驚きの中で

まだまだ暑い日が続いていますが、暦のうえでは秋が訪れるという「立秋」の日に、秋風のように爽やかにある便りが届きました。

「おめでたですよ。」

「え?」

映し出されたエコーの映像には子宮内に2cmほどの小さな命が確かに存在することが見えたのです。

「ここが頭でこれが胎盤となるところ、ほらっ、ここに小さく拍動する心臓が見えるでしょう。心拍がちゃんと確認されましたよ。元気に育ってますよ。」

「ほんとですね・・・!赤ちゃんなんですね・・・。」

Tさんは今回もホルモン値がガタガタで、またピルにより生理を起こす治療を始めないとならないと暗い気持ちで受診をしたものですから、意外な結果に驚きが先にたち、まだ信じられない様子。

産婦人科の先生も思わぬ結果にびっくりしているご様子。

「全然実感ないでしょう、こんなもんですよ。ほんとに良かったですね!」

思い起こせば昨年春、同病院にて子宮筋腫の手術を受け、不妊の原因の1つを除去したその後はすぐにでも妊娠するかと期待に胸をふくらませていたものの、昨年秋から過度のストレスによるホルモンの崩れ。その崩れは坂を急速に駆け下りるように滑り落ちていくような状態でした。

婦宝当帰膠」「シベリア霊芝錠」「紅サージ」「冠元顆粒」「煎じ薬」「オリジン」・・・様々な漢方の力を借りてその修復を試みましたが、急降下の勢いを止めることはできず、結局ホルモン剤による治療に頼らざるを得なくなりました。

3周期ホルモン治療を行い、その後はまた漢方による「妊娠しやすい母体づくり」をしようと考えていたTさんでしたが、3周期後の血液検査が予期せぬ悪い値。秋の時点ほどの悪い数値ではありませんでしたが、決して「妊娠」という言葉につながるには良い状態ではありませんでした。

しかし「今周期はホルモン剤なしで少し様子をみたい」とのTさんの意向にて、今周期は漢方のみで調整することにしました。しかし予想通り低温期が続く日々。しかし根気よく「婦宝当帰膠」「杞菊地黄丸」「煎じパック」を飲み続けました。

基礎体温表は何ともいえない状態でしたので、生理がこないまま周期60日目を迎えた今日の日もまさかこんな驚きのことになるとは思っても見なかったことでした。

産婦人科の先生も今回もホルモン値を診るために血液検査をしようとされていた矢先でしたので、驚きと喜びを隠せないお顔で、

「教科書通りには行かないことはたくさんあるんですよ!ほんとに良かったです!」

とTさんと共に心から喜んでくださっているS先生にも感激です!

今どきこんな風に一緒に喜んでくださる医師がどれくらいいるでしょうか・・・?インフォームドコンセントが大切だと言われてから久しいのに、未だに治療内容もほとんど説明なしに質問をすると嫌な顔をし、溜息をつきながら簡単にしか説明しない医師はたくさんいます。忙しいことを理由にして説明を怠るのは賛成できないことです。

TさんはS先生に出会うまで、様々な病院を渡り歩いたと言います。でもここに来て、37歳にして、立派な心優しい先生に出会い、そして漢方でも素敵な先生に出会い、今まで自分を先生を信じ続けてきて良かった・・・!と言える日が来たことを幸せに感じ、感謝の気持ちを忘れずにいることでしょう。

今日でちょうど8週。小さな命の鼓動も確認でき、Tさんは何とも不思議な気持ちで帰路につきました。

まだ安定するまでには日にちがあります。もう少し漢方と共に過ごしていきましょうね。

ほんとに良かった!おめでとうございます!

