが、最近は朝から遠くが霞むようになってきました。おまけに夕方の車の運転はかなり危ない状態になるほど、辺りが見えにくく、焦点が合わなくなってきてしまいました。

さらにパソコン機器に囲まれて電磁波の中で仕事をしているためか、その時期に責任ある仕事を任され、かなりの精神的ストレスがかかったためか、生理不順にもなってしまいました。

仕事をバリバリこなす一方、Yさんは妊娠も希望していたので、生理不順になることはこの上なく悲しい出来事だったのです!しかも昔から「眼が良いこと」が、視力の悪い人口が増えたこの現代では、唯一Yさんの自慢できる事柄だったのに、それが果敢なくもなくなってしまうかもしれない事態が起こっているのです!

これは何とかしないとなりません!Yさんはすがる思いで漢方薬を求めて来られました。

Yさんの中で起こっていることは「肝血不足」です。また「肝腎陰虚」もあるようです。

「肝」は眼を養うのですが、眼の使いすぎにより肝血が不足し、また仕事の残業により寝不足もあったことから「肝を養う時間」に就寝できていず、寝不足が「腎」をも弱らせてしまった結果、生理不順を引き起こしてしまったのです。

その治療には主に「滋補肝陰作用」のある「杞菊地黄丸」を使用し、併せて「婦宝当帰膠」による「補血・疏肝理気作用」により、何とか肝血を潤すように持って行かなければなりません。

周期に合わせてその他の漢方薬も組み合わせ、Yさんの症状の改善を計っていきました。

初めはあまり変化がわからなかったのが、3周期ほど続けた頃から徐々に変化が現れ始めました。

今まで卵胞期が長くなっていた生理不順の状態も、少しおりものが見えるようになってきて変化が現れてきました。それと同時に朝から眼が霞むこともなくなってきたのです。さらに夕方の焦点が合わなくなる症状もなくなりました。

要するに、水晶体や眼筋の働きが年齢のために衰えたのではなく、無理な眼の使いすぎやストレスにより「肝」「腎」にかなりの負担がかかったことが原因でそのような症状が出たのです。もちろんそのまま放っておくと、もう視力も元に戻らなくなってしまったでしょうから、Yさんが何もせずに過ごしていたら、原因は年齢ということになっていたことでしょう。

早めに「肝腎」の調整をして良かったですよね。まだしばらくYさんは、現代人の希少価値である「視力2.0」を掲げることができそうです。