乳腺炎には牛蒡子

お問い合わせの多い「牛蒡子」、そのほとんどが乳腺炎の方からです。

Aさんは母乳の分泌量が少なくて悩んでいました。Yさんは母乳の出が良すぎて乳腺炎を起こし悩んでいました。Tさんは授乳に不慣れで、乳房が張ってくるのに出にくく困っていました。3人ともネットで調べ「牛蒡子」を指定してこられました。

2006年にもブログで紹介しましたが、

相変わらず牛蒡子を求められる方が多く見られます。

「牛蒡子」はキク科のゴボウの種子です。ゴボウの根は皆さんご存知のとおり、お正月のおせち料理の「たたきゴボウ」として、一般には「きんぴらごぼう」としてお袋の味の代表的なものでしょう。根は日本独特の食材で外国ではあまり見られません。

この種子が漢方薬になります。利尿作用、抗真菌作用、涼性の解表・解毒薬、感染症や扁桃炎、麻疹の初期、皮膚化膿症、咳、便秘などに使われます。

乳腺炎に使う場合は、乳腺を広げ詰まりを取りやすくし、炎症を緩和します。

飲み方は1回10gほどを水600ccに入れ30分~40分煮出して漉し、その煎液をお茶代わりに何回かに分けて服用します。また、牛蒡子を大さじ一杯くらいフライパンで、乾煎りして噛んで食べてもかまいません。

せっかく授かった赤ちゃん、わずか1年足らずの母乳です。、特に初乳には様々な免疫に関する物質や栄養を豊富に含んでますので、粉ミルクで育った赤ちゃんと母乳で育った赤ちゃんとでは、免疫力や体力にかなりの差があるといわれます。

前述の3人のおかあさんも<ゴボウの種>で母乳トラブルを解消でき、母乳あげることができました。

断乳のために

今日は啓蟄。24節気の1つで、大地が暖まり、冬の間土の中に眠っていた虫が這い出てくる日、とされています。

ところが今日は日本列島は冬型の気圧配置になり、雪が舞うほどの気候でした。昨日までは暖か過ぎるほどの気候でしたので、花粉や黄砂も加わって、「腎」と「肺」の弱い人には辛い時期だと思います。

さて暖かくなる4月を前にして「そろそろ断乳をしようかな」というママは多いのではないでしょうか。

最近は1歳を過ぎても無理に母乳をやめさせる必要はない、という考え方が主流のようです。しかし赤ちゃんに「卒乳」を任せていると、どんどん知恵がついてきてなかなか止められなくなってしまい、親子共々辛い思いをしないとならなくなりますので、1歳くらいで止めるのがちょうど良いでしょう。

断乳するときは、突然止めたりしないようにしてください。まずはお乳を与える時間を短くしていき、次に回数を減らしていき、3日ほどあげない日を作っていく・・・というように徐々に離れていくようにしないと乳腺炎を起こしてしまったりします。

またその時期に油っこいもの、カロリーの高いもの、甘いもの、などを食べると詰まりやすくなっている乳腺が余計に詰まってしまいますので、気をつけてください。

そして漢方薬の「炒麦芽」を服用すると、よりスムーズに断乳ができます。夕方から夜にかけて、お乳を出すホルモンであるプロラクチンの値が高くなっていきますので、特に夕方以降に「炒麦芽」を服用するのが効果的です。

いつでもどこでもサポートしてくれる漢方薬。お困りのことがあればいつでも何でもお問合せください。

乳腺炎の外用薬

授乳中の乳腺炎は、お乳を詰まらせないようにすることや、乳腺をマッサージするなどして炎症まで至らないようにしますが、授乳中でもなく、出産もしていないのに乳腺に炎症が起きている場合、つまり乳腺が感染症を起こした場合は、早期に抗生物質により治療を行った方が良いです。乳腺炎を治療せずに放置しておくと、乳腺膿瘍になることがありますので、要注意です。

42歳、Sさん。体外受精に望んでいる最中に乳腺炎様症状が出てしまいました。なるべく今は抗生物質は飲まないでおきたい、というSさんの意向に沿うためと、症状がまだ炎症まで至っていないようですので、当面は漢方薬と外用薬により、症状の悪化を防ぐようにすることにしました。

お薬は「天津感冒片」を中心としたものを使用し、体外受精に影響なく、しかも効果的になるように「シベリア霊芝錠」を加えつつ様子を見ていきます。

また外用薬として、たんぽぽの全草を、干して乾燥させたものを煎じ、その液を塗布することで乳腺炎を治します。これから季節も春になり、たんぽぽが咲くようになってきますので、ちょうど良い時期です。

Sさんにはこれらの内服薬と外用薬で乳腺炎が起こらないようにし、今度こそ体外受精を成功させて欲しいものです。

ちよぼ汁

淡路では給食にも出るくらい有名な「ちよぼ汁」。ご存知でしょうか?

