車酔いに

これから日本はゴールデンウィークに入ります。休みの長い人では、今日から来週末まで10日間の休みとなっているようです。

ここ最近、テロ事件により海外へ行く旅行客が少なくなっていましたが、今年は同時多発テロ以来最高の出国者数となる予定だそうです。

海外だけでなく、国内でもUターンラッシュを含めて、車や電車で移動する人が増える時期です。

「飛行機」「電車」「車」「船」・・・これらの乗り物は、まだ耳の三半規管が発達していない子供にとっては辛いものです。「揺れる」ことで、その動きについていけない子供達の三半規管の働きが、「乗り物酔い」を引き起こしてしまいます。

GW中、常備しておきたいお薬はこれです!

 ★「半夏瀉心湯」(商品名:ハンゲコー)

 ★「五苓散」(商品名:ゴレーン

毎年、この時期になったら、この2つのお薬をお子様のために買いに来られるママがたくさんおられます。旅行の日数分と何回か余分目のお薬を購入され、いつもお子様の辛い顔を見ることなく旅行ができる、と言われています。

家族みんなが楽しい旅行となるために、これらは必需品です!

たんぽぽ

春の陽気が溢れる中、その陽気をいっぱい吸い込んでしまったかのような黄色の花で、勢い良く咲いている「たんぽぽ」。咲き終わったあとの綿帽子も私達を楽しませてくれます。

このキク科の「たんぽぽ」は、見るだけではなく、味でも私達を楽しませてくれます。

「花」は「酢の物」、「てんぷら」に、「葉っぱ」は「サラダ」に、「根っこ」は水にさらして「きんぴら」に、乾燥し炒ったものは「コーヒー」に。

薬理的には「抗菌作用」、臨床的には「健胃」「利胆」「利尿」作用、漢方的には「清熱」「解毒」の効果があり、「乳腺炎」の治療薬などにも使用されます。

「乳腺炎」の初期には、「たんぽぽ(蒲公英)」に「金銀花」「連翹」などを配合したり、患部には全草の汁を貼り付けたりして冷やします。

野に咲く「たんぽぽ」も花から根まで全て食用になり、「清熱」「解毒」「利尿」「健胃」作用により私達の健康を支えてくれます。ワンちゃんの散歩道になっていないところに咲く「たんぽぽ」で、是非、お試しください。

病院選び

医者だからいえる「行ってはいけない病院」・・・現役の医師が書いた本です。

良い医師の条件は、「病状や手術方法を十分に説明できること」「セカンドオピニョンを求めた際に、適当な病院を紹介してくれること」だと記されています。

最近「インフォームドコンセント」「セカンドオピニョン」と盛んに言われているにも関わらず、説明を渋ったり、質問をしにくい雰囲気を醸し出していたり、セカンドオピニョンの話をすると機嫌が悪くなったり・・・といった医師がまだ多くいるのには驚かされます。

子宮筋腫と卵巣嚢腫を持っていたYさん。不妊治療では有名なある病院を訪れましたが、セカンドオピニョンの選択に難色を示され、紹介状をなかなか書いてもらえなかったようです。そこの病院では、Yさんの望む手術は行っていなかったので、Yさんにしてみれば経過観察も他の病院で行いたかった、というのにも関わらず「経過観察の間であれば、ここで行えば良い」との理由によるものだったようです。次に行かれた病院はとても良い医師がおられ、良かったのですが、手術方法がYさんの望むものとは少し異なったために、また別の病院へ。

結局最終的にYさんが手術を行ったのは、3つ目の病院でした。

子宮筋腫を持っていたAさん。初めは総合病院にてMRIを撮り、そこで「これは難しい手術です。筋腫を取っても妊娠できる確率はかなり低いです。」と言われたために、手術は別の病院で行うことに決めました。次に訪れたのは知り合いが「良い腕の医師だ」といった病院。しかしその医師は我が強く、治療に関する質問をすると機嫌が悪くなるような医師でした。「本当にこの医師が腕が良いのか?」と疑問に感じ、別の病院へ。

その病院で知り合いが進めてくれた病院ではAさんの望む方法で手術を行ってくれる設備はない、ということを知らされました。それなら初めから伝えてくれたらよいのに・・・。

結局Aさんが手術を行ったのは多くの症例があり、さらに設備のある4つ目の病院でした。

病院を転々とすることは、精神的にも金額的にもかなりの負担がかかるものです。しかし、自分に合った、自分の望む医師と病院の設備に出会うためには最低でも3箇所を巡った方が良いような気がします。同じような症状を持つ仲間からたくさんの情報をもらって病院を訪ねたとしても、最低3箇所は巡った方が良いです。

