医療費控除の対象

3月15日まで確定申告の受付が行われています。

その中でも昨年1月から12月までの10万円を越える医療費を支払った場合、10万円を越えた分を対象に、医療費の控除が受けられます。

漢方薬の中でも医薬品は、その医療費控除の対象となります。例えば「婦宝当帰膠」や「冠元顆粒」など。これらの漢方薬は、周期療法の処方で良く使用されるものですので、是非申告されることをおすすめいたします。

ただ周期療法の処方の中でも医薬品とされていないもの、例えば「水快宝」「爽月宝」「シベリア霊芝錠」などは対象となりません。

しかし積み重なったものは多いはずです。年間で支払った医療費に加算すると、控除額が多くなるでしょう。

先日妊娠されたTさん、旦那様に「漢方薬は医療費控除の対象にならない」と言われたので、領収書を捨ててしまったと言われました。捨ててしまったのは昨年の3月までの分でしたので、それ以降のものを購入時の領収書と引き換えに医療費控除の対象となる分の領収書を発行しました。

このように当店でも対象となる医薬品の領収書を発行しています。もし申告される場合は、是非ご一報ください。

驚きです!

「見てください!驚きです!」

今年、年女のYさんは、基礎体温表を見せながら蔓延の笑みを浮かべていました。その手の中には31日周期で生理が来た基礎体温表がありました。

「え!ずごいっ!やっと戻ってきましたね!」

ここ6年間、不妊治療を進めていく中で、精神的にダメージを受け、その後遺症とYさんを取り巻く環境により、月経周期が定まらず、150日、80日、70日・・・と長い長い卵胞期を経て、少し短めの高温期の末に、生理が来る、という周期が続いていました。

初めの頃は無月経状態が続いていたのが、1年半ほど漢方と鍼灸の治療を続けていくうちにここ最近は70日ほどの周期に落ち着いていました。

「もう少し卵胞期が安定して期間が短くなれば良いですね。」

と話をしていた矢先のことでした。

「ここ6年間で31日周期で生理が来たのは初めてなんです!主人も一緒に喜んでくれてほんとに嬉しかったんです!」

赤ちゃんを望む身でありながら、生理が来るのを喜ぶのは相反することかもしれませんが、まずは月経周期が整わなければなかなか赤ちゃんも宿ってはくれません。稀に年に3回ほどしか生理が来ない方が妊娠されることはありますが、それは稀なことで、やはり周期は整っていた方が妊娠率は上がるものです。

Yさんはようやくスタートラインに立てたのです。今周期を含めて3周期、30日ほどの月経周期に落ち着けば、きっともっと嬉しいことが起こるでしょう。

もう後はこの調子で真っ直ぐ進むのみ!です!猪突猛進!自分の年に良いことも真っ直ぐYさんに向かってくること間違いなしです!楽しみです。

子供の便秘

2歳になる男の子のママからの相談です。

便通が4~5日に1回で、出すときはとても辛そうでかわいそうなので、早くに便秘体質を改善したい、とのことでした。日々「こより」の力を借りようとしてみたり、お腹のマッサージをしてみたりするのだけれども、毎日出ないようなのです。

男の子は、どちらかというと下痢になりやすいもので、便秘になるというのは珍しいものです。

この様な場合、まだ発育が不十分で便を出す力が弱いためであると捉え、虚弱体質であることを改善する「小建中湯」を処方しました。まだ小さなお子様ですので、処方したのは飲みにくい錠剤ではなくエキス剤です。

そのお薬で2週間、様子を見てもらいました。

そして2週間後の今日、再び、来店されました。お薬を飲み始めてから毎日便が出るようになり、出るときは1日2回も出るようになったとのことでした。そしてお薬が切れた一昨日からまた出にくくなってきたようです。

体質改善には2週間は短すぎます。ただ経過を見るために、あまり多くの期間の処方を出さずに様子をみていきます。もう少し期間をかけて、体質改善をすれば、自分の力で便を出すことができるようになることでしょう。

また、ママに伺ったところ、あまり水分を与えていないようです。ママ自身があまり水分を取るほうではないために、子供にも水分を与えていないようでしたので、子供にはもう少し水分を与えるように心がけてもらうことにしました。

子供は良く動くために、知らず知らずのうちに汗をかき、水分補給が必要であるものです。大人よりも明らかに皮膚から蒸発する水分は多いはずです。しっかり水分補給をしてもらえれば、お薬の力を借りなくても自分の力で毎日出るようになることでしょう。

