52歳の胚移植

Uさんは52歳、漢方薬を服用してから2ヶ月が経過しました。遅い結婚でしたが「出来るものなら赤ちゃんを授かりやい」とクリニックに通い始めたのが3年前。

若い頃卵巣嚢腫をOPE、小児リュウマチを患い、高校の時は無月經を経験してきました。現在は子宮筋腫(3mm)があります。今まで人工授精5回、IVF(体外受精)5回をされていますが妊娠にまで至りません。だんだん良い卵が出来なくなってきたので、「何とか授精できる質の良い卵を作ってください」と相談にこられました。

早速<周期療法>を始めました。IVF-ETをされますので、とにかく質の良い卵ができるよう、<補腎剤>と<補血・養血剤>を中心に漢方薬を組み立て、服用してもらいました。

そしてやっと出来ました。自然周期で排卵誘発剤を使わずに良い卵が出来たのです。採卵も首尾よくでき、授精もでき、分割もスムースに行き、綺麗な4分割の胚を移植する事が出来たのです。胚移植を報告してくれたUさんのお顔が紅潮していました。聞く私もいささか興奮気味に聞いていました。それではなんとしても「着床してほしい!」と、<周期療法>で胚移植による高温期の漢方薬をお勧めしました。着床しやすいようにと4種類の漢方薬を判定まで服用してもらうよう話しました。もう祈るような気持ちです。

「52歳で授精可能な卵ができる」素晴らしい事です。「卵が出来にくい」 「質の良い卵がほしい」 このような方が多いのではないでしょうか? 

同じ悩みを持っている方、高齢で赤ちゃんを望まれている方への福音となるでしょう!!

子宮内膜が厚くならない!

中山先生の講義の続きです。

ARTでどんなに医師の技量がよくても、どんなにエンブリオロジスト(胚培養士)の技量がよくても、個人の妊娠力が無ければ妊娠成立にならないということです。このことは私達も常日頃口をすっぱくして申し上げていることなのです。

つまり、妊娠しやすい母体・父体作りこそがベースになるのです。色々あの手この手を使っても、肝心な卵子の成長が悪かったり、着床しようとした子宮内膜が薄かったり、受け入れる側の体制が出来ないことが多いのです。卵子が授精して胚盤胞にまで分割し、良い条件であるにもかかわらず、着床するためのベットが用意されていないことがよくあります。その時は次周期に着床用のベットが用意されてから胚移植をするケースがよくあります。患者様もその時は「子宮内膜を厚くする漢方薬をください」と所望してきます。

子宮内膜の薄い人にホルモン剤をいくら投与しても子宮内膜は厚くなってくれないのです。薄い人にホルモン剤を投与すればするほど厚くならない現象があるそうです。何故なのでしょうか?たくさんのホルモン剤でお薬のレセプターが減っていくらしいです。

子宮内膜が7mmあれば着床可能と話されました。子宮内膜が6mmの方が運動と漢方薬で10mmになり妊娠したとの報告、さらに内膜6mmの方は漢方薬と鍼灸で8mmに厚くなり妊娠されたことも報告されました。

当店では子宮内膜が4mmから5mmの方が漢方薬を服用して妊娠され、無事出産されています。また子宮内膜が薄く、?移植が出来ず漢方薬を服用して子宮内膜を厚くしてから(6mm→10mm)胚移植をされ妊娠・出産されていることを見ますと、漢方薬の力にゆだねても良いのではと思います。

薄くなった子宮内膜の表面は荒れ果てた荒野のようで(札幌の東口医師のお話)とても移植しても育たない地です。

漢方薬の<冠元顆粒>や<婦宝当帰膠>、<紅サージ>の活躍で子宮内膜をホワホワベットにし着床しやすい表面にすることが大事なことです。

漢方薬で薄い子宮内膜を厚くしていきましょう!

卵子ができない!

「卵子が出来にくい」、「卵子が育たない」、「誘発剤を使っても出来にくい」 「漢方薬で何とかなりませんか?」このようなお話がよく聞かれます。質の良い卵子をと言うのはみんなの願いです。

先日、私達の不妊症を専門に勉強しているグループのスクーリングが東京でありました。講師はいつも大変お世話になっている「足立病院の中山先生」にお願いして、2時間半たっぷりご講演をしていただきました。

(先生の受診を希望された患者さんにはご迷惑をおかけしました。ごめんなさい!)

