PMSとタバコ

41歳Tさん。小学校にあがったばかりの一人っ子の僕のママです。

高校の頃から肩こりが酷く、整体などに良く通っていたようです。しかし根本治療には至らずに今日まで過ごしてきました。

症状は肩こりだけでなく、生理前のイライラ感、頭痛、頚の痛み、時には我慢できないくらいの排卵痛などもあります。毎月巡るこの周期にうんざり。しかし「自分の体質なのだ」と諦めていました。

Tさんのお母さんも肩こりが酷いようですので、遺伝的なものもあるのでしょうが、鍼灸治療に来られたときのTさんの顔色は黒っぽく、目の下には少しクマがあり、肩は強張った状態でしたので、明らかに「お血」があることが見て取れました。

「お血」はなぜ体の中に出来てしまうのでしょうか。

「気が巡る」ことにより血も巡るのですが、その気が滞るようなことが身に起こっている場合、同時に血も滞り、「お血」となるパターン。

「気」が不足しているために気を巡らす力が弱くなり、血の流れも緩やかになって「お血」が生じるパターン。

「冷え」により血が凝滞した結果「お血」となるパターン。

「熱」により血液中の津液が消耗され、血の流れが悪くなって「お血」が生じるパターン。

それらの原因により「お血」が体内に生じ、「刺すような固定の痛み」「青紫や青黄の色をした腫瘍や塊が形成される」「紫暗色の血塊を伴う出血」「舌の色が紫暗、お斑、浅黒い顔色、皮膚や髪の毛の光沢消失」などの症状を生じさせます。

Tさんの場合は、顔の症状や体全体の懲りの状態から、何か「お血」を生じさせることを毎日していることが伺えました。

几帳面なTさんは、毎日きれいに掃除をしないと気がすまないタチで、その性格が原因でストレスがたまってしまうことはあるでしょう。こういうことも「気の停滞」を生み出します。

「コーヒーを飲みすぎていませんか?」「タバコは吸っていませんか?」

の問いかけに、その答えはどちらも「Yes!」しかもそれは尋常でない量でした。

お茶代わりにコーヒーを毎日数杯飲み、タバコも毎日吸っているというのです。鍼灸治療に来る前にもいっぷくされたのでしょう、タバコのにおいがしていました。従って、タバコの量は聞くまでもなく、Tさんの症状からかなりの量を吸っていることがわかります。

「Tさんの症状の全てが大部分タバコが原因で起こっています。毎月巡ってくる症状の改善と肩こりに別れを告げたいのであれば、止めましょう!」と助言。

聞くと、お子様を妊娠され授乳中は止めることができたと言うので、その必要性がわかれば止めることができるはずです。

せっかく鍼灸治療にて調整し、漢方薬にて血の巡りを良くしようとしても、毎日それ以上の力のある「タバコ」により、その効果を阻害されてしまっては、もったいない限りです。Tさんの意思さえしっかり固まれば、タバコも肩こりも様々な症状にも「さようなら」をすることができるのです。

週1回の鍼灸治療と「冠元顆粒」「星火逍遥丸」「桂枝茯苓丸」などの漢方薬により、排卵痛・PMS・お血改善を行い、コーヒーを控えめにし、タバコを止めれば、必ず明るい未来がやってくること間違いなしです!今までの辛い生活は嘘のようになるはずです。

もしTさんがこのことに気づいていれば、もう1人、2人とお子様にも恵まれていたことでしょう。まだこれからでも遅くありません。少し離れたお子様にはなってしまいますが、タバコを止めた暁には快適な生活と明るい家族が待っています。まずは禁煙を頑張りましょう!

効果的な煎じ薬

ホルモン数値の中でもLH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)の値は正常であれば1:1に近く、LHがFSHよりも高い場合には多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を疑います。

28歳Hさん。結婚2年目。FSHが7Mllu/ml、LHは18Mlu/mlという検査結果で、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されました。生理は来るものの35日以上の長めの周期で、排卵せずに生理が来る「無排卵月経」であることは、高温期のない基礎体温表から見て取れました。

PCOSの場合は、排卵がないために黄体化ホルモンは分泌されず、LH値が高いために男性ホルモンである「アンドロゲン」分泌が上昇していることがあります。その場合は、毛深くなり、ニキビの症状も出てきます。

