大らかな気持ちで

周期療法で不妊治療を行っていると、いつも気になることがあります。

あまりにも基礎体温表の変化に一喜一憂されすぎる方が多いことです。

周期療法は、「月経期」、「卵胞期」、「排卵期」、「高温期」のそれぞれの周期によってお薬を変え、それぞれの周期で大切な役割をしているものを強めたり改善したりしますので、体温が気になるのは仕方がありません。

しかし、体温は必ずしもそれが絶対ではなく、気候、室温の変化、睡眠時間、前の晩の食事の内容などによってもかなり違ってくるものです。あまりにも気にしすぎると精神が不安定になり、それが原因で乱れてしまうことが多くあります。

必ずしもきれいな基礎体温でないと、妊娠しないわけではありません。

当店でもあまりにも体温を気にしすぎて、いつも13日目に排卵していたはずの排卵が、遅れてしまった36歳のMさんも、体温を測らなくなってから13日目よりも少し遅れて排卵し、そこでちょうどタイミングが合い、そのまま妊娠期間に突入されましたし、

ガタガタの基礎体温表だった32歳のWさんは、いつ排卵したかわからないような体温表でしたし、高温期への立ち上がりも階段状であったにも関わらず、妊娠され順調です。

あまり気にせず、自分を追い込まず、大らかな気持ちで体質改善をされ、妊娠を待たれた方が良いですね。

高めの低温期

「高温期がない」、「高温期が低い」、「高温期が階段状に上がっていく」といった「高温期」に問題のある人の方が不妊症の症例では多く見られます。

しかし、「低温期が36度6分以上と高め」、「低温期の途中で高温期のような体温になる」といった「低温期」に問題のある人もおられます。

「低温期」とは「月経期」と「卵胞期」からなる期間です。

高すぎる体温では、質の良い「卵胞」は育ちにくいのです。

「低温期」の体温が高めになる原因として、排卵誘発剤である「クロミッド」を長く使用していることもあげられます。この場合、低温期ばかりでなく、全体的な体温が高めとなります。

その他の原因としては、「腎陰虚」で「虚火」によるものがあげられます。それには、「腎陰虚」になるような生活スタイルを改善してもらいつつ、「瀉下補腎丸」などのお薬を服用していただきます。どうしても「排卵し受精し妊娠すると高温期になる」ために「高温期があること」に注目しがちですが、しっかりとした低温期も大切なのです。

今一度、ご自分の基礎体温をチェックしてみてください。

偏頭痛

肩こり、頚こりで以前より頭痛に悩まされていた29歳Mさん。指圧に出会うまでは市販の頭痛薬なしには居られませんでした。

2年前に指圧に出会い、3週間に1回のペースでケアすることで、頭痛薬から離れることができました。通常であれば、「冠元顆粒」などの漢方薬を服用してもらうのですが、幼い頃の漢方薬での嫌な思い出により、体が一切の漢方薬を受け付けないため、おススメすることができませんでした。

2年前で結婚暦3年。

すぐに子供が欲しかったのになかなか出来ず、親戚からのプレッシャーで胃潰瘍になるまでに追い込まれていました。しかし、すっかり頭痛から逃れられた1年前に目出度く妊娠!「頭痛」という体のストレスがなくなったからでしょうか、結果的にMさんに取っては良い結果が得られました。

途中、1月半ばに逆子になった時は、お灸にて治すお手伝いもできましたし、Mさんが今年の5月に元気な男の子を出産するまでは、定期的に指圧に通うことで頭痛薬は使用せずに乗り越えたことは言うまでもありません。

「治療」というのは様々なものがあります。「頭痛」を治す「治療法」として考えただけでも様々あります。「セカンドオピニョン」、「代替医療」と今は盛んに言われるようになり、様々な治療を自由に選択できる動きが強まっています。

少しでも自分の中の「ストレス」を減らすために、「自分に合った治療」をしっかり見つけてください。

腎陽虚と腎陰虚

大学1回生のSさん。高校在学中から生理不順。

家系的にも「血の症」に関係する体の不調が付きまとうのでしょうか、お母様もお姉様も生理不順だそうで、鍼灸治療に通われていたそうです。

Sさんの場合は、高校生の時の過度のストレスから精神的に崩れ始め、それが引き金となり、体のリズムが乱れて生理不順になりました。全く生理が来ない月が何ヶ月も続き、精神は興奮状態のため夜は眠れない日々が続いていました。

