痰・湿・お血の産物

「痰(たん)」は粘稠なものをいい、「痰邪(たんじゃ)」は内では臓腑に停滞し、外では筋骨皮肉に停滞します。その存在は、「動悸」「食欲減退」「悪心嘔吐」「腹満」「めまい」「浮腫」などの症状を生み出します。

「湿(しつ)」は陰邪で、重く、ねっとりと粘りのある性質を持ち、「湿邪(しつじゃ)」は脾胃を損傷しやすく、その存在は、「身体のだるさ」「むくみ」「すっきりと排便しない」「帯下黄白」などの症状を生み出します。

「お血」は血液の運行が緩やかになり、血液が臓腑や経絡に停滞すると生じるもので、その存在は、「疼痛」「腫塊」「出血」「チアノーゼ」の症状を生み出します。

それらが重なって引き起こす症状は様々です。

33歳Tさん。卵巣嚢腫、チョコレート嚢腫があり、腟炎などの炎症を繰り返し、その症状に生活上支障を来たすために、根本治療を、と漢方を求めて来られました。

繰り返す症状を改善するためには、Tさんの持っている「痰」「湿」「お血」の体質を改善しなければなりません。ご相談された当初はかなりその症状が体質の大部分を占めていたため、駆お血、利湿、清熱、消炎を目的として漢方薬を処方しました。使ったのは、「桂枝茯苓丸」「爽月宝」「白花蛇舌草」「瀉火利湿顆粒」。

それぞれの薬の作用と相乗効果により、見る見るうちにTさんの症状は改善されていきました。

今で3ヶ月目に入りますが、生活上支障を来たす症状は起こっておらず、お薬も減量しても大丈夫になりました。

Tさんの選んだ根本治療は、正解でした。症状が出るたびにそれを抑える治療だけを行っていては、また繰り返すだけです。何でもまずは基礎となる部分をなおさなければ、その上にいくら良いものを継ぎ足しても崩れるだけです。まずはしっかり揺るぎのない土台を作ることが大切です。