日本には独特の暦の読み方があります。

最近はあまり「大安」や「仏滅」など気にしないように、とカレンダーには何も書かないようになってきています。しかし、日本人には昔から「見えない何か」を崇めたり、恐れたりする習慣がありましたので、何かをする時には、いつもは信仰していないのに「地鎮祭」をやったり、「お祓い」をやったりしているものです。

そんな暦の下段の話。

3月18日の土曜日に鍼灸治療を受けられたTさん。その日は体が軽く調子が良くなったので、次の日も機嫌が良く、もっと調子が良くなりたいからと、自己流で「曲池」「足三里」「合谷」などの有名なツボにお灸をすえたそうです。

そしてその直後から頭がふらつき、気分が悪く、血圧を測ったら170近くにまで上昇していたといいます。

「おかしいなぁ」

とふと暦を見ると・・・!

そこには3月19日は「血忌日」と記されていたのです。それを見て、気分が悪くなったことについて納得されたとお話くださいました。

血忌日とは・・・、「けこにち」「ちこにち」「ちいみび」と読み、同様に古い暦注。「血を見るもの」、また「鍼を刺すこと」に凶。つまり「狩猟」や「鍼治療」などはよくないとされる日なのです。

実際には鍼を刺しても「血」は出ないのですが、もしかして「血」が出るかもしれないようなことをすることは「凶」であるという日だそうです。その日に灸治療をされたTさんは、たまたまなのか、やはりその日だったからなのか、良くない結果となってしまったのです。

「血」を見ること・・・と言えば、「手術」「注射」なども「凶」なのかもしれません。それならば「出産」も?・・・と思うのですが、こればかりはこの日が「凶」だからと言って、違う日に産むことなんてしないでしょう。以前に、ゴロあわせの良い日に産みたいからと、無理に帝王切開して出産した人の話は聞いたことがありますが、これはあまり賛成できないことですよね。

ただ「暦」はその時期には何かがある、という自然の流れの中で決められたことが多いものです。時間に追われ、アクセク動いている現代人には感じない「何か」かもしれませんが、少し立ち止まって「今日は何の日か」ということを見てみるのも楽しいことです。きっと新しい発見があるはずです。