この「ちよぼ汁」は、南淡路に古くから伝わる郷土料理です。見た目は「ぜんざい」のようで、しかし食べてみると味噌味なので「味噌汁」といった方が合っているのかもしれません。

作り方は、だし汁に、ズイキ(里芋の茎の干したもの)、柔らかく煮たササゲ(大角豆)、もち米の粉で作った白団子を入れて煮て、味噌で味付けし、お椀に入れて、上からかつお節を振り掛けるというもの。

もともとこの汁は、産後のママと赤ちゃんの健康を祈って食べたものだったようです。中身に、「脾経」の力を助け、お乳の出を良くする「もち米」「味噌」が入っていて、体の浄化作用のある「ササゲ」が入っていることからそうであったことが伺えます。「ササゲ」は見た目が赤色で小豆に似ていますので、小豆の働きもあるとすれば、これも母乳の出が悪い時に使用するものですので、これまたトリプルでお乳の出が良くなる汁と言えます。

「ちよぼ」の名は、「おちょぼ口」から由来し、それを食べることで、赤ちゃんが丈夫に育って、口が可愛らしい「おちょぼ口」になるように、という願いが込められているようです。

赤ちゃんや産後のママばかりでなく、脾胃を強め胃腸機能を整える「もち米」、味噌の大地のタンパク質である「大豆」そしてそのイソフラボン・サポニンの力、またアントシアニンをたくさん含み老化防止に働く「ササゲ」、はどんな人でも食べても良いものばかりです!

ちょうど収穫を終え、今年の新作ばかりが手に入るこの時期に、健康のために、淡路の「ちよぼ汁」を是非、ご家庭でお試しください。

なかなか止まらない母乳

33歳Kさん。お子様が1歳半ですので、そろそろ断乳をしたい頃です。

しかし、止めようと思ってもどんどん出てくるお乳。出さないと胸が張り、痛くて仕方がなくなるので、搾乳するのですが、いくらでも出てきてしまいます。

1ヶ月ほど前に2週間ほど「炒麦芽」のエキス剤を1日「寝る前に2包」を飲んでもらっていました。大分とマシになってきたものの、まだまだ出てきてしまうので、Kさんから「炒麦芽」の服用量を増やしたい、との要求がありました。

「炒麦芽」の1日最大量は6包までですので、朝・昼・晩で2包ずつ、6包をまた2週間ほど服用してもらいました。

そして2週間後、以前よりマシになったとのことですが、まだ出るのでもっと増やしたい、との要望がまたありました。

しかし「炒麦芽」のエキス剤の最大量は6包まで。これをこれ以上増やしても、効き目は望めません。

そこで、生薬の「炒麦芽」を煎じてお茶として、併せて飲んでもらうことにしました。

これで大分と治まってくることでしょう。

しかしKさんはまだ母乳が出ることと、子供が欲しがるために、駄々をこねると今でも母乳をあげているようです。まずはそれを断ち切ってもらわないことには、治まるものも治まりません。

それとともに、一般的に母乳を出やすくする食品、例えば「もち米」を使った食品などは避けてもらうことも大切です。また、胃腸が弱い人にこのような症状が起こりやすいので、胃腸を整えることも大切です。この時期、暑いですので、冷たいものを取りすぎたりと、胃腸を弱めることをしないようにすることも心がけるように、指導をしました。

それらのことができれば、きっと出すぎの母乳はスムーズに治まってくることでしょう。

牛蒡子を煎じる?食べる?

