なすび
「親の意見と茄子の花 千に一つも空(むだ)はない」
これは、なすびの花には1つも無駄がない、つまり花が咲くと必ず実が成る、というところから生まれた俗謡です。
この俗謡の意味は、経験を積んだ親の意見に間違いはなく、子たるものはこれに従うべし、です。
そのなすびの花ですが、「空花(あだばな)(=むだばな)がない」ために、なすびの描かれた茶碗が子宝祈願の品物として、授からない家にあったりします。
昔は一族の繁栄のために、男子を授かることはとても重要なことでした。授からずに悩んでいる人は多かったことでしょう。それを祈願する神社がたくさんあることが、そのことを物語っています。
鍼灸治療に来られている75歳Fさん。
2人の娘さんがおられます。妹さんの方は3人のお子様がいるのですが、お姉さんには子供ができませんでした。
「あの頃、ここの漢方のことを知っていれば良かったのに」
と娘さんが不妊治療を続けていた頃のことを思い出されていました。
人工授精も体外受精もありとあらゆる不妊治療をして、挙句の果てには卵巣が腫れ、片方の卵巣を取ってしまうことになったようです。卵巣を取った何年か後、娘さんは夫婦2人で生きていく道を選ばれました。
娘さんが不妊治療をしている間、Fさんは、あらゆる神社に祈願に行ったり、なすびのお茶碗も揃えたり・・・されたようです。
「でも結局駄目だったわ」
とポツリとこぼす言葉から、親の子供に対する愛情がたくさん感じられました。
きっと不妊治療をされている人は、もちろん本人も自分の子供に会いたいけれども、それ以上に待っている親が居るから、喜ばせてあげたいから、頑張ってしまっている人もいることでしょう。
空花のない「なすび」のように、人間もしっかりとした卵が実れば、空(むだ)にはならないはず。「なすび」に見習って、無駄なく実を結べるような体作りをおすすめしています。是非漢方をお試しください。