器質的な問題でも

42歳Nさん。結婚は35歳の時。

その頃は仕事が楽しく、しばらく3年ほどは夫婦2人で楽しみ、その後子供を育てていく計画を立てていました。しかしそろそろと計画してから2年、兆しも見えないために40歳を目の前にして不妊検査に行きました。

検査結果では「高プロラクチン血症」という診断のみで、卵管も通っていることも確認され、その他の数値も正常範囲でした。しかし昨年、子宮腺筋と子宮筋腫が見つかったのです。子宮筋腫は子宮の外側に存在するために、妊娠には支障がないとのことだったので、今年に入り体外受精を行いました。

卵は受精もし分割もしたのですが、着床に至らず、残念な結果となりました。

そんなNさんが次に考えたのは、漢方薬を治療に取り入れる道でした。Nさんの症状よりその選んだ道は正解だと言えることでしょう。

もちろん年齢的なこともあるのですが、子宮腺筋症や子宮筋腫ができる体質やその子宮内環境は、決して着床しやすいものとは言えません。しかしだからと言って、Nさんにとってはそれらに対して西洋医学的には何も処置することがないのです。

それならその体質を改善し、子宮内の環境を良くするように漢方薬の力を借りるのが良い方法だと思えます。そして子宮内環境を整えながら、体外受精などに取り組めば分割した卵が着床しやすくなり、そのまま着床を維持し、妊娠が安定するようになることでしょう。

Nさんのように器質的な問題による不妊症の場合でも、諦めることはありません。「子宮内膜の改善」と「質の良い卵胞をつくること」ができるよう漢方薬の力を借りることで、我が子を手に抱くことに一歩一歩近づくことができるでしょう。

「子宮腺筋症」や「子宮筋腫」が体に存在するような体質は、「お血」「湿濁」が原因にあると捉えられます。またNさんの場合は全体的に体温が低いことより「腎陽虚」であることも伺えます。

そんなNさんに「妊娠しやすい母体づくり」のためにおすすめした漢方薬は、「婦宝当帰膠」「爽月宝」「水快宝」「参茸補血丸」「オリジン」です。

まだNさんは漢方薬を服用されることを検討中ですが、Nさんのように腺筋症を持ちながらこれらの漢方薬を服用して妊娠され、もうすぐ出産の日を迎えられるご夫婦がおられます。

Nさんにも是非同じ感動を味わってもらいたいです。

鬱と不安が

『「温胆湯」と「加味逍遥散」を1ヶ月間服用して、辛かった鬱と不安の症状が軽減しました!』

40歳Mさんからの嬉しいメールが届きました。

問い合わせをされた3ヶ月前、Mさんは半年以上前から生理が不順になると共に、不安・鬱・不眠・ほてり・耳鳴・めまいの症状が出始め、食欲も減退し動悸のような息苦しさを感じるようなこともありました。

しかしその症状が起こったきっかけや期間を考えると、少し漢方薬の力をかりれば早くに体調を取り戻せるような状態でした。ただこのまま何もせずに症状を持ちながら何年も経ったならば、体調はもう元のようには戻らなくなるかもしれません。

Mさんは早めに漢方薬に助けを求められたので、良かったのです!

Mさんの状態は、陰陽のバランスが崩れたために自律神経失調症のような症状が起こったり、脳からの卵巣への命令系が乱れてしまったことにより生理不順を引き起こすことになってしまったようです。

3ヶ月の期間で「温胆湯」「加味逍遥散」だけでなく、そのときの症状に合わせて「天王補心丹」「酸棗仁湯」「婦宝当帰膠」なども取り入れながらMさんの症状改善を計りました。

まずすぐに改善されたことは「生理の状態」です。生理の状態が良くなることにより、ホルモンのアンバランスにより起こっていた症状が改善され、精神的にも安定し自律神経の乱れも整うことが期待できます。2ヶ月の期間ではまだ自律神経の乱れが完全に整うまでには至らず、鬱や不安の症状や不眠などはありました。

そして3ヵ月をちょうど経った頃に、Mさんからの嬉しい便りが届いたのです。

完全に良い状態が安定するまではもう少し期間がかかるでしょうが、しばらく続けられると元気なMさんに戻ることができるでしょう。

40歳という年齢は、決して生理が不順になる年ではありません。ホルモンバランスが少し崩れたことによりまだ崩れてはいけない年齢のために、様々な症状が起きてしまいます。生理が不順になったな、と感じたらすぐに対処することをおすすめします。いつまでも美しく元気な女性であるために。

夏の味方!

