私妊娠しました

12月に来られたTさん。

Tさんは、最初にご相談に来られた時は、とても警戒心が強く、堅く強張った表情でした。
お話を伺い、身体によいお薬を3種類くらい勧めたのですが、結局お買い求められたのは1種類だけでした。たくさん飲むのに抵抗があったと思われます。
でも、飲んでほしいお薬があったので、少しだけ見本を差し上げたのです。

二回目に来られた時は、そのお薬を気に入られ、一種類増えて2種類服用していただきました。

そして今回3回目のご来店。
「私妊娠しました!」
「えっ!今何週ですか?」
「11週です」
「12月に来られてから、妊娠されたのですね!よかった!」

12月に加えたお薬はイライラを抑え、気持ちを和らげる、漢方薬でした。

やはりそのお薬を服用して、気分が和らぎ、気持ちも体も良い方向に向いていったのでしょう!
今回来られたTさん。初回とは別人のように、にこやかな笑顔を見せてくださいました。

良かったです。Tさんの心や体が過緊張の状態だったのでしょう!

元気で賢い子を産みましょうね!!

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懐かしいご来店に重い言葉

先日H(55歳)さんが6年ぶりにご来店されました。
懐かしい懐かしいお顔です。

赤ちゃんがほしいと望まれて、有名な不妊症専門CLで治療を受けました。
漢方薬のご相談に来られたのが2005年頃。いまから12年ほど前になります。
当時は過剰刺激が主流でしたので、バンバン注射をして、一度に10個、20個と数多くの卵胞を
作って採卵をしていました。卵巣が腫れ、腹水が溜まる「卵巣過剰刺激症候群」(OHSS)も多くの方が発症していました。
その当時は仕方がなかったのですね。
(今はその反省を含めて、低刺激療法が主流になり、より自然に近い誘発が行われていますが)

Hさんはまさしくこの過剰刺激をうけ、卵巣が腫れるという辛さを味わってきました。
Hさんは検査の結果、IVFしか方法はないと言われ、ずいぶん時間とお金を費やしました。
あるとき、「少し治療をお休みします」といわれ2か月ほど休まれ漢方薬だけで過ごされたのでした。
それが良かったのか、奇跡がおき、「自然妊娠」されたのでした。
しかし、それも悲運。流産してしまい辛い日々を送られ、ついにはご主人との2人の人生を選択されたのでした。
漢方薬もやめて6年。
今55歳になって、更年期にはいりました。つらい症状が出始め、そうだ「漢方薬があった!」
と思いだされての再会でした。

今は、ご主人と農業をされ、ワンちゃんを我が子のようにかわいがり、それぞれの親を介護しているとの事。

「子供がいたら、別な人生もあったと思う」懐かしい会話の中に、重い言葉が残り、
「そうなんだ」としっかり心の中で、受け止めました。

 

投稿者:古村滋子

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社内勉強会…「精神面(心)の養生」今回も内容充実でグレードアップ

中国医学の原点である「素問」の勉強会が先日有りました。
今回で4回目。講義をしてくださるのはその道のトップの先生です。

「素問」の集大成ができたであろう春秋戦国時代の時代背景、其の当時の思想的背景など、多くの書物から当時をしのび、出典を考察しながらの講義は6時間に及ぶ長丁場ですが、講師の先生は疲れも気にせず、しっかりお話してくださるので、私たちはすっかり其の世界(素問の世界)に引き込まれる感じです。

講義を聞きながら確認したことは、一番大事なことは日ごろの「養生」です。

日本人は養生というと「食養生」と思いがちですが、それも大事ですが、重要なのは「精神面の養生」が最も大事なことと知りました。
そう言われますとストレス社会の日本。日頃、ストレスがもたらす症状が如何に多いかと気付かされます。
この「精神面の養生」これは漢方を志す私たちにとって「未病先防」のベースになる考え方でありますので、とても有意義な勉強会になりました。

赤ちゃんが欲しいと望む方にも「心を静かにする」事が「よい卵をつくることができる」事に結び付きますので、「精神面(心)の養生」は大事なことなのですね。

皆さん「「精神面(心)の養生」頑張りましょう!

