焦るけど・・・

「早くに子供が欲しい!」と焦れば焦るほど精神的に追い込まれ、ますますホルモンバランスが崩れてしまいます。見事にそれは基礎体温表に現れ、実際にホルモン数値も異常値を示します。

37歳Yさん。仕事は忙しくなり今まで以上にストレスがかかる上に、親からは顔を会わせる度に「まだ?」の声。Yさん本人も望んでいるのに可愛い我が子に会える日は遠く遠く感じられた今年2月。3ヵ月月経が来潮しないことをきっかけに、婦人科を受診。

そのホルモン検査でますます我が子が遠くなったことを知らされたのです。

昨年秋から「そろそろ」と漢方薬も本格的に周期療法を始め、毎日、陰を補う「煎じ薬」、腎陰や腎陽を補い、血を補い、血流を良くし、脾経を補い高温期を保つために「杞菊地黄丸」「紅サージ」「参馬補腎丸」「参茸補血丸」「帰脾錠」などをせっせと飲み続け、毎朝、基礎体温表と睨めっこをしていました。

ところが、12月頃から異変が起きたのです。異変を感じとったYさんは婦人科でホルモン検査を行いました。まさしく卵巣がアップアップしている状態が数値に出ていたのです。通常は10未満であるはずの、卵胞刺激ホルモンが75以上、15未満であるはずのプロラクチンが22以上でした。

しかしYさんは「自分の力を信じたい・・・!」その思いで、早くに良い卵胞が育つように亀板やべっ甲の入った陰を補う煎じ薬、プロラクチンのために「炒麦芽」・「晶三仙」、ストレス解消に「シベリア人参茶」などを3ヶ月続けてみました。

しかし基礎体温表は低温期のまま。変化することなく3ヶ月が経ちました。

そして再受診。ホルモン数値は今までになく最も悪い結果となっていました。卵巣が働かないために、卵胞刺激ホルモン(FSH)数値が90を示していました。

これは早くに卵巣を休ませる必要があります。Yさんの脳からの命令系のスイッチが誤作動してしまったようですので、早くに正しく作動するようにしないとこのまま閉経してしまうことになりかねません。

どうしてこんなことになってしまったのでしょう?!あまりにも焦る気持ちにストレスが重なったためでしょうか?!それもあるかもしれません。しかしそれだけではないでしょう。何が起こったのか、それはYさんの脳が知るのみで、婦人科医も、誰にも、Yさんですらわかりません。

まずは3周期、ピルを服用して卵巣を休ませることにしました。

Yさんはそれと同時に今まで頑張って服用していた漢方薬も、毎朝チェックしすぎるほどチェックしていた基礎体温も、全て休むことにしました。あまりにも全てのことがストレスになり過ぎていたようです。

そして身も心も休ませて3周期、再びホルモン検査を行いました。

結果、うなぎのぼりになっていた卵胞刺激ホルモン数値が14になっていました。10以上であれば、卵巣に負担がかかっている、という意味ですので、もう少し休める必要があるようですが、3ヶ月前と比べてかなりの改善です。

焦る気持ちはあるけれども、決して焦ってはいけない!焦れば焦るほど、また迷宮の不具合に身を投じることになってしまうのです。

今のYさんにとっては、もう1周期ピルを服用し、全てを休んで、頭も休めて、リ・スタートできるように心身ともに整えることが、一番の近道でしょう。

迷宮に入ってしまったかな、と感じた人は、是非そこから脱出する近道を見つけてください。もし見失ってしまった場合は、私達が近道を探すお手伝いをします!

力のある証拠

30歳Nさん。不妊治療は1年ほど。ホルモン検査ではプロラクチンが少し高めで多嚢胞卵巣気味と診断されていました。治療は排卵促進剤とhcgの注射によるものです。漢方薬は、「養命酒」を飲んだくらいで、しっかりと処方されたものを服用したことはありません。

33歳Cさん。子宮内膜症の症状が酷く、急激な下腹部痛により緊急手術を行い癒着を剥したようですが、全ては剥しきれず、その改善かつ妊娠希望で漢方薬を半年ほど服用されています。

43歳Oさん。そろそろ自力での初妊娠はタイムリミットかと考え、体外受精を行いました。今までOさんは病院での不妊治療を受けたことも漢方薬も服用したこともありません。

NさんもCさんもOさんも、その後妊娠発覚し、心拍まで確認されました。

初めて感じる何とも表現しがたい大きな喜び。「母になる」という夢の実現。急にお腹が愛しく感じられるその瞬間・・・!