内容は「生殖補助医療(ART)の有用性と限界」でした。どこまでも発展する生殖医療、テーラーメイドのIVF-ETのお話に感嘆したり、感心したり、先生の人間味溢れるお話に感動したりのご講演でした。

現代生殖医療のICSIのめったに見られない動画に驚嘆。ARTの発展はどこまで行くのか…想像も付きません。そのすばらしい医療の中でどうしても限界はあるようです。

「卵子が出来にくい」誘発剤を使っても卵が育たない、卵子が無ければ始まりません。若い人の卵巣と年齢が高い方の卵巣はやはり違いがあります。若ければたくさんの卵ができ持ち駒もたくさんありますが、年齢を重ねてくると持ち駒も少なくなり卵も元気がなくなります。

たくさんのホルモン剤を浴び、それに応えようとする卵巣。外からの刺激に一生懸命応えようとするが思うように反応できない卵巣。そんな「瀕死の卵巣」にhMGなどの刺激を与えることは「死にかけた老人に鞭打つようなもの」と話され胸打たれました。

また、よい卵子を作るには「ストレスをためない」「運動・リラックス」「生活習慣の改善」そして治療としては「漢方薬」「針灸療法」「ストレスの軽減」「運動」が大切であると話され、感銘をうけました。

「卵子ができない」 方、漢方薬では補腎養血活血が必要なのです。<婦宝当帰膠>をはじめ<杞菊地黄丸>、<参茸補血丸>など、漢方薬にはたくさんのアイテムがありますので、どんどん使って皆さんの希望にお応えしたいと思っています。

基礎体温表・BBTは?

先日不妊で相談に来られた40歳のMさん、結婚されて6年、赤ちゃんがほしいと思って不妊クリニックに通いだして3年が経過していました。

一通り検査の結果は特別な異常も無く、1年はタイミング療法で過ごされましたが、なかなか授かりません。その後ステップアップして人工授精(AIH)を8回、体外受精(IVF)を3回されたのですがうまくいきません。次第に焦る気持ちが募る一方、だんだん体調が崩れていくことに不安を抱き、相談に来られました。

最近の基礎体温表(BBT)を見ますと、この3周期の体温表は2相性にならず、坂道を上がり徐々に下降する形になっていました。3周期とも採卵、胚移植をしていますが、回を重ねるたびに採卵数も減少し、受精卵も減少しています。ランクもあまりよくありません。また、胚移植される高温期は、身体の準備が整わず低温の状況で実施され、なかなか高温になっていませんでした。

当店では、<周期療法による妊娠しやすい母体作り>を目指していますので、基礎体温表(BBT)を重視しています。低温、高温の2相性にすること、それはE2(女性ホルモン)とP(黄体ホルモン)のバランスを見ながら、不足しているところを補い、質の良い卵子とみずみずしく柔らかな子宮内膜のベットを用意し、着床しやすい状況を作っていくことで、その状況は基礎体温表(BBT)に現れてくるのです。

しかし、Mさんの基礎体温表(BBT)はとても受精卵を迎える状況ではないのです。この不妊クリニックでは、せっかくつけている基礎体温表(BBT)を全く見てくれないといわれます。Mさんが本来持っているホルモン分泌の力を見て、胚移植が適切かどうか判断するのに、基礎体温表(BBT)が良い情報源と思うのですが・・・。

Mさんには、『しばらくは体外授精で疲れた卵巣と子宮に、お休みと栄養を与えましょう』と話しました。その間に基礎体温表(BBT)がきれいな2相性を示すことと思います。

52歳の挑戦!

「こんにちは!質の良い卵を作ってほしんですが…!」明るく店頭に入って語ってくれたのはHさん。年齢を尋ねると今年で52歳になるとか。

45歳を過ぎてからの遅いご結婚。当然始めはタイミング法で「自然に出来ればいいな~」と思っているうちに年数が過ぎたそうです。3年ぐらいしてから「急がなくては閉経してしまう」と焦りだし、不妊クリニックを受診しました。

AIH→IVFと勿論ステップアップしてもなかなか授かりません。「やはり、卵が老化してきている。ならば、漢方薬を服用して質の良い、授精可能な卵を作ろう」と意を決して相談に来られました。

Hさんの体形は中肉中背、肌のつやも良く、気持ちも若く、月経周期も28日と定期的です。医師も否定的なことは何もおっしゃらないそうです。既に針治療もされ、これからは漢方薬を服用し、現代生殖医療を続け、諦めないでやってみようとする気持ちが前面に出てとてもプラス思考です。基礎体温表(BBT)も大きな乱れはありません。

Hさんの気持ちを受けながら、私も一緒に挑戦してみようと決め、残された数少ない卵胞に栄養を与え、授精可能な卵に育ってくれることを祈って、周期療法を始めました。どのような結果になるかは誰も想像つきません。しかし、今よりは良い状態の卵になることは間違いありません。授精、分割、着床、成長…ハードルは高いですが、頑張っていきましょう!

