野菜ジュースの間違い

「何だか今日、全身黄色くないですか?」

「よく言われます。黄色いって。」

明るく元気に笑う23歳Kくんは、顔色から手の色、身体の色、全てが普通ではない黄色をしていました。

1ヶ月ぶりにKくんに会ったのですが、1ヶ月前よりも明らかに黄色を呈しているその姿に、同席していた人たちも「あれ?」と感じざるを得ない色合いだったのです。

「黄」の色は、東洋医学では「脾」「胃」の色で、その色が身体に出ているということは、その機能が低下しているか亢進しているかの状態であることを現します。

黄色っぽい肌色をしている女性をよく見かけますが、大概「脾経」の働きが低下している場合、「貧血」「生理中」などであるものです。

前提として「黄疸」ではないことが条件ですが、そこまで黄色ではないけれども全体的に黄色であるときは、「脾」の働きの低下を疑い、原因を追究し、それを除去し崩れた身体の調整をすべきです。

その「脾」の働きとは、いわゆる「消化器官」のことです。消化して栄養分を吸収するというサイクルがうまくいっていないために、バランスが崩れ、黄色くなっていくのです。

不妊や生理不順の場合は、「脾経」の働きはとても重要な部分で、それを調整することが必須となってきます。消化させる力が弱いのか、吸収する部分が弱いのか、それを栄養として留める力が弱いのか・・・その原因によって選ぶ漢方薬も異なってきます。

お薬としては「婦宝当帰膠」「星火健脾散」「帰脾錠」「香砂六君子錠」などを使用し、原因を改善するようにしていきます。

さて、異常な色になっていたKくんの場合ですが、東洋医学の「脾」に相当する西洋医学での「膵臓」の消化機能が低下していることが原因のようでした。そしてその原因を作ったのが、何と「野菜ジュース」だったのです!

Kくんは健康のために、2ヶ月ほど前から野菜ジュースを1日2リットル飲んでいたといいます。野菜ジュースの原料である野菜たちは、生のもので作られています。そして生で食べると他の成分や機能を損なってしまうものがそれに含まれていたのです。

例えば「にんじん」。「にんじんは炒めたりして食べましょう!」とよく言われています。油などで炒めることでにんじんの成分が吸収されやすくなるためにそのように言われているのですが、それだけでなく、「にんじんが生であること」により一緒に摂ったせっかくのビタミンCを壊してしまうからなのです。

また「たまねぎ」。「たまねぎ」や「にんにく」といった球根の姿であるものを生で食べると、消化酵素の働きを阻害してしまうようです。つまり球根である状態は、まだ芽が出てはならない状態のために、全ての機能をストップさせる酵素が働いているのです。そのためにそれがそのまましっかり働いてしまう「生」で食べると、消化酵素をストップさせることになり、消化不良になるのです。

しかしたまねぎのその働きのバリアは緩いために、水でさらすと大丈夫です。今は新たまねぎの美味しい季節です。生で食べる際には是非水にさらしてお食べください。

しかし!野菜ジュースは水にさらしているはずはありません!

結局そのことが原因で、「膵臓」の消化機能に問題が生じ、それが経絡の「脾」の働きを阻害し、黄色いKくんとなってしまったのです。

それから1ヶ月、再びKくんに会ったときには、異常な黄色さはなくなっていました。西洋医学的検査には何ら問題はなかったようですが、経絡のバランスの崩れはそのまま放っておくと、いずれは西洋医学的な病名がつく病へと進んでいくものです。

東洋医学の五行の色の「青」「赤」「黄」「白」「黒」が身体のどこかに異常に見られたら、それはサインです!早めに対処してください。