自然に近いIVF?

体外受精(IVF)の際に受精卵を育てる新装置が東大グループにより開発されました。

IVFの過程で、採卵した後、受精卵を妊娠しやすい「胚盤胞」にまで育てることができる確率は、40~50%。それがこの開発された新装置で行えば、その確率は80%までにも上昇するという結果が得られました。

なぜそのように確率がアップしたのでしょうか・・・?

それはその培養方法が、自然妊娠と近い環境で受精卵を育てられるからのようです。新装置は、母体となる患者の子宮内膜の細胞を培養して、その中で受精卵を育てるために、自然妊娠のような環境が作ることができるといいます。

従来は培養液の中で育てられた受精卵は、その半分強は、胚盤胞にまで育たないために採取できる数が少なかった場合は、胚盤胞ができませんでした。しかし、この新装置を使用すれば、成功率が高いために、排卵誘発剤を使用し、卵巣に無理をかけたくさんの卵子を排卵させなくても良くなるかもしれません。

どんどん進む高度医療技術。

どんどん自然のものから遠ざかり、人工のもののみで作られてしまうことには抵抗を感じますが、人の手が入るけれども自然に近いものになるのであれば、進む技術を応援したいですよね。

65人に1人

「65人に1人」・・・さて何の数字でしょうか?

それは日本での統計で、新生児のうち体外受精で産まれた数です。

少子化対策としてどんどん技術が進んできた不妊治療。恵まれないカップルにとってその進歩は、大いに喜ぶべきことです。しかし、その裏側では、費用の面、倫理問題、安全性などまだまだ問題点は多くあり、結局その治療に踏み切れないカップルが多いのではないでしょうか。

一般的な不妊治療法には、次のようなものがあります。

★「タイミング法」 ・・・ 卵胞のチェックなどにより排卵期を予測し、指導が行われる

★「ホルモン療法」 ・・・ 卵胞の発育促進や排卵誘発の注射や服薬が行われる

★「人工授精(AIH)」 ・・・ 元気な精子を選び、子宮に入れる

★「体外受精(IVF)」 ・・・ 精子と卵子を取り出し、体外で受精させ、受精卵を2~3日培養してから子宮に戻す

★「胚盤胞移植」 ・・・ 体外受精と同じ過程だが、体外で受精卵を5~6日培養してから子宮に戻す

その中でも費用の面でも肉体的・精神的にもリスクを負う体外受精の成功率を上げるために、胚盤胞の技術が日に日に進んでいるようです。

ただ一度にいくつもの胚盤胞を子宮に戻すために、多胎妊娠が頻発してしまうことが難点です。

その辺は、まだまだ進歩が必要な分野でしょう。

また、体外受精をする際に、その取り出した卵子の質をあげることはなかなか出来ないことです。年齢と共にやはり質が少しずつ悪くなってしまう卵子。それを「質の良いもの」にするために、大いに手を貸してくれるのが漢方薬なのです。

西洋医学の高度技術と共に漢方薬の力を借りると、体外受精の成功率20%、胚盤胞の成功率30%のパーセンテージはもっと上がるはずです。せっかく大きな代償を払っての治療なのですから、早くに成功させたいですよね。是非漢方と共にお試しください。

着床前診断

やっと妊娠したのにまた流産・・・。

流産した時一番辛いのは、やはりママとなるはずだった当本人。なのに周りからは「養生が悪かったから」とか「何かしたのではないか」などと攻められることが多いものです。

それが何度も繰り返されると「私には育てる力がない」と自分を責め、落ち込むこともしばしば。

しかし流産する率は結構高いもので、妊娠した人の1割強にそれは起きることなのです。また流産を繰り返すと「習慣性流産」という名が付けられてしまいますが、だからと言って妊娠・出産できないわけではありません。

ただ、何度も流産を繰り返すと、心身ともに負担が大きいために、弱気になり、諦めてしまう人もいるようです。

そこで、今年の春、日本産婦人科学会は、遺伝子に問題があるために流産を繰り返してしまう率を低くするために、「着床前診断」(体外受精時の受精卵の遺伝子を調べる診断)を習慣性流産の患者にも適用されるように認めました。

受精したからと言ってその卵を無条件に戻すのではなく、流産しにくい受精卵を見極め、それを母体に戻すことができれば、流産する可能性は低くなるはずです。

もちろん、流産を繰り返す原因は、その遺伝子の異常ばかりではなく、母体の体質である「抗リン脂質抗体」ができてしまう自己免疫疾患、子宮の奇形、ホルモンの乱れなども関わっています。

