さくらんぼ

6月末から出荷が始まっている「さくらんぼ」。やっぱり山形の「さくらんぼ」は飛びぬけて美味しい!ですよね。

その赤くツルツル光った宝石のような「さくらんぼ」は、実は女性にとってとても嬉しい作用のある果物なのです。

「さくらんぼ」には特に女性に必要な鉄分がたっぷり含まれています。その他カロチン、カリウム、食物繊維、ビタミンB1・B2・Cも含まれることと、身体を温めながら湿気を取り除く作用などにより、「貧血」や「疲労回復」「冷え性」に効果的です。

「カロチン」は疲れ目や肌荒れを予防し、病気の早期回復に役立ちます。また「カリウム」が「ナトリウム」との拮抗作用により利尿作用を発揮し、むくみを解消してくれます。

食べあわせとして良いものは、疲労回復・貧血改善には「ナツメ(大棗)」「黒糖」など、神経痛の改善には「酒」「ハトムギ(ヨクイニン)」など、美肌効果には「ヨーグルト」「レモン」など、むくみ解消には「あずき」「すいか」「ハトムギ(ヨクイニン)」など。

食べるときは生が一番その宝石のような果物を楽しむことができますが、長持ちしないので楽しむ期間が限られてしまいます。

そこで、毎日少しずつ食べたいときにおすすめしたいのは「さくらんぼ酒」です。もしお酒が苦手な人なら「さくらんぼのコンポート」を作っておいても良いでしょう。

<<さくらんぼ酒>>・・・元気のないときに飲んでも良いです!

*材料: さくらんぼ・・・1Kg、氷砂糖・・・150g、焼酎・・・1.8ℓ

*作り方: さくらんぼは洗って水気を拭き、保存瓶に入れる。氷砂糖を加え、焼酎を注ぎ3~6ヶ月保存すると出来上がり!

<<さくらんぼのコンポート>>

*材料 さくらんぼ・・・150g、水・・・400cc、氷砂糖・・・80g、ミントの葉・・・少々

*鍋に水、氷砂糖を入れ、火にかけて氷砂糖を溶かす。さくらんぼを入れ、弱火で2~3分ほど煮てミントを加え、火を止めて冷やすと出来上がり!

その季節に採れる野菜や果物を食べていると、身も心も元気になります!ただ同じものを同じ食べ方で食べていたら飽きてしまいますので、少し調理に工夫をして食べると良いですね。

その季節の食べ物からその季節そして次の季節をうまく元気に過ごしていけるような「気」を貰うことができます。この季節、宝石のような「さくらんぼ」から女性として美しく輝く「気」を貰いましょう。

金と銀

その葉が寒い冬でも耐え忍んで枯れないことから「忍冬」と言われる「スイカズラ」。

またその花が咲き始めたときは「白」であるのにそのうちに「黄」に変化することから「金銀花」という名もあります。今その花が咲いています。

甘い香りが漂い、素敵な名前を持つお花。中国ではその昔から茎や葉が忍冬という生薬名で用いられてきましたが、茎よりも金と銀の花のほうが「解表・清熱・解毒」の効能に優れていることから近年では花の部分を使用しています。

主にその解毒作用を利用して、化膿性疾患に用いられます。乳腺炎、ヨウ・セツなどのおできには「ケイガイ」「防風」「桔梗」などと配合した「ケイ防敗毒散」、膿性の臭いのある帯下には「当帰」「川きゅう」などと配合した「八味帯下方」などがあります。

また消炎作用を利用して、風邪時の発熱・頭痛・咽喉痛には「ケイガイ」「連翹」「薄荷」などと配合した「銀翹散」がよく使われます。

この「金銀花」をベースとし「蒲公英」「紫花地丁」「野菊花」などの清熱・解毒作用のある生薬と配合したものが商品化されようとしていますが、これは熱をもったニキビや皮膚の症状改善のために使用される予定です。またそのような症状ばかりでなく、周期療法でも少し熱があることで起こっている症状に対して、それを改善する目的で取り入れることができそうです。

