桂皮と桂枝

お菓子でも馴染みのある「シナモン」。「ニッキ」「ニッケイ」とも言い、ケーキや紅茶、京菓子の八ツ橋にも使用されています。これはクスノキ科の「桂」の木の皮を粉にしたものや皮そのままを使用したりします。生薬では「桂皮(肉桂)」として使用しています。

また「桂」の木の若枝は、「桂枝」といい、その働きは皮とは異なります。従って、その違いにより「桂皮」と「桂枝」は使い分けなければなりません。

中医師のK先生。日本に在住されていますが、本土中国の患者様の処方を時々電話にて指示されています。

昨年の夏のこと。

K先生は月経不順の患者様の処方を依頼され、その処方を中国の薬局に指示しました。その煎じ薬の中に、辛温解表の働きのある「桂枝」を入れ、その温通作用により経を通じさせることで月経不順の改善を計りました。

それから1ヵ月後。再度同じ患者様の処方の依頼を受け、前回の処方内容を確認したところ、「桂枝」のはずが「桂皮」として処方されていたことが判明したのです!

この夏の暑い時期に体内を温める働きのある(温裏薬)の「桂皮」を使用していたというのです!

「桂皮」を使用することで、ますます体内が暑くなり、体液が枯れ、余計に月経不順を招くことになります。

K先生は中国の薬局の誤りに即気づき、薬を修正させ、もう1ヶ月間、正しい処方で服用してもらったとのことでした。

たった1つの生薬でも、その量にも寄りますが、間違うことで全く違う作用をしてしまうことがあります。またその働きが正確でも複数の生薬を併せることで少し働きが異なるようになることもあります。どんなお薬でも自分で判断して服用したりしないように気をつけてください。

春の症状

春は五臓では「肝」、五行では「木」ですので、「肝経」に関わる症状が多く、「気」は「木」が上に真っ直ぐ伸びるように、上がりやすくなります。

「肝経」は「血」を蔵したり「血」や「気」を疏泄したり「筋肉」を司ったり「目」に開竅したり「爪」にその状態を現したりします。

従って、「血」に関する症状である「生理不順」「PMS」が出たり、「気」が鬱積したり上がったりすることでイライラしたり憂鬱になったり、「筋肉」はつっぱり、「目」は疲れやすく、「爪」がもろくなったりします。

32歳Sさん。1年前は肩や首が張りすぎて、自分ではそこまで重症とは感じていず、常にそれが普通だと思っていました。時々疲れたときにマッサージに行く程度。しかしなかなかその効果も感じられずにいました。

そんな時、ふと試してみようと入った鍼灸治療院。そこで鍼灸治療後にこんなにも肩や首が軽いものだということを始めて知ったと言われました。それから調整すること週に1回。Sさんは「肝胆経」に関する経絡のバランスが崩れやすいタイプでしたので、それらの経絡を調整していくうちに、だんだんとSさんはPMS持ちであることが分かってきたのです。

今までは生理前に限らずいつも肩や首や全身が張っていたのでわからなったのですが、生理前にその症状がさらに酷くなっているようでした。そして3ヵ月後にはPMSが少し出るくらいまでに改善しました。

それからはPMSの時期だけ鍼灸治療に通うことで快適な生活を送ることができるようになったのです。

しかしもともと「肝胆経」のバランスを崩しやすいSさんのようなタイプは、「肝」の時期の春にはいつもより症状が出やすくなります。Sさんの場合もやはりそうでした。

今日来院されたSさんは、生理前の症状に加えて、旧年度の整理と新年度の新事業の目まぐるしく忙しい仕事、そして春のいたずらも合わさって、肝胆のバランスが乱れ、体の外側が全て緊張し、それに付随する肩の筋肉は奥の方で筋張って、肩回しもスムーズに行かないほどになっていました。

当に「肝気欝滞」の証でした。Sさんはもともと色白で「表」も弱めで「気」が不足気味のタイプであることから、治療は、疏肝理気だけでなく、補気・補血も行うことが大切です。

鍼灸治療では「行間」「三陰交」を主に使用し、少陽のバランスも整えるようにしていきます。漢方薬では「四物湯」か「婦宝当帰膠」、「逍遥散」か「柴胡疎肝散」などを調整し症状を軽減していきます。

Sさんも春を乗り越えれば、あとはまた快適な生活を送ることができるでしょう。今月末にはGWに入ります!それまでに調整し、再び元気なSさんになってGWを楽しめること間違いなしです!