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心の病から

心の病は身体をも蝕み、そのことがまた心を深い病へと引きずり込んでしまうことは多くあります。

30歳、Aさん。

胃の不調により、胃カメラなど様々な検査を受けてみたものの西洋医学的な問題点は見つからず、その原因は神経的なものだと言われ、心療内科の受診をすすめられました。

それ以降Aさんは心療内科のお薬から離れることができない日々が続きました。

服用している薬はスルピリドとメダゼパム 。

どちらも女性に対する副作用として、生理不順を引き起こしてしまいます。特に「統合失調症」の改善薬として使用されるスルピリドは、ホルモン異常による生理不順や乳汁分泌、無月経となることがあります。

とても繊細なAさんはふとしたきっかけから胃の症状が出始め、それから抜け出せない生活を送ることになってしまいました。しかも今では副作用の生理不順、高プロラクチン血症に陥ってしまったのです。

しかし子供に囲まれた家族を夢見ているAさんにとって、今の自分の状態は許せなく、それがまた自己嫌悪となり、胃の状態が悪くなり、お薬に頼る・・・といったその繰り返しでした。

何とか西洋薬ではなく漢方薬で今の状態から抜け出し、Aさんの夢見る家族計画を実現できる身体に戻したい、と希望され求めてこられました。

ただここまで薬に頼ってしまった心を早くに取り戻すことは難しく、長い期間をかけてゆっくりと改善を計っていく姿勢がなくてはそれを実現することは困難です。

まずはAさん本人の強い意志と心療内科の医師の助けと理解も必要です。お薬から離れられるように徐々に薬を変更してもらい、その部分を漢方薬で補っていくことができればAさんの改善も早いことでしょう。

Aさんの改善の手助けをしてくれる漢方薬は、「婦宝当帰膠」「炒麦芽」「開気丸」「救心感應丸氣」など。

まだ30歳。回復・妊娠・出産・子育てには十分時間はあります。

Aさんの強い意志があり、漢方薬と西洋薬をうまく使っていけば、夢見る家族は実現できることでしょう。焦らずにじっくりゆっくり整えていきましょう。

がんばらないで

2年ぶりに鍼灸治療に来られた29歳Yさん。

「また体調を崩してしまって…」と言われたYさんの姿は、以前よりひとまわり大きくなっていました。2年ぶりでしたので、初めパッと見たときYさんだということがわからないくらいでした。それもそのはず、ここ3ヶ月で10Kgも体重が増えてしまったというのです。

ここ3ヶ月でYさんの身に何が起こったのか・・・?

2年前も同じようなことがありました。そのときは反対にどんどんやつれて痩せていったパターンでした。心の優しいYさんには、人間関係のトラブルの矢が向けられることが多く、外にそれをうまく吐き出せないYさんは、いつも自分の中に閉じこもり心の病に陥ってしまうのです。

今回もそうでした。職場の上司の理解できない行動、言動、責任転嫁・・・。

Yさん以外にはもう1人とその上司しか居ない人数の少ない部署のために、上司の言動は心優しいYさんに全て向かっているようです。

「自分が悪いんだ。もうちょっと我慢しよう。」

そう自分に言い聞かせながらYさんは仕事を続けていました。

しかしその結果、4ヶ月生理が来ず、体重も10Kg 増えてしまいました。やっと今月生理は来たものの、身も心もボロボロ。自分の力ではどうしようもないので、2年前のことを思い出し、鍼灸の力を借りようと来院されたのです。

Yさんの状態は、あまりにも思い悩んだ結果、気血を生み出しスムーズに流してくれる「脾経」の働きが損傷されたために「月経不順」となり、心もうまく静養できなくなったために「不眠」となってしまいました。

その空虚な心を埋めようと、無意識のうちに夜中にお菓子を食べてしまい、それが消化しきれないうちに寝てしまうため、消化不良が常に生じ、それが「痰熱」を生み出しますます「不眠」を増強していました。

寝られない上に、体重も増加したために、身体はますます重く、だるく、気持ちも憂鬱になり、あらゆることによる悪循環を引き起こしていました。

Yさんの治療は、補気養血を行い、心が落ち着くようにするために「脾兪」「心兪」「神門」「三陰交」、化痰和胃の目的で「豊隆」「中脘」「内関」「天枢」を使い調整をしました。

2年前も「婦宝当帰膠」にて元気が出たというYさん。今回も漢方薬を飲んだ方がいいか訊ねられましたが、もう少し気持ちが落ち着き、夜食も止められるように心の整理がついてからの方がいいと判断し、そのように伝えました。

治療後のYさんの目には、少し光が見え始め、自分である程度立ち直れる力が出てきているように感じられました。だからこそ、まずは自分の力で立ち直り整理できるところまでは自分の力で行い、その時点で少し足りない部分を漢方薬で補った方がYさんにとっては良いでしょう。

すぐに「自分のせい」「もっと自分が頑張ればいいんだ」と思ってしまうYさん。2年前も頑張りすぎて、精神科のお薬から抜け出せなくなってしまいました。もうそれを繰り返さないで欲しい・・・!もう頑張らずに嫌なことから逃げたらいいのです。頑張ってしまうYさんには、逃げるくらいでちょうどいいはずなのです。

今回来院されたYさんの傍には、心配して彼氏がついてきてくれていました。将来一緒になるかもしれないことを考えると、早くにこの状態から脱出し、月経周期も整い、以前のように明るい笑いの耐えない元気なYさんに戻って欲しいと強く感じました。