何が原因となるのか、を突き止めれば、それに対する西洋医学的アプローチも漢方的アプローチも十分可能です。

今まででも「抗リン脂質抗体」ができる自己免疫疾患の人が、西洋薬と漢方薬を共に服用しながら妊娠約10ヶ月を乗り越え、無事出産された例は多くあります。西洋薬だけではその抗体ができるのを防ぐには少し力不足で、一方漢方薬だけでもその力は少し不足しているのです。この場合は、どちらも併せて治療を行っていくのが一番良い結果に繋がるように思えます。

是非、それぞれに合った治療法で、繰り返す流産を食い止めましょう!

漢方のおかげ

4月に体外受精(IVF)をし、それと同時に漢方を始めた41歳Sさん。

まずは「IVFの受精卵の着床と安胎のための漢方を服用すること」からSさんの漢方療法は始まりました。

その結果、初めての「妊娠陽性反応」、4月末には「心拍確認」と、トントンとステップを踏むことができました。

しかし、このままどんどんステップアップできるように見えたその歩みは、5月初めに止まることになりました。末広がりで縁起の良い数字のはずの「8週目」の出来事でした。

止まってしまった小さな命の成長は、Sさんに悲しみをもたらしましたが、今までここに至ることも経験できなかった初めての「その出来事」は、次の大きな命へと繋がる希望となったことは言うまでもありません。

掻爬手術後、子宮内を綺麗な状態に戻すために、次の月経まで「婦宝当帰膠」「冠元顆粒」「爽月宝」を続けてもらいました。

そして6月初め、生理が来たのです!今までなら毎月生理が来る度に落胆していましたが、今回の生理は待ちに待ったものでした。

産婦人科の医師からは、「今月はまだ生理は来ないでしょう」と言われていただけに、この早い快復にはSさんも心躍る気持ちでした。なぜなら、41歳のSさんにとって、ひと月ひと月が大切で、快復するのに時が掛かりすぎたり、元に戻らず傷ついたままになるなんて想像もしたくないことだからです。

生理が来て、体がリセットされましたが、まだ完全な快復まではあと2ヶ月は必要でしょう。あと2回生理を迎えたら、またステップを踏み出す計画です。

次は、「質の良い卵」のための漢方薬も服用しての「踏み出し」ですので、きっと「大きな命」へと繋がることでしょう。

今月からSさんの「大きな命」へ向けて、本格的な漢方による周期療法が始まります。進むべき道に光が差しているようです。

ドオルトン・プラノバール

「ドオルトン錠」と「プラノバール」は、「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」の配合薬で、いわゆる「ピル」と呼ばれる薬です。

もともとピルは「錠剤」という意味の英語で、通常は避妊目的で使用されているものです。それが「不妊治療」に使用されているというのが何だか不思議な気がしますが、使用目的が同じであるから異なる治療に使います。

その目的は、月経周期をコントロールすることです。一定期間服用し、子宮内膜を充実・維持させた後、服用を中止し、月経を起こさせるというものです。不妊治療の際には内膜が肥厚しだす高温期の初めから服用を続けることで、高温期を維持させ周期を整えるようにしていきます。

このような目的で使用される「ピル」ですが、問題点は「副作用」です。「吐き気」「嘔吐」「不正出血」などが主な症状ですが、もっと恐い副作用が「血栓症」です。

その発症は、タバコを吸う人に率が高いようですので、「ピル」を使用しているときは、タバコを避けたほうが良さそうですね。もちろん「不妊治療」をされている人には「タバコ」は避けてほしいものですが、どうしても止められない人で、「ピル」による治療をしている人は、危険です。是非止めてください。

一方、「ピル」の服用により、「子宮体がん」「卵巣がん」の発症率は下がるようです。しかしながら「乳がん」「子宮頚がん」は発症率が高まるようです。

どちらにせよ、ホルモン剤の治療をされている人は定期検査を受診するようにしてください。

不妊治療の漢方と鍼灸

現代の日本では、10組に1組が不妊症であると言われるようになりました。現代社会は「空気」も「水」も「食べ物」も「生活スタイル」も何もかもが不自然で質の悪いものになってしまっています。そのことが男女問わず「不妊」に繋がっているような気がしてなりません。

では失ったものを取り戻すにはどうしたら良いのでしょう?一度感じた「快適さ」をきっと人間は捨てることはできず、濁った水はなかなか透き通るところまではいかないでしょう。