清浄明潔のとき

4月5日は節気の1つ「晴明」です。

4月5日は晴明(せいめい)と言うその節気のひとつの日です。
それは、桜花爛漫、天地万物晴新の気が溢れてくることを意味するそうです。

「晴明」は清浄明潔の略で、気持ちの良い季節という意味です。

節気の「晴明」は、それ以降春本番となり、晴れ渡った空、心地よい風、花々が咲き、気持ちも晴れやかになる季節となる節目なのです。

「晴明」と言えば、何年か前に映画が流行を生んだ「阿部晴明」を思い浮かべますが、それと節気は関係ありません。あの流行り以降(?)、京都の晴明神社はきれいになり、今までの暗くて怪しい神社の趣がなくなっています。

晴明神社には怪しかった時代から、良く当たると言う占い師のおじいさんが居ます。3年ほど前に将来を占ってもらおうと訪ねたことがありましたが、その日は運悪く、そのおじいさんの人生で初めての日で、調子が悪く病院に行ったので急遽休みになったとのこと!縁がなかったものとその後訪ねていませんが、その時におじいさんにもっと違う将来を言われていたら、人生変わっていたかもしれません。

人には、人生の中で何度か転機となる瞬間、言葉、出会い、というものがあります。

その出会いや言葉があったからこそ、ここまでやってこられた、諦めずに進んでこれた、今までと全く違う方向転換ができた、などと言ったことがあるものです。

私達はその大切な時に、「良い転機」を迎えられるよう手や言葉を差し伸べることができる存在でありたい、といつも願っています。

「晴明」のこの日に、今一度、その思いを確認し、今後も手助けの発信をし続けようと思っています。

To know your own child

今日は第9回目の「ひよこママの会」。漢方薬にて体質改善をしながら妊娠し無事出産した「ひよこママ」の集う会です。

いつものように小児科医の橋本加津代先生と小児科で長年活躍されてきた看護師の青山ミワさんが、ひよこママ達の悩みを解消しながら、ためになる話をしてくださいました。

今日対象の赤ちゃんは、月齢5~6ヶ月。首は据わっているけれども、寝返りはもうちょっと!といった時期です。人見知りが始まるのは8ヵ月頃からですが、今日参加してくれた6ヶ月のTくんは、もう人見知りをしていました。人見知りは人を認識する力が身についた証拠です。6ヶ月のTくん、早い成長です!

5ヶ月になるHちゃんのママは、おっぱいの飲む量が少ないのではないか、体重が少ないので成長が遅いのではないか、と心配事をたくさん抱えていました。

そんなママに橋本先生が言われた言葉・・・。

「To know your own child.」

「つまり赤ちゃん一人ひとり、自分の赤ちゃんのタイプを知ることが大切なのです。おっぱいは少な目の方であるとか、こんなときにおっぱいの量が減るとか、・・・そういったことをしっかり把握しておくことが大切です。体重の増え方は、赤ちゃんそれぞれです。みんな同じだけの量のおっぱいを飲んで、同じだけ体重が増えるとすれば、その方が異常です。一人ひとり異なるのが当たり前。
おっぱいを飲む・飲まない、食事を食べる・食べないことよりも、そのときに必要な発達をしているかどうか、を見ることが大切なのです。」

そうなのです!

他の赤ちゃんと比べたりすることよりも、自分の赤ちゃんが自分なりにしっかり育っていっているか、が大切なのです。その時に必要な「発達」については、しっかりチェックすることが大切で、発達の遅れは早急な対処が必要ですが、他の赤ちゃんに比べておっぱいが少ないとか、どれだけ体重が増えたか、といったことはそれほど問題ではないのです。

のんびり構えて、あまり神経質にならずにゆっくりと子育てを楽しんでください。今のこの時は、今しかないのですから。

妊娠中の花粉症

35歳Tさん。来月出産予定です。

順調にお腹の中で赤ちゃんは成長し、標準よりも少し大きめに育っているとか。今はエコーで何となくその顔を見ているだけですので、早くに目の前で顔が見たいですね。

Tさんは妊娠されてからも「婦宝当帰膠」「双料参椎丸」「衛益顆粒」は続けています。妊娠に至るまでも漢方の力をたくさん借りてきたこともあり、ずっとお守りのように漢方薬を飲み続けています。これからも漢方薬は、出産の際にも出産後もずっとTさんを支え続けていくことでしょう。

