多嚢胞性卵巣症候群が漢方薬で自然妊娠

43歳Tさんは、卵巣の中にちいさな卵胞がいくつも〈9個以上)出来て、それがネックレス状に繋がってなかなか排卵できない排卵障害、ホルモン数値もLH>FSHとLHが高く、テストステロンも高い「多嚢胞性卵巣症候群」と診断されて、漢方薬を求めてこられました。

155cmで65kg、肥満で毛深い典型的なPCOS (多嚢胞性卵巣症候群)です。クリニックから糖尿病治療薬をもらっていましたが気分が悪くなり、ホルモン剤と共に受付けなくなり、困って漢方薬を希望されてきました。

基礎体温表(BBT)は卵胞期が長く排卵までに時間を要しています。漢方的には痰湿・お血・肝鬱と判断してお薬を服用してもらいました。

漢方薬を服用始めて排卵が出来てきた矢先、妊娠しました。「よかった」と喜んでいるうちに体温下降、自然流産となりました。PCOSの方は流産しやすいといわ れています。

気を取り直して再挑戦。月経周期23日目の排卵。やや長めでしたが煎じ薬を服用してもらいました。基礎体温表(BBT)上ではとてもきれいな排卵を示す急上昇の線が描かれ、タイミングも良く、待望の妊娠が確認されました。

漢方薬を服用されて1年3ヵ月「ありがとうございました!」の電話の声が弾んでとても幸せをいただきました。これから先、心配がまだ続きますが心拍確認もでき、とても嬉しいです。無事安産でシッカリ元気な子が誕生するようサポートしていきたいと思います。

PCOSと漢方薬…嬉しいことに最近妊娠される方がとても多くなりました。

借り腹?

30歳代のKさんは、2年前に多発性子宮筋腫、子宮腺筋症で開腹子宮筋腫核出術をされました。子宮筋層内にある筋腫を大小50個以上を摘出されました。翌日は貧血と子宮内の血腫を除去するため再開腹術されました。

その結果内膜の菲薄化が際立ち子宮鏡も造影剤も入るスペースがなくなってしまいました。自然妊娠の道は絶たれ、体外受精の胚移植を勧められましたが、子宮の内膜が薄く、また胚移植の管も入らない状態にまでなってしまいました。

仮に体外受精して妊娠した場合でも、子宮破裂の危険があるといわれ、残された道は「借り腹」といわれたそうです。

なんと気の毒な! Kさんはまだまだ若いです。毎月来る月経に望みを託しても、ペッちゃんこなった子宮内膜は膨れてこないのです。これからどうされるのか?以前、子宮癌で子宮を全摘した娘のために、実母が娘の卵子を使い妊娠出産した代理母のことが報道されていました。

Kさんの選択を静かに見守っていくしかありません。どのような人生を送られるかわかりませんが、ご夫妻で相談して出された結論には、シッカリ応援したいと思っています。

頑張ってKさん!

夜行バスに揺られて 

先日来られたAさんご夫妻、はるばる四国から夜行バスで来られました。

とても人の良い純朴なお二人。結婚して10年になりますが、赤ちゃんが授かりません。几帳面な正確の方でしょう。これまでの検査データー、エコーの写真、基礎体温表(BBT)をそろえて持参してくださいました。

本格的な治療を始めて3年、今は不妊クリニックに通われています。クリニックでは一般的な排卵誘発剤と排卵促進剤の注射で様子を見ているようです。家族性の疾患もあり、多嚢胞性卵巣もあります。何とかして家族性の糖尿病を進行させず、早い時期に妊娠に持っていけたらとお2人を見て思っていました。

周期療法に加え、運動、食事、日常的な決まりなどをお話し、少しでも妊娠し易い身体つくりを提案させていただきました。

遠くから来てくださったお二人の思いが叶いますように!

基礎体温表がガタガタ  

最近、基礎体温表(BBT)が犬の歯のような(犬歯状)上下の激しい状態の方が多く見られます。

0さん(39歳)の基礎体温表(BBT)は低温期も高温期もなく激しく上下しています。36度以下から急に36,6度に上がったと思うと、急に36,3度に下降、いったいどうしたの?と聞きたくなる表です。しかもこの波状の激しい中、AIH(人工授精)、IVF(体外受精)を実施してきて、さらに続けようとされているのです。この状況下の中ではいずれも成功しません。ホルモン(E2とP)のバランスが崩れているからです。

このように基礎体温表(BBT)が上下にガタガタの場合は、視床下部からのホルモン分泌がうまく行ってないことがあります。プロラクチン値が高い、あるいはFSHが高いなど検査やホルモン剤が必要な場合があります。

漢方的には感情の起伏をコントロールすることが大切になりますし、<補腎薬>をきちんと処方することが重要になります。0さんはいまホルモン剤をお休みして気分を和らげながら、補腎、活血、養血、疏肝、平肝のお薬を服用して高温期が安定してきました。

もう少し低温期が安定してきたら、自然妊娠も可能でしょう。楽しみです!