そうすれば、自分で納得して治療を受けることができ、良い方向へと進めるような気がします。

切迫流産

最近、妊婦さんで「切迫流産」と診断される人が多いようです。

妊娠22週までに赤ちゃんが母体から外に出てしまうことを流産といいますが、出血や下腹部痛のような症状がありながら、流産にはなっていない状態のことを「切迫流産」といいます。

一般的には胎児が正常に発育しているにもかかわらず出血があるケースを指すことが多く、適切な治療により正常の妊娠経過に戻ることができるようです。投薬治療としては、「止血剤」「子宮収縮抑制剤」「HCG」「黄体ホルモン剤」になります。漢方薬では「衛益顆粒」「帰脾錠」を服用することが多いです。

この「切迫流産」になってしまう妊婦さんが多く、治療方法は「安静にすること」であるために、仕事を突然休職しないといけなくなったり、家事が何もできなくなってしまいます。最近の夫婦は共働きが多く、妊娠してもいつものように仕事を続けて無理をしてしまうから「切迫流産」が多くなっているのでしょうか。

「安静にすること」ができれば問題がないので良いのですが、このような状態になるまでに何とか無理をしないように、冷えないように、気をつけて欲しいものです。

昨年夏から漢方の周期療法をしている33歳Mさん。

「排卵障害」があるとのことでしたので、「排卵期」に「冠元顆粒」「爽月宝」などをしっかり使用し、それに加え、「卵胞期」に質の良い卵ができるように工夫を重ねていました。

そして、自然妊娠で今月に妊娠の報告を受け、順調に順調に時が経ち、やっと先日心拍が確認できた矢先のことです。

「出血したので病院に行ったら、『切迫流産』との診断を受けた」とのこと!

今のところ、心拍も確認できていますので、出血したのは赤ちゃんからのものではなく胎盤からのものですので大丈夫でしょう。安静にしていれば大丈夫なのですが、「安静以外に何かするべきことはないでしょうか」との質問をMさんから受けました。

もちろん、「保胎の漢方薬」はそのまま服用をつづけてもらい、その上で、無理をしないこと、お腹や足を冷やさないこと、に気をつけてもらうようにするとともに、もし余裕があれば、お腹に繋がっている「三陰交」と「至陰」の「お灸」をススメました。

これで無理をしなければ無事出産まで辿り着けるはずです。不安定なこの時期は、まだまだ長い道のりのように思えますが、安胎期に入ればトントンと進んで行くことでしょう。それまではゆっくり安静にしていてください。

民間秘方

中国に行くときに友人より、「是非、買ってきて欲しい薬がある」と言われました。「中国の薬」と聞くだけでも怪しいのに、その名も「男宝」と「女宝」。何だかますます怪しいです。そしてどんなものかわからないまま、中国へ。

どこでどんな感じで手に入れたらよいのか、わからなかったために、身近な中国人に「これらの薬を知っているか?」と訪ねたところ、聞く人みんな2つ返事で「知ってるよ!」と。「この薬を手に入れたいが、どこに行けば良いのか」と訪ねたところ、「どこの薬屋でも売ってるから行って見れば良い」との返事。

中国では(この時訪れたのは上海でした)とても有名な薬だったようです。

近くの通りががりの漢方薬局に入ってみました。街角の小さな薬局だったにも関わらず、とてもたくさんの人で溢れていました。中国では漢方薬は西洋薬よりも身近な薬として利用されているようです。しかもとても安価でしたので、もしかしたら西洋薬よりも安いのかもしれません。

そして頼まれていた「男宝」と「女宝」を手に入れることができました。

箱には「民間秘方」と記されてあり、赤い箱に金の文字という配色が何とも中国らしいものでした。

その効能ですが、「男宝」は「壮陽補腎」「腎陽不足」「腰腿酸痛」「腎嚢湿冷」「食欲不振」などで、「女宝」は「温陽固本」「補気養血」「健身防老」「気血不足」「面色萎黄」「毛髪干枯」「倦怠」「耳聾目暗」などです。

さて興味のある成分についてですが、

「男宝」には、「驢腎」「狗腎」「人参」「当帰」「杜仲」「肉桂」「鹿茸」「海馬」「阿膠」「牡丹皮」「黄耆」「熟地黄」「茯苓」「白朮」「「山茱萸」「枸杞子」「菟糸子」「附子」「麦冬」「川続断」「甘草」などが含まれ、

「女宝」には、「紫河車」「人参」「黄耆」「当帰」「鹿茸」「阿膠」が含まれています。

なるほど、と思える生薬名です。

どちらも「冷え性」「気血不足」「疲れやすい」などの症状をお持ちの人にはとても良さそうなものです。粒状になっているものですので、服用しやすくお手軽です。

ただ、ニセモノもあるようですので、購入には注意してください。

体が軽い?!

