産後血暈

妊娠そして出産まで、たくさんの山を越え、我が子をやっと手に抱くことができますが、その出産時や産後に養生をいかに行うかによって、その後、体にトラブルが生じるか否かに大きく関わってきます。

無事に出産した人でも出産後3週間は何もしない方が良い、と言われています。もし出産時に何か通常ではなかった場合は、尚更気をつけないとなりません。

また通常だと思っていた出産も、もともとのその人の持つ力が弱いために、体にかなりの負担をかけてしまっていることもあるのです。

34歳Uさん。出産後、ほとんど動けない状態になり、動くと眩暈が起き、冷や汗が出て、気を失うことも度々ありました。産後のことだから今は仕方なく、寝ていればそのうちに治るものだと思っていたのが、2週間、1ヶ月、3ヶ月・・・日が経ってもUさんの症状には変化がありませんでした。

Uさんの場合、出産時に多量出血をしたようですので、もともと気血不足体質だったUさんですので、そこに出血過多が起き、営陰が下降して気随血脱となり、心神が失養し、血暈となってしまったのです。

こんな場合は、西洋医学的に検査をしてもおそらくヘモグロビン値が低いはずですので、それを補給する薬を服用した方が良いでしょう。そして補気補血作用のある漢方薬も飲みながら、体力が回復するのをゆっくりと待つのが良い方法です。

Uさんももっと早い段階に薬の力を借りながら養生していれば良かったのですが、産後血暈の症状が治りきらず3ヶ月以上が経ってしまっていました。やっとの思いで来店されたUさんは、顔面蒼白、冷や汗、淡舌、当に気血不足の象の微細脈でした。

Uさんには「回陽救逆」「益気養血」が必要です。鍼灸治療では「気海」「足三里」「三陰交」などを使用しますが、Uさんはまだ産後100日経っていませんので、鍼灸治療は控えた方が良いのです。

そんなときに強い味方になってくれるのが「漢方薬」です。

婦宝当帰膠」「帰脾錠」「参馬補腎丸」などの力を借りて、回復を計っていきます。

産後は大切な時期です。動けるからといってあまり動きすぎると後々体に響きます。これから体力の要る子育てを何十年もかけてしていかなければなりませんので、元気なママでいなければなりません。そのためにも産後は決して無理をしないようにしなければならない時期です。

Uさんも早くに回復して以前の元気なUさんに戻って欲しいです。3ヶ月間崩れていた体ですので、回復には同じだけの期間が必要でしょう。しかし焦らずにゆっくり治して、元気に過ごせるようになるまで無理をしないようにして欲しいです。パパも産まれた赤ちゃんも元気なママを待っています。私達も少しでもその日が早く近づくように、手助けをしていきます。