香りも良く見るだけでも美しい金と銀の花は、昔も今もこれからも私たちの様々な症状を改善してくれる心強い花でもあるのです。

梅雨を快適に

今年は梅雨入りが遅く、その分梅雨明けも遅くなるのでしょうか。予報では梅雨明けは早く短い梅雨になるようですが、最近の気候は常識範囲の予報が外れ、突拍子もない予想が当たったりするくらい激しく予報できないものとなってしまっています。今年の梅雨・夏はどうなることやら・・・。

さてこの梅雨の時期から夏そして夏の終わりにかけて、「ムシムシ」と湿気が多く、過ごしにくくなります。

外気に湿気が多くなると、体の中も湿気が多くなります。

そうすると湿気により「だるさ」「神経痛」「血行不良による肩こり」などの症状が出てきやすくなります。また街の至る所できき始めた冷房により、ますますだるさが増し、冷えを感じる頃でもあります。

だるかったり肩こりがあったり冷えていては体が完全でないために良い周期を迎えることができず、やる気も根気もなくなってしまうでしょう。

そこでそんな湿気や冷えも追い払ってしまうおすすめの薬膳料理を紹介しましょう!血をきれいにし、血行をよくし、身体を温め、むくみも解消、さらに美しい肌を作ってくれるうれしい「紅花ごはん」です。

★紅花(こうか)(薬味:辛、薬性:温)キク科のベニバナ科の管状花。
         血をきれいにし、冷え性、生理不順、更年期障害などに用います。
★薏苡(よくい)仁(にん)(薬味:甘、薬性:涼)イネ科のハトムギの成熟種子。はと麦としておなじみです。
         利尿、鎮痛、消炎作用などがあり、むくみ、いぼ、リウマチ、神経痛などに用います。
★枸杞子(くこし)(薬味:甘、薬性:平)ナス科のクコおよびナガバクコの果実。
         疲労、めまい、頭痛、糖尿などに用います。

<紅花ごはんの作り方>

* 材料(5~6人分)
● 生薬
 紅花 … 大さじ1
 薏苡仁 … 大さじ2
 枸杞子 … 大さじ2
● その他の材料
 もち米 … カップ2
 うるち米 … カップ2
 鶏肉 … 150g
 干ししいたけ … 2枚
 ねぎ … 1/2本
 酒 … 大さじ4
 サラダ油 … 大さじ4
 しょうゆ … 大さじ2
 みりん … 大さじ1
 塩 … 小さじ1

* 作り方
① もち米はといで一晩水につけておきます。うるち米は炊く30分~1時間前にとぎ、
  それぞれさるに上げ、水気を切っておきます。

② 薏苡仁はよく水洗いし、やわらかくゆでておきます。(圧力鍋だとすぐ軟らかくなります)

③ 紅花は茶漉しに入れて振り洗いをして細かいゴミを除き、水気を絞って酒につけておきます。(紅花の赤色が綺麗!)

④ 枸杞子はさっと洗って水気をきります。(そのまま食べても美味しい!)

⑤ 干ししいたけは水でもどし、軸を落として1cm角に切ります。鶏肉、たけのこ、ねぎも1cm角に切ります。(大きさを整えるのが見栄えが良くなる秘訣!)

⑥ 中華鍋にサラダ油を熱し、干ししいたけ、ねぎ、鶏肉、たけのこの順に加えて炒めます。
  肉の色が変わったら、もち米とうるち米を加えてさらに炒めます。
  米が熱くなってきたら、紅花を汁ごと加え、薏苡仁、枸杞子、水1カップ、Aの調味料を加えて炒めます。

⑦ 七分通り煮えたら、蒸し器にふきんを敷いてその上に移し、
  やや強めの中火で約30分蒸します。(蒸すのは邪魔くさいので蒸す前の段階で炊飯器に入れ、普通に炊いても美味しく炊けます!出来上がった紅花の赤色に色づいたごはんは、まるでサフランで色付けしたように美しく、食欲をそそられます!もちろん味も美味しいです!)

