陽性反応!?

「いつもより生理が遅れているので、妊娠検査薬にてチェックしたら陽性反応が出たんです!」と喜ぶTさん。

基礎体温表を見てみましたが、決してきれいな基礎体温表になっていず、排卵の時期も特定できないくらいのもので、低温と高温の差もほとんど見られない状況でした。

体温表を見る限りでは妊娠したようには見受けられないものなのですが、もしかしたら計り方がよくないのかもしれません、陽性反応が出たということですので、しばらく漢方の安胎薬を服用しながら様子を見てもらうことにしました。

妊娠が成立すると、絨毛膜から胎盤が形成され、その胎盤の絨毛組織からヒト絨毛性ゴナドトロピンと呼ばれるホルモンが急速に分泌され、妊娠を存続させます。この分泌されたヒト絨毛性ゴナドトロピンは、尿に排泄されます。

ヒト絨毛性ゴナドトロピンを分泌する絨毛は受精卵由来であるために、絨毛の存在は「受精卵の存在」を意味し、さらに「妊娠」を意味していることになるのです。

この陽性反応がすぐに陰性になることは多くあり、ごく初期の流産で、臨床的には確認されないまま自然流産をしていることはよくあることなのです。不妊治療をしていたり妊娠を常に意識している人だからこそ、陽性になることを確認できるのであって、通常の場合は、それも確認しないうちに通常のように来朝していることになっていることでしょう。

ただ不妊治療や黄体機能不全でヒト絨毛性ゴナドトロピンを投与している場合は、陽性反応が出てしまいます。

また妊娠していない女性や男性でヒト絨毛性ゴナドトロピンが確認される場合は、hCG産生腫瘍などが考えられますので注意が必要です。しかしこれは極めて稀な疾患です。

また閉経後の女性で、妊娠とは無関係なヒト絨毛性ゴナドトロピンが尿中に認められ、陽性反応が出ることがありますが、妊娠の時とは異なり、その数値が増加することはなく一定であるために妊娠ではないことがわかります。

反対に妊娠している人で、ヒト絨毛性ゴナドトロピンの値が低かったり、異常に高すぎたりする場合は、妊娠の異常が考えられます。妊娠中であれば、定期的に検査に行きますので、適切な処置がなされるでしょうが、それ以外の場合は、何らかの処置が必要かもしれません。何か不思議に感じたときは、早めに産婦人科へご相談ください。