Hさんの場合は、そこまでの症状はありませんが、ホルモン数値や無排卵の基礎体温表からPCOSは明らかで、子供を希望するのであれば早くに改善するのが良いでしょう。

PCOSに対する西洋医学での治療法はホルモン治療になり、黄体ホルモン剤の「デュファストン」を投与して、
2~3日後の生理開始日より5日目から排卵誘発剤の「クロミッド」を服用を5日間服用し、その後4~5日後の排卵を待つ方法があります。

その他低用量ピルの服用による治療法もあります。ピルにより脳下垂体からの性腺刺激ホルモンの分泌を抑え排卵が抑制されることで、その他のホルモンにより子宮内膜の環境が整い、LHとFSHのバランスを落ち着かせる、というものです。

しかしどちらもホルモン剤による治療法で、「クロミッド」の長期継続使用は卵巣を刺激し過ぎる結果となり、人によっては「ピル」などの薬は吐き気など起こすこともあり、体調が優れなくなることがあります。

ホルモン治療を休みたい、もともとホルモン剤を受け付けない、ホルモン治療は避けたい・・・という場合には、漢方薬の煎じ薬がおすすめです。

PCOSは西洋医学でもその完治は難しく、長期にわたっての継続治療が必要です。そのためにはなるべく体に負担の少ないもので、根本から治療できる漢方薬を是非おすすめしたいのです。

今までもPCOSで悩んでいた33歳Oさんも漢方薬のPCOSに効果のある煎じ薬を服用され妊娠された例があり、その煎じ薬によりホルモン剤を使わなくても自力で排卵できるようになった例は多くあります。

その煎じ薬の生薬には、「当帰」「赤芍」「白芍」「地黄」「菟糸子」「山薬」「女貞子」「沢蘭」などが入り、女性が崩しやすい「肝経」や「脾経」の調整を行い、主席卵胞をしっかり育て、排卵まで繋げていきます。

Hさんにもこの煎じ薬の服用にて今後の周期を見てもらうことにしました。

またHさんのその他の症状の「むくみ」「だるい」「夜間頻尿」「肩こり」なども考え、PCOSの煎じ薬に併せて「婦宝当帰膠」などのエキス剤や錠剤にて調整していきます。

3周期もすればそれらの効果が見えてくることでしょう。まだまだ若いHさん。今のうちにしっかり体質改善をしていれば、今後経験する予定の育児も元気に楽しくできるようになることでしょう。

金と銀

その葉が寒い冬でも耐え忍んで枯れないことから「忍冬」と言われる「スイカズラ」。

またその花が咲き始めたときは「白」であるのにそのうちに「黄」に変化することから「金銀花」という名もあります。今その花が咲いています。

甘い香りが漂い、素敵な名前を持つお花。中国ではその昔から茎や葉が忍冬という生薬名で用いられてきましたが、茎よりも金と銀の花のほうが「解表・清熱・解毒」の効能に優れていることから近年では花の部分を使用しています。

主にその解毒作用を利用して、化膿性疾患に用いられます。乳腺炎、ヨウ・セツなどのおできには「ケイガイ」「防風」「桔梗」などと配合した「ケイ防敗毒散」、膿性の臭いのある帯下には「当帰」「川きゅう」などと配合した「八味帯下方」などがあります。

また消炎作用を利用して、風邪時の発熱・頭痛・咽喉痛には「ケイガイ」「連翹」「薄荷」などと配合した「銀翹散」がよく使われます。

この「金銀花」をベースとし「蒲公英」「紫花地丁」「野菊花」などの清熱・解毒作用のある生薬と配合したものが商品化されようとしていますが、これは熱をもったニキビや皮膚の症状改善のために使用される予定です。またそのような症状ばかりでなく、周期療法でも少し熱があることで起こっている症状に対して、それを改善する目的で取り入れることができそうです。

香りも良く見るだけでも美しい金と銀の花は、昔も今もこれからも私たちの様々な症状を改善してくれる心強い花でもあるのです。

ガン?!