「紅花」「薏苡仁」はお茶に一緒に入れて煮出しでも美味しくいただけます。「枸杞子」は実としてそのまま食べても甘酸っぱくて美味しいものですので、サラダなどに入れても美味しいです。

是非「紅花」「薏苡仁」「枸杞子」の力で元気にこれからの「湿気の時期」を乗り切ってください。

効き目は同じ

今年度1年間、京都のJEUGIAカルチャースクールにて「やさしい漢方教室」と題して講座を行っています。毎月第1水曜日の午前です。今日は3回目。

1回目は漢方の基礎知識として、漢方全般の話を行い、2回目は食養生を中心に「気虚」「血虚」「お血」「気滞」など自分の身体に合わせた食事の選び方、日常の過ごし方について、そして3回目は「肩こり・頭痛」の漢方薬、それらに対する鍼灸治療のツボの選び方の講義を行いました。

受講している人達は、漢方に興味を持ち、健康に気をつかっている人達ばかり。講義を聴く姿勢はとても熱心で、一字一句を逃すまいと板書や言葉を書きとめられている姿には、講義をするこちら側も刺激されますます熱が入ってしまいます。気がつくと1時間半の講座時間をオーバーしてしまい、それでもまだまだ伝えたいことがたくさんあって困ってしまいます。

今後増える見込みの医療費の自己負担額。年金も望めないかもしれない将来設計。

体のことも含めて様々な今後の不安を解消するためにも、自分なりの予防医学を行っていこうと考える人達が増えています。そんな時代背景を現しているのか、この講座を受けている人達の熱心さや講座の人気の高さは想像を超えるものでした。

ここ何年かローライズのパンツの流行によりお腹や背中を出している女の子を良く見かけます。今年はショートパンツが流行っているようで、細い脚をヌッと出している女の子も多いです。

暑い夏の気候の中でならそのような格好は良いのですが、最近はどこへ行っても寒いくらいの冷房が効いていますので、そんな中でのその格好は、お腹や腰を冷やし、「冷え性」「生理痛」「生理不順」「不妊症」などになってしまいます。

後になって健康を取り戻すにはとても長い時間がかかります。原因を作る若いときから「予防医学」についての知識を身につけ、体に悪いことは極力避け、健康的な「美」を求めて欲しいと思います。

「鍼灸」など特に「高齢者の通うところ」というイメージがまだまだあるようですが、体のバランスが崩れてからまだそれほど期間の経っていない若い頃から経絡のバランスを整え、正常に戻していれば後に医療機関のお世話になることも少なくなります。

「東洋医学」はそういった予防医学の医療にとても強いものです。「未病」の治療とは「病」になっていないのを治すのではなく、西洋医学的な「病名」がつかなくても「病」になっている状態を治すことなのです。その治療方法は「漢方」でも「鍼灸」「指圧」「導引」「推拿」「マッサージ」でも病の原因を追究する「弁証」は同じで、効き目も同じです。

少しでも多くの人達に「東洋医学」の良さを伝え、早くから自分でできる予防医学を身につけ、自分にあった治療法を探し当てて欲しいと願っています。

疲労回復

ここ最近、ギラギラ日差しが照りつけ暑くなったり、突然涼しくなったり、激しく雨が降ったり、突風が吹いたり・・・、どうやら地球がおかしくなってきているようです。

今までは「地球温暖化」とそれに伴う異常気象を直接肌で感じることが少なかったために、人間はそれに対する危機感をあまり持っていなかったかもしれません。しかしここ最近は、実際に異常なことが起こりすぎています。

もともと人間は宇宙で生かされているものですから、宇宙に存在する地球の環境と共に生きなければならない存在です。春が来て暖かくなると、人間の身体も温かくなり、肌も柔らかく心も和やかになり、梅雨になると、天空もじめじめするように、人間の身体の中もじめじめしますので、だるくなったり疲れやすくなったりします。

本来は入梅してからそのような症状が出てくるのですが、ここ最近のおかしな気象により、「だるい」「疲れやすい」「風邪が治りきらない」「やる気がでない」などの症状が出ている人が多いようです。

人間を取り巻く天空がこんな状態ですから、そこに生かされている人間の調子が狂うのも当然でしょう。しかし体調だけでなく、精神面にもそれは影響し、最近の事件は耳を疑うようなものばかり起きています。悲しくなってきます。これから地球は、人間は、どうなっていくのでしょうか・・・?

