排卵障害 5

昨日の早発卵巣機能不全(POF)のもう1例です。

Hさんは42歳、不妊治療をはじめて6年たちました。排卵誘発剤をたくさん行ったためか、卵巣が悲鳴を上げ、働かなくなってしまいました。

「あなたの卵巣にはもう卵は有りません。これからは更年期対策をしてください」といわれ、途方にくれての来店でした。

「とりあえず2年間漢方薬を服用してください」とお願いし、長~い卵胞期を<シベリア霊芝>、<杞菊地黄丸>などで乗り切り、周期を整え月経が来るのを待ちました。その後は、周期療法を行い、<冠元顆粒>、<婦宝当帰膠> <補血丸>などを適宜使い、1年後には20mmの成熟卵胞が採卵できるようになったのです。良かったです。45歳になったHさん、自然採卵でこれからのIVF-ETに願いを託しています。

早発閉経は漢方薬で対応できそうです。

排卵障害 4

排卵障害の中には早発卵巣機能不全(POF)があります。40歳未満の卵巣性無月経と定義され、血中ホルモン値ではFSH>37mlU/ml  E2<30pg/ml を示します。子宮は小さく内膜は線状で薄く、卵巣内の卵胞が枯渇している状態が多いとされ、このような状態では、治療が困難といわれています。

Kさんは33歳、結婚して1年。20歳前半は不規則ながら月経は来ていたようですが、後半からはだんだん来潮しなくなり、病院にいきホルモン剤の投与を受けていました。ホルモン剤を飲まなければ来潮しない「無月経3年」です。ホルモン検査ではFSH 106mlU/ml, E2 13pg/ml でした。卵巣の中には、卵胞が見えないというのです。「早発卵巣不全、早発閉経」と診断されていました。33歳の若いKさんには「閉経」は過酷な二文字です。「漢方で何とか閉経を免れたい!」との切なる思いで来店されました。

現代医学が治療困難といったPOF、漢方で何とか改善出来たらと思い、現在煎じ薬を用いています。さらに補腎・活血、疏肝作用のある <逍遥丸>、<杞菊地黄丸>、<冠元顆粒>などを服用してもらっています。

排卵障害 3

排卵障害の中で多く見られる症例は多嚢胞卵巣症候群(PCOS)があります。

PCOSは卵巣の中に多数の卵胞が存在し、神経中枢レベルの排卵障害と違い、卵巣レベルの排卵障害となります。

PCOSでは3高1低という(LH↑、アンドロゲン↑、インシュリン↑、E2↓)内分泌所見が見られます。原因は何らかの異常によりアンドロゲンの産生が過剰になり、卵胞の成熟を邪魔し、卵胞閉鎖、退縮を促すので、その結果排卵障害が起こるといいわれています。

PCOSの臨床症状は、男性化、肥満(いまは必ずしも肥満ではない)、多毛、そして高い流産率、排卵誘発により卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりやすいといいますから厄介です。また最近では糖尿病とのかかわりも指摘されていますので、メタボリック症候群の管理も大切になってきます。PCOSのお客様は非常に多いですね。

Zさん31歳は結婚されて4年、赤ちゃんを希望し某大学病院を受診され、ルトラール服用して月経を起こし、クロミッドを服用して排卵誘発を繰り返していました。ホルモン剤を服用しなければ月経が来ないため、ずーっとホルモン剤を服用しなければならないのかと不安になり、当店にこられたのでした。

卵巣のエコーからも小さい卵がたくさん見え、PCOSのテキストどおりネックレスサイ状にみえています。BBTは長い卵胞期が4ヶ月続いています。一相性のため周期療法は使わず<シベリア霊芝>や<婦宝当帰膠>を処方しました。2ヶ月経ちやっと排卵がありました。そこから煎じ薬を中心に周期療法を開始し、1年後自力排卵で妊娠されました。

大学病院ではなんらホルモン剤は投与されておらず、正真正銘漢方のみの自然排卵・自然妊娠の快挙でした。いまZさんはお産のために実家に帰っておられますが、元気な赤ちゃんを産むことでしょう。

PCOSの治療は月経後からのクロミッド服用で排卵を促すのですが、漢方薬は多嚢胞になりやすい体質をかえ、たくさんある卵胞の中から如何に早く主席卵胞を作るかにかかってきます。体質を変え、卵胞の成長を促す漢方薬があることはうれしいですね。