また2週間後の経過が楽しみです。きっともう苦しがらずにおトイレに行くことができているはずです。

あれから3年

36歳Nさん。2000年のミレニアムに結婚し、7年が経ちます。

3年前に1人子供を出産してから体調が思わしくなく、最近は眠りが浅く、すぐに眼も疲れるようになり、左の肩こりも酷く、体が重たく感じる毎日を過ごしていました。

計画では、2歳離れてもう1人子供を望むつもりでしたが、人生計画通りには行かず、だんだんと年齢と共に、体力も衰えてきたように感じていました。月経に関して言えば、月経血量が少なくなってきて、排卵期のおりものも少なくなってきたように感じられました。

現在はイギリスに在住しているNさんですが、「体質改善」で思いつくのは「漢方」でしたので、日本の信用できそうな漢方の先生をネットで検索し、当店に辿りつかれたのです。

Nさんの改善には、まず体調不良の部分から調整することが大切です。「眠りが浅い」「眼の疲れ」「左肩こり」などの症状は、「腎虚」「お血」がある証拠です。それらを改善するために「血府逐お丸」「水快宝」「杞菊地黄丸」「参馬補腎丸」などを組み合わせて、周期ごとに調整していきました。

漢方を始めたのは昨年の11月。Nさんの自覚としては、あまり劇的に変化することはなかったようですが、徐々に身体の内部は漢方により改善がなされていたのでしょう。今年に入って、遠いイギリスにコウノトリが舞い降りたと言う知らせが届きました。

春の風に乗って、幸せが運ばれてきたようです。私達もその幸せを感じながら、ご出産までもう少し手助けを続けていきます。今のところ、何も問題なく小さな命は鼓動を続けているようですので、このまま何もなく出産されることでしょう。

お兄ちゃんになる予定のお子様には、もうその鼓動が聞こえているのでしょうか。ママのお腹に耳を当て、「お兄ちゃんだよ!」って話をしているようです。妹か弟になる小さな命には、お兄ちゃんの声は聞こえているはずです。とても微笑ましい光景に私達も心あたたまりとても嬉しく感じています。

乳腺炎の外用薬

授乳中の乳腺炎は、お乳を詰まらせないようにすることや、乳腺をマッサージするなどして炎症まで至らないようにしますが、授乳中でもなく、出産もしていないのに乳腺に炎症が起きている場合、つまり乳腺が感染症を起こした場合は、早期に抗生物質により治療を行った方が良いです。乳腺炎を治療せずに放置しておくと、乳腺膿瘍になることがありますので、要注意です。

42歳、Sさん。体外受精に望んでいる最中に乳腺炎様症状が出てしまいました。なるべく今は抗生物質は飲まないでおきたい、というSさんの意向に沿うためと、症状がまだ炎症まで至っていないようですので、当面は漢方薬と外用薬により、症状の悪化を防ぐようにすることにしました。

お薬は「天津感冒片」を中心としたものを使用し、体外受精に影響なく、しかも効果的になるように「シベリア霊芝錠」を加えつつ様子を見ていきます。

また外用薬として、たんぽぽの全草を、干して乾燥させたものを煎じ、その液を塗布することで乳腺炎を治します。これから季節も春になり、たんぽぽが咲くようになってきますので、ちょうど良い時期です。

Sさんにはこれらの内服薬と外用薬で乳腺炎が起こらないようにし、今度こそ体外受精を成功させて欲しいものです。

今度こそは

今日は月1回の不妊相談会の日。多くの不妊で悩む人、高度生殖医療に頚を傾げる人、高度生殖医療と漢方を併用しての治療を望む人、が相談に来られました。

今日相談に来られた人達の傾向としては、「流産が多いこと」でした。1度もしくは何度も妊娠はしているけれども挙児まで至らない、いわゆる不育症や抗リン脂質抗体が陽性である人が多いように見受けられました。

しかしこれらの人達は、自然で妊娠できる力、もしくは体外受精でも陽性反応となり着床できる力、を持っているのです。なぜ流産してしまうのか、は人それぞれ異なりますが、遺伝子の問題、つまり卵の質の問題や黄体ホルモン不足が原因であることが多いように思えます。

その改善として、妊娠できるその力を引き伸ばすように、卵胞期には育つ卵の質を上げ、黄体(高温)期には黄体ホルモンを十分に保てるように漢方薬を調整していくことになります。