そこで、ここ最近の天空の不調と身体が同調しないように、「疲れやすい」「だるい」などを是非解消して欲しいと思います。

よく不妊の周期療法を始めた人達が、「漢方を飲み始めてから朝がすっきり起きられるようになった」「疲れにくくなった」「夜がぐっすり眠れるようになった」といったことをよく言われます。不妊で悩む人の多くは「脾」の働きが弱っていて、「気」や「血」が不足しています。それらを調整するために「補中益気湯」「十全大補湯」「帰脾湯」などを使います。

周期療法では、個人個人に合わせて、何が不足しているのか、何が多すぎるのか、を判断した上で、漢方薬を調整していきますので、伝えていなかったはずの症状なのに漢方を服用しているうちに改善してくる、ということは良くあることです。

これが体質改善の根本治療で、東洋医学の強みなのです。

出ている症状や数値だけを追って治療を行っていても、それを受け入れる身体の中身が用意されていなければ、何もなりません!受け皿となる体質をある程度改善しておくことがとても大切なことなのです。

また「疲れやすい」という症状は、食事のバランスにも大きく関係しています。糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルがバランス良く摂れているか、今一度再確認してください。多くはそのバランスが崩れているときに「疲れやすい」という症状は起こります。

今旬の「えんどう豆」などの豆類は、胃腸の働きを整えてくれます。また水分代謝も高めますので「胃もたれ」「だるい」などの症状にも良く、疲労回復にとても役立ちます。

是非今が旬の「えんどう豆」にて疲れを取り、それでも力不足のときは少し漢方の力を借りて、この不安定な時期を乗り越えましょう。

思わせぶり

「思わせぶり」という花言葉を持つ「たんぽぽ」。

その黄色い花が勢い良く青い空に向かって咲く姿は、「思わせぶり」というよりもどちらかと言うと、真っ直ぐ素直なイメージの方が合っているように感じます。

この「たんぽぽ」に関することは今までにもいくつか紹介してきました。

「催乳薬」としての「たんぽぽ」。これが漢方としては一番知られているものです。

 http://www.tsudo-pre2mama.com/2006/04/post_0049.html

「乳腺炎の外用薬」としての「たんぽぽ」。これは中国の先生に教わったものですので、あまり知られていないかもしれません。

 http://www.tsudo-pre2mama.com/2007/02/post_4935.html

今回はもう少し詳しく「たんぽぽ」を紹介しましょう。

「 たんぽぽ」の全草には「利尿」「強壮」「緩下作用」があります。

特に「葉」と「根」には胆石、黄疸、リウマチ、毒消しに良いようです。生の葉にはビタミンA・C、鉄分、カリウムがたくさん含まれていますので、サラダやおひたしにして食べるとよいでしょう。

また胃潰瘍に生の葉をガムのように噛むと効果的だとか・・・。おそらく毒消しの働きを利用したものでしょう。

「根」は漢方でも「蒲公英根」の名で、「健胃」「浄血」「母乳分泌促進」の処方として使用されます。一般的にもノンカフェインコーヒーとして利用され、飲まれています。

また浴剤としても良く、「関節炎」などに効果的です。

季節に合わせて浴剤やお茶を変えてみるのも楽しいものです。今なら「たんぽぽ」「よもぎ」「どくだみ」などがちょうど新芽を出したところで良いでしょう。それらの野草を摘みながら、春の陽気をたくさん浴びるのもこの季節の良い養生法です。是非お試しください。春のパワーを貰って、元気になりますよ!

桂皮と桂枝

お菓子でも馴染みのある「シナモン」。「ニッキ」「ニッケイ」とも言い、ケーキや紅茶、京菓子の八ツ橋にも使用されています。これはクスノキ科の「桂」の木の皮を粉にしたものや皮そのままを使用したりします。生薬では「桂皮(肉桂)」として使用しています。

また「桂」の木の若枝は、「桂枝」といい、その働きは皮とは異なります。従って、その違いにより「桂皮」と「桂枝」は使い分けなければなりません。

中医師のK先生。日本に在住されていますが、本土中国の患者様の処方を時々電話にて指示されています。

昨年の夏のこと。

K先生は月経不順の患者様の処方を依頼され、その処方を中国の薬局に指示しました。その煎じ薬の中に、辛温解表の働きのある「桂枝」を入れ、その温通作用により経を通じさせることで月経不順の改善を計りました。

それから1ヵ月後。再度同じ患者様の処方の依頼を受け、前回の処方内容を確認したところ、「桂枝」のはずが「桂皮」として処方されていたことが判明したのです!