最近、助産師さんが「牛蒡子(ごぼうの種)」を妊婦さんに紹介しておられるようで、妊婦さんが「牛蒡子」を良く購入しに来店されたり、ネットでの注文も多くなっています。

通常は「牛蒡子」は「煎じて」服用いただくのですが、助産師さんが「炒って食べる」ように指導されているところもあるようです。

別の所での何人かの助産師さんがそのように指導されていることを聞きますので、そのように指導されるのも珍しくないようです。

ただ、この「牛蒡子」、味は「辛く」「苦い」ものですので、噛んで食べるには決して美味しいものではありません。

また、「牛蒡子」の使用方法が記されている生薬の書物には、「牛蒡子」を炒ったものを細かく砕いて服用することは記されていますが、噛んで食べるようには記されていません。

あえて、美味しくないものを噛んで食べるよりも、煎じた液を服用する方が良いような気がします。

ご本人が「美味しく」「楽しんで」服用できる方法が一番良いですが、「牛蒡子」を食べている妊婦さんは、是非一度「煎じたもの」をお試しください。問題なく飲めるようでしたら、是非「煎じたもの」の方をおススメします。

母乳と馬乳

母乳が乳児の免疫力を高めたり、成長する上で必要なものであることは、良く知られていることです。

さて、「馬乳」という「馬のお乳」は、もちろん馬の子供にとっては必要なものですが、人間にとってはどうなのでしょうか?

マルコポーロの旅行記には「馬乳酒」が遊牧民の夏の食糧として記されています。「馬乳酒」は、医学的にも効用が確認されていますが、「馬乳」はまだ確認されていないとのこと。「馬乳酒」は、アルコール度数は2%程度で、「ビタミンCを多く含むこと」で知られています。

以前「夏の養生法」ということで、「馬の肉を食べること」をメルマガにて書きました。

http://kanpou.cocolog-nifty.com/kanpou/2005/08/index.html

「馬の肉」は体を冷やす作用が強いですので、体が涼しくなるのですが、「馬乳酒」が「遊牧民の夏の食糧」として扱われていることから考えると、「馬は夏に良いもの」ということになるかもしれません。

馬乳は、牛乳よりも乳糖が多く含まれていて、その割合は「母乳」に近いそうです。

『夏に食欲がなくて困っていた遊牧民が、「馬乳」を飲んだら10日で元気になった』らしいですので、夏に火照った体を冷やしつつ、バテた体に不足しがちなビタミンCや乳糖を補って、体を元気にしてくれるに違いありません。

日本の街中に住んでいる人には、「馬の肉」にはありつけても、なかなか「馬の乳」まではありつけません。

これらの馬の効用を応用して、夏ばてには「馬の肉」を食べつつ「乳糖」のたっぷり入った乳製品や「ビタミンC」をたっぷり含んだフルーツを取れば、良いでしょう。体を冷やさなくても良い季節であれば「馬の肉」を省けば良いでしょう。

そんなことを考えなくても赤ちゃんは、栄養たっぷりの「母乳」を飲んでいるので、「夏ばて」や「疲れ」などは知らないはずですね。

赤ちゃんのご馳走

「たっぷり」の「質の良い」お乳。

これが、赤ちゃんのご馳走です。

ストレス社会の現代では、お母さんのお乳の出が悪いことが多く聞かれます。赤ちゃんが大きくなっていくときに、風邪などの菌にやられないような強い体になるには、お母さんの質の良い母乳が大切なのです。

初めの頃の母乳には、赤ちゃんが必要とする「栄養分」そして「免疫力を高めるもの」、がたくさん入っています。反対に1年以上経った母乳は、決して質の良いものとは言えません。なるべく1年くらい経ったときに、時期を見て、「乳離れ」をさせてください。

そのように1年経ってもたくさん出ている場合は良いのですが、初めから「赤ちゃんのご馳走」がちっとも出ない方、少ない方がおられます。

私達はこのような方に、「牛蒡子(ごぼうし)」を処方します。以前は、「タンポポ」を処方しましたが、今は「牛蒡子」が主流になっています。民間では、「味噌汁を飲むと出が良くなる」と言っていたようですが、日本の「味噌」は塩分が多すぎて、返って良くないようです。

「牛蒡子」に併せて「婦宝当帰膠」を服用してもらうことをお勧めしています。是非、「少し出が悪いな」、「少ないな」、と思われる方は、お試しください。

ただ、決して「出ない」「出にくい」ことを気にしすぎないでください。気にしすぎることがまたストレスとなり、もっと出にくくなります。子育ては、力を抜いて、ゆったりと・・・、です。