今回は高温期に不正出血が起こる人達が多かったために、「田七人参」の処方が多く出ました。どうしても黄体ホルモンの分泌が不安定な場合は、高温期に低温期のような体温が混じり、不正出血を起こしたりします。それを食い止めるために、また妊娠しそうな人でも大丈夫なように「双料参茸丸」「衛益顆粒」「帰脾錠」などを併せて処方されました。

今度こそは挙児まで行けるよう、高温期の様子を見守りつつ応援しています。

春野菜でデトックス

冬の間は体が固まり、あまり気を外に発散させないために、老廃物が溜まっています。春になって、体内の老廃物を出すために、これからは肝臓の機能を高め、胃腸を整えることが大切です。

「春」は「肝」の季節ですので、他の季節よりも「肝」が高ぶり、自律神経が乱れることで情緒が不安定になったりします。また生理不順の人であれば、いつもより不順が激しくなってしまうこともあります。

そこで、これから迎える「春」と仲良く付き合っていくために、春野菜をたくさん摂って、調整していきましょう!

自律神経の乱れには、「セリ」や「三つ葉」。さっぱりした口当たりや味が気持ちを安定させ、血の流れを良くし、肝臓に働きかけ、解毒もしてくれます。同じ「セリ科」の「当帰」は調経作用、「川きゅう」は活血作用により月経不順を改善しれくれます。漢方薬ではそれらを含んだ「逍遥散」「加味逍遥散」「婦宝当帰膠」などが良いでしょう。

解毒、デトックスには、「キャベツ」。古代ギリシャ・ローマ時代から薬効のある野菜として知られているこの野菜は、成分の「ビタミンU(キャベジン)」が胃の粘膜を再生し保護する働きをするために、胃潰瘍のお薬に使用されています。ビタミンCも淡色野菜の中ではトップクラス!免疫力が高まります。また消化吸収が良くなることで、体内の老廃物を排出し、新陳代謝を高めてくれますので、デトックスに良いものです。

漢方薬では、胃腸の機能を高めるようにしたり(六君子湯・平胃散など)、血流を良くしたり(冠元顆粒など)、腸内のお掃除を手伝ったり(ラクシュミ・ハーベルシーなど)することで、デトックスのお手伝いができます。

「医食同源」!まずは日常の「食」を整えることが健康の第一歩です!春から始めてみましょう!

雪解け

今年の旧正月は、昨年の閏月があったために、少しずれて昨日が元旦。中国では例年の如く、民族大移動が始まっています。

そして今日は24節気の1つの「雨水(うすい)」。雪が雨に変わり、雪が解け始める頃で「陽気地上に発し、雪氷解けて雨水となればなり」と記されている時期です。

今年の「雨水」は、雪解けどころか、それを通り越し、「啓蟄」そして「立春」を思わせるばかりの陽気に溢れた日となりました。

日本では昔からこの日から農耕の準備を始めるようです。またこの日に雛人形を飾り付けると良縁に恵まれる、といわれているようです。この「良縁に恵まれる」というのを大きく解釈して、「雛人形を飾ってあげる可愛い女の子に恵まれる」ってのにしてはだめでしょうか・・・?

陽気がどんどん増えてくるこれからの時期、冬の間は「陽虚」にて「参馬補腎丸」などをしっかり処方に入れていた人達も天の陽気が助けてくれるようになってきますので、「陽虚」の部分のお薬を少なくしたりして調整するようになってきます。

また血の巡りが悪く、活血剤がたくさん入っていた人達も陽気のおかげで少し巡りが良くなってきますので、処方も他の部分に力を入れることができるようになります。

結婚してから無排卵で婦人科に通っていたOさん。病院でのホルモン剤治療に疲れ果て、4周期前より病院での治療を止め、自力で生理が来るように漢方薬を飲み始めていました。100日過ぎても低温期が続いていましたが、Oさんは待ちました。

そして125日目にして、高温期が来たのです!感動の高温期です!結婚後5年間自力で高温期が来たことがなかったのが、今、ようやく「雨水」の季節の陽気に持ち上げられ、Oさんの体も高温になったのです!これで生理がやって来ます。自力での生理です。

今からもっと陽気は増えてきますので、Oさんの体調もどんどん良くなることでしょう。これからのOさんの経過が楽しみです。きっと良い結果につながることでしょう。

幸せな家族

子供が大好きなCさん。結婚当初より、たくさんの子供に囲まれ、生きていくことを夢見ていました。

Cさん自身は4人兄弟の中でたくさんの家族の愛情に包まれ、楽しく過ごしてきたので、自分の家族もたくさんの子供に囲まれ、過ごして行きたいと思っていました。

6年前に一番上のお子様を出産してからなかなか次の子供に恵まれず、5年が経ちました。もう40歳を目の前した頃、もともと自然派志向だったCさんは漢方薬に頼ってみようと思い、ネットで検索、遠い海外から問い合わせをされました。