この夏の暑い時期に体内を温める働きのある(温裏薬)の「桂皮」を使用していたというのです!

「桂皮」を使用することで、ますます体内が暑くなり、体液が枯れ、余計に月経不順を招くことになります。

K先生は中国の薬局の誤りに即気づき、薬を修正させ、もう1ヶ月間、正しい処方で服用してもらったとのことでした。

たった1つの生薬でも、その量にも寄りますが、間違うことで全く違う作用をしてしまうことがあります。またその働きが正確でも複数の生薬を併せることで少し働きが異なるようになることもあります。どんなお薬でも自分で判断して服用したりしないように気をつけてください。

胃を整えて

37歳Tさん。5年経っても恵まれないので、ご夫婦で不妊治療を受けようと検査をされたのですが、西洋医学的には特に問題はありませんでした。

問題は、「疲れやすく」、「肩こりが酷く」、「寝つきも悪く」、「胃も弱い」などの症状を持つご主人のTさんの方に原因があるのではないかということで、奥様がご主人Tさんの相談票を記入し、ネットにて相談をされました。

Tさんの症状はたくさんあり、ご本人も家族も大変だと思われます。

「気虚症状」の 「疲れやすい」「体がいつもだるい」「衰弱」など
「肝郁症状」の「イライラする」「気分が沈む」「眠れない」「寝つきがよくない」など
「肝血虚症状」の「涙が良く出る」「視力減退」「眼のかすみ」など
「腎虚症状」の 「体がほてる」「汗」「尿が近い」「耳鳴り」「腰痛」「夢を見る」「眠りが浅い」など
「肝脾不和症状」の 「胃が弱い」「食後のゲップ」「胸焼け」「心下痞」「昼間なまあくびがでる」「下痢」「歯槽膿漏」「口内炎」など

たくさんの不調がありますが、まずは「肝脾不和」を改善し、胃を元気にすることが大切です。

胃が元気でないと「胃の気」が低下し、結果的に先天の気の「腎」の力も弱ってきます。「腎」が生命力を養う大切な経絡で、特に生殖器系に深く関係しているところです。男性に限らず女性も不妊で悩む人は、生命力の源である「腎経」を補っていく必要があります。

Tさんの場合は、「腎」を補うことも必要ですが、胃腸が働いていないと大切なお薬も吸収することができず、その効き目も半減してしまいます。

そこで、「肝脾不和改善」と「補腎のため」に「半夏瀉心湯」と「参馬補腎丸」をオススメしました。それらを併用することで、胃腸の血行がよくなり機能が回復し、併せて補腎されることで、様々な症状が少しずつ改善していくことでしょう。

よく2~3種類の漢方薬を症状に合わせておすすめすると、その効能書きを読み「自分には関係ない症状だから要らない」と判断され、片方だけのお薬を選ばれることが多くあります。

しかし漢方薬は生薬も単味よりも複数のものを混ぜてその相互作用を利用するように、より効果があがるように複数のお薬を混ぜたりします。また記入されている効能書きは代表的なものしか記すことができず、その中の生薬の何がどんな風に作用するので、それに効くのかといったことは記入されていません。

従って、生薬そのものの働きを利用して症状に合わせて処方することが多く、効能書きからはかけ離れた使い方をすることの方が多いのです。

数種類おすすめするのは、それぞれの働きを相互に利用したいからで、どれも改善には必要なものなのです。できれば数種おすすめしたものは、併用され使われるのが良いです。

補腎でまだまだ

あと何年かで50歳を迎えるUさん。

昨年までは病院の治療も漢方薬の周期療法もしっかり続けておられました。しかしどんどん変わっていく体、なかなかホルモン剤にも反応してくれなくなった体に、もう薬漬けの不妊治療は止めようと決意されたのです。

漢方薬に出会ったのは一昨年の終わり頃。漢方薬にもっと早くから出合っていれば、ここまで来ずにもっと変わっていたかもしれません。

しかしそれは結果論であって、早くに出会っていても同じことだったかもしれませんが、明らかに漢方薬に出会ってからUさんの体は元気を取り戻し、排卵期のおりものが増加するなど卵巣がしっかり働いてくれている指標となることが多く現れたのは事実です。