34歳Yさん。4人のお子様のママ。

昨年12月から不正出血が起こるようになりました。出血の時期は、排卵期など特定の時期ではなく、生理が終わったかな、と思った2、3日後から少量の出血がずっと続き、次の生理が来る、といった状態でした。

先日亡くなったZARDの坂井泉水が子宮頚癌とわかった最初の症状は「不正出血だった」ということもあり、Yさんは心配になって癌検診に行きました。結果は何の問題もなく、内診でも何も出血の原因となるような子宮筋腫などは見つかりませんでした。

「おそらくホルモンバランスが乱れているのでしょう」と内服薬もなく、しばらく様子を見ることになりました。

しかし2ヶ月様子をみても状況が変わらないために、心配になったYさんはまた受診されました。しかし子宮には何も問題は見つからないために、もう2ヶ月様子をみてそれでも変わらないようであれば薬による治療をしましょう、と医師に言われました。

薬による治療は排卵促進剤もしくはピルによる治療のようです。

しかしYさんはこれ以上子供を希望しているわけでもなく、今崩れているバランスを整えるだけで良いのに強い薬を服用することに不安を感じ、とりあえず次の受診までの2ヶ月間、漢方により体を整え不正出血の症状をなくしたい、と漢方を希望して来店されました。

漢方ではYさんのような不正出血の症状は、「脾経の統血作用」と「補気作用」が弱っているために「血が漏れている」と捉えます。また余分な血はしっかり排出するけれども、漏れる血は留めるようにもしないとなりません。

それらのことをふまえて漢方薬は「田七人参」「帰脾錠」をYさんには服用してもらうことにしました。まずは次の生理が来るまでの半月間、これらのお薬で様子を見てもらいます。その間も症状はどうなったか、そして生理後はどうなったか、をまたYさんに報告してもらい、その状況でまた次のお薬を調整することになります。

そして次の検診ではホルモン検査をされることをおすすめします。病院では「ホルモンバランスが崩れているのかも」と言われただけで血液検査は行っていないということですので、検査によりホルモンバランスが乱れているのかを診ることは大切なことで、今後治療をすすめていくうえでの重要なポイントとなるはずです。

検査は今自分の体がどうなっているのか、を正確に捉えるためで、その後治療をいかにして進めるかは本人の選択の自由です。ホルモンバランスが崩れているからと言って、その治療方法は決してホルモン療法だけではありません。漢方薬でも十分に副作用なく安全に治療をすすめることができます。

もし病院での治療の薬の副作用に悩まされているようなことがあれば、是非漢方薬をお試しください。

梅雨を快適に

今年は梅雨入りが遅く、その分梅雨明けも遅くなるのでしょうか。予報では梅雨明けは早く短い梅雨になるようですが、最近の気候は常識範囲の予報が外れ、突拍子もない予想が当たったりするくらい激しく予報できないものとなってしまっています。今年の梅雨・夏はどうなることやら・・・。

さてこの梅雨の時期から夏そして夏の終わりにかけて、「ムシムシ」と湿気が多く、過ごしにくくなります。

外気に湿気が多くなると、体の中も湿気が多くなります。

そうすると湿気により「だるさ」「神経痛」「血行不良による肩こり」などの症状が出てきやすくなります。また街の至る所できき始めた冷房により、ますますだるさが増し、冷えを感じる頃でもあります。

だるかったり肩こりがあったり冷えていては体が完全でないために良い周期を迎えることができず、やる気も根気もなくなってしまうでしょう。

そこでそんな湿気や冷えも追い払ってしまうおすすめの薬膳料理を紹介しましょう!血をきれいにし、血行をよくし、身体を温め、むくみも解消、さらに美しい肌を作ってくれるうれしい「紅花ごはん」です。

★紅花(こうか)(薬味:辛、薬性:温)キク科のベニバナ科の管状花。
         血をきれいにし、冷え性、生理不順、更年期障害などに用います。
★薏苡(よくい)仁(にん)(薬味:甘、薬性:涼)イネ科のハトムギの成熟種子。はと麦としておなじみです。
         利尿、鎮痛、消炎作用などがあり、むくみ、いぼ、リウマチ、神経痛などに用います。
★枸杞子(くこし)(薬味:甘、薬性:平)ナス科のクコおよびナガバクコの果実。
         疲労、めまい、頭痛、糖尿などに用います。

