排卵期の腰痛

10年以上のホルモン治療を半年前に止めて、漢方と鍼灸の治療に変更されたYさん32歳。

今まで10年以上もホルモンにより生理を起こさせていたことの名残で、少し卵胞期が長くなっています。今周期は特に長引いているようで、本日周期20日目で、まだ排卵しない様子。

そんな中、「腰痛が起こった」と鍼灸治療に来店されました。

よく診てみると、「腰痛」という位置でも痛みでもなく、「仙骨部が下に引っ張られるような重だるさ」がYさんが感じている症状でした。

卵胞期は陰であり、そこから高温期の陽に移るのですが、その途中の排卵期は陰の中に陽が存在する期間です。つまり、卵胞が陰でその陰を動かす力が排卵の陽であるのです。

その陽の力が足りないために、排卵ができずにいる状態となり、胞脈(子宮を巡る脈)が滞り、その表裏にある仙骨部や下腹に痛みや重だるさを生じさせているのがYさんの症状です。

Yさんの場合は、長年のホルモン治療による「腎気」の不足もありますので、「腎気」を強め、「任脈」を通じさせるような治療を行いました。

加えて排卵を促進させるように「陽」を増やすツボにも治療を行いました。

Yさんのように排卵の力不足だけでなく、不妊や生理不順の原因は、先天的なものの異常を除くと、多くは「腎気不足」や「衝任脈の気血不足」によるものです。

そのバランスを整える治療をすれば、月経周期が整い、妊娠することも可能になるのです。あくまでも自然の流れに逆らわず、自分の力を呼び起こすように治療をすることが大切です。スムーズに治っていくためには、無理なホルモン治療を何ヶ月も続けることは避けたいものです。