Sさんが鍼灸治療に来られたのは、2年前。

1年間で周期が35日くらいまで回復するようになりました。3ヶ月前より鍼灸治療に加え、漢方薬も服用され、現在相互作用での治療を続けておられます。

先周期より変化が見られ始めました。

今まで不安定だった高温期がしっかり出来るようになりだしました。今までも高温期が出来ると、必ず生理は来たのですがその高温期がなかなか出来ない時もあり、不安定でしたが、先周期よりしっかり出来始め、今周期も高温期が出来ました。

Sさんの場合は、高温期に必要な「腎の陽気」が足りなかったこと、また低温期の「腎の陰気」が少し弱かったこと、精神的なことですぐ心が乱れるタイプであること、が生理不順の原因でした。

従って、Sさんには

月経期には「冠元顆粒」、

卵胞期には腎の陰気を補う「瀉火補腎丸」、

高温期には腎の陽気を補う「至宝三鞭丸」、

月経の全周期通して「逍遥丸」と「桂枝茯苓丸

を処方しました。

高校卒業から何年かブランクの後、希望にあふれた大学生になったこともあり、精神的にも安定し、それに「漢方」の力が加わったので、どんどん20代らしくなってきました。肌には艶、眼には力がみなぎってきました。後、もう1周期、高温期が安定すれば、もう自分の力で大丈夫でしょう。

2年かかった流産の傷

2年前に流産をされた31歳Nさん。

それ以来、心の傷が癒えず、妊娠することに対する不安を引きずったまま1年間を過ごし、気がつくと、基礎体温表がガタガタになっていました。

「これではいけない!」と婦人科の病院で不妊のホルモン治療を始めました。しかし、もともと胃が弱かったNさんにはホルモン剤は強すぎたのです。気分が悪くなり、吐き気を伴いました。

慌ててホルモン治療を止めましたが、それ以来精神的にも不安定になり、ふらつきが出てくるようになってしまいました。

流産の心の傷も癒えぬまま、周りからのプレッシャーで始めたホルモン治療は、Nさんの心をますます追い込むことになってしまったのでしょう。

それから1年経った今年の初夏に、当店を訪ねられました。

Nさんはとても胃が弱いのであまりたくさんの漢方薬を飲むことはできません。胃腸の働きを良くする「星火健胃錠」を飲みつつ、併せて鍼灸治療を週1回続けられました。

漢方と鍼灸の治療を始める前の基礎体温表では、低温期の途中で高温期のような体温になったり、排卵の時期の体温はしっかり下がらず、高温期も段階的に体温が上がり、途中でガタッと下がることもしばしばでした。

それが、今回の体温表では、低温期も安定し、排卵の体温もしっかり下がり、高温期も安定していました。この改善にはご自身でもびっくりされ、次周期からタイミングを合わせて行く予定だそうです。

2年かかってやっと流産による心の傷が癒えてきたようです。その調子で前向きに目標に向かってください。

乳幼児健診

市では、母子保健事業の1つとして、3か月児、10か月児、1歳8か月児、3歳児を対象に乳幼児健診を行っています。

1つ屋根の下に何世帯もの家族が住んでいることが多かったその昔は、子供の発育や子育てについては、1つ屋根の下に住む両親や祖父母が教えてくれましたし、近所にも子供がいっぱい溢れていましたから、他の子供や親とふれあう機会が多かったために、必然と子供の発育などの関する情報は入ってくるものでした。

ところが核家族がほとんどの今は、そばでいつも教えてくれる両親はいなく、少子化により近所で同じくらいの子供とふれあう機会が少なくなりました。

いつも子供はお母さんと2人で向き合ってばかり。外に出ても大人がいっぱい。

そんなお母さんのために、乳幼児健診にて「子供の成長チェック」と「子育て支援」のサポートをしてくれます。

子供の発育や発達の節目に行われる大切な健康診査です。必ず受診するようにしてください。

漢方を休んだ3ヶ月

結婚5年目、34歳のHさん。4年間は病院でのホルモン治療を受けておられました。

4年間の中で体外受精を3回。3回とも良い結果が得られなかったために、2月から漢方薬を服用されていました。

漢方服用3周期で、乱れていた月経周期も大分安定してきたために5月初めに再度体外受精。しかし結果は、不成功に終わりました。

それをきっかけに、パタッと来店されなくなり、3ヶ月が経ちました。

その後の経過が気になったため、電話にて連絡をとってみました。

結局5月初めより体外受精も何もせずに今に至り、せっかく安定していた月経周期も乱れ始め、だんだん低温期が40日以上と長くなり、高温期が9日くらいしかなくなってきたそうです。こうなって初めて漢方が効いていたことが分かり、そろそろまた服用し始めようか、と思っていたところだと言われました。