<紅花ごはんの作り方>

* 材料(5~6人分)
● 生薬
 紅花 … 大さじ1
 薏苡仁 … 大さじ2
 枸杞子 … 大さじ2
● その他の材料
 もち米 … カップ2
 うるち米 … カップ2
 鶏肉 … 150g
 干ししいたけ … 2枚
 ねぎ … 1/2本
 酒 … 大さじ4
 サラダ油 … 大さじ4
 しょうゆ … 大さじ2
 みりん … 大さじ1
 塩 … 小さじ1

* 作り方
① もち米はといで一晩水につけておきます。うるち米は炊く30分~1時間前にとぎ、
  それぞれさるに上げ、水気を切っておきます。

② 薏苡仁はよく水洗いし、やわらかくゆでておきます。(圧力鍋だとすぐ軟らかくなります)

③ 紅花は茶漉しに入れて振り洗いをして細かいゴミを除き、水気を絞って酒につけておきます。(紅花の赤色が綺麗!)

④ 枸杞子はさっと洗って水気をきります。(そのまま食べても美味しい!)

⑤ 干ししいたけは水でもどし、軸を落として1cm角に切ります。鶏肉、たけのこ、ねぎも1cm角に切ります。(大きさを整えるのが見栄えが良くなる秘訣!)

⑥ 中華鍋にサラダ油を熱し、干ししいたけ、ねぎ、鶏肉、たけのこの順に加えて炒めます。
  肉の色が変わったら、もち米とうるち米を加えてさらに炒めます。
  米が熱くなってきたら、紅花を汁ごと加え、薏苡仁、枸杞子、水1カップ、Aの調味料を加えて炒めます。

⑦ 七分通り煮えたら、蒸し器にふきんを敷いてその上に移し、
  やや強めの中火で約30分蒸します。(蒸すのは邪魔くさいので蒸す前の段階で炊飯器に入れ、普通に炊いても美味しく炊けます!出来上がった紅花の赤色に色づいたごはんは、まるでサフランで色付けしたように美しく、食欲をそそられます!もちろん味も美味しいです!)

「紅花」「薏苡仁」はお茶に一緒に入れて煮出しでも美味しくいただけます。「枸杞子」は実としてそのまま食べても甘酸っぱくて美味しいものですので、サラダなどに入れても美味しいです。

是非「紅花」「薏苡仁」「枸杞子」の力で元気にこれからの「湿気の時期」を乗り切ってください。

原因は心?

異変が起きたのは昨年の12月から。今まで順調だった生理周期が乱れ始めたのです。

39歳Iさん。40歳を目の前にした年齢が原因なのか、それとも他の何かが原因なのか・・・?

ちょうど仕事も年齢的に役職者になる試験を受けないとならなくなり、それが重なっていたことも精神的にストレスがかかり、ホルモンバランスを乱してしまったことも原因かもしれません。

その頃から肌にも艶がなくなり、目の下のクマも目立ってきたような気がするし、髪の毛もパサつくし、吹き出物もあごのラインに多く出るようになってきて、今までにないことばかりが続々とIさんの中で起こり始めていました。

Iさんにとっては、これから女性役職者としていつまでも美しく格好良く輝いて仕事をしつつ、子育てと仕事を両立していく理想像へと向かっていくはずだったのが、もう40歳を目の前にまだ子供に恵まれず、それどころか生理が来なくなってしまったのですから、そのショックは大きいものでした。

慌てて婦人科を受診したIさん。結果は卵巣が働いていないというホルモン数値が目の前に出されていました。早発閉経・・・。その言葉が脳裏をかすめました。

「このままではその年齢で閉経してしまいます。少し卵巣を休めましょう。」

婦人科医のその言葉にIさんの頭は真っ白に・・・!しかし医師の言うように、卵巣を休めればまたホルモン数値が正常に戻るかもしれない、まだまだ理想像に向かうことは諦めない!・・・とIさんはその治療をまずは2周期間続ける決意をしました。

そして2周期・・・。

通常の10倍ほどだったホルモン数値は、通常の倍ほどの数値まで下がっていました。しかしまだ正常ではありません。医師の判断によりもう1周期続けることになりました。

そして3周期・・・。

理想像に近づける判定のとき・・・!残念ながら数値は下がらず、通常の3倍の数値まで戻っていました。

薬による治療を3周期続けたので、薬漬けになることを避けたいIさんはその治療は一休みし、自分の力がどこまで快復しているか様子をみることにしました。

しかし何もせずにそのまま放置していれば、Iさんにとってのタイムリミットの年齢になってしまいます。何かしなければ!・・・と思いついたのが漢方薬でした。

Iさんには、良い卵胞を作ること、心にかかるストレスを軽減すること、補気・補血・調経をすることなどを目的とし、「杞菊地黄丸」「星火逍遥丸」「婦宝当帰膠」「冠元顆粒」などを使用し、卵胞期がいかに変化するかをみながらお薬を調整していきます。

