桃にちなんで

「桃の節供」については昨年その歴史や慣わしについて書きました。

 ★「桃の節供」 http://www.tsudo-pre2mama.com/2006/03/post_1823.html

今年は「桃」について記します。

さて「桃の節供」ですが、なぜ「桃」だったのでしょうか?「桃」については、旧暦の3月に咲く花で、3月を代表する花だったことからのようです。また「桃」は女性を思い子とさせる花であることから、女の子の節供には「桃の花」ということになったようです。

それなら「桃」から産まれた「桃太郎」はなぜ男の子だったのか?これにはたくさんの説がありますが、実は香川県では女の子だったという話もあるようです。あまりにも可愛かったために鬼にさらわれないように「桃太郎」と名づけたとか。

この「桃太郎」の話ですが、上流から流れてきた桃を食べた老夫婦が若返った結果、桃太郎を授かったというものが明治初期まで主流でした。これは神話の中に、桃には邪気を祓い、不老不死の力を与える霊力のある果実とされていたり、仙人には桃は欠かせない果実とされていることから、霊力のある桃から産まれる「桃太郎」の話が生まれたようです。

さてこの「桃」ですが、漢方では「花」「葉」「種」をそれぞれその薬効に応じて使用しています。

「花」は、「白桃花」と称し、利尿・緩下薬として浮腫、便秘の治療に使われます。

「葉」は「桃葉」と称し、皮膚病の浴剤として使用されています。特に赤ちゃんの「あせも」には安全で効果的であるために、よく利用されています。

「種」は「桃仁」と称し、活血・排膿・潤腸の効能があり、月経障害、腹部腫瘤、下腹部痛、神経痛、打撲傷、化膿症、便秘などに使用されています。それを含んだもので、「お血」による月経障害や生理痛などに使用する「桂枝茯苓丸」はとても有名で多く使用されています。

生活に馴染み使用されてきた「桃」、それには神秘的な力も備わっていることは昔から感じられていたようです。そんなことを考えながら桃を見ると、何だか違って見え、その神秘的な力を受けることができるのではないか、と思ってしまったりします。