不眠と更年期

52歳Nさん。もともとのどは弱い方で、よく痰が絡んだりしていました。昨年の秋、風邪をひいたことがきっかけで長引く咳に悩まされ、病院に行くと「気管支炎」と診断されました。

そしてその薬を飲むこと半年、舌が痺れるような感覚が生じ、味覚障害に陥りました。味がわからなくなり、食事も作れなくなってしまいました。さらに今度は寝られなくなってきたのです。入眠もスムーズでない上に、中途覚醒してしまう毎日。

今までそのようなことがなかったために、Nさんはこの症状はお薬の副作用だと思い、病院にてそのことを主張しましたが、気管支炎の薬がストップされただけで、後は、安定剤と睡眠薬が出されました。

それからはデパスの安定剤を朝・晩に飲み、寝る前には睡眠薬を服用しないと寝られなくなってしまいました。しかも睡眠薬を服用しても3時間ほどすると覚醒し、それ以降寝られなくなる毎日。

これらの症状が起こったきっかけが薬だったため、余計に薬への不信感と恐怖を感じ、飲みたくないけど飲まないといられない葛藤で毎日苦しんでおられました。

そんなとき、息子さんから漢方薬をすすめられたのです。西洋薬と異なり自然のもので、それがないといられないような依存性はなく安全だということだからです。それならやってみようと、遠くからお電話をくださいました。

気持ちを和らげるように柴胡剤の入った「柴胡竜骨牡蛎湯」をベースといtし、気滞を散じ気分を明るくする「半夏厚朴湯」、大黄・黄ごん・黄連の力により心下のつかえを取る「三黄瀉心湯」を調合したものでしばらく様子をみてもらいました。

そして「感応丸気」を頓服として使って。

初めの2ヶ月間、あまり症状に変化がないために、漢方薬に対する不信感が出てきたようで、電話口にて訴えられるNさんの言葉には力がなく、不安がとても伝わってきました。

しかしここで漢方薬を止めてしまうと、また副作様症状の出た西洋薬に頼らざるを得なくなるために、それだけはしたくないというNさんのお気持ちを感じ、のんびりと構えて「何とかなるわ」といった気持ちでもう少し漢方薬を続けるように説得しました。

そして3ヶ月。

その頃を境にNさんの睡眠に変化が現れました。

夜に睡眠薬を使って寝るものの、途中で覚醒することが無くなってきたのです。今まで西洋薬を1年ほど続けていたのに全く症状に改善が見られず、それどころかますます薬に頼っていた時のことを思えば、かなりの進歩だと言えるでしょう。

そして5ヶ月。

今では安定剤のデパスをほとんど飲むこともなくなり、とても調子が良いようです。まだすっかり漢方薬を止めるには不安が残りますので、もう少し安定するまで続けてもらうことにしました。Nさんもとても喜んでおられ、以前の明るさが戻り、家族も明るくなって、円満に過ごされているようです。

Nさんのように、治療の迷路に入り込み、出られなくなった人は、是非、お問い合わせください。きっと出口が見つかるはずです。