「夏の養生と漢方」と題して第5回目のカルチャースクールの講座を行いました。

その中で暑い夏を過ごすために最適な漢方薬を紹介しました。その名は「生脈散(しょうみゃくさん)」です。

生脈散」の名は、「気を回復すれば全身に脈が充実する(生じる)」という働きを現し、心肺の気と津液を補う目的で用いられるものです。

つまり、発汗や肉体・精神的疲労(気陰の消耗)などに伴う倦怠感の改善に使用されますので、汗をかき過ぎたり、体力を消耗することによる夏ばての改善にぴったりです。

また夏に起こりやすい「心筋梗塞」「脳卒中」などの心臓・脳血管障害の予防にも最適です。

その昔、毛沢東主席が3度目の心筋梗塞を起こして危篤に陥ったときに、「生脈散」の静脈注射により甦った話は有名です。

その他、体外受精の際に、この「生脈散」を体外受精培地・体外発生培地に添加すると移植可能胚発生率が向上する可能性がある、という報告もあるとか・・・?その名前からそのことはありえる話のように思えますが、その信憑性は定かではありません。

夏ばてしていては進むべき仕事も計画もなかなか思うように進みません。甘酸っぱい中に苦味を少し含む味の「生脈散」を片手に、まだまだ続く暑い夏を乗り越えてください!

卒業?!

35歳Aさん。4歳の女の子のママです。2人目が欲しくて欲しくてAIHやIVFを繰り返すもののなかなか望むようには至らず、困り果てて次の手段として漢方薬を取り入れることを決意されました。

特にホルモン数値ではこれといった問題はなく、強いて言えばPMSがあるくらい。後は胃腸が弱めのためにすぐに口内炎ができるという体質がありました。

遠方にもかかわらず、店にまで訪ねて来られ、じっくり話をし納得の上で漢方薬を手にされ服用を始められたのは今年の4月でした。

自然周期のもとで人工授精を行う方法をとり、今回4回目のトライでした。今回が駄目であれば、次回からは誘発剤を使用しての治療が行われる予定となっていました。

ところが今日、2人目の赤ちゃんを授かったとの嬉しい便りが届きました!不妊治療の婦人科を晴れて卒業することができたのです!

漢方薬を服用し始めてから3ヶ月、早い結果でした。

『先生の「まずは3ヶ月」というお言葉も半信半疑でしたが、毎月私の状態に合わせたお薬を遠方まで送って頂けて、「赤ちゃんはきっと出来る」と信じられるようになりました。そして、服用開始からちょうど3ヶ月、赤ちゃんを授かることが出来ました。本当にありがとうございました。』

とのAさんの喜びの声。私達もその言葉にとても勇気付けられ、口元が綻ばずにはいられませんでした。

良かった、ほんとに良かった・・・。

まずは何事も信頼してもらうことが大切です。信頼してもらえるように対応しサポートしていくのが私達の役割です。それがあっての漢方の効き目です。これからもAさんが信じてくださり喜んでもらえたように、お子様を希望する多くの人達に同じような喜びを手にし、共に微笑むことができるよう努めていきます。

遠く離れてお顔が見えないと、少しのくい違いで信頼を失ったりトラブルが発生することもあります。言葉の言い回しにより違った意味に伝わってしまったりすることもあるでしょう。返答内容に疑問を感じたりした場合は、すぐにお尋ねください。夢が叶うまで多くの人達の力になりたいですから・・・。

