腰痛の原因

37歳Tさん。以前から腰痛持ち。

軽い腰痛は今まであったものの、この夏、仕事中に激痛が走り、その痛みは今までのものとは全く違うもので、そのまま動くこともできないほどで救急車で病院に運ばれました。

病院でレントゲンにて腰椎の検査が行われましたが、結局原因不明で退院。そしてそのまま日常生活を送っていました。

ところが、それからまた1週間後に同じような痛みが走ったので、今度は違う病院へ。

そして検査の結果、「おそらく卵巣が腫れていることが原因でしょう」との診断でした。

Tさんは3人の子供を出産しているのですが、その頃から卵巣が腫れていることは言われていたようですが、経過観察で今まで来ていたのです。今まではそれが何も問題なく存在していたために、何の処置も行っていませんでしたが、今回のような激痛が走るようになると、生活上支障を来たします。

ちょうど夏休み期間だったこともあり、Tさんはその手術をすることを決意されました。

そして開腹手術。

開腹してわかったことは、卵巣が腫れていたのではなく、卵巣の横が腫れる「卵巣傍嚢腫」が存在し、それが8cmにもなっていたこと、それに卵管が巻きつき引っ張っていたこと、そして子宮をかなり圧迫していたこと、などから激痛が起こっていたのでした。

腰痛と言ってもその原因は様々です。腰痛に限らず痛みの原因は、どこかにあるはずです。放置していたことにより、リスクが高まることは多くあることです。

Tさんの場合ももっと早くに原因がわかっていれば、経過観察の期間中、漢方薬にてその進行を防ぐことができたかもしれません。早めの原因究明は大切です。

体に良い海藻類

日本は海に囲まれた島だからか、昔から食卓には「わかめ」「こんぶ」「のり」「もずく」「ひじき」「てんぐさ」などが良く並び親しまれています。

海藻には食物繊維やミネラルを豊富に含んでいることから、健康食の1つとしてイメージされるものです。

少し前に「痩せる」としてブームになった「寒天」。これも海藻の仲間で、不溶性の食物繊維を含む「寒天」は、腸の働きを良くして便の量を増やし、水溶性の食物繊維を含む「わかめ」や「こんぶ」は、血液中の血糖値のコントロールをしたり、コレステロールの上昇を抑える働きがあるそうです。

「もずく」などのネバネバ部分には「フコイダン」が含まれ、これが胃腸粘膜の潰瘍の修正に役立ったり、抗酸化作用、抗癌作用もあるようです。

またこれらの海藻にはカリウムがたくさん含まれ、ナトリウムと拮抗関係にあるカリウムは、味の濃い外食や添加物のたくさん含まれた食品を食する機会の多くなった現代の日本人には、必要不可欠なものだとも言え、それをたくさん含む海藻はまた必要不可欠なものと言えるでしょう。

ただ何でも「やり過ぎ」「取り過ぎ」は禁物。「ひじき」に微量だけれども含まれる「ヒ素」。妊娠中にはその摂取量に気をつけないとならない「ヨード」を含む「こんぶ」。妊娠中に「ヨード」を摂取しすぎると、赤ちゃんの甲状腺機能低下につながるというので、注意が必要です。

何でも「バランスよく」摂取することが大切。何か良いのか、どんな働きをするのか、その食物の性質を知った上で口にすることで、体のバランスは取れるものです。健康な体作りの基本は、「食事」です。漢方も同じ考え方です。そのお薬の性質を知った上で、口にすることで、体のバランスを取り戻すのです。

食事のコントロールでも追いつかないくらい体のバランスが崩れてしまったときは、漢方薬や鍼灸の力を借りると早くに治ります。乱れた食生活は、胎児や赤ちゃん、子供にも影響します。今一度本当に体に良いものを見極め、今の体に必要なもの(こと)が何なのかを見つけてください。

漢方と共に

1年以上前に、ネットにて不妊の漢方相談をされた34歳Tさん。

ご結婚3年でなかなか恵まれないために、ご自分でネット漢方の処方を調べ、半年ほど「婦宝当帰膠」を飲まれ、生理に血塊があることから「月経期」には「冠元顆粒」、体温が低いことから「補血丸」、胸が張るので「炒麦芽」を服用されていました。

しかし良い結果に繋がらないために、自分には何がまだ足りないのかを教えて欲しい、とのご相談でした。

確かにTさんの体温は高温期でも36度5分、低温期になると36度前後ととても低い体温で、腎の陽虚不足であることが見て取れました。それを補うものを加えられたら良いでしょう、との返事をしました。