しかし、人間の持つ生命力を蘇らすことは可能です。現代社会のストレスにもまれ、気も体も心もバランスを崩してしまい、「子孫を残す」という生命力をどこかへ置き忘れてしまっただけですから、取り戻すことは可能です。

しかも置き忘れてしまった年月が短ければ短いほど、取り戻すことのできる可能性は大きいものです。

器質的疾患を持つ人であれば、ある程度の西洋医学的治療も併せて行う必要がありますが、なんら問題のない人は、排卵誘発剤などの治療を何度も繰り返し行う前に、漢方や鍼灸の治療を受けられることをオススメしたいところです。

古典の中で「諸病源候論」などにも多くが記載されています。東洋医学では、妊娠に係わる経絡の「肝」「腎」「脾」「任」「衝」が乱れることに問題があると捉え、それらのバランスを整えるように治療を行います。

鍼灸治療では、その中でも骨盤内の臓器の調子を整える目的で「八髎穴」が使われる場合があります。そのツボを排卵前に使用していると、卵巣の機能を高め、卵の育ちが良くなったという症例が多く聞かれます。

実際に、「八髎穴に」限らず「鍼灸治療」がサイトカインや一酸化窒素酵素の上昇など骨盤内の血流増加に作用し、その結果、卵巣機能や子宮内環境の改善に寄与したというデータも出ています。

また、鍼灸治療は併せて心のケアもでき、肩こりや頭痛、腰痛などといったストレスの解消もしてくれます。

一方、漢方治療も「方」が異なるだけで目的は同じです。お薬を決める際にその人により合ったものを探すために、じっくりと話をします。服用中も何か疑問があれば、すぐに電話でもメールでも相談に乗ります。そこで心のケアができるのです。

しかも毎日服用しますので、薬の中に秘められた力を見つめながら服用することで、毎日が安心感で満たされます。

このように、心身ともにゆったりできれば、体の血流が良くなり、機能も回復し、もともとあるべきはずの「生命力」が蘇ること間違いなしです。

是非、自分に合った治療法を見つけて、「生命力」の漲った元気な体になりましょう!

次のステップのために

20歳初めから生理不順の治療で、あらゆる薬という薬を飲んだり注射したりしてきた33歳Uさん。28歳で結婚後は不妊治療で、またあらゆる治療法を経験されてきました。人工授精はもちろんのこと、体外受精は10回。

しかしこれと言った原因がないのに受精した卵が着床すらもしない状態。

これは体質改善をするべきだと今までの治療をストップし、漢方薬に切り替えてから半年、今まで自分の力では来たことがなかった生理が毎月来るようになりました。

そして1年経った頃、そろそろ「体外受精を考えてみては?」と言われたけれども、また薬漬けになる恐怖と採卵時の痛みなどのことを考えると、あまり乗り気にならず、とりあえず人工授精を行いました。

しかし結果は予想通り。

「何が原因なの?」

「主人との相性の問題???それなら諦めるしかないの?」

Uさんが行った検査の中で、唯一行っていないのが「腹腔鏡下検査」。内膜の癒着などをはじめ、お腹の中を覗くと、原因が不明だと言われた人でもほぼその原因が判明すると腹腔鏡の名医が言っています。

通常は、腹腔鏡下にて原因を追求する前に、結果が早くに出やすい「体外受精」を行うために、その原因を追求するために腹腔鏡下手術を行う人は稀のようです。

ただUさんの場合は反対で、体外受精を行っても結果がでない、のですから早くに本当の原因を追究しないとなりません。

Uさんは「次のステップ」として、腹腔鏡下手術にて原因を追求することに決めました。

今までどうしようか迷っていても行わなかったこの検査。今回それを決めた最大の理由は、その名医が行う腹腔鏡下手術は「お腹に新たな穴を開けないこと」、でした。多くの医師は、その手術の際にはお臍の下2cmほどのところを切開し、穴を開けますが、そこではお臍の奥の薄い膜を切開し、そこから腹腔鏡を入れるために、お腹に新たな穴が開かず、傷痕がつかないのです。

その医師は、日本で最初に腹腔鏡下手術の本を作成したメンバーで、その本を作った際に、お臍の下を切開するマニュアルを作成してしまったためにその方法が広がってしまい、申し訳ないことをした、と話していました。

もしUさんの腹腔に存在する子宮や卵巣に癒着などの問題があった場合は、他の器具も入れてその手術を行わないとなりませんが、何もする術のない結果となるのであれば、傷痕が残らないほうが断然良いわけです。