良い卵胞ができれば、排卵もするはずで、排卵すれば高温期にもなるはずです。良い卵胞のためには安定した卵胞期が必要です。卵胞期、つまり「陰」を養う時期がとても大切なのです。

この時期に多くのストレスをかかえてしまったり、寝不足続きなどの過酷な生活をしていたり、足腰を冷やしていたりしていると、質の良い「陰」を養うことができません。つまり質の良い卵胞も育たないということなのです。

Iさんもあまりストレスをためないように、気持ちを入れ替えて、プラス思考で進んでいけばもっと良いでしょう。

しかし理想像が完全となることが厳しくなってきた今、Iさんは一方の理想像のために一方を諦めることも考えています。働くことはいつでも可能です。しかし女性として子供を産み、育てることはだんだんと厳しくなってくることです。その目標のために、Iさんは大きな決断を迫られているのです。

しかし決して片方を諦めなければならないことはないのです。全ては「心のあり方」により選択すべき道も変わってきます。ストレスもマイナス思考も全ては「心」に原因があるのです。それは「心」さえ変わることができれば、即プラスの物事へと変わってしまうのです。人生の壁にぶつかったとき、何とか諦めることをせずに「心」を変えて理想像へと向かって欲しいものです。

効き目は同じ

今年度1年間、京都のJEUGIAカルチャースクールにて「やさしい漢方教室」と題して講座を行っています。毎月第1水曜日の午前です。今日は3回目。

1回目は漢方の基礎知識として、漢方全般の話を行い、2回目は食養生を中心に「気虚」「血虚」「お血」「気滞」など自分の身体に合わせた食事の選び方、日常の過ごし方について、そして3回目は「肩こり・頭痛」の漢方薬、それらに対する鍼灸治療のツボの選び方の講義を行いました。

受講している人達は、漢方に興味を持ち、健康に気をつかっている人達ばかり。講義を聴く姿勢はとても熱心で、一字一句を逃すまいと板書や言葉を書きとめられている姿には、講義をするこちら側も刺激されますます熱が入ってしまいます。気がつくと1時間半の講座時間をオーバーしてしまい、それでもまだまだ伝えたいことがたくさんあって困ってしまいます。

今後増える見込みの医療費の自己負担額。年金も望めないかもしれない将来設計。

体のことも含めて様々な今後の不安を解消するためにも、自分なりの予防医学を行っていこうと考える人達が増えています。そんな時代背景を現しているのか、この講座を受けている人達の熱心さや講座の人気の高さは想像を超えるものでした。

ここ何年かローライズのパンツの流行によりお腹や背中を出している女の子を良く見かけます。今年はショートパンツが流行っているようで、細い脚をヌッと出している女の子も多いです。

暑い夏の気候の中でならそのような格好は良いのですが、最近はどこへ行っても寒いくらいの冷房が効いていますので、そんな中でのその格好は、お腹や腰を冷やし、「冷え性」「生理痛」「生理不順」「不妊症」などになってしまいます。

後になって健康を取り戻すにはとても長い時間がかかります。原因を作る若いときから「予防医学」についての知識を身につけ、体に悪いことは極力避け、健康的な「美」を求めて欲しいと思います。

「鍼灸」など特に「高齢者の通うところ」というイメージがまだまだあるようですが、体のバランスが崩れてからまだそれほど期間の経っていない若い頃から経絡のバランスを整え、正常に戻していれば後に医療機関のお世話になることも少なくなります。

「東洋医学」はそういった予防医学の医療にとても強いものです。「未病」の治療とは「病」になっていないのを治すのではなく、西洋医学的な「病名」がつかなくても「病」になっている状態を治すことなのです。その治療方法は「漢方」でも「鍼灸」「指圧」「導引」「推拿」「マッサージ」でも病の原因を追究する「弁証」は同じで、効き目も同じです。

少しでも多くの人達に「東洋医学」の良さを伝え、早くから自分でできる予防医学を身につけ、自分にあった治療法を探し当てて欲しいと願っています。

まだまだ用心!