排卵障害 2

排卵障害 2

排卵障害を起こす原因に、血中のプロラクチン上昇によって引き起こす病態があります。お客様の中にも乳汁が分泌されていたり、乳頭に白い糟のようなものが付着していたり、気づかないことがあったりします。これはプロラクチンというホルモンが乳汁分泌を促しているためです。このプロラクチンは視床下部から分泌されるドーパミンにより抑制されているのですが、ドーパミンの抑制が弱まったり、下垂体に腫瘍が出来ると血中プロラクチンが高くなり、下垂体機能を抑制し、卵胞発育を抑制して月経異常を引き起こすのです。(乳漏性無月経といいます)

40歳のSさんは結婚歴10年、5年前から赤ちゃんを望むようになりました。35歳を過ぎる頃からなんとなく「不妊かな?」と思い始めたそうです。暫く基礎体温をつけながら意識的にタイミング法を試みてましたが一向に検査紙は陽性にならず、クリニックに行ってみました。ホルモン検査でプロラクチン値が38と高値にでて、「高プロラクチン血症」と診断されました。テルロンを投与され服用しましたが、吐き気と頭痛に見舞われ、仕事にも支障を来たし中断されました。

こんなにきつい症状がでるのなら、漢方薬の方が安全かな?と思い来店されました。基礎体温は高低差が強くガタガタ波打っています。低温期も30日間で、排卵までが長くかかっています。典型的な「高プロラクチン血症」です。尋ねるとブラジャーに白い糟が付着していることが多いといいます。

月経周期は40日~45日と長いのですが、きちんと来潮していますので周期療法を取り入れ、長い卵胞期を短縮しようと<炒麦芽>、<婦宝当帰膠>、<逍遥丸>などを服用してもらいました。徐々に卵胞期も縮まり基礎体温表も理想的になってきた頃、待望の妊娠がわかりました。漢方薬を服用して1年でした。

Sさんは現在元気に走り回るお子さんと育児を楽しんでいます。Sさんの症例は「高プロラクチン血証」による「排卵障害」が、炒麦芽などの周期療法で改善され挙児を得られたのですが、このようなケースは非常に多く見られます。プロラクチンが高くなくても「潜在性高プロラクチン血症」が見られることがありますし、またドグマチールや胃薬でも発症することがありますので、気をつけなければなりませんね。

排卵障害 1

先日行われた不妊カウンセリング養成講座の続きです。

「排卵障害」と題し弘前大学の水沼教授が講演されました。当店にも「排卵障害」で悩まれている方が結構多く見られますので、大変興味を持って聞きました。

排卵を含む卵巣機能は、間脳(視床下部)~脳下垂体~卵巣系といわゆる性腺軸の機構によって調節されています。私たちも「排卵障害」を訴えてこられるお客様には、細かくホルモン数値を伺い、中枢(視床下部、脳下垂体)のレベルなのか、卵巣レベルなのかを判断していきますが、詳しい生理・病理のメカニズムを理解していなければ「重症の排卵障害」への対応が難しくなります。現代医学で難治性といわれると漢方薬でも難しいことが多いのですが、漢方の理論を駆使して何とか治療方法の確立を考えています。

水沼教授のお話の中でも有りましたが、「視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンが一定のリズムで分泌されていることが重要で、過度のストレス、過度の運動、ダイエット、環境変化が分泌を抑制するため、無排卵・無月経がおこる」と指摘していました。このように中枢レベルでの排卵障害・無月経は難しいですがとても大事ですね。ダイエットで無月経になった人、激しいスポーツで月経が来なくなった人、人間関係から過度のストレスをうけ無月経になった人、思い当る方はたくさんいると思います。

現代医療での治療はカウフマン療法が主流ですが、漢方薬では性腺軸に作用する補腎・活血薬、具体的には、<六味地黄丸>、<参茸補血丸>、<杞菊地黄丸>や<冠元顆粒>など症状に応じて使い分けします。

当店に来られていますOさん、Kさん、Hさん、Tさん、Iさんはこの中枢性の排卵障害・無月経ですが、時間をかけて頑張って体調を整えていきましょう!