この春は、スギの花粉が早く飛散し、花粉症の症状が少しマシだった人も多かったようですが、いつものように飛来する「黄砂」のためか、新たに飛び始めた「ヒノキ」の花粉のためか、花粉症の人はもちろんのこと花粉症でない人も現在鼻や咽喉の調子が悪いようです。

Tさんの鼻は毎年この時期は「スギ」にも「ヒノキ」にも反応し、鼻水やくしゃみに悩まされています。

そして今年もその症状はやってきました。

くしゃみを連発することも何度かあるとのことですので、お腹への影響が心配です。

通常花粉症の体質改善には「衛益顆粒」を使います。黄耆のパワーで表を固め、花粉から身を守れるように体表を強くしてくれるのです。今Tさんは安胎の補気薬として「衛益顆粒」を服用していますので、鼻の症状を治めるために、一緒に「小青竜湯」を服用してもらうことにしました。妊娠中でも大丈夫なように、量を調整しています。

これでTさんはあと少しの出産までの期間を少し快適に過ごすことができるでしょう。

妊娠中でも漢方薬は量を調整すれば、安心して服用することができます。西洋薬は極力服用を控えた方が良いですが、漢方薬は大丈夫です。しかし自分で勝手に服用しないでください。必ず漢方医に確認するようにしてください。

いつでも力になってくれる漢方薬。もし妊娠中で何かの症状で悩んでいる人は是非ご相談ください。

心のケア

ネットで相談を受け付けるようになって3年が経ちました。その中で感じることは、まずは自分自身や家族の生活習慣の改善をして欲しいと良く感じます。

相談は詳しくその人の体質を知る必要がありますので、まずは相談票と基礎体温票をFAXかメールで送ってもらいます。電話ではなかなか体質の詳細を伺いにくいために、相談票を利用いただくのが一番早い対応が可能です。

ところがその相談票に記入している時間帯が問題であることが多くあるのです。記入時間を見ていると、夜中であることが多くあります。12時を過ぎ、時には丑三つ時の2時や4時といった時間のこともあります。

そして症状の欄に「疲れやすい」「だるい」「むくむ」「冷え症」などにチェックがあるのです。

人間はこの地球に、そして宇宙に生かされているものです。人間が陰である「女性」と陽である「男性」から成り立っているように、地球も宇宙も「陰」と「陽」があって始めて存在することができるのです。

「陽の気」は昼間に養われ、「陰の気」は夜間に養われます。大切な「陰の気」を養う時間帯に神経を興奮させるTVを見たりネットを検索したり・・・していると、どんどん「陰の気」を養うことができず、「肝」「腎」などの経絡が弱ってきてしまいます。

そのことが原因で「眼が疲れる」「頭痛」「疲れる」「だるい」「むくむ」「冷え症」などの症状を引き起こし、ますます「不妊症」への道へと踏み込んでいってしまうことになります。

メンタルヘルスサービスのピースマインドは、4月2日から新サービスとして「健康カウンセリング24」と題した電話による24時間受付の健康相談を始めることになりました。この健康相談は主にメンタル面のものですので、悩みすぎて寝られない人達が多くいるため、夜中の電話も必要かもしれません。

しかし「不妊」で悩んでいる人は、まずは「夜はしっかり寝て、朝は早く起きる」、「食事は3回、1日30品目野菜中心の献立で」などといった生活習慣を見直し、そこから体作りをしていくべきです。

早くに結果に辿りつくためには、そのことが一番大切なのです。目的のものに到達した後の子供とともに過ごしていく日々のことも考えると、それはとても重要なことであるからです。

もっと体の訴えに耳を傾けてください。自然に反して夜中に行動することよりも、きっと自然とともに生きていくことを望んでいるはずです。

胃を整えて

37歳Tさん。5年経っても恵まれないので、ご夫婦で不妊治療を受けようと検査をされたのですが、西洋医学的には特に問題はありませんでした。

問題は、「疲れやすく」、「肩こりが酷く」、「寝つきも悪く」、「胃も弱い」などの症状を持つご主人のTさんの方に原因があるのではないかということで、奥様がご主人Tさんの相談票を記入し、ネットにて相談をされました。

