オリモノ

一般に、排卵の前後は「オリモノ」が増えるものです。排卵時には、割合にドロッとしたオリモノになり、排卵が行われたことを確認します。

中医学では、その「オリモノ」を「帯下」と呼びます。帯下の量が増え、色や質、臭いに変化があり、全身症状を伴うものを「帯下病」と捉えます。

帯下の多くの原因は、任脈(お腹の真ん中を縦に通っている経絡)が不固となり、帯脈(腰のラインを横に通っている経絡)の制約が失調することによるものです。

その他の原因として、

「脾虚(脾経の経絡が弱っている)」で運化が失調して内湿が降りる、

「腎虚(腎経の経絡が弱っている)」で任脈と帯脈の制約が失調して陰液が流出する、

「月経後」や「産後」で胞脈(子宮の経絡)が空虚になった時期に、湿濁が侵入して任脈と帯脈を損傷して起こる、

などもあります。

西洋医学的には、「腟炎」「子宮頚管炎」「子宮内膜症」などの疾病でも帯下病が起こります。

その治療としては、西洋医学的には「消炎剤」「抗細菌剤」の服用になりますが、中医学的には「健脾」「補腎」「昇陽」「去痰」を原則として、湿毒が強い場合は、「解毒」、「清熱燥湿」の方法を用います。

もし、「排卵期」でない時でも「オリモノ」が多くある場合は、これらの疾患を疑う必要があります。長い期間「オリモノ」があるからと言って何回も排卵をしているわけではないのです。まずは検診をおススメします。

hCG注射剤

hCGはいわば卵胞という風船を「割る力」に相当します。hCGは赤ちゃんが作り出すホルモンで、妊娠反応の元になる物質です。

そのhCGは黄体を刺激することに用いられ、その注射剤は内服剤とは異なり、卵巣を直接刺激し排卵を促すものとなります。

32歳Yさん。初潮を迎えた頃より常に生理不順で、20代初めに、生理が止まってしまったことをきっかけに10年以上もホルモン剤の力を借りて、生理を起こさせることを続けていました。

そのYさんが、ホルモンを思い切って止め、漢方薬に変更し、3ヶ月目に自力で生理が来るようになり、その後も周期は長めではあるけれども体温も2相性で改善し、今月で8ヶ月が経ちました。

先周期のこと。

「そろそろ排卵かな」と感じる時期に、卵の育ちを見てもらおうと、婦人科に行き、検査を受けられました。その際に、

「せっかく病院に来たことだし、もう排卵の時期なので、注射でも打っておこうと思って、hCGを打ってきました。」

との報告を受けました。その結果、見事に排卵し、高温期もしっかりできたのですが、その後、7日経ったある日、ガクンと体温が下がり、生理に。

ここ3ヶ月は、遅いながらも自力で排卵し、高温期も13日以上はあったのが、今回は7日しかありませんでした。

排卵準備も出来ていないのに、自然に逆らって無理に排卵させたがために、卵の質が良くなかったためでしょう。何事も焦らずに改善されるのを楽しみに、自然に任せることが「ゆっくり」だけれでも「早道」なのです。

排卵誘発剤の新たな治療法

通常の「排卵誘発剤」は、副作用を伴います。

一度に多数の小さな未成熟な卵子ができてしまう「多嚢胞性卵巣症候群」の人には排卵誘発剤が有効なのですが、一方で卵巣が腫れ、腹水や胸水が溜まる「卵巣過剰刺激症候群」と呼ぶ副作用が現れやすくなります。

その「副作用」が起きない「排卵誘発剤となる薬」に着目し、成果をあげているクリニックがあります。

「排卵誘発剤となる薬」とは、乳がんの再発防止などに使用する治療薬である「レトロゾール」です。

この薬に排卵を促す作用と関連があることに着目し、それを実際に不妊治療を受けている患者に服用してもらった結果、副作用は見られず、正常な排卵を促すことができ、約6割の患者が妊娠できたという結果が出ています。

さらに、従来の「排卵誘発剤」は費用が5万円ほどかかるうえに、注射であるために通院しないとなりませんが、「レトロゾール」による新治療は、費用も5千円程度で、錠剤のためにどこでも服用できるといった、患者側にも負担が少ないものとなっています。

この成果は、今月16日に開催された日本不妊学会にて発表されたようですが、これによりもっと研究が進み、「副作用のない」「安全」で「安価」な不妊治療法が、多くのクリニックで行われるように期待したいものです。

自力で排卵

この春より漢方治療に加えて鍼灸治療をされている35歳のMさん。漢方はMさんに合わせた煎じ薬を服用されています。

20代の頃よりお薬なしでは、生理が来ません。要するに「無排卵」です。

無理にお薬で生理を起こさせて、内膜を綺麗にし、何とか自分で卵を作れるように調整をするのですが、卵ができるのも年に2、3回だけ。今年に入って1回も排卵せず、従って、自分で高温期も作れない状態が続いていました。

鍼灸治療を加えて3週期目。

そろそろ病院に行って、また高温期のお薬をもらいに行こうとしていた矢先、体温が高温に!

「あれ?いつ排卵したのかな?」

今回も排卵しないものだと諦めていて、排卵に気づかず、高温期になってしまいましたので、今回はタイミングは合わせられませんでした。

しかし、今年になって初めて自力で卵を作り、排卵し、高温期ができたので、徐々に体質が改善してきていると言えるでしょう。

この調子で、来週期も自分で卵を作ってほしいものです。