Aさんに宿る新しい命は、もう8週を過ぎ、心拍も確認されています。

自分のお腹の中で違う命の鼓動を感じる・・・。とっても素敵なことで、これは女性だけの特権ですよね。

これからはAさんには「婦宝当帰膠」「衛益顆粒」「双料参茸丸」などの安胎薬をおすすめします。今までもAさんの高温期の処方には「衛益顆粒」が受精した卵を大事に維持するために含まれていました。今から服用する「衛益顆粒」は鼓動を続ける小さな命を守るために必要となってくるものです。

不妊治療の婦人科は卒業されたけれども漢方薬はもう少しお付き合いくださいね。かけがえのない命のためにも自分のためにも・・・。

曼陀羅華

夏の暑さをふっと忘れさせてくれる「朝顔」。ただ咲くのはほんの少しの時間だけ。そのはかなさゆえにより美しく目に映るのかもしれません。

「朝顔」の中でも長い漏斗状の形をした長さ10cmほどの大きく白い花を咲かせる「朝鮮朝顔」が咲きました。その咲いた姿をカメラにおさめようと待ち構えていたのに、いつの間にかその花は静かに咲き、また静かにその花びらを閉じてしまいました。

別名「曼陀羅華(まんだらげ)。」

それは鎮痛、鎮痙、咳止めに良いようですが、葉も種子も猛毒を持っていますので使用できません。有名なのは華岡青州がその葉を麻酔薬として利用し、世界で始めて乳がんの全身麻酔による外科手術を成功させたことです。

華岡青州が全身麻酔で使用したのは「通仙散」という処方です。

その処方には「曼陀羅華(チョウセンアサガオ)」「草烏頭(ヤマトリカブト)」「ビャクシ」「当帰」「川きゅう」が含まれていました。

しかしそれを使用しての成功に至るまでには、薬効を確かめる台となった母の死、妻の失明があったことは皆が知るところです。

今では全身麻酔も部分麻酔も思い通り操ることができるようになりました。体外受精のステップでも採卵時に麻酔が使用されます。しかし「麻酔」はあくまでも神経を麻痺させるものですので、できれば使用したくないものですよね。また採卵針を卵巣に刺しますので、その回数の度に東洋医学で言う「お血」が生じてしまいます。

とても敏感なBさんの話では、部分麻酔をして以来極度の冷え性になったとか。

何でも自然に過ごせるものであれば、自然のままでいきたいものです。そういう意味ではまだ化学物質から作成された現代の麻酔よりも、華岡青洲の生薬の麻酔の方が自然で良かったのかもしれませんね・・・?

妊娠中の婦宝当帰膠

35歳Tさん。5年前に妊娠した際、10週目の検診で繋留流産であることがわかりました。

その後、手術を行いましたが、一部組織が子宮内に残っていたのでしょう、腹痛と多量の出血により、体調を崩してしまいました。繋留流産を放置しておいた場合にも、この様なことが起こり危険です。Tさんの場合は、手術をしたにも関わらず、結果的に同じようなことが起きてしまったようです。

今回2回目の妊娠。5年前に崩した体調がようやく戻ったのです。

現在は前回の10週にはまだ満たない6週目。5年経ってやっと授かった命。今回こそは前回のようなことのないように、しっかりお腹の中で育てていきたい・・・!

Tさんは、妊娠継続と安胎の漢方薬を求めて問い合わせをされました。

漢方薬は流産予防の目的でその昔から使われ、実績もあり安全なものです。妊娠中も出産後も問題なく服用できるのが漢方薬です。しかし妊娠された際には定量を加減して使用することが多いものですので、妊娠前から服用されている場合は、処方された漢方医に必ず相談してください。

Tさんの場合、養血・安胎と「気」を補い流産を予防し消化機能を丈夫にするために「婦宝当帰膠」「補中益気丸」を併せて服用するのが良いです。

まずは前回のハードルである10週を超え、今回こそは挙児まで行けるように、私達も応援していきます!