2月初めに15cmの漿膜下筋腫(子宮の外側に筋腫があるもの)と5cmの卵巣嚢腫の腹腔鏡下手術を受けたKさん。

「閉経すれば小さくなるかも」と願いつつ、発見から5年間、お腹の中でそれらを養ってきました。しかし、腹腔鏡下手術の名医に出会い、温めてきたそれらを除去する決意をされ、実行されたのが2月の初めでした。

手術前の約2ヶ月間は、「GnRHアゴニスト」という女性ホルモン分泌を抑える薬を使用し、筋腫の縮小や手術中の出血を抑えるように薬物療法が行われました。一時的に卵巣からの女性ホルモンを抑え、閉経状態をつくるのです。

Kさんの場合は、その2ヶ月間で筋腫や嚢腫が小さくなることはありませんでしたが、その療法により、筋腫や嚢腫が大きかったにも関わらず、手術中の出血がかなり少なく、貯血していた自己血も使用することなく、終えることができました。

手術後は、「婦宝当帰膠」と「田七人参」を、服用してもらいました。

そして無事手術を終えてから2ヶ月後、初めての月経が訪れました。

やはり月経が訪れない期間はまだ体調も完全ではなく、どこか重だるいような感じがあったようですが、月経が訪れると途端に体が軽くなり、今まで以上に元気いっぱい動き回れるようになったようです。

顔色が黒ずんだりしていると手術の際の「お血」が残っている証拠で、術後良好とは言い難い状況ですが、Kさんは顔色もとても良く、術後良好であることが見てとれました。

今後は筋腫や嚢腫ができないように、食生活や生活スタイルの改善を心がけてほしいですね。

春の野草

春の野にはたくさんの自然の恵みがいっぱい溢れています。今まで眠っていたものが、芽を吹き出すその力には、いつも驚かされるばかりです。

この「芽吹き」の光景が見られるのは、厳しい冬があったからこそ。そう思えば、寒かった冬も恨めしく感じずに過ごせるでしょうか???

この時期の新芽はどれも柔らかく、食用や薬用になるものが多くあります。

その中でもとても馴染みのある「よもぎ」。新芽を摘んで、よもぎ餅、よもぎ団子、よもぎ焼餅、よもぎ風呂・・・いろいろと楽しめる身近な野草です。

よもぎの葉の成分には、ビタミンA、B、C、Dなどが含まれ、美容と健康には抜群なのです。

また、漢方では、「痛み止め」「止血」「温裏」の効能があるために、「腹部の冷痛」「下痢」「鼻血」「吐血」「下血」「不正出血」「帯下」「胎動不安」「腫れ物」などの改善のために用いられます。

婦人科では、煎じ液を「不正出血」「切迫流産」の止血薬としてよく使用されます。

特に「虚寒性」の出血には、「阿膠」「当帰」「地黄」などと配合した「芎帰膠艾湯」が、「生理痛」「下腹部痛」には「当帰」「香附子」と配合した「艾附暖宮丸」が使用されます。

民間療法として、よく今でも煎じ液をお腹が痛いときに服用したり、外で擦り傷などの怪我をしたときは、生の葉を揉んで汁を出したものを傷口に塗ったり(これは良く効きます!)、天日で乾かしたものをお風呂に入れて(これも気持ちいいです!)冷え性改善のために使用したりしますよね。

根っこをお酒に漬けたものは「喘息」に良いのだそうです。

身近な「よもぎ」で、お金のかからない「健康法」を是非お試しください。

タバコの威力

25歳Aさん、30歳Hさん、36歳Mさん、40歳Yさん・・・不妊相談を受けている方々です。

相談を受けた当初、この4人の方には共通点がありました。「抹消循環が悪く冷え性」「顔色が灰色っぽい」「生理痛が酷い」など。いわゆる「お血」の症状です。

そして生活面でも共通点がありました。

「タバコを吸っていること」。

「タバコ」はもともとインディオの宗教的儀式の道具として使用されていたもので、病人の体に入っている「病気の精霊」をタバコの煙で追い出すのだとされていたようです。ヨーロッパでも「喘息」「頭痛」「痛風」などの霊薬として伝えられていたようです。

それから考えると、「毒を持って毒を制す」のように、少量のタバコの煙は体に入り込んだ病を取り除いてくれるものなのかもしれません。

しかし、現代では「嗜好品」として世界に広がり、「ニコチン中毒」を起こすほどの量を取り込む害が出ています。

「ニコチン」は交感神経を亢進させ、血管を収縮させるために、血流が悪くなり、結果として「抹消循環が悪くなり」「冷え性」に繋がっていくことは言うまでもありません。過度になれば「肺がん」「喘息」「虚血性心疾患」などの症状が起こる確率が高くなります。