しかし、それぞれ8週ほど経ったとき、心拍が停止してしまっていたというのです。ついこの間まで動いていた小さな心、宿っていた小さな命、はどこか静かに消え去ってしまったのです。出血など何もなく、とても静かに居なくなってしまいました。

束の間の喜び。しかし忘れられない母となった瞬間。あの感動をもう一度!

半年かけて漢方薬にて体を調整し、初めての妊娠となった今回、Cさんはまた新たなスタートを切ることを決意されました。

流産後初めて相談されたNさんは、今回の妊娠が発覚する前に既に漢方による体の調整を考え、問合せをしようとしていたところだったのです。今回は残念ながら流産をしてしまいましたが、妊娠できるという自信がつき、今度は小さな命が安心できるように、もっと元気な身体になって迎えたい!という思いがより強くなったようです。

体外受精が残念な結果となったOさん。しかし受精卵が着床し、心拍まで確認することができたのですから、まだまだ妊娠できる可能性があります。年齢的にも1周期1周期を大切にしていきたい!そのためにもより一層元気な母体つくりが大切です。

NさんもCさんもOさんも、今回は残念な結果となりましたが、「妊娠できる力がある」ということがこれで証明されたのです!これからも自信を持って、共に進んでいきましょう!

まだ早い

今年36歳になるAさん。結婚歴10年。もう8年近くも不妊治療を続けています。

生理は自力では来朝せず、カウフマン療法にて起こさないとなりません。先周期、排卵誘発剤を使ったにも関わらず排卵しなかったこと、とそれに対する婦人科医の言葉より、「もう諦めなさいということかな」とAさんは感じたと言われました。

そのような話は良く耳にします。

43歳のSさんも、医師より「もう卵ができないから諦めなさい」と言われたこと、45歳Tさんも、「両側の卵管がもう閉塞しているから無理です」と言われたこと、など。その後、漢方薬を飲み体質改善をされたSさんもTさんも卵が出来、体外受精をすることができました。Sさんの医師もTさんの医師もかなりびっくりしていたようです。

そんな例もたくさんあるように、まだ30代のAさんは尚更のこと、諦めるなんて早すぎることです!

確かに35歳を過ぎると高齢出産になり、東洋医学的にも身体は衰えてくる年齢となります。

しかし、人に寄って実際の年齢よりも若く見える人、年を取っているように見える人、が様々いるように、卵巣の年齢も実年齢とは異なるものです。元気な卵を作ることのできる若い卵巣があれば、妊娠・出産は可能なのです!

Aさんにも決して諦めずに前に向かって進んで欲しいものです。

自力で来潮しないために10年間ホルモン療法にて生理を起こしていた34歳Oさんも、2年前に漢方薬のみに切り替え、3周期後に自力で生理が来るようになりました。今は西洋医学的不妊治療は全て止め、自然周期での妊娠を希望し、漢方とともに挑戦されています。

まずは自分の身体の持つ力を信じて、漢方薬にて体調を整えることをおすすめしたいです。

8年近くもお薬に頼り不妊治療を続けてきたので、なかなかそれから離れられず、離れるにはかなりの勇気が必要かもしれません。しかしこのまま8年も続けた今の治療を続けても、同じことを繰り返すだけでしょう。路線を変更する最後のチャンスかもしれません!是非、ここで立ち止まって今一度考えてみてください。

兆しをどう変える?

穀物の成長を助ける雨の「穀雨」。この時期の天候は不安定で移り変わりやすく、頻繁に雨をもたらします。しかしこの温かい雨が新芽を育て成長させるので、木々にとっては大切な雨なのです。

自然と共に生かされている人間の体の中も同じように温かい雨と共に新芽が成長し、今まで眠っていた機能が蘇ってくる時期でもあります。

今年38歳を迎えるOさん。

自分は健康そのものだと信じていたOさんは、2年前に自分が鉄欠乏症貧血に陥っていること、そしてそれが着床障害となる子宮筋腫が存在していたこと、早発月経と思っていたのが実は不正出血だったこと、ホルモンバランスも乱れていること・・・などの現実を知らされ、即妊娠を望んでいた計画が崩れ去ってしまったのでした。

まずは第一歩を、と1年前子宮筋腫核摘出手術を行い、「筋腫を取った後は半年以内に妊娠する可能性が大きい」との一般論に希望を抱き、3ヶ月の療養後、期待をしていたのも束の間。