卵子提供について

先日第21回の不妊カウンセリング養成講座が東京でありました。

内容は「生殖医療の基礎知識」、「行政の取り組みの状況}、「カウンセリングの分野」、「明日の生殖医療を学ぶ」(胚培養の分野から)と多方面からの講座で充実した時間を過ごしました。

その中で、ロサンゼルスでアメリカの法律によって「卵子提供エージェンシー」を立ち上げている日本人の方が発表されていました。

実は、私のところにもご高齢のカップルが来られ「卵子の提供を受けたいのですが」と悩みを打ち明けられたことがありました。日本では合法化されてなく、どのようなすべがあるのかも知らずに何のお役にも立てず、気になっていました。つい最近も、閉経間近い方が「卵子の提供」を希望されて相談にこられたり、30代後半で両側大部分の卵巣切除で卵巣機能が著しく低下した方が、やはり「卵子提供」を望まれていたこともあり、タイムリーにお話を聞かせてもらいました。

具体的に、渡米する費用や滞在費用、治療費を含めての値段もお聞きしました。いまや、生殖医療は目覚しく進歩し、われわれの時代には考えられないことがたくさん事例としておきています。

生殖は神の手から離れ神秘の世界のベールがはがされつつあります。「自分の子がほしい!」と願う人々の思いはとても大きいものなのです! 倫理の問題、法律の問題を越えてアメリカで卵子提供を受ける日本人は3桁にも昇るそうです。

自然派の漢方をしている私にとっては、高度生殖医療(ART)、卵子提供、AID、代理母など科学の進歩についていけない、そんな気分で患者様の気持ちを汲みながら、複雑な心境で卵子提供エージェンシーの話を聞いていました。

1つの区切り

「AIHを明日するんですよ。」

そう言われた30歳Oさんの脈はアップアップ状態!何かにむりやり身体を動かされているような感じを受けました。

もともとOさんは生理不順で、放っておいたら自力では3ヶ月に1回の割合で生理がくる周期です。病院での診断は多嚢胞性卵巣。いくつもの卵胞がひしめき合い、なかなか1つのものが主席卵胞になってくれず排卵を渋っている状態です。

今までは排卵促進剤により排卵する力を借り、タイミングを合わせて様子をみてきました。それを約1年間続け、3ヶ月前より排卵促進剤に加え、様々なホルモン剤を使用しての療法が加わり、タイミングを取るような治療に変わりました。

その頃からOさんの身体に明らかに変化が現れたのです。もともとぽちゃっとした体系ではあったものの、少し運動すれば戻っていたのがここ3ヶ月で約10Kgほど一気に増量し、ちっとも痩せなくなってしまったのです。

困り果てたOさんは鍼灸の力を借りて新陳代謝をあげることと、不妊の改善をしたいと治療を求めて来られました。

しかし基本的に排卵から高温期の時期は黄体ホルモンが多くなり、どちらかと言えばエネルギーを蓄え代謝が悪くなる時期に入るのです。Oさんが来院されたのはちょうど高温期前です。昨日に排卵誘発剤を投与したといわれましたので、これからはもっと痩せにくい時期に入ってしまいます。しかもその後はAIHが行われ、hcg注射が行われる予定です。

その予定から考えると代謝を上げる治療は、今回AIHがうまくいかなかった時の後に行うことになります。もしうまくいった場合は、妊娠成立し安定期になった後から自己管理により行ってもらうことになります。その時には無理やりのホルモン治療から脱出しているはずですので、以前のようにコントロールしやすい身体に戻っているはずでしょう。

今回はAIHが成功するように、卵胞の育ちを良くすることと、受精そして妊娠継続のための治療を行うことになりました。

しかし身体から発するメッセージは「もう大変!」というもの。要するにあまりにも薬を使いすぎて身体はヘトヘトになってしまっているのです。可愛そうですが、Oさんも今回の初めてのAIHを区切りとして、しばらく治療をお休みしようと考えておられましたので、今周期はもう少しだけ身体にがんばってもらうことにしました。

それから2週間後、「今のところ薬にて高温期が続いているけど、お腹の感じから明日くらいに生理が来そうです」とOさん。

脈は・・・?!

やはり頑張ってます!しかし前回と違って着床を持続しようと頑張っているようでした。もっと頑張って・・・!