基礎体温表が一直線

基礎体温表(BBT)が2相性にならず低い数値で安定している方がいます。いわゆる無排卵の基礎体温です。

若い人で10代、20代の場合は生殖器官の未発達、発育不良に見られます。また、過激なダイエットにより無排卵になることもあります。30代~40代では、不妊治療のホルモン剤の過剰摂取の影響で卵巣が悲鳴を上げて無排卵状態になることがあります。

若い人の無排卵は、視床下部や脳下垂体の働きが悪くて卵巣の機能が働かなくなってしまうケースがあります。元々初潮が無く、ホルモン剤をつかって人工的に月経周期を作って来た人もいます。自力では排卵、月経が来ないのです。

Mさん(28歳)も初潮がなく、高校時代からホルモン剤で生理をおこしていました。28歳で結婚するまで自力の排卵は無く、いつもホルモンで周期を作っていました。結婚して赤ちゃんを望むようになり、ホルモン剤で卵胞を育て排卵させようとしても、卵が見当たりません。卵胞が育たないのです。医師からも「赤ちゃんは望めない」と言われ、悲嘆しお母さんに相談して当店を訪れてくれました。

まだ、20代。諦めるのはまだ早いです。Mさんには「初潮が無いことは、先天的な生殖の能力が不足している」ことをお話し、時間がかかることを了解してもらい、「35歳までには授精可能な卵を作っていきましょう」と話しました。このままでは早発閉経です。

放っておくわけには行きません。漢方薬で補腎、補血、活血しながら、今治療中です。体つくりの期間と位置づけ、ジムに通い、趣味を生かすことを提案して、実行してもらっています。時間がかかりますが、きっと良い道が開けると思います。

基礎体温が全体に低い

基礎体温表が全体に低いケースもよく見られます。低温期が36度以下、高温期が36,5度に到達しない、いわゆる低体温です。基礎体温表(BBT)の35度台を上下し、下段に書ききれない方もいます。

Aさん、34歳は基礎体温表の体温表示欄をご自分で書き換え、34度から36度の範囲に記入してこられました。見ますと低温期は34,7度くらい35度には行きません。高温期は高くて36度まで。随分低いです。

この体温ではあまりにも低すぎて卵もすくすくと育ってくれません。冷たいところで小さくなっているかわいそうな卵をイメージします。凍りついた卵巣・子宮かもしれません。やはりホカホカの温かいところで卵の成長を見守りたいですね。

子供の頃、山の植樹に参加したことがあります。北海道の山奥です。春、雪解けの頃に山焼きをします。枯れ木や草を燃やしますが、土の中はまだ雪が残っています。土の表面が焼かれ、ゆきが解けて程よい加減の時に、唐松の苗木を植林するのです。夏にはしっかり養分を吸って根着くのですが、冷えている方の子宮はいつも雪が残っている冷たい環境で発芽もままならないのではと想像しています。

卵胞期は、やはり36,2~3度の体温が必要で、高温期は36、7度程度は欲しいですね。しっかし成長した卵胞はしっかりした黄体を作ってくれます。充分な女性ホルモンと充分な黄体ホルモンこそ妊娠しやすい身体になるのです。

漢方薬では<補腎陽>のお薬が中心になりますが、エネルギーを与える<補気剤>も当然必要になります。Aさんは漢方薬を服用して6ヶ月。今月の基礎体温表(BBT)は体温が戻り、36度から37度の枠の中に綺麗に納まりました。きっとホルモンバランスもよくなってきたことでしょう。卵の成長が楽しみになりました。

基礎体温が全体に高い 

基礎体温が全般に高いケースは良く見られます。低温期が36,7度近く。高温期は37,2~3度の高さになり、体温表(BBT)を開いて思わず「わぁ~高い!」と声が出てしまいます。

昨日初めて来られたTさん37歳、Sさん43歳も体温が高く、基礎体温表(BBT)の上1/3に綺麗に治まっています。つまり低温期36,7度以上、高温期37、3度と体温表の下部2/3は空欄になっています。「体温が高すぎますね」 「これでは質の良い卵は出来ませんね」とお話しすると 「何故わかるのですか?」と驚かれます。

お2人ともホルモン剤を使って誘発していますし、高温期には黄体ホルモン剤が投与されしっかり服用されています。当店には、「最近、良い卵が出来ないのです」、「卵ができても空砲です」、「授精しても分割が途中で止まってしまうのです」、「質の良い卵がほしいのです」という目的をもってこられます。

一般に基礎体温表(BBT)が全体に高いのはあまり良い体調とはいえません。特に卵胞を育てる時期に体温が高いと卵の質を落とします。卵が成長するのには適温がありますし良い環境が必要です。ホルモン剤を長期に渡り使用していくと高くなる傾向があります。黄体ホルモンを使うと体温が高くなり次周期の月経開始が高いところから始まることになります。漢方薬で体温を下げて、適温の中で卵胞が育つよう体調を整えて行かなければなりません。

T さんもSさんにも、周期療法の処方をしました。きっと6ヵ月頃には綺麗な2相性の基礎体温表(BBT)になり、卵胞の成長も良くなることでしょう。楽しみです。

奇跡を再び!

以前書いた<52歳の胚移植>のTさん、祈るような気持ちでしたが判定結果は陰性でした。でも、Tさんは 「奇跡でした。今まで何回かIVFをしてきましたが一番きれいでした。この年で、自然で採卵でき綺麗な分割ができ、移植できたことは奇跡です」 「これにめげずにまた頑張ります!」と明るく話してくれました。

また質の良い卵を作ろうと周期療法で体質改善を始めました。本当に前向きなTさんには私も励まされます。このブログを読まれた方がどんなにTさんに刺激を受け、励まされ、勇気をもたれたことでしょう!

海外在住の方もこのブログ読まれ、「51歳ですが卵を作りたいのです」 「高齢ですが(49歳)今からでも間に合うでしょうか?」 など多くの方からお問い合わせがありました。皆さん頑張って挑戦されています。

一人でも多くの方に喜んでもらえるよう、妊娠しやすい母体作りを周期療法を用いて実践していこうと思っています。

52歳のTさんばかりではなく、51歳のFさんも、Iさんも、Mさんも、Yさんも体調を整えて漢方周期療法で身体つくりをしていきましょう。きっと、第2、第3の奇跡が起きることを信じて!