Tさんの症状はたくさんあり、ご本人も家族も大変だと思われます。

「気虚症状」の 「疲れやすい」「体がいつもだるい」「衰弱」など
「肝郁症状」の「イライラする」「気分が沈む」「眠れない」「寝つきがよくない」など
「肝血虚症状」の「涙が良く出る」「視力減退」「眼のかすみ」など
「腎虚症状」の 「体がほてる」「汗」「尿が近い」「耳鳴り」「腰痛」「夢を見る」「眠りが浅い」など
「肝脾不和症状」の 「胃が弱い」「食後のゲップ」「胸焼け」「心下痞」「昼間なまあくびがでる」「下痢」「歯槽膿漏」「口内炎」など

たくさんの不調がありますが、まずは「肝脾不和」を改善し、胃を元気にすることが大切です。

胃が元気でないと「胃の気」が低下し、結果的に先天の気の「腎」の力も弱ってきます。「腎」が生命力を養う大切な経絡で、特に生殖器系に深く関係しているところです。男性に限らず女性も不妊で悩む人は、生命力の源である「腎経」を補っていく必要があります。

Tさんの場合は、「腎」を補うことも必要ですが、胃腸が働いていないと大切なお薬も吸収することができず、その効き目も半減してしまいます。

そこで、「肝脾不和改善」と「補腎のため」に「半夏瀉心湯」と「参馬補腎丸」をオススメしました。それらを併用することで、胃腸の血行がよくなり機能が回復し、併せて補腎されることで、様々な症状が少しずつ改善していくことでしょう。

よく2~3種類の漢方薬を症状に合わせておすすめすると、その効能書きを読み「自分には関係ない症状だから要らない」と判断され、片方だけのお薬を選ばれることが多くあります。

しかし漢方薬は生薬も単味よりも複数のものを混ぜてその相互作用を利用するように、より効果があがるように複数のお薬を混ぜたりします。また記入されている効能書きは代表的なものしか記すことができず、その中の生薬の何がどんな風に作用するので、それに効くのかといったことは記入されていません。

従って、生薬そのものの働きを利用して症状に合わせて処方することが多く、効能書きからはかけ離れた使い方をすることの方が多いのです。

数種類おすすめするのは、それぞれの働きを相互に利用したいからで、どれも改善には必要なものなのです。できれば数種おすすめしたものは、併用され使われるのが良いです。

周期11日目の出血

月経期でもないのに「出血」が起こる「不正出血」は不可解なものです。一体何が起こっていて出血しているのか、心配になります。そんな時に、基礎体温表をつけていると、何が原因で出血が起こったのかが大体わかり安心します。

33歳Kさん。「周期11日目で出血しているのですが、どうしたら良いでしょう?お薬はそのまま飲んでも良いでしょうか?」との問合せ。

しかしKさんは基礎体温表をつけておられないので、どんな状況下で出血したのかが把握することができず、通常であれば黄体(高温)期になる3~4日後が過ぎたもう少しの期間、様子をみてもらうことにしました。Kさんは基礎体温をつけることがストレスになるためにつけておられませんが、この様な通常でないことが起こったときに、少し不便な上に心配が募ってしまいます。

基礎体温表をつけていた場合の「周期11日目の出血」の分析は、以下のようになります。

①卵胞(低温)期であった場合は、卵胞(低温)期の不正出血となります

②排卵期の出血なら排卵期出血になります

③黄体(高温)期なのに体温がガクッと下がってしまったときの出血なら、ホルモンのアンバランスによる不正出血です

④黄体(高温)期の体温が37度を越えるような高い中での出血なら、血熱による不正出血です

⑤月経期の延長上の出血なら、月経期排泄不充分による不正出血です

⑥過度の疲労やストレスがかかった後の出血なら、体調を崩したことが原因の不正出血です

その量や期間にも寄りますが、月経血の排泄不足による不正出血の⑤以外は、排泄を促す漢方薬ではなく、止血や補気作用のあるものを使用することになります。また統血作用が弱っていることも多くみられるために、「脾」を補うものを併せて使っていきます。

どの漢方薬を使うかは卵胞(低温)期や黄体(高温)期によって異なってきますので、その症状が起こった時が周期のどこに当るのか、を知ることができていれば早くに対処することができるのです。

妊娠や出産を望んでおられない人でも、もし不正出血などの症状がみられる場合は、是非基礎体温表をつけてみてください。原因がわかり、安心することができます。

もう8ヶ月

36歳Mさんから可愛いGくんの顔写真入りのお便りが届きました。

写真の画面にはおもちゃを握り締めたGくんの元気な姿が写っていました。写真はMさんの家のある一部分を切り取ったものですが、そこからは家全体に広がり包まれる明るさや、笑い、声が聞こえ、十分にMさんの幸せが伝わってくるものでした。