Uさんは今まで様々な病院を巡り、多くの医師と出会って来ましたが、良い医師に巡りあう運命のようで、今回もたまたま迷い込んできた情報により良い医師と巡りあい、なかなか決断に至らなかった検査の決意が出来たのです。

この決断がきっと良い結果へと結びつくことでしょう。原因がわかれば、また次のステップに進むことができます。その結果により、また漢方薬の処方も変わります。ゴールまであと、何段のステップでしょうか。何だかこれからトントンと上がっていけそうですよね。

漢方治療の良いところ

不妊や生理不順、更年期障害などの治療のために、婦人科で使用されるホルモン剤はたくさんあります。

大きく分けた分類でも「性ステロイドホルモン剤」「排卵誘発剤」「GnRHアゴニスト」「ドーパミン製剤」「甲状腺ホルモン剤」があります。こんなにも多くの種類があるかと思うほどのホルモン剤が用意されています。

そしてそれぞれを月経周期に合わせて「何を」「どのくらい」使用するか、は医師の「匙加減」に寄り異なり、「それが技術なのだ」とある婦人科医は言っています。この医師は、あらゆるホルモン剤を細かく使用していくことで、妊娠へと導いていくようです。

41歳Sさん。新しく掛かった婦人科医より「脳下垂体機能不全」であることが不妊の原因だ、と言われました。

今まではそのようなことを言われたことがなく、原因不明の不妊症だと思っていたのが、この病院で初めて病名がついたのです。

そこでSさんから「この病名がついたのですが、漢方薬は変わるのでしょうか?」との問い合わせ。

西洋医学では「脳下垂体機能不全」であれば、「FSH(卵胞刺激ホルモン)」や「PRL(乳汁分泌ホルモン)」「LH(黄体刺激ホルモン)」のどれのバランスが悪いかを血液検査でチェックし、それに対して「HMG剤:ヒュメゴン・パーゴナルなど」「抗PRL剤:テルロン・パーロデルなど」「HCG剤:ゴナトロピンなど」を投与することになります。

しかし漢方では、Sさんの不妊の原因はあらゆる症状や望診、舌診などより「腎虚」として捉えているために、その病名がついたからといって、漢方の処方を変えることはありません。

「腎」がしっかりすれば、先天の気が強くなると共に、体の生殖機能が回復し、結果として衰えてきた下垂体の機能も回復するのです。

どんな場合でもこれは言えることで、体のバランスが崩れたことで、機能が衰え、何かの症状が起きるわけですが、その「崩れたバランス」を整えるようにしていくことで全ての機能が回復していくものです。

「病気」を追うのではなく、「体全体のバランスの崩れ」を見つけ、それを改善していくように持って行くのが東洋医学であり、漢方治療です。従って、「病名」がつかなくても治療ができ、体を元気にすることができるのです。これからの予防医学には見逃せない治療法です。

焦らずに

34歳Nさん。

前周期の2月初めに初めての体外受精(IVF-ET)を行われました。今周期も行われる予定です。

ご結婚3年、卵管やその他の検査の問題なく、子宮筋腫はあるものの、豆粒大のものが2~3個あるのみで妊娠には問題ない、との診断を受けているのですが、妊娠までは至らず。西洋医学的治療にも限界を感じ、漢方薬をご希望で昨年4月に当店に問合せをされました。

Nさんのご友人が当店の漢方薬を服用され、体調が良くなったとのことを聞き、来店しにくい遠いところにお住まいですが、お問合せをくださいました。

「まずは3周期やってみよう」と体質改善の漢方薬を服用されていましたが、3周期目も何の変化もなく、いつも通り月経が訪れてしまったことに気落ちし、しばらく漢方薬をお休みされていました。

ご本人は「何の変化もない」と感じられてしまったかもしれませんが、徐々にですが、改善の変化は見られていたのです。しかし、それ以上にNさんの気落ちは大きかったのでしょう。こんなとき、もしNさんが近くにお住まいで会ってお話をすることができれば、体質改善のお薬の服用に間を空けてしまうことの「もったいなさ」を把握してもらうことができたのに、と思ってしまいます。

そして12月、再度Nさんよりまた漢方薬を服用したい、との連絡がありました。

しかし、その時は以前と違い、Nさんは体外受精を決意されていました。

体外受精を成功させるために、補助的に漢方薬を服用したい、とのことでした。

西洋医学的な治療のみで体外受精をされるよりも、漢方薬を服用されつつ行う方が、その成功率が高いことは確かなことです。当店でも体外受精のみをされていた人がそれだけでは成功せず、漢方薬を服用されて結果、成功された人が多くおられます。

