命の大切さ

結婚5年33歳のYさんは、今まで考えたことのないことに直面していました。

「子供ができないかもしれない」

その現実に、今までは「子供を産むこと」など考えたこともなかったことを改めて考えたときに、「子供が欲しい」と感じている自分に出会ったのです。

それは乳癌が発見され、その手術後の抗癌剤による治療をしているときのことでした。抗癌剤を使用している間は「子供は作らないように」と忠告されたことが、自分の奥底にあった願望と対面することになったのです。

もし、乳癌の抗癌剤治療が続けば、このまま子供を産むことなく時が過ぎ、もう産めない年齢になってしまうかもしれない。

そう思うとなお一層その願望は膨らむばかり。

今までであれば、「いつでも産めるからまだまだ」と思っていたことが、「できないかもしれない」という言葉により、Yさんの考えは変わっていったのです。

そして改めて「命が生まれる大切さ」について考え、それと同時に「命がなくなる辛さ」も感じるようになりました。

幸いYさんの抗癌剤治療は続くことなく、その後の経過も良好で、「自分が作り出す大切な命」について前向きに進んで行き、その1年後、「命」を宿すことができました。

人間は人生の中で、「なくなって初めて大切だとわかること」を多く経験します。「大切なこと」がなくなってしまう前に、大切だと気づけるような人間でありたいですね。