今年に入り、Uさんはもう治療を止めたと言えども急速に体が衰えていくのを黙って見ていることはせずに、自分なりに「漢方薬の補腎薬は飲み続けよう」と決め、「婦宝当帰膠」「杞菊地黄丸」「補陰湯」を続けておられます。

それから無排卵の月経が2度来潮。その状態に体温を見るのも測ることも嫌になり、基礎体温表をつけることを放棄。3月に入って世の中は冷え込んでいるのに自分自身が温かいことに気づき、思い出したように体温を測ったところどうやら高温期に入っている様子。しばらくその高温が続き、そして来潮。

もう卵が出来ることもそして排卵することも諦めていたUさん。きちんと排卵して高温期になり、正常な月経が来たことにとても幸せを感じたと言われました。

そうなのです!「高温期がある」ということは「きちんと排卵した」ということで、「排卵した」ということは「卵がきちんと出来ていた」ということであり、まだまだ女性ホルモンが出て、卵巣が働いているという証なのです!

まだまだ諦めることはありません!しっかり補腎をしていれば、これからも卵巣が働き卵ができることでしょう。いつまでも希望と夢は持ち続けてください。その夢は時期によっていろんな形に変わっていくでしょうが、夢を持ち続けることはとても大切なことです。Uさんの今の夢は何でしょうか?これからも夢に向かって輝くUさんでいてくださいね。

眼と肝と腎の関係

35歳Yさん。職場で今まで以上にパソコンを使う機会が増え、画面も大きく、デュアルディスプレイで仕事をこなしていかなくてはならなくなってから、だんだん遠くのものが霞んで見えるようになってきました。

今までなら夕方にそのような状態になっても寝て朝起きたら眼もすっきり、ばっちり遠くまで見えていたのが、最近は朝から遠くが霞むようになってきました。おまけに夕方の車の運転はかなり危ない状態になるほど、辺りが見えにくく、焦点が合わなくなってきてしまいました。

さらにパソコン機器に囲まれて電磁波の中で仕事をしているためか、その時期に責任ある仕事を任され、かなりの精神的ストレスがかかったためか、生理不順にもなってしまいました。

仕事をバリバリこなす一方、Yさんは妊娠も希望していたので、生理不順になることはこの上なく悲しい出来事だったのです!しかも昔から「眼が良いこと」が、視力の悪い人口が増えたこの現代では、唯一Yさんの自慢できる事柄だったのに、それが果敢なくもなくなってしまうかもしれない事態が起こっているのです!

これは何とかしないとなりません!Yさんはすがる思いで漢方薬を求めて来られました。

Yさんの中で起こっていることは「肝血不足」です。また「肝腎陰虚」もあるようです。

「肝」は眼を養うのですが、眼の使いすぎにより肝血が不足し、また仕事の残業により寝不足もあったことから「肝を養う時間」に就寝できていず、寝不足が「腎」をも弱らせてしまった結果、生理不順を引き起こしてしまったのです。

その治療には主に「滋補肝陰作用」のある「杞菊地黄丸」を使用し、併せて「婦宝当帰膠」による「補血・疏肝理気作用」により、何とか肝血を潤すように持って行かなければなりません。

周期に合わせてその他の漢方薬も組み合わせ、Yさんの症状の改善を計っていきました。

初めはあまり変化がわからなかったのが、3周期ほど続けた頃から徐々に変化が現れ始めました。

今まで卵胞期が長くなっていた生理不順の状態も、少しおりものが見えるようになってきて変化が現れてきました。それと同時に朝から眼が霞むこともなくなってきたのです。さらに夕方の焦点が合わなくなる症状もなくなりました。

要するに、水晶体や眼筋の働きが年齢のために衰えたのではなく、無理な眼の使いすぎやストレスにより「肝」「腎」にかなりの負担がかかったことが原因でそのような症状が出たのです。もちろんそのまま放っておくと、もう視力も元に戻らなくなってしまったでしょうから、Yさんが何もせずに過ごしていたら、原因は年齢ということになっていたことでしょう。

早めに「肝腎」の調整をして良かったですよね。まだしばらくYさんは、現代人の希少価値である「視力2.0」を掲げることができそうです。