漢方を服用して妊娠されたKさん。

以前通っていた病院では抗核抗体が陽性で、低容量アスピリンをもらっていたようですが、今通っている病院では問題ない数値だということでお薬の処方はでませんでした。

しかしKさんは「陽性」だった結果が気になるために、バイアスピリンに代わる漢方薬を安胎薬として加えて欲しい、と要望されました。そこにはせっかく妊娠したこの状態をキープし、挙児まで行きたい!との強い思いがありました。

Kさんのようにアスピリンを服用するほどでもなくても一度陽性が出ていたことがある場合、血栓予防のために安全な漢方薬を飲むのが良いでしょう。

その目的としては、血液の流れを良くし、止血・活血の両方の作用があり、血液の流れを体に良い方に調整してくれるものが必要です。もちろんお腹の赤ちゃんにとっても良いものでなければなりません。こんな場合には、「田七人参」を使います。

これにより血栓を予防し、問題なく赤ちゃんがお腹の中で育ち、この世に産まれてくるのを待つのみです。

またさらに赤ちゃんの賢い頭脳と健康な発育のためや保胎のために「婦宝当帰膠」「双料参茸丸」「衛益顆粒」を併せると、より力強く赤ちゃんは成長し母子ともに元気に出産の時を迎えることができます。

その他悪阻のとき、下痢のとき、風邪のとき・・・、西洋薬は注意が必要ですが、漢方薬は安全で強い味方となってくれます!

用心しないとならない時期はまだまだ続きます。出産まで、そして出産後も強い味方はいつでもどんなときでもお助けします。どんなことでも不安に感じたら、ご相談ください。

第10回記念

一昨年の7月から年に4回ほどのペースで行っていた「ひよこママの会」。今回で10回目を迎えました。

漢方を服用してやっとできた子供たち。産まれたばかりの頃は、ママもパパもひよこで不安がいっぱいで、よちよち育児をしていました。しかし1年そして2年経った今は、しっかり母親・父親となり、子供と共に大きく成長されていました。

今回は大きな会場を借り、たくさんのママ・パパそして子供達を招き、会を催しました。

会場は3階にあり、畳の広い部屋は子供達のたちまち運動場に、前面ガラス張りの窓から見える景色は巨大スクリーンと化し、お友達と追いかけっこをしたり、「あ、電車!」と窓から見える景色に見入っているは立ち止まり、その姿はとても無邪気で可愛いものでした。

今まで諦めずに頑張ってきて良かったね・・・!

心からそう感じる瞬間です。

2年前の心配事、1年前の心配事、そして今の心配事。どんどんその中身は変わってきます。今となっては以前の心配事なんて何だったんだろう、と思えるくらいちっぽけなことでもその時は一生懸命で不安いっぱい。

でもこの子が産まれる前のあの不安や落ち込みに比べたら、今のこの幸せの中での心配事なんて何ともないと思えてしまいます。

今まだ我が子に会えずに不安の中にいる人たちにも、早くにこんな幸せと幸せの中の心配事を感じて欲しい・・・!そんなことを願いながらこの幸せの渦の中で共に喜びを感じていました。

今回は月齢が7ヶ月から2歳半までと幅広いお子様が遊びに来てくれていましたので、お世話くださった小児科医の橋本先生はフリートーキング方式で会をすすめてくださいました。

お互いに質問を投げかけ、先輩ママがその経験からアドバイスしたり、少し解決不足の部分は橋本先生が助け舟を出すような形式です。

その先輩ママの経験で先生も含め、みんなが感心したこと。

2歳近くなっても断乳できないNママの悩みに対しての、先輩Sママのアドバイスです。

双子のママであるSさんは、代わる代わるおっぱいを欲しがられるために、寝不足続き。もう体力の限界を感じ、助産師さんに相談したら、「いついつにおっぱいを止めるからね、と前もって赤ちゃんに話をしてください」と。

ほんとにこんなことで止められるかな、と思いつつSママは、2人の赤ちゃんに「何日に止めるからね」と前もって話をし、その日を迎えたのです。その日、赤ちゃんたちも離れるのが寂しいのはわかっているけどきちんと納得してくれ、問題なく止めることができたのです。