それから約1年半後、Tさんから授乳中で「乳腺炎」予防の漢方についてのご相談がありました。乳腺が細いのか、すぐに詰まってしまうようで、困っておられました。

1年半前にいろいろとご自分で漢方にて体質改善をされ、妊娠し、ご出産されたようです!良かったですよね!Tさんの傍にはいつも漢方があるようです。今回も私達のことを思い出して、お問い合わせをくださいました。

今回のご相談でおすすめしたのは「婦宝当帰膠」と「牛蒡子」です。ただ「牛蒡子」は苦くて、Tさんにとっては飲みにくいと感じられるようでしたので、それに「大棗」を少し混ぜて煮出すと苦味が少しまろやかになるために、それも併せておすすめしました。

いつもどんなときも力になってくれる漢方薬。時も場所も離れていても、いつでも、ご相談ください。お待ちしています。

スッポン

質の良い卵を作る大切な時期の卵胞期。これは「陰」と「陽」のうち「陰」の時期になります。

この「陰」の力がしっかりしていれば、良い卵ができ、排卵も自然とスムーズになり高温期もうまく保つことが可能です。

卵胞期の体温が波状型であったり、36度5分より高かったりすると、「陰の気」が乱れていると捉えることができます。その場合、漢方では様々なお薬を調整し、「陰の気」が安定するように持って行きます。

その中でも「陰」を補う薬として「補陰湯」の煎じ薬を当店では使用しています。この煎じ薬には「亀板」が含まれています。「亀板」の作用は、「補陰」「精虚熱」「補肝腎」で陰の気が足りない人にはとても良いものです。

通常使用される亀は、イシガメ科のクサガメの甲板を使用します。

同じ亀の仲間でも「スッポン」は、食すると「滋陰」「補陰」作用に優れているためにこれからの時期にとてもよいものです。特に、秋になる前の今の時期(中秋の名月の10月6日まで)に一度でも食べておくと、ここ1年間を元気に過ごせると言います。

来週の金曜日までに是非「スッポン鍋」を食べて、「陰の気」を養っておきましょう!卵胞期の安定のために、またこの冬を元気に過ごすためにも。

お腹の診断

江戸時代の古方派によって発展させられた「腹診」は、湯液治療や鍼灸治療では、診断の1つとして使用します。

ただ現代の湯液治療の場合は、店頭でお腹を見せていただくわけにはいきませんので、実際にはあまり診断方法としては使われていないのかもしれません。鍼灸治療では、お腹を拝見することが容易ですので、その診断も重要視します。

その中でも「小腹不仁(しょうふくふじん)」や「少腹急結(しょうふくきゅうけつ)」は婦人科疾患と深くつながりがありますので、不妊治療や生理不順などの治療診断では重要視する症状です。

「小腹」は下腹部のことで、おへその下の部分です。その下腹部に力がなく、フワフワとしているものを「小腹不仁」といい、漢方では「八味丸」が用いられ、鍼灸では「腎」の病と捉え治療することが多いのです。「腎」の力が弱るということは、「先天の気」が弱っているということで、生殖機能つまり「子供を産み育てる力」が衰えていることを現します。

また「少腹」は下腹部でも少し横側の下腹部のことで、「少腹急結」は主に左側に現れる抵抗や硬結のことです。これは「お血」があることを現しています。漢方では「桃核承気湯」が用いられ、鍼灸では「腎・肝・脾」のバランスが崩れていると捉え、治療します。

「お血」の腹証は、他にもあり、小腹(おへその下)に抵抗があったり膨満感がある場合もその証として捉えられます。漢方では「桂枝茯苓丸」が用いられ、この証は現代の女性で多く見られるような気がします。

「お血」が存在すると、キリキリとした痛みを伴います。生理痛や排卵痛などといった痛みは、これが原因です。生理の際の血塊も「お血」です。

「お血」を治療することで、痛みや冷えが解消し、結果として子宮環境が整い、妊娠しやすい母体となるのです。「腎」が弱るとそれを改善するにはある程度の期間を要しますが、「お血」は早期に改善されるものです。漢方治療や鍼灸治療をされ、2周期目で妊娠されたというスピード改善は、軽い「お血」が原因であったことが多いように感じます。「お血」は「ストレス」「体外受精の採卵」「手術」「流産」などで容易に出来てしまうものです。それが固定化してしまい、スピード改善がしにくくなる前に、早期に改善してください。