Mさんは25歳までは順調に月経が来ていたのが、25歳を過ぎた頃から徐々にその量が減り、周期も早まるようになってきました。3年前に体調を崩したことがきっかけで、月経が半年以上もない日が続き、その後は一定の周期で来朝することがなくなっていました。

Mさんが漢方の道を進み始めたのは一昨年の春。その年の2月からまた月経がない日々を過ごしていた時でした。その頃、病院からは黄体ホルモンの「ノアルテン」を処方され、月経周期の調整がなされていました。また多嚢胞性卵巣であることも診断されていました。

ノアルテンを服用している関係で基礎体温は高めであったために、良い卵胞が育ちにくい状態であったこと、育っても多嚢胞性卵巣のために排卵が難しいこと、などが問題点であることが見て取れました。また、「立ちくらみ」「腰痛」「口渇」があり、下は「胖大」「薄白」であることから「気虚」「腎虚」などもあることがわかりました。

一昨年春から本格的にMさんの漢方薬による体質改善が行われました。

まずは周期を整えること、基礎体温を低くすること、に重点を置き、周期療法ではなく、全周期を通して漢方薬を服用しつつ改善するのを見ていくことにしました。使ったのは「トウシャン」「六味丸」「桂枝茯苓丸」「シベリア霊芝錠」など。

そして夏ごろには月経周期が27日ほどになってきていました。その頃より、漢方の処方は周期療法に変え、「クロミッド」と併用しながら周期を整え、卵の質を良くするように計っていきました。

そしてその秋。Gくんが宿ったのです!

11月末にはGくんの心臓の音が確認され、それ以降その心臓は鼓動を止めることなくGくんはこの世に無事に誕生したのでした。

あれからもう8ヶ月。

育児を楽しみながらふっと一昨年の春のことを思い出されたMさん。

「その頃は『不妊』という現実を受け止められず、『どうしよう』と考えてばかりいました。『漢方だけは珍しく真面目に毎日飲んでたね』と主人に言われ、半年という短い期間で妊娠できたのは、やっぱり漢方のおかげだなぁ、と本当にそう思います。」

と元気いっぱいのGくんの写真にメッセージが添えられていました。

幸せいっぱいのMさん。これからも人生山あり谷ありですが、Gくんの笑顔に会う日までの高い山も乗り越えてきたのですから、これからやってくる山も難なく乗り越えることができることでしょう。

子供を持つ幸せ

『「子供を持つことができる」ということが支えになり、辛い治療も耐えることができた』とがん治療を行った25歳Nさんは語ります。

抗がん剤などの影響で、不妊になっても妊娠できるように、がん治療を受ける前に卵子を採取し凍結する保存技術の進歩は著しく、融解後の卵子の生存率は95%を超えるようです。

しかし全ての患者が採卵できる条件が揃っているわけではなく、採卵までには1ヶ月弱の期間を要するために、病状が安定していることが必要です。そのためにがん治療前に卵子を採取・凍結することを断念する患者も多いようです。

そこで別の取り組みとして、放射線治療の際に、卵巣機能をできるだけ温存するために、卵巣の上に放射線を遮断する板を覆うなどする臨床研究も始められています。

そしてさらに、卵巣組織の一部を凍結保存して、がん治療終了後に凍結組織を患者にもどす方法で妊娠の機会を提供できるような治療もなされています。この方法であれば、卵巣はすぐに採取できるために諦めることもなく、がん治療後に自然妊娠する可能性もあるといわれています。

昨今、婦人科系のがん患者が急増しています。乳がんの発症率も30歳以下で増加しているといいます。乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えるピンクリボンキャンペーンなどの活動により、早期がん治療の成果が上がっている一方で、その後の不妊対策も同時に取り組んでいかなければならないと考えます。

しかし一番大切なことは「がん」などの病名がつく前に「未病」の治療をすすめていくこと。「未病」は病気になっていない状態を現すのではなく、「未だ病にならず」という意味で、もう既に体の中では経絡的にバランスが崩れている状態なのです。

その状態を発見し治療をすすめ、「病」にならないようにするのが「東洋医学」の強い部分です。西洋医学では何ら病名がつかない状態で、治療の方法もありません。是非、「未病」を早期に発見し、漢方薬もしくは鍼灸などで治療をされることをおすすめします。

「子供をお腹の中で育てそして産む幸せ」は女性の特権です。どんな時も諦めないで、しかし焦らないで、その幸せを掴みましょう。