Oさんは不妊治療の区切りとしてAHIをとりあえず行ってみたようですが、とりあえずではなくせっかくなので、成功してしっかり育って欲しいものです!しかしのんびり派のOさんは、「いいんですよ、今回は~!」なんて明るく微笑んでおられました。

ただそんなOさんの気持ちとは裏腹に身体は必死になって頑張っていましたので、治療する側としてはそれを応援してあげないとなりません。妊娠継続の治療を行い、明日の運命の日を待ってもらうことにしました。

もし今回駄目であったら病院での治療は全てストップするようですので、その間に今まで薬で崩してしまった身体を取り戻すためにも是非とも漢方薬の力を借りたいとOさんは考えているようでした。駄目にならなくても、今まで崩してしまった身体を労わって欲しいものです。

お腹の赤ちゃんと共に元気になって、出産も子育てもスムーズに行くように応援していきたいです。

もともと弱い卵巣

29歳Eさん。結婚4年。婦人科歴も4年。不妊治療歴は1年。生理不順歴は初潮を迎えたときからなので18年ほど。不順だと意識し始めたのは9年ほど前から。

生理は飛び飛びであったり、だらだら続いたり、1年以上もなかったり・・・。

結婚してから婦人科を受診し、生理不順の治療が始まったのです。黄体ホルモンを補充するルトラールと排卵誘発剤のクロミッドによる治療でした。しかし半年の治療後、それらの薬を止めるとまた生理が来ない日々が続きました。体そのものを改善し、本来のEさんの力を引き出すところまでは至らなかったようです。

そして1年前、意を決して不妊治療を行うために別の婦人科を受診し、そこで片方の卵管が詰まっていること、卵巣機能障害であること、がわかったのです。

もともと卵巣の機能が弱かったのでしょう。しかしEさんは自然妊娠を希望されています。このような状態であるけれども、漢方薬にて体質改善をして自然妊娠が可能になるようにしたい、と強く希望されて来店されました。

病院では人工授精や次のステップの治療などをすすめられてしまうので、Eさんの「自然のままで」という思いより、自然と病院から足が遠ざかっていました。

漢方薬でしばらく体質改善を行い体調を整えると状況も変わってきますので、検査のためにも病院に行く必要性も出てくるでしょうが、今はEさんの気持ちがおもむくままに治療をすすめていくのが良いでしょうね。

Eさんの体質の「吹き出物」「肩こり」「経血に血塊」「経血が粘っこい」「生理痛が酷い」「排卵痛」「不安定な高温期」などや今までの経過から、卵巣機能が弱く卵の成長が悪いこと、卵巣や子宮内に滞っているものがスムーズに排泄できていないことが伺えます。

漢方ではまずは「お血」「痰濁」をターゲットに改善していくようにしていきます。「冠元顆粒」「水快宝」「爽月宝」などを周期や症状に合わせて組み合わせることで改善を計ります。

「排卵痛」や「生理痛」が治まってくると、流れが良くなり、子宮内の状態も良くなってくるはずです。それと同時に卵巣がうまく働くように調整をしていけば、自然妊娠も夢ではありません。

Eさんの漢方による治療は今始まったばかりです。きっと何ヵ月後には毎月訪れていた「痛み」から解放され、ストレスが軽減された生活を送ることができていることでしょう。体調が良くなればいろんな嬉しいことがやってきます。楽しみながら進んでいきましょう。

原因は心?

異変が起きたのは昨年の12月から。今まで順調だった生理周期が乱れ始めたのです。

39歳Iさん。40歳を目の前にした年齢が原因なのか、それとも他の何かが原因なのか・・・?

ちょうど仕事も年齢的に役職者になる試験を受けないとならなくなり、それが重なっていたことも精神的にストレスがかかり、ホルモンバランスを乱してしまったことも原因かもしれません。

その頃から肌にも艶がなくなり、目の下のクマも目立ってきたような気がするし、髪の毛もパサつくし、吹き出物もあごのラインに多く出るようになってきて、今までにないことばかりが続々とIさんの中で起こり始めていました。

Iさんにとっては、これから女性役職者としていつまでも美しく格好良く輝いて仕事をしつつ、子育てと仕事を両立していく理想像へと向かっていくはずだったのが、もう40歳を目の前にまだ子供に恵まれず、それどころか生理が来なくなってしまったのですから、そのショックは大きいものでした。

慌てて婦人科を受診したIさん。結果は卵巣が働いていないというホルモン数値が目の前に出されていました。早発閉経・・・。その言葉が脳裏をかすめました。

「このままではその年齢で閉経してしまいます。少し卵巣を休めましょう。」

婦人科医のその言葉にIさんの頭は真っ白に・・・!しかし医師の言うように、卵巣を休めればまたホルモン数値が正常に戻るかもしれない、まだまだ理想像に向かうことは諦めない!・・・とIさんはその治療をまずは2周期間続ける決意をしました。