認めること

会社では部下を育てることに苦労している上司が多くいます。

怒り戒めることで伸びていく教育は、今では少し時代遅れかもしれません。少し前の企業では上司や役員は絶対的なもので、その人達の言うように自分も合わせ、仕事を行っていくことが多かったものですが、今はそうではないようです。そのために、優秀な人材がやる気を失い、気が付くと自社から居なくなり他社へと移ってしまっているということが往々にして起こっています。

他社でも同様な仕事内容なのになぜ・・・?

これは部下の良いところをうまく伸ばし成長させ、それをいかに遣り甲斐へと導くことができるか、の違いなのです。いくら給料が良くても遣り甲斐のない仕事には魅力がありません。楽しく行え、共に成長していけるような環境であれば、仕事が少々大変でも乗り越えていけるものです。

そしてこのことは子供を育てるときにも言えることです。

頭ごなしに怒って戒めるだけではそれを行うことが嫌になってしまいます。嫌々行うと、そこからは想像力もなにも生まれてきません。

そうではなく、子供がある行動ができたことに対して「認めてあげる」ことにより嬉しくなり、それをすることが楽しくなってくるようにするこが大切なのです。そしてそうすることで、また望ましいと思われる行動を自ら進んで行うようになるのです。「認められること」は結果的に「ほめられたこと」になり、もっと認めてもらおうと努力するのです。

人間は自分が行ったことが認められると嬉しいものです。もちろんその行為が間違ったことであれば、認めることはできませんが、それが正しく成長していく過程のものであれば、それに気づき認めることは人を子供を成長させるためには大切なことなのです。

誤りばかりを指摘しているだけでは、出た芽を摘むことにもなりかねません。人を子供を成長させ、想像力豊かにさせるためには出た芽はそのまま伸ばしてあげることを考えてください。規格通りに成長しなくても良いのです。少し外れた方向に芽が向かったと感じても、もう少し伸びるまで見守ることも大切です。

放任するのではなくあくまでも見守りながら要所で「認めること」が必要です。

赤い豆の力

土用の入りには「あずき」を食べると良い、とされています。なぜ「あずき」なのでしょうか?

その歴史は徳川時代にさかのぼります。

もともとは公家の間では芋の葉を煮出した味噌汁に餅だんごを入れ、土用の入りの日に食べると暑気あたりをしないという風習がありました。それが徳川時代の中頃から餅をあずきの餡にて包んだものを食べることにより、夏季の悪病災難を退けていたようです。

そして今では「あんころ餅を食べて暑さに負けないように祈願する」という風習になったのです。

土用の丑の日に鰻を食べるという風習ができたのは、その後の江戸時代のこと。それも平賀源内の提案によるもので、「鰻を売れるように」との販売戦略だったのです。よくその働きを考えてみると、暑気払いに最適なのは、「鰻」より「あずき」なのかもしれません。

よく外国の人が日本人が土用の丑の日のこの上なく暑い日に脂ギッシュな鰻を頬張っている姿を見て「暑さで胃腸が弱っている時になぜこんなものを食べられるのか?!」と言ってギョッとしているという話をよく耳にします。その光景が奇怪なものと映るようです。確かに言われてみればそうです。食欲のないときにこんな脂ギッシュなものが食べられるのか・・・?

それを考えると「あずき」はこの時期に食べるものとしては理にかなっているのです。

季節の変わり目の土用のときには胃腸がバテてしまっています。その胃腸を強めてくれるのが「あずき」なのです。

その効能である「清熱燥湿」「利水消腫」作用により、暑く火照った体を冷まし、夏の湿気でむくんでだるくなった体を元気付けてくれます。また色が「赤」であることもこの時期に良いことで、東洋医学の五行説では夏は「赤」に当てはまり、その赤に相当しその時期に弱る「心」と「小腸」を強めてくれるのです。

