生殖医療を考える

近年高度医療技術が進む中で、「技術的にできること」と「法的に認められていること」の差が大きく、法律が現実に追いついていないことは、近年伝えられるニュースにてよくわかることです。

例えば、「代理出産」です。代理出産には2つのパターンがあります。1つは、妻の卵子が使えない、かつ妊娠も不可能である場合、夫の精子を第3者の子宮に入れ、代わりに妊娠・出産する場合で、もう一方は、夫婦の卵子と精子を使用し、第3者の子宮に入れ、代わりに出産する場合です。

アメリカの一部の州ではこの代理出産が認められていますが、日本ではどちらの方法も認められていません。

しかしこの代理出産、人工授精や体外受精などと行っていることはさほど変わらないように思えるのですが、なぜ「代理出産」のみ認められていないのでしょうか。

それはそれがビジネスに繋がってしまうからなのです。また、医学的にも安全性の面からでもまだまだ課題があり、技術的にも確率していない部分が多いからです。

このような状況下で、日本で代理出産にて子供を持つことは、子供の将来にとってあまり良くないことのように思えます。認められている国で成長していくのであれば、問題はないでしょうが、日本ではまだまだ壁が高く、それが認められるようにはなるまでにはかなりの時間がかかりそうだからです。

そんな日本での法律の壁はこのことに限りません。

30歳Sさん。どうしても名字が変わることに納得できず、夫婦別姓を通し、結婚式を挙げました。式は挙げたものの戸籍上は夫婦ではなく単なる同棲ということになってしまいます。夫婦で生活をしていく上で、保険や税金など様々な面で夫婦別姓で居ることの利点がなく、そのことが原因ではないでしょうが、結局7年の夫婦生活の末、離婚してしまいました。夫婦の間に子供がいなかったことが幸いでしたが、もし子供が産まれていたら、名字はどうなったのでしょう?未婚の母・・・という登録になったことでしょう。これも子供にとって良いことでしょうか・・・?

現在漢方の周期療法歴2年の34歳Yさん。婦人科通いの歴史は長く、かれこれ13年ほど。そのうち不妊治療歴は10年ほど。あらゆる治療を行い、多くの病院に通いました。Yさんの中で治療は35歳まで、と決めているようです。ご主人は長男で跡継ぎ息子。きっとお義母さんからは養子を考えるように言われるだろう、とのこと。Yさんは、それだけはしたくない、と言います。なぜなら自分が子供を可愛がってあげる自身がないから。それはその子供にとって、幸せではないことになるから、です。

27歳Nさん。婦人科でホルモン治療を行い、体外受精を繰り返しつつ漢方を併用されています。漢方薬はまだ服用されて1年満たないくらい。まだまだお若いのですが、養子をもらうことを考えているそうです。

養子に関しては、日本ではそれほど件数が多くはありませんが、海外では良く行われていることです。養子をもらった結果、それがきっかけとなって、何年も授からなかった子供が授かったということもよく聞かれる話です。初めの子が後の子をもたらしてくれた、と考えることができれば、愛情は偏ることはなく、子供達にとっても幸せでしょう。

一方、何年も不妊治療をし、やっと授かったのに、何年後かに離婚した、というケースもよく聞かれます。

何が幸せなのか・・・。親にとっての都合ではなく、子供にとってどうなのか・・・?住む社会の法律や待遇も含めて、良く考えた上で、進む道を選んでほしいです。