下腹を触って、「力がない」「コリッとしたものがある」など感じた人は、早くにお問い合わせください

ふあまり溜め込まないで

この現代社会で生きている私達にはストレスはつきものです。しかし反対に全くストレスがない状態も刺激がなく、おもしろくないものです。少しのストレスは、生活のスパイスになり、良いものなのです。

ただ、ストレスがあり過ぎて、発散せずに溜め込んでしまうと、体に様々な症状が起こってしまいます。

最近多く耳にするのが20代の「自律神経失調症」。そしてそれに伴う「生理不順」。

働き始めたばかりの新人で、社会の職場環境に慣れず、気がつかないうちに無理をしてしまった結果です。責任感が強く、完璧主義者である人がその状態に陥ることが多いように感じます。

また30代から多くなる「子宮筋腫」や「卵巣嚢腫」。

これが生じる原因としては、「お血」「痰湿」が根底にあることが考えられます。そしてその「お血」や「痰湿」はまさにストレスが積み重なることで生じるものなのです。もちろん全てがそれが原因であるとは限りませんが、それが多くある人に多く存在していることは確かです。

夫への不満、子供への苛立ちが激しかった数年間で卵巣嚢腫が出来てしまった、という例や、同居するようになってから子宮筋腫が大きくなってしまった、という例もあるほどです。

ストレスを溜め込むのはよくありません。それを発散させる方法を身につけておくことが、今の世の中で逞しく健康に生きていくためにはとても必要なことでしょう。

もし発散させる方法がなかなか身につけられない人、発散しきれない人、は少し漢方の力を借りてみるのも良いでしょう。

生理前に良く使われるお薬は、「逍遥丸」「血府逐お丸」「きゅう帰調血飲」「爽月宝」「水快宝」などがあります。

それらの漢方の力を借りることで、ストレスが引き起こす不調を体から追い出したり、寄せ付けないようにできるのです。

ストレス発散が苦手な人、発散が不十分な人は、体の中に溜め込まないで是非早めにご相談ください。後で、辛い思いをしないためにも。

本当の美しさ

20歳Nさん。すらっと背が高く、目鼻立ちの整ったNさんは、学生の頃から雑誌のモデルの仕事をしたり、TVに出たりしていました。

美しいことが売り物のその仕事ですので、いつもお母さんと一緒にアンチエイジングを売りにしているエステに通ったり、プラセンタの注射をしたり、サプリメントを飲んだり・・・と様々なことを美のために行ってきました。

ところが最近疲れが取れず、頚も肩もガチガチで足はむくみ、肌のハリもなくなってきた感じがするというので、漢方を試したいと来店されました。

足のむくみ、頚や肩の凝りは鍼灸治療を行い、そうなってしまった体質の改善のためには、毎日服用する漢方薬にて治療を行うようにしました。

Nさんのそれらの症状の原因は明らかで、夜が遅く、就寝時間が3時や4時になることが積み重なり、疲れが取れず、その様な生活スタイルでは陰の気が不足するために、「肌の弾力がなくなる」「肌の色のくすみ」などの症状が出てくるのです。

また毎日のそのような不規則な生活スタイルにより、生理が不順になり、決まった周期で生理が来ないことからもホルモンのアンバランスが見られます。これも体調不良や肌が不健康となる原因です。

その治療方法として、鍼灸治療のツボは「曲池」「三陰交」「行間」「三焦兪」など。

漢方薬は「婦宝当帰膠」「杞菊地黄丸」「逍遥丸」「紅サージ」です。

鍼灸治療は頻繁には来られないために、毎日続けられる漢方薬をまずは1ヶ月間続け、それによる体の変化を確かめ、また次の処方にて体の調整を行っていく形をとりました。

まだ20歳と若いので、自分で治る力は十分にあります。少し漢方の力を借りることで、その力も早くに働き、体力も肌も回復していくことでしょう。そしてそれとともに、乱れた生活スタイルを改善することも大切です。それが出来、トータルで良い生活スタイルを営むことで、早い回復を得られ、持続的な美しさを得られるものなのです。

女性にとって「生理」はとても大切なもの。それが乱れることは、体のバランスが乱れていることを示す大きな手がかりとなります。Nさんのように外見は美しくても、内面のホルモンのバランスが乱れていたりすることは、本当の美しさとは言えないでしょう。このまま行くと、不妊症のレールを辿ることになるかもしれません。

内面の機能を整えることが「美しさ」への道です。まずは内面を整え、内から輝く体になることができれば、アンチエイジングも夢ではありません。そしてその手助けをするのが、食養生であり、漢方薬なのです。

お風呂に注意!