52歳のFさんも挑戦しています。

51歳の時、胚盤胞に成長した卵を移植されました、凄いですね! 今、再挑戦で頑張っています。Fさんは医師からはマイナス的なことを言われていますが、くじけずに頑張って意思を貫いていて、本当に頭が下がります。

どのような人生の道が開かれるかはわかりませんが、お二人とも50歳を過ぎても挑戦されています。お2人ともきっと悔いのない人生を送ることでしょう。

頑張って!   Hさん、Fさん!!!

FSHの値が…

36歳のYさんは無月経で自力排卵はありません。初潮は12歳で、それ以来月経は順調に来ていましたが、就職を機に不順となり、不定期になってしまいました。月経は2~3ヵ月に1度で、時には1年くらい無かったときもありました。

クリニックでホルモン検査をしたところFSHの値が130もあり、カウフマン療法をしながら月経を起こしていましたが、反応が鈍くなり卵巣にはもう卵がないので「更年期になるでしょう!」といわれてしまいました。

まだ30代の若さで閉経になってはと随分落ち込みましたが、「そうだ。まだ漢方薬を試したことがない!」と思いつき、相談に来られました。

30代後半で「卵巣早衰」の診断で、漢方薬の服用を始めました。体質や性格はストレスに弱く神経質で、ホットフラッシュのようなのぼせもあります。そこでストレスを緩和し、陰を補う処方で3ヶ月間服用してもらいました。

その後、なかったオリモノも見え隠れし、基礎体温表(BBT)も動きが見え、良い状況に変化してきたことがわかります。3ヶ月も月経が来ないのはあまりよくないので婦人科受診をしてもらいました。医師が言うには「消えかかっていた卵巣が復活してきたな~!」「何かしてた?」ときかれ、うれしくて舞い上がったそうです。「今周期は黄体ホルモンを服用して月経を起こし、次周期卵の成長を見ていこう!」といわれたそうです。

今まではもう「卵巣には卵がない」といわれていただけに「次周期様子を見ましょう」といわれたことが、「とてもうれしい。光が見えてきました!」とYさんは喜んでいました。漢方薬はひたすら「卵を作る」ことを考えて処方しました。勿論FSHは20に下がってきています。卵が出来てくれれば万々歳です。そんな日も近いことでしょう!

グレード1 か グレード2か?

45歳のHさん。不妊治療を始めて8年になります。

高度生殖医療(ART)を5年続けましたが、卵の発育が悪く誘発しても育ってこず、医師からは「この先…」といわれ思い切って漢方に救いを求めてこられました。

漢方を始めて3年。周期療法を続け、ようやく卵が出来始めました。20mmの立派な卵です。しかし、ご主人の体調が悪く、自然妊娠が困難な状況下でICSI(顕微授精)をすることになり、気持ちを新たにIVFに挑戦しました。何年か振りです。

Hさんは自然周期の採卵ですので、なかなか採卵のタイミングが取れず、1年に2回ぐらいしかチャンスはありません。でも、その数少ないチャンスが来ました。採卵でき無事授精もし、分割もよく胚盤胞にまで順調に進んでくれました。その胚盤胞と2年かけてストックした受精卵を戻すことになりました。ストックしてきたのは グレード1とグレード2の2個ありました。今回の新鮮胚とどちらかを戻すことになりましたが、さぁ、どちらを移植するのか、Hさんは大変悩みました。

ご主人と相談した結果Hさんが選んだのは「グレード2」の移植でした。「グレード1」を移植して万が一着床しなかったら落胆して立ち直れないかもしれない。もし、「グレード1」が残っているなら「まだグレード1が残っている」と心の支えとなって次に臨めると話してくれました。早く結果を出したいから、良いほうから使うという考えもありますが、グレードの低いほうから使って着床し、グレードの高い受精卵を残してしまい後悔された方もいました。

どっちを選択するか!難しいですね。そのような経験ありませんか?

いまHさんのおなかには着床しようとしている胚がいます。頑張れ「グレード2」ちゃん。そして新鮮胚ちゃん!

羊水検査はどうですか?