そして2周期・・・。

通常の10倍ほどだったホルモン数値は、通常の倍ほどの数値まで下がっていました。しかしまだ正常ではありません。医師の判断によりもう1周期続けることになりました。

そして3周期・・・。

理想像に近づける判定のとき・・・!残念ながら数値は下がらず、通常の3倍の数値まで戻っていました。

薬による治療を3周期続けたので、薬漬けになることを避けたいIさんはその治療は一休みし、自分の力がどこまで快復しているか様子をみることにしました。

しかし何もせずにそのまま放置していれば、Iさんにとってのタイムリミットの年齢になってしまいます。何かしなければ!・・・と思いついたのが漢方薬でした。

Iさんには、良い卵胞を作ること、心にかかるストレスを軽減すること、補気・補血・調経をすることなどを目的とし、「杞菊地黄丸」「星火逍遥丸」「婦宝当帰膠」「冠元顆粒」などを使用し、卵胞期がいかに変化するかをみながらお薬を調整していきます。

良い卵胞ができれば、排卵もするはずで、排卵すれば高温期にもなるはずです。良い卵胞のためには安定した卵胞期が必要です。卵胞期、つまり「陰」を養う時期がとても大切なのです。

この時期に多くのストレスをかかえてしまったり、寝不足続きなどの過酷な生活をしていたり、足腰を冷やしていたりしていると、質の良い「陰」を養うことができません。つまり質の良い卵胞も育たないということなのです。

Iさんもあまりストレスをためないように、気持ちを入れ替えて、プラス思考で進んでいけばもっと良いでしょう。

しかし理想像が完全となることが厳しくなってきた今、Iさんは一方の理想像のために一方を諦めることも考えています。働くことはいつでも可能です。しかし女性として子供を産み、育てることはだんだんと厳しくなってくることです。その目標のために、Iさんは大きな決断を迫られているのです。

しかし決して片方を諦めなければならないことはないのです。全ては「心のあり方」により選択すべき道も変わってきます。ストレスもマイナス思考も全ては「心」に原因があるのです。それは「心」さえ変わることができれば、即プラスの物事へと変わってしまうのです。人生の壁にぶつかったとき、何とか諦めることをせずに「心」を変えて理想像へと向かって欲しいものです。

大切な時間

生まれつき備わっている能力、人とは異なる身体、難なくできてしまうこと、どうしてもできないこと・・・。

生まれたときから両手と両足がなかった乙武洋匡さん。しかしいつも笑顔で語り生きるその姿には、感動させられ学べることが多くあります。

「障害は僕の誇りです」と語り、その言葉は無理せず心の中からそのまま口に出てきたものであることが私たちを感動させるのです。

こんな風に生きられれば、素敵だなぁ・・・。

一般的に「マイナス」であると思われることに対して、私たちはそれが自分の中に存在すると、「これがなかったらよかったのに」「あのようになったらいいのに」と願ってしまい、それを「願い」として唱えてしまいます。

しかしどうしようもないことを願っても、神様は困るばかり。そんな願いは聞き入れることはできないでしょう。せっかく「それ」を与えてあげたのに、それをマイナスと捉え、要らないとしてしまっている人たち・・・。「それ」を受け入れることで、大きく成長し今以上に幸せな心を得ることができるはずなのに・・・。

「それ」を受け入れる勇気、そして諦める勇気を持つことは、なかなか難しいもの。しかしその勇気を手に入れれば、解決の出口のないことで思い悩まず、くよくよせずに生きていくことができ、今しかないこの大切な時間を素敵に過ごすことができるでしょう。

様々なことが原因で「不妊」という道を歩んでしまった人たち。しかし我が子に会うまで長くかかった分、もっと我が子のこと、夫婦のこと、家族のことを考える機会を持つことができ、「大切なこと」をより心で感じることができているのではないでしょうか。

長い期間待った分、その感動は大きいことでしょう。例え、結局授からなかったとしてもそれまで自分の身体と家族と向き合った時間は決して無駄ではなく、大切な時間だったはずです。

これからまだまだ治療を続けていく人たち、もうそろそろ止めようと思っている人たち・・・、それぞれ今の時に必要な勇気をつけ、前向きにくよくよすることなく進んでいってください。生き生きと前向きに進んでいける道は、1つだけではないはずです。