「離れてみて初めてわかること」は、こういったことに限らず世の中にはたくさんあるものですね。

中医学でもっと綺麗に

本日、大阪「朝日生命ホール」にて日本中医薬研究会主催の「中医学でもっとキレイにすこやかに」と題して「女性のための漢方レッスン」のセミナーが開かれました。

「漢方レッスン」は3つのレッスンに分かれていて、それぞれのレッスンで「中医学とは」「なぜ中医学なのか」「周期療法とは」などがわかりやすく説明されました。

その中でも医師である別府正志先生が、お話された内容がとても印象的でした。

西洋医学は病名治療であるのに対し、2千年も前から中医学はオーダーメイド医療を行っているということ、

西洋医学は最近になってそのオーダーメイド医療を始めたが、それは特定の遺伝子に病原がある場合にのみなされている医療であること、

中国では、中医薬大学にて専門の漢方医を育てているが、専門を選ぶのに「婦人科」がとても人気があり、その理由は、「婦人科」が確実に漢方で良くなり、「良くなる」=「名医」になれる、ということにより人気があるということ、

などがとても興味深い話でした。

専門を選ぶ時の中国の例からも言えるように、中医学に基づく「漢方治療」が「婦人科」の症例に非常に効果的である、ということは言うまでもありません。

「個人」をしっかり診て、その「個人」にあったオーダーメイドの治療が「婦人科」にはとても必要なことです。それが可能な中医学の治療は、ますますこれから求められるようになることでしょう。

高プロラクチン血症

2人のお子様を出産後に高プロラクチン血症になられた40歳のAさん。

下のお子様が4歳になるというのに、高プロラクチン血症のために生理は止まったままで、母乳が出ていました。男性ホルモンも通常の倍ほどの値。

来店されたのは、1ヶ月半前の6月半ば。

1ヵ月半の間、「婦宝当帰膠」を1日2回と「炒麦芽」を1日2包ずつ服用していただいていました。

それらを服用されて2週間後、今までなかった生理が来ました。量は少なかったものの、9ヶ月ぶりの生理でした。

そして、9ヶ月ぶりの生理より25日目に、前回よりも量の多い生理がきました。それに加え、今まで出ていた母乳がすっかり出なくなり、舌の歯型もなくなり、体のだるさもなくなり、肌つやも戻ってきました。

服用後、1ヵ月半で早くに改善されました。病院でのホルモン治療とは異なり、もともと持っている自分の力を目覚めさせ、自然な形で正常に機能が働くように導くことができましたので、結果として、期待していなかった「だるさ」や「肌つや」の改善までできました。

こういった場合も、是非、ホルモン治療だけに頼らずに、漢方薬も選択の一つにしてみてください。

「声かけ」の大切さ

本日昼から約2時間にわたり、小児科の先生を交えての「ひよこママの会」と題しての「子育て相談会」を開きました。

本日、会に参加されたのは、生後3~5ヶ月のお子様とそのパパとママ達です。

月例が合っていないと、発育も質問も悩みも異なってきますので、今回はこの月例のお子様達をお招きしました。また再来月には、違う月例のお子様達を持つパパとママに声をかける予定です。

この時期の発育状況のチェック方法(首が据わっているかなど)、やっておくべき予防接種、首が据わるようにする練習方法、抱っこせずに泣き止ませる方法など実践を交えての講義に加え、ひよこママからの質問に答えるなど内容の濃いものとなりました。

その講義の中で一番印象に残った言葉。

「子供への【声かけ】はとても大切なことです。これは0歳児からでも言えることで、話が出来なくても【ちゃんと出来たね】【上手だね】と褒めてあげることが大切です。乳児の時期にしていた【声かけ】がその子のその後の人格形成に大きく関わってきます。」

この時期の親の「愛情」が、その子にどれだけ注がれたか、その子の心をどれだけ満たすことができたか、がその子が大きくなって「他人にどれだけ愛情を与えられる人間になるか」、に関わってくるのでしょう。