先日ご予約されて、お母様と一緒に相談にこられたTさん。

「先生おかげさまで!」とお腹をさすってのご挨拶でビックリしました。Tさんのお腹はまさしく妊婦さんのお腹なのです。4ヶ月です。

Tさん(40歳)は6ヶ月間漢方薬を服用してきました。結婚して5年。なかなか授からず不妊クリニックにも行ってました。ホルモン剤にて月経周期をつくり、排卵誘発剤を使い採卵、肧移植をしてきましたが、すべて「卵がよくない」といわれ、漢方で何とかならいかと相談にこられたのが昨年の夏でした。

漢方薬の補腎剤の<杞菊地黄丸> や<補血丸>、 気血双補の<婦宝当帰膠>などを使い周期療法をしてきました。12月にIVFをすることになり、IVFのスケジュールにあわせての漢方薬を服用してもらいました。その後気になっていましたが、その時妊娠されたようです。思いがけずにTさんの朗報に笑みがこぼれてきます。

しかし、Tさんは不安を持っていました。「羊水検査どう思いますか?」突然の難しい質問にたじろいでしまいました。「羊水検査したいのですか?」「はい。受けようか迷っているのです」なぜTさんは羊水検査を受けようと思ったのでしょうか!40歳を越えての妊娠には染色体異常が多く見られること、それを聞いただけで心配で仕方ありません。

羊水検査して異常見つかったらどうしますか?

検査が反対に危険な状態を生むやも知れません。難しい問題ですね!でも、やっと出来た赤ちゃんが不安に感じるのではなく、安心して伸びやかに成長してほしいと願っています。

習慣性流産を乗り越えて

かわいい訪問者です。お母さんに抱かれ8ヶ月になるH君が来てくれました。

なんとお父さんが運転して2時間かけてきてくれたのです。感激です。春の日差しがまばゆい暖かな午後、店内はとても明るいハッピームードに変わりました。しっかり周りを見ては、ここはどこ?と確認しているようです。

お母さんのYさん、当店ご来店時は何回も繰り返す流産に身体も心も傷つき、漢方薬に救いを求められてこられました。

当店に来てすぐ妊娠され、あっという間に流産されてしまいました。4回目の流産で、いわゆる「不育症」です。その後Yさんは体質改善のため1年間避妊していただきました。その間、周期療法(月経期、卵胞期、排卵期、高温期)で体調を整えていただきました。そしていよいよ挑戦。妊娠はしましたが問題はこれからです。最後まで、挙児をえられるまでは本当に喜べません。

妊娠中も<婦宝当帰膠> <参馬補腎丸> <衛益顆粒>などを服用してきました。毎月毎月祈るような気持ちでした。もう少しで10週目に入ろうとしたときに羊水が減り始め、血圧が上昇したため、緊急の帝王切開、無事H君を出産したのでした。

今腕に抱いている子はまぎれもなくYさんの子。なかば諦めつつもどうしても授かりたい一心で漢方薬を1年半服用しました。その子が今はスイミングに通い、わらべ唄の会にも入って、集団の中順調に育ち皆から可愛がられているようです。

健康で大きくなって、家族揃って幸せになってくださいね。Yさんおめでとう!

H君生きることは大変だけどいろいろなことに挑戦して、わんぱくな男の子育ってくださいね。

双角子宮

先日ひょっこりKさんが店に来られました。なんとお子さんを連れておられます。

「あれっ? Kさんですよね。」 「そうです」 「いつ生まれたのですか?」 「半年前!」そんな会話が昔を思い起こさせてくれました。

Kさんは子宮の奇形で何回も流産を繰り返していたのです。しかし医師からは妊娠も可能といわれ、漢方薬を求めてこられました。今から3年前でした。

基礎体温は激しく上下し、周期も20日~26日と短く、非常にバラバラの体温でした。お話から「双角子宮」という子宮の奇形でした。

双角子宮の場合、軽い場合はStrassmann 手術、高度の場合はJones&Jonesu手術が行われるのが一般的ですが、Kさんは手術でなく漢方薬を選択し、来店されたのでした。

まずは月経周期を整える処方を半年間服用いただき、その後周期療法に切り替えました。子宮内膜の状況を良くするためのお薬や、35歳の高齢のため生殖能力を高めるお薬など、<婦宝当帰膠>をベースに服用してもらいました。

2年くらい周期療法を行い月経周期も整い、バラバラだった基礎体温表も2相性に整ってきた頃から、相談に来られなくなっていました。しかし、お聞きするとしっかり<婦宝当帰膠>を出産時も産後もずっと続けて服用していたとのことでした。そして、知らない間にしっかり男児を生んでおられたのには驚きました。

自然妊娠、しかも自然分娩で安産。「漢方薬のおかげです」と挨拶され感激しました。

昨年は単角子宮の方が無事出産され、また今双角子宮の方が出産し子供を抱いておられるのです。ほんとうに良かったです。漢方薬を勧めてて良かったとつくづく思うのです。