循環の悪くなった場所に「お血」の症状が生じ、それが「キリキリとした痛み」を引き起こしたり、顔色を悪くさせる原因となるのです。体のあちこちに「お血」が生じ血流が悪ければ、「良い卵」「良い子宮内環境」ができるはずがありません。

いつまでも美しくありたい、子供が欲しい、と願う女性にとって、「タバコ」は大敵なはずなのです。

当店で不妊治療をされるようになった方々には、「タバコを止めること」を前提としてお薬の指導をしています。せっかく良い漢方薬を服用していても、それと逆行する「タバコ」を吸っていたら、その効果も半減してしまいます。

Aさん、Hさん、Mさん、Yさん、みなさん、タバコを止めておられます。

そしてAさん、Mさんは妊娠されました。

「いつまでも美しくありたい」、「子供が欲しい」の願いには、ご自身の強い決意も必要なのです。甘い方に流れて行ってはいけません。いつも自分には厳しくあること、これが成功への道です。

不育症って?

「妊娠したのに赤ちゃんが育ってくれない・・・。」

そんな声を最近良く耳にします。

いわゆる「不育症」という症状ですが、その原因は、いくつかあります。

まずは母体のホルモン分泌異常があり、黄体ホルモンの分泌異常(分泌不足)、甲状腺ホルモンの異常、糖尿病などがあげられます。また、子宮そのものの問題もあり、子宮の形が変わっていたり、子宮筋腫などもあげられます。さらに、母体に免疫的な異常があるもので、血流障害、血栓などを引き起こす「抗リン脂質抗体症候群」もあげられます。

いずれの場合も血液検査や検診でその原因を突き止めることができます。3回以上続けて流産をした人は、「不育症」の検査を受けることをおススメします。その原因により、西洋医学的なアプローチも漢方的なアプローチもそれぞれの原因によって、その対処法が変わってきます。

まずは検診を受けてから、次のステップに移りましょう。

もしも、あなたなら・・・

少し寂しい話です。

お2人目をご希望だった28歳のTさん。

3周期漢方薬を服用されて、めでたく妊娠されました。嬉しい便りとともに安胎のお薬をご希望でしたので、まずは2週間分郵送し、その後の様子を見てもらうことにしていました。

それから2週間経って、もうお薬はなくなっているはずなのに、Tさんより連絡がありません。飲み忘れて残っているのか、様子を伺っているのか、と思っていたところに、Tさんより暗い声で電話が入りました。

「その後の経過はいかがですか?順調に育っていますか?」

その問いかけに対する、Tさんのお答えは次のようなものでした。

「それが・・・、3つ子だったんです。」

Tさんは2人目は欲しかったのだけれども、4人も子供は要らないのだと言われました。確かに双子でも大変なのに、3つ子で、結果的に1人お子様がいらっしゃるので、一気に4人も子供ができてしまうのですから、体力的にも経済的にも大変でしょう。

多胎が最近多く見られますが、その原因は、不妊治療により「排卵誘発剤」を使用することにより、排卵卵胞数が増加することや、「体外受精」や「顕微授精」の時に子宮に複数の卵子を戻すこと、によるものです。

しかし最近の婦人科医は、多胎をさけるようにしていると聞きます。

それは、妊娠中毒症や妊娠合併症の起きる率があがること、早産になる率があがること、低体重時になる率があがること、経済的な負担があがること、などの理由によるもののようです。不妊専門の婦人科医は不妊治療にあたり、多胎をいかに防ぐかということに注意しているとも言われています。

それであるのにTさんの場合は、「排卵誘発剤」により、排卵卵胞数が増加し、排卵前の卵胞で同じくらい大きくなっている卵胞が3つ確認されていた、と言われていましたので、明らかにその結果が予測できたことだと思われます。

それであれば、今周期は見合わせて、卵胞が1つしか育っていない時を見計らったり、いつもそのように複数の排卵卵胞が育つのであれば、「排卵誘発剤」の使用を止める、などの処置ができたかと思うのですが、その指導がなかったことに疑問を感じました。

もし双子以上の多胎という結果になった場合には、上記の理由より「減数手術」をすることを勧める婦人科医が多いようです。

今は、「減数手術」という手術も行えてしまうほどの技術がある世の中になってしまったが故の選択です。

先のことを考えると、多胎は母体にも胎児にも負担がかかり、もし無事に出産できても将来経済的に負担のかかることにはなります。

ただ「できない」ために「欲しい」と願ってきて、せっかく宿った命なのに、そのいくつかの命を絶ってしまうのは辛いことです。しかしどの選択を取っても、悔いを残してしまうことにはなるのでしょう。

もしこれが自分だったら・・・。どの選択をするでしょうか。