従ってその見解から言えば、Nさんの判断は正しいことなのですが、Nさんの基礎体温表を見てみると、かなり波状がきつく、あまり良い状況ではなく、今この状態で体外受精をされるのはあまりおススメできないことだと思わるものでした。

しかしご本人の希望が強いため、前回、そして今回、体外受精に向けて、「シベリア霊芝錠」を中心とした「胚移植までの薬」「胚移植後の薬」をお勧めしました。

あと、1回チャレンジされてダメであれば、できることならば少し西洋医学的治療を休み、体調が整ってから再チャレンジしてほしいと思っています。まだそれほど焦る年齢でもありませんので、是非ゆったりと治療をしてほしいです。

もちろん、今回で成功されれば嬉しいことなのですが。

心落ち着くところ

41歳Yさん。

ご主人も子供が大好きで、早く子供が欲しいな、と思いながら、自然に時が流れるまま過ごされ、気がつくと、40歳が目の前に迫った歳になってしまっていました。

それを機会に、病院での検査をされたのですが、これといった問題点もなく、強いて言えば少しエストロゲンの値が低いことと、ヒューナーテストが少し良い結果でなかったことくらいでした。

人工受精を何回も試したけれども成功せず。いつも医師からは「卵の状態も良いですから、良い結果となるでしょう」と言われるために、いつも妊娠した気になり、しかしいつも生理が来て、がっくりする・・・、の繰り返し。

「やはり体質改善をしなければ」と思った2年前、ネットで検索した東京の漢方薬局へ問い合わせをされ、1年間、そこで処方された煎じ薬を服用していました。

京都にお住まいのYさんでしたが、わざわざ東京まで足を運び、体質の改善を望まれたのです。

そこでは、「お腹が硬いことが不妊の原因だ」と言われ、それを改善するためのお薬を処方されていたそうです。おそらく「お腹」というよりも、「子宮内膜がふかふかとした柔らかいものになる」ような処方だったのでしょう。

しかし、低温期の乱れは改善せず、嬉しい結果も得られないまま1年が経ってしまいました。

だんだんと焦りが出てきた1年前、新たにネットにて不妊治療を行っている漢方薬局を検索し、当店に辿りつかれたのです。

そしてまた新たな周期療法による漢方薬の治療が始まりました。

ただ「早く早く」と思うYさんの気持ちと、漢方薬による「長年に出来上がった体質の改善」が緩やかなスピードであるために、約1年間服用された昨年末にまた焦りが出てきました。

そして有名な婦人科医院の扉を叩かれたのです。

そこでYさんは「卵巣機能不全による不妊症」であると診断されたのでしょうか、「卵巣をしばらく休め、次の周期に良い卵が作れるようにしましょう」と言われ、「ノアルテン」の服用を指示されました。

「ノアルテン」は女性ホルモン薬です。

これは、女性ホルモンの不足やバランスのくずれで起こるいろいろな症状を改善するものですが、Yさんの場合は、少し月経周期は短いものの排卵は行われていて、周期の乱れもないにも関わらず、排卵を止め、いつもの周期では生理を来ないように調整されました。

いつも「自然にしたい」と願っていたYさんにとって、その治療は意に反するものでした。

一度はその治療にかけてみようかとも考えましたが、やはり意に反することはやりたくない、と迷いつつもまた別の婦人科医院の扉を叩きました。

そして、そこでは、Yさんの「なるべく自然のままでやりたい」という意向に沿った治療法で行ってくれること、を説明されました。やっと自分の留まる場所を見つけることができたのです。

これからは漢方薬にて体質改善をしつつ、誘発剤などを使用せずに自力で作った卵胞を採卵し、体外受精を計画されています。

Yさんは自分に合うものに辿りつくまでいろんな扉を叩き、途中で諦めることなく探し続けてこられました。その甲斐あって、ようやく心が落ち着く場所に辿りつき、不安が取り除かれ、新たな気持ちで治療に望むことができるようになったのです。

きっと近いうちにYさんは喜びを手にすることができるでしょう。

もし、今の治療に何か不安や疑問を持っている人は、Yさんのように諦めずに、是非「自分が信用でき安心できるところ」を見つけてください。心が落ち着かなければ良い結果は生まれないものです。