昨年末より仕事のストレスなのか、手術の影響なのか、ホルモンバランスが乱れ、FSH値が70を越えるほど高くなり、無月経になってしまったのです。

「何とか漢方薬で!」とのOさんの希望により3ヶ月間、「陰を補う煎じ薬」「冠元顆粒」「紅サージ」「炒麦芽」「晶三仙」「オリジン」などを組み合わせて調整していきましたが変化がなく、結局ピルにより卵巣を休める治療を行うことに決めたのでした。

Oさんの体は漢方薬の作用では追いつかないくらい、何か強い力で押しつぶされるかのようなアンバランスな状態になっていました。

こんなときは少しホルモン剤の力を借りる方が良いでしょう。しかし3ヶ月間服用した漢方薬が決して無駄だったとは言えず、本来であればこれだけアンバランスな状態になっていれば、様々な自覚症状が出ているはずであるのに、Oさん自身は以前と変わらず元気に過ごせていたというのですから、漢方の力も優れたものと言えるでしょう。

実際に漢方を休み、ピルを飲み始めてから今まで感じなかった「胸の張り感」が異様に感じられるようになったようです。

婦人科医より「3周期間、卵巣を休めましょう」と言われました。Oさんの夢見る計画は、また遠ざかってしまったように感じられました。しかし反対にそのまま放って置いたら、もっと遠ざかり、結局夢は夢で終わってしまったかもしれないことが、着々と治療が進み夢へと近づいているという解釈もできるでしょう。

今「3周期間」の3周期目です。

あるコラムに書いてあったことを思い出しました。

「兆し(きざし)」に「しんにょう」を付けて「逃げる」か、「てへん」を付けて「挑む(いどむ)」のか、それは心の持ちようで180度変わるのだ、と。

治療を行っていく中で立ちはだかる苦難や壁を前に、「もう止めよう」と逃げるよりも「よし!チャンスだ!できる限りやってみよう!」と挑めば、きっと道は開けてくるはずです。例え結果が追っていた夢に辿りつけなくても挑んだ思いは決して無駄になることなく違う夢を見つけることができるでしょう。

Oさんも次から次へと立ちはだかることにまだまだ挑んでいけるはず。3周期後に何が待っていようと強い意思を持ち続けて欲しいです。

穀雨のこの時期、着実に体調が良くなっていることを実感しているOさんの体の中でも新しい芽が育ち始めています。立夏が訪れる時期には、その芽がどう育っていくかがわかることでしょう。

卒業のとき

今日は月1回行っている不妊相談会の日。今日はいつもより人数が少なめでした。

いつもは溢れている待合室もそれほど混雑せず、待ち時間も少なく、じっくりと相談を進めることができました。

相談会としては人数が減ることは良くないことですが、人数が減ったのは妊娠された方が何人かおられたからなのです!嬉しい現象なのです!

妊娠して「不妊の相談会」を卒業したからではなく、妊娠発覚し悪阻などで気分が優れないから予約がキャンセルとなったのです。

これも嬉しいことで、「悪阻がある」ということは「赤ちゃんが元気に育っているという証」なので、悪阻はあっても良いのです。

反対に悪阻がないと赤ちゃんが育っていないのか、というと、そういうことではありませんが、もともと不妊症となるような体のバランスの少し崩れた人は悪阻の症状が重く出るのでしょうか、相談会に来られ妊娠された人達は、そのほとんどが悪阻の症状で妊娠初期は辛い思いをされてしまいます。

悪阻には「生姜汁」や「黄ごん」の煎じ液、場合によっては「衛益顆粒」、「健脾散」、「双料参茸丸」などをその症状に合わせておすすめします。

子宮腺筋症で手術をされ漢方薬を1年半以上服用された34歳Tさん、生理不順でクロミッド・ルトラールを服用しないと周期が整わなかったけれども1年3ヶ月ほどの漢方薬服用にて克服された32歳Aさん、多嚢胞性卵巣のホルモン治療をきっぱり止めて漢方薬だけで1年ほど服用された35歳Kさん、病院でもう諦めなさいと言われたけれども漢方薬を1年4ヶ月服用され体外受精を成功させた44歳Sさん・・・、みんなめでたく妊娠され、順調に小さな命が育っています。

今回来店できなかった人達も症状や経過を伺い、それに合わせて漢方薬をお送りしました。

早くに卒業したいけれども「卒業のとき」はもう少し先ですね。無事に出産まで赤ちゃん共々元気に過ごせるように願いをこめて、これからも応援していきます。

太ってきた?!