少しずつ、決してがんばらないで、一緒に出口を探していきましょうね。

舌の状態

東洋医学では舌の状態をみて、その人の健康状態を判断する「舌診」というのがあります。

5つの診断方法の「望診」「問診」「聞診」「脈診」「舌診」の中の1つです。それだけで全てを判断することはできませんが、とても参考になる診断方法です。

東洋医学だけでなく、一般的にも舌は健康状態を現すバロメーターとも言われています。

体調が悪いと舌の表面に白い苔のようなものが付着し、時にはそれが黄色くなったり黒くなったりし、口臭の原因となったりします。よくそれを気にして歯ブラシなどで擦る人がいるのですが、あまり強くしたり使い方を誤ると、反って舌に刺激を与えすぎて傷つけてしまいますので、要注意です。

もともと舌の苔は、舌に存在する糸状乳頭という組織に口腔内で繁殖した細菌が付着し、白くなるのです。健康状態の場合は、食事をすれば擦れて適度に剥れるのですが、体調が不良だったり、年を取るにつれ唾液の分泌量が減ってくると、白苔ができやすくなります。

白苔もうっすらとあるのは健康です。反対に全く存在しないのも体調不良の証です。

糸状乳頭が伸びると表面に細菌が付きやすくなります。そしてそれは栄養供給のバランスが崩れると伸びてくるようですので、胃腸の健康状態と密接に繋がっていることは西洋医学的にも立証されていることなのです。

東洋医学的には、舌を様々な角度から観察します。不妊相談の中で良く見られる舌を紹介しましょう。

まずは「質」をみます。「淡白」であれば、「陽気虚弱」「気血不足」であり「虚寒証」「血虚」などが疑われます。「紫」であれば、「陰液損傷」「陰寒内盛」「血脈お滞」などが疑われます。

次に舌の形です。「胖(はん)」と言って膨れてぼってりとした感じの舌であれば、「脾虚」「痰湿」などが疑われます。「痩せていて薄い」舌であれば、陰血が虚していることを現し「気血両虚」などに良く見られます。「歯型がついている」舌であれば、「脾気虚」「湿盛」に見られます。

そして舌の苔をみます。主として「白」「黄」「灰」「黒」の4色があります。その中でも、色味がなく白っぽい」舌は「寒証」に見られます。「黄色い」場合は「熱証」「裏証」に見られます。

また苔の質もみます。「薄いか厚いか」は、「表から裏へ」「軽症から重症へ」の状態を意味します。「潤っているか乾燥しているか」は、津液の状況を現します。「ねっとりしているか(膩)、おからのように剥離しやすいものか(腐)」は、「痰飲・湿温」「食積・痰濁」を判断します。「苔があるか、ないか」は、正邪の闘いの状態を現します。

東洋医学ではそれらと「望診」」「問診」「聞診」「脈診」の情報を併せて、体質を把握し、よりその状態に合った治療法を決めていきます。

あまり舌の状態を気にしすぎるのもよくありませんが、朝一番と夕方にでも舌のチェックをしてみてください。自分でも気づいていない自分の健康状態を垣間見ることができるでしょう。

清浄明潔のとき

4月5日は節気の1つ「晴明」です。

4月5日は晴明(せいめい)と言うその節気のひとつの日です。
それは、桜花爛漫、天地万物晴新の気が溢れてくることを意味するそうです。

「晴明」は清浄明潔の略で、気持ちの良い季節という意味です。

節気の「晴明」は、それ以降春本番となり、晴れ渡った空、心地よい風、花々が咲き、気持ちも晴れやかになる季節となる節目なのです。

「晴明」と言えば、何年か前に映画が流行を生んだ「阿部晴明」を思い浮かべますが、それと節気は関係ありません。あの流行り以降(?)、京都の晴明神社はきれいになり、今までの暗くて怪しい神社の趣がなくなっています。

晴明神社には怪しかった時代から、良く当たると言う占い師のおじいさんが居ます。3年ほど前に将来を占ってもらおうと訪ねたことがありましたが、その日は運悪く、そのおじいさんの人生で初めての日で、調子が悪く病院に行ったので急遽休みになったとのこと!縁がなかったものとその後訪ねていませんが、その時におじいさんにもっと違う将来を言われていたら、人生変わっていたかもしれません。

人には、人生の中で何度か転機となる瞬間、言葉、出会い、というものがあります。

その出会いや言葉があったからこそ、ここまでやってこられた、諦めずに進んでこれた、今までと全く違う方向転換ができた、などと言ったことがあるものです。

私達はその大切な時に、「良い転機」を迎えられるよう手や言葉を差し伸べることができる存在でありたい、といつも願っています。

「晴明」のこの日に、今一度、その思いを確認し、今後も手助けの発信をし続けようと思っています。