漢方でも「浮腫」には「赤小豆(あずき)」を使用し鯉と一緒に煮込んだ「赤小豆鯉魚湯」としても使用されています。

またその働きを知っている人達は、民間療法として「浮腫」や「母乳の出が悪いとき」「便秘」「二日酔い」には、茹でた「あずき」を使用しています。この民間療法は私達も良く利用し、湿気による「便秘」を解消するのによく指導しています。

小さな赤い豆ですが、偉大な力を持っていて昔から意味あって季節に合わせて食べられていたのです。是非暑気払いにお試しください。

1つの区切り

「AIHを明日するんですよ。」

そう言われた30歳Oさんの脈はアップアップ状態!何かにむりやり身体を動かされているような感じを受けました。

もともとOさんは生理不順で、放っておいたら自力では3ヶ月に1回の割合で生理がくる周期です。病院での診断は多嚢胞性卵巣。いくつもの卵胞がひしめき合い、なかなか1つのものが主席卵胞になってくれず排卵を渋っている状態です。

今までは排卵促進剤により排卵する力を借り、タイミングを合わせて様子をみてきました。それを約1年間続け、3ヶ月前より排卵促進剤に加え、様々なホルモン剤を使用しての療法が加わり、タイミングを取るような治療に変わりました。

その頃からOさんの身体に明らかに変化が現れたのです。もともとぽちゃっとした体系ではあったものの、少し運動すれば戻っていたのがここ3ヶ月で約10Kgほど一気に増量し、ちっとも痩せなくなってしまったのです。

困り果てたOさんは鍼灸の力を借りて新陳代謝をあげることと、不妊の改善をしたいと治療を求めて来られました。

しかし基本的に排卵から高温期の時期は黄体ホルモンが多くなり、どちらかと言えばエネルギーを蓄え代謝が悪くなる時期に入るのです。Oさんが来院されたのはちょうど高温期前です。昨日に排卵誘発剤を投与したといわれましたので、これからはもっと痩せにくい時期に入ってしまいます。しかもその後はAIHが行われ、hcg注射が行われる予定です。

その予定から考えると代謝を上げる治療は、今回AIHがうまくいかなかった時の後に行うことになります。もしうまくいった場合は、妊娠成立し安定期になった後から自己管理により行ってもらうことになります。その時には無理やりのホルモン治療から脱出しているはずですので、以前のようにコントロールしやすい身体に戻っているはずでしょう。

今回はAIHが成功するように、卵胞の育ちを良くすることと、受精そして妊娠継続のための治療を行うことになりました。

しかし身体から発するメッセージは「もう大変!」というもの。要するにあまりにも薬を使いすぎて身体はヘトヘトになってしまっているのです。可愛そうですが、Oさんも今回の初めてのAIHを区切りとして、しばらく治療をお休みしようと考えておられましたので、今周期はもう少しだけ身体にがんばってもらうことにしました。

それから2週間後、「今のところ薬にて高温期が続いているけど、お腹の感じから明日くらいに生理が来そうです」とOさん。

脈は・・・?!

やはり頑張ってます!しかし前回と違って着床を持続しようと頑張っているようでした。もっと頑張って・・・!

Oさんは不妊治療の区切りとしてAHIをとりあえず行ってみたようですが、とりあえずではなくせっかくなので、成功してしっかり育って欲しいものです!しかしのんびり派のOさんは、「いいんですよ、今回は~!」なんて明るく微笑んでおられました。

ただそんなOさんの気持ちとは裏腹に身体は必死になって頑張っていましたので、治療する側としてはそれを応援してあげないとなりません。妊娠継続の治療を行い、明日の運命の日を待ってもらうことにしました。

もし今回駄目であったら病院での治療は全てストップするようですので、その間に今まで薬で崩してしまった身体を取り戻すためにも是非とも漢方薬の力を借りたいとOさんは考えているようでした。駄目にならなくても、今まで崩してしまった身体を労わって欲しいものです。

お腹の赤ちゃんと共に元気になって、出産も子育てもスムーズに行くように応援していきたいです。