特に女の子は「ママが寝られなくてしんどいの」と言うと、その瞬間ぴたっと止めてくれたようです。まだ1歳にならない赤ちゃんですが、もう心は通じ、言葉も完全でなくても理解できるのです。きちんと子供と向き合えば、通じるのだということを改めて確認した経験談でした。

まだまだこれからもたくさん子供と向き合って、共に成長していかなければなりません。時には嫌なことも言わなければならないこともあることでしょうが、今日集まったひよこママ達はどんな困難も乗り越えられそうなパワーがありました。

なぜなら、みんな子育てを楽しんでいましたから・・・。

野菜ジュースの間違い

「何だか今日、全身黄色くないですか?」

「よく言われます。黄色いって。」

明るく元気に笑う23歳Kくんは、顔色から手の色、身体の色、全てが普通ではない黄色をしていました。

1ヶ月ぶりにKくんに会ったのですが、1ヶ月前よりも明らかに黄色を呈しているその姿に、同席していた人たちも「あれ?」と感じざるを得ない色合いだったのです。

「黄」の色は、東洋医学では「脾」「胃」の色で、その色が身体に出ているということは、その機能が低下しているか亢進しているかの状態であることを現します。

黄色っぽい肌色をしている女性をよく見かけますが、大概「脾経」の働きが低下している場合、「貧血」「生理中」などであるものです。

前提として「黄疸」ではないことが条件ですが、そこまで黄色ではないけれども全体的に黄色であるときは、「脾」の働きの低下を疑い、原因を追究し、それを除去し崩れた身体の調整をすべきです。

その「脾」の働きとは、いわゆる「消化器官」のことです。消化して栄養分を吸収するというサイクルがうまくいっていないために、バランスが崩れ、黄色くなっていくのです。

不妊や生理不順の場合は、「脾経」の働きはとても重要な部分で、それを調整することが必須となってきます。消化させる力が弱いのか、吸収する部分が弱いのか、それを栄養として留める力が弱いのか・・・その原因によって選ぶ漢方薬も異なってきます。

お薬としては「婦宝当帰膠」「星火健脾散」「帰脾錠」「香砂六君子錠」などを使用し、原因を改善するようにしていきます。

さて、異常な色になっていたKくんの場合ですが、東洋医学の「脾」に相当する西洋医学での「膵臓」の消化機能が低下していることが原因のようでした。そしてその原因を作ったのが、何と「野菜ジュース」だったのです!

Kくんは健康のために、2ヶ月ほど前から野菜ジュースを1日2リットル飲んでいたといいます。野菜ジュースの原料である野菜たちは、生のもので作られています。そして生で食べると他の成分や機能を損なってしまうものがそれに含まれていたのです。

例えば「にんじん」。「にんじんは炒めたりして食べましょう!」とよく言われています。油などで炒めることでにんじんの成分が吸収されやすくなるためにそのように言われているのですが、それだけでなく、「にんじんが生であること」により一緒に摂ったせっかくのビタミンCを壊してしまうからなのです。

また「たまねぎ」。「たまねぎ」や「にんにく」といった球根の姿であるものを生で食べると、消化酵素の働きを阻害してしまうようです。つまり球根である状態は、まだ芽が出てはならない状態のために、全ての機能をストップさせる酵素が働いているのです。そのためにそれがそのまましっかり働いてしまう「生」で食べると、消化酵素をストップさせることになり、消化不良になるのです。

しかしたまねぎのその働きのバリアは緩いために、水でさらすと大丈夫です。今は新たまねぎの美味しい季節です。生で食べる際には是非水にさらしてお食べください。

しかし!野菜ジュースは水にさらしているはずはありません!

結局そのことが原因で、「膵臓」の消化機能に問題が生じ、それが経絡の「脾」の働きを阻害し、黄色いKくんとなってしまったのです。

それから1ヶ月、再びKくんに会ったときには、異常な黄色さはなくなっていました。西洋医学的検査には何ら問題はなかったようですが、経絡のバランスの崩れはそのまま放っておくと、いずれは西洋医学的な病名がつく病へと進んでいくものです。

東洋医学の五行の色の「青」「赤」「黄」「白」「黒」が身体のどこかに異常に見られたら、それはサインです!早めに対処してください。