ホルモン治療をしていると、「太ってくる」と良く聞きます。ホルモンを使用することで、体のバランスが崩れる上に、太ってくるなんて最も使用したくないお薬ということになってしまいます。

しかしこれはホルモン剤のためだけで太るのではなく、それを服用することで、生理前症状のようなことが常よりも酷く起こるために過食や偏食になったりすることによることも多くあるのです。従って、全てが全て、ホルモン剤が悪いわけではないということなのです。

体外受精などを行う際には、ホルモン剤を使用します。それにより、起こるであろう症状を予測し、気持ちが不安定になる人には「シベリア人参茶」などを加えたり「シベリア霊芝錠」を必ず加え、なるべくホルモン剤が体に負担をかけないようにフォローをしていきます。

そのことにより、気持ちの安定が得られ、副作用も軽いために、あまり「太ってきた」という話は聞かないような気がします。

またホルモン剤を使用すると、様々な面で気血の流れが悪くなるために「お血」の症状が出てくることが多くあります。

それを改善するために「冠元顆粒」などを使用することで、その様な症状が出ることを回避できるために、「巡りが悪くなり太ってしまう」といった筋書きには当てはまらないのです。

いろんな場面で、活躍してくれる漢方薬。漢方薬で胃腸が元気になり、痩せすぎの人が標準になることがあっても、標準の人や太り気味の人が太りすぎになることはありません。あくまでも漢方薬は、健康体になるための手助けをするものです。

ホルモン剤を使用したことで、体調を崩したり、太ってしまった人は、是非この辺で漢方薬の力を借りて、健康体に戻してください。お手伝いをいたします。

子供を持つ幸せ

『「子供を持つことができる」ということが支えになり、辛い治療も耐えることができた』とがん治療を行った25歳Nさんは語ります。

抗がん剤などの影響で、不妊になっても妊娠できるように、がん治療を受ける前に卵子を採取し凍結する保存技術の進歩は著しく、融解後の卵子の生存率は95%を超えるようです。

しかし全ての患者が採卵できる条件が揃っているわけではなく、採卵までには1ヶ月弱の期間を要するために、病状が安定していることが必要です。そのためにがん治療前に卵子を採取・凍結することを断念する患者も多いようです。

そこで別の取り組みとして、放射線治療の際に、卵巣機能をできるだけ温存するために、卵巣の上に放射線を遮断する板を覆うなどする臨床研究も始められています。

そしてさらに、卵巣組織の一部を凍結保存して、がん治療終了後に凍結組織を患者にもどす方法で妊娠の機会を提供できるような治療もなされています。この方法であれば、卵巣はすぐに採取できるために諦めることもなく、がん治療後に自然妊娠する可能性もあるといわれています。

昨今、婦人科系のがん患者が急増しています。乳がんの発症率も30歳以下で増加しているといいます。乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えるピンクリボンキャンペーンなどの活動により、早期がん治療の成果が上がっている一方で、その後の不妊対策も同時に取り組んでいかなければならないと考えます。

しかし一番大切なことは「がん」などの病名がつく前に「未病」の治療をすすめていくこと。「未病」は病気になっていない状態を現すのではなく、「未だ病にならず」という意味で、もう既に体の中では経絡的にバランスが崩れている状態なのです。

その状態を発見し治療をすすめ、「病」にならないようにするのが「東洋医学」の強い部分です。西洋医学では何ら病名がつかない状態で、治療の方法もありません。是非、「未病」を早期に発見し、漢方薬もしくは鍼灸などで治療をされることをおすすめします。

「子供をお腹の中で育てそして産む幸せ」は女性の特権です。どんな時も諦めないで、しかし焦らないで、その幸せを掴みましょう。

やっとここまで

気象庁から「ソメイヨシノ」の開花予想日が発表されました。例年よりも早い開花で、大阪では25日だということです。

43歳Sさん。1年半前に当店を訪れたときは、絶望の中でフラッと立ち寄られたのでした。

その日は婦人科病院からの帰りで、医師より「もう卵がほとんど出来ていませんので、あなたが妊娠できる確率は5%です。」と・・・。あまりにものショックでどうして良いかわからずに、途中駅で見た看板を見て、それが指し示す方向へ進んでいったのでした。

そして辿りついたのが当店の漢方薬局でした。

今までの経過、今後の治療計画を話されていくうちに、今まで曇っていたSさんの心が少しずつ晴れてくるのがわかりました。

「漢方で何とかなるかも・・・。」

Sさんはそう感じ、曇天の隙間から差し込む明るい光を発見したかのように、気持ちがほぐれ、全身の血液が巡って行くのを感じ、Sさんの顔に血の気が戻ってくるのが見て取れました。