Cさんの住むアメリカにも多くの中国人による漢方医が住んでいるのですが、言葉の壁と日本人の繊細な体をどこまでわかってくれるのかわからず不安であるために、なかなか近くの漢方医の扉を叩くまでには至りませんでした。

近くの不安なところより、遠くてもわかってくれる日本人がいい、と当店に到達されたのです。

遠く離れていても「レディース相談票」により細かい体質チェックと基礎体温表を見ることで、しっかり傾向と治療方針を立てることができます。Cさんの場合もそのような形でCさんの体質改善に必要なお薬を処方し、海外へ発送し、1周期毎に体の変化をチェックしながら続けてもらいました。

そして5周期目を迎える頃、妊娠の便りが届きました。そして、無事に昨年出産。家族が増えたことに上のお子様も大喜び!それを見ているCさんご夫婦も喜びはどんどん増していき、前以上に家族の笑顔が多くなりました。

あれから半年、「婦宝当帰膠」は飲み続けているけれども、そろそろ3人目の計画に向けて取り組んで行きたい、と周期療法の再開を求めて来られました。

まだ産後の体が完全に快復せず授乳中のこともあり、無排卵の状態のために、徐々に体を整えるために周期療法ではなく、3ヶ月ほどホルモンバランスと子宮内膜を整えるためのお薬を周期を通して飲むことで、調整していくことにしました。

Cさんの夢見た家族の笑顔が溢れる人生・・・。着々と進んでいますね。2人目が家族に加わった今でもその笑顔は十分ですが、できればもう1人・・・!Cさんのその願いを何とか叶えることができるように、これからも出来るだけの手助けをしていきます。

お薬の違い

どこかの漢方薬局にて相談され、周期療法にて漢方薬を飲んでいる人からよくお薬の処方についての質問を受けます。

今日のお問い合わせでは、

『高温期のお薬が今まで「参茸補血丸」だったのが、「海馬補腎丸」に変わったのはなぜでしょうか?』

というものでした。

当店の処方では「参茸補血丸」を「双料参茸丸」に変更したり、「参馬補腎丸」を加えたりすることは良くありますが、「参茸補血丸」を「海馬補腎丸」に変更することはあまりなく、なぜその処方に変更されたのかは、ご本人の症状や体質をみていませんので、判断することは難しいものです。

一般的に言えば、補血作用に富む「竜眼肉」の入っている「参茸補血丸」は、帰経が「心・脾」で、虚労や神経衰弱、盗汗、不眠、足腰の倦怠感などのある場合に使い、周期療法では「血虚」「運化作用の低下」や安心作用を目的として使用します。特に黄体(高温)期に使用しますが、低温期にも使用することもあります。

また肺を強める作用に富む「冬虫夏草」の入っている「双料参茸丸」は、帰経が「肺・腎」で、虚弱体質や止咳、化痰、自汗、盗汗、病後の体力低下などのある場合に使い、周期療法では「黄体(高温)期の力不足」「安胎」を目的として、黄体(高温)期に使用します。

補陽作用に富む「海馬」の入っている「海馬補腎丸」は、帰経が「肝・腎」で、補陽、強壮、活血作用があるために遺尿、夜間頻尿、老人性咳嗽、難産、疲労回復、老化予防に使われます。従って、少し年配の人に使用します。

同じ「海馬」を含むものでも「参馬補腎丸は、「海馬補腎丸」ほど動物生薬が多く含まれていない分、それを飲むことで「のぼせ」の症状が起きる心配も少なく、「腎陽不足」で体温の低い女性や男性の不妊症にも使えますので、周期療法の処方によく使用します。

それぞれのお薬には働きがあり、それが作用を及ぼす経絡があります。処方は、一人一人の正確が異なるように、目的は同じでも漢方医それぞれで異なるものです。

もし自分の処方に疑問があれば、処方した漢方医に直接聞くことが一番です。直接聞いた上で、それでもまだ疑問点が残る場合は、西洋医学と同じくセカンドオピニオンで他の漢方医の意見を聞くのが良いでしょう。

どんなことでも自分で納得した上で、治療を受ける、行動する、お薬を飲む・・・、など行わなければ不安を持ったままで受けても良い結果は生まれません。疑問点はしっかり解消してから進んでください。