お風呂の掃除をちょっと怠ったとき、隅の方に「ぬめり」を感じ、気持ち悪い!と思ったことはありませんか?

もしくは銭湯や温泉に行ったときに、「ぬめり」で滑りそうになったことはないでしょうか?

温泉の場合、硫黄の成分のために「ぬめり」がどうしても出てしまうお風呂はあるのですが、そうではなく、単なる掃除不足や24時間循環風呂などの場合の「ぬめり」なら気をつけてください。

その「ぬめり」の膜の中で繁殖するレジオネラ菌。ちょうど程良いお風呂の温度でどんどん繁殖し、人に感染し悪さをします。

何年か前の事件で、自宅の24時間風呂で水中分娩した際に、新生児がレジオネラ菌に感染し肺膿瘍で死亡したことがありました。

この菌は、人から人へは感染しませんが、幼児や老人などの体の弱った人に感染するのです。そのような家族構成のご家庭は、注意してください。ちょっとした「おさぼり」がお子様やお年寄りの呼吸器系に侵入し、レジオネラ症を引き起こしてしまう可能性があります。

生活上そういったことに注意しながら弱いものを守るとともに、そんな菌にも打ち勝てるような強い体になるように、漢方薬でも応援することができます!よく風邪を引いたり、体の弱いお子様は、早くに体質改善をしておくことも大切です。是非一度ご相談ください。

もう10ヶ月?!

無事産まれました!

報告のメールが届きました。

昨年11月に周期療法の漢方薬を服用され、2周期目で妊娠された36歳Uさん。お2人目をご希望で、自分達なりのタイミングで4周期試してみたけれどもなかなか良い結果に出会えず、早めに対処しようと漢方薬の相談をされたのです。

Uさんはここ2年ほどPMSが酷くなり、生理1週間前くらいから頭痛とイライラ感が増すようになってきたこと、高温期が短くなってきたこと、生理の量も少なくなってきたこと、がとても気になっていたようです。

確かにUさんの言われるように、高温期の伸びが悪く、内膜があまり厚くなっていないことが考えられました。また一番気になることは、PMS。これが高温期の伸びを悪くしていることが考えられましたので、その辺を考慮して漢方は調整されました。

漢方薬は、「婦宝当帰膠」にて調経を行い、「杞菊地黄丸」にて腎を補い、「逍遥丸」にてPMSの改善を計りました。

そして2周期目に、早くも「生理が来ないので検査薬にて検査をしたら陽性反応がでました」との報告を受けました。

あまりの早い効き目にこちらも驚いたほど。

Uさんが漢方と出会ってから10ヶ月、Uさんからの出産の報告は、私達にまた新たな喜びを運んでくれました。それと同時に10ヶ月前にUさんとメールでやり取りして、よりUさんに合った処方を考えようとアクセクしていた日々を思い浮かべ、月日の経つのは早いものだとつくづく感じました。

これからもより多くの人達の元に喜びが訪れるように、願う毎日です。

アグネス論争を考える

約20年前に歌手のアグネス・チャンさんが、職場に乳児の長男を連れて行った際、その行動が職場で批判の的となり、子連れの是非についての論争が起こった事件がありました。

それが約20年経った今、中小・ベンチャー企業の間で、会社に子供を連れて行き、働くことができる職場が増えてきたようです。これは優秀な人材の確保のための企業の選択でもあるようです。

今までなら、「家庭か仕事か」とどちらかを選択しなければならなく、優秀で企業としても辞めて欲しくない人材であっても本人が「家庭」を選んだ場合は、仕方なく退職せざるを得なかった現実がありました。しかし、こういった配慮のある職場が増えると、女性の社会進出と育児の両立が容易にできるようになってくるかもしれません。

ただまだまだこの取り組みも不十分で、仕事の能率や子供の安全面を考えると、その制度を取り入れる企業はほどんどないのが現状ですが、そういった取り組みが少しでも行われている現状があるということは、働き続けたい女性にとって、とても嬉しいニュースです。

アグネス・チャンさんの行動がようやく今、認められようとしています。男性中心の社会だった日本では、なかなか越えられない大きな壁でしたね。まだ越えられていませんが、これから日本の女性はもっとパワフルに社会進出していくことでしょう。