Sさんは高プロラクチン血症、不規則な生理の改善のために「カバサール」と「プラノバール」を服用されていました。また時にはエストロゲンを補うために「プレマリン」を、黄体ホルモンを補うために「デュファストン」を服用され、Sさんの基礎体温表は、あたかもきれいな線を描いているかのようでした。

しかし、これも作られたもので、Sさん自身の力ではありませんでした。

その証拠に育つ卵はほとんどない状態。

何とか自分の力を取り戻し、良い卵を作ることができるようになれば、体外受精も成功するはずです。

一昨年の10月末から本格的な周期療法を始め、「婦宝当帰膠」「杞菊地黄丸」「双料参茸丸」「シベリア霊芝錠」「オリジン」「冠元顆粒」などを使い分け、良い卵が採卵できるよう調整していきました。

そしてそれから4ヵ月後、「できない」と言われた「卵」が出来るようになったのです!これには婦人科医も驚いた様子でした。しかし採卵までは至らず、そのまま漢方の調整は続きました。

そして1年後の先月、やっとやっと採卵が出来たのです!しかも今月、分割した卵を戻すことができたのです!!この日をどれだけ待っていたことか・・・!

この日を夢見ても、夢と化してしまいそうだった1年半のあの時、フラッと何も考えずに立ち寄ってしまったけれども、あの時にSさんが漢方に出会わなければあのままこの日に巡り合うことはなかったことでしょう。導かれるべきして導かれた、と言っても過言ではありません!

諦めずにここまで来て、良かったですよね。

これから桜が美しく咲くように、Sさん夫婦にも心の花が咲き、その花が散ったあとはきっと可愛い実を結んでくれることでしょう。

今度こそは

今日は月1回の不妊相談会の日。多くの不妊で悩む人、高度生殖医療に頚を傾げる人、高度生殖医療と漢方を併用しての治療を望む人、が相談に来られました。

今日相談に来られた人達の傾向としては、「流産が多いこと」でした。1度もしくは何度も妊娠はしているけれども挙児まで至らない、いわゆる不育症や抗リン脂質抗体が陽性である人が多いように見受けられました。

しかしこれらの人達は、自然で妊娠できる力、もしくは体外受精でも陽性反応となり着床できる力、を持っているのです。なぜ流産してしまうのか、は人それぞれ異なりますが、遺伝子の問題、つまり卵の質の問題や黄体ホルモン不足が原因であることが多いように思えます。

その改善として、妊娠できるその力を引き伸ばすように、卵胞期には育つ卵の質を上げ、黄体(高温)期には黄体ホルモンを十分に保てるように漢方薬を調整していくことになります。

今回は高温期に不正出血が起こる人達が多かったために、「田七人参」の処方が多く出ました。どうしても黄体ホルモンの分泌が不安定な場合は、高温期に低温期のような体温が混じり、不正出血を起こしたりします。それを食い止めるために、また妊娠しそうな人でも大丈夫なように「双料参茸丸」「衛益顆粒」「帰脾錠」などを併せて処方されました。

今度こそは挙児まで行けるよう、高温期の様子を見守りつつ応援しています。

お灸の力

今は閉経間近の様々な症状を改善するために、漢方と鍼灸治療をされている53歳Nさん。

今は減少しつつあるエストロゲンのスピートを緩やかにするための治療を行っています。漢方は「婦宝当帰膠」「加味逍遙散」「香砂立君子錠」を症状に合わせて飲むことで、体のバランスとを整えています。

その結果、周期によって症状はマチマチですが、月経前に少しだるくなり横になることが多い、といった症状くらいに治まっています。以前は、月経1週間ほど前から胃のムカツキが始まり、月経直前から月経中はずっと寝込み、食べることも何もできない状態でした。

そのNさんには、1人の娘さんがおられます。

なかなか妊娠できない時に、自宅でお灸を続けていたと昔を思い出して話されました。どこに施灸したのか、昔のことで忘れてしまわれましたが、「三陰交」のツボは外せなかったようです。その結果、可愛い我が子を授かることができたのです。

「だからお灸の力はよく知っています」

と今でもホルモンバランスの調整に「三陰交」、胃が弱いことの改善に「足三里」を続けておられます。

毎日鍼灸治療に通うことはできませんので、Nさんのように自宅でお灸をすることで、鍼灸治療を長持ちさせるのが良いでしょう。Nさんは艾(もぐさ)を捻って施灸されていますが、もっと簡単なせんねん灸のようなものを使用しても良いです。

最近は若い女性の生理不順や体調不良が多くみられます。自宅でのお灸を流行らせたいものです。