52歳の挑戦!

「こんにちは!質の良い卵を作ってほしんですが…!」明るく店頭に入って語ってくれたのはHさん。年齢を尋ねると今年で52歳になるとか。

45歳を過ぎてからの遅いご結婚。当然始めはタイミング法で「自然に出来ればいいな~」と思っているうちに年数が過ぎたそうです。3年ぐらいしてから「急がなくては閉経してしまう」と焦りだし、不妊クリニックを受診しました。

AIH→IVFと勿論ステップアップしてもなかなか授かりません。「やはり、卵が老化してきている。ならば、漢方薬を服用して質の良い、授精可能な卵を作ろう」と意を決して相談に来られました。

Hさんの体形は中肉中背、肌のつやも良く、気持ちも若く、月経周期も28日と定期的です。医師も否定的なことは何もおっしゃらないそうです。既に針治療もされ、これからは漢方薬を服用し、現代生殖医療を続け、諦めないでやってみようとする気持ちが前面に出てとてもプラス思考です。基礎体温表(BBT)も大きな乱れはありません。

Hさんの気持ちを受けながら、私も一緒に挑戦してみようと決め、残された数少ない卵胞に栄養を与え、授精可能な卵に育ってくれることを祈って、周期療法を始めました。どのような結果になるかは誰も想像つきません。しかし、今よりは良い状態の卵になることは間違いありません。授精、分割、着床、成長…ハードルは高いですが、頑張っていきましょう!

52歳のFさんも挑戦しています。

51歳の時、胚盤胞に成長した卵を移植されました、凄いですね! 今、再挑戦で頑張っています。Fさんは医師からはマイナス的なことを言われていますが、くじけずに頑張って意思を貫いていて、本当に頭が下がります。

どのような人生の道が開かれるかはわかりませんが、お二人とも50歳を過ぎても挑戦されています。お2人ともきっと悔いのない人生を送ることでしょう。

頑張って!   Hさん、Fさん!!!

FSHの値が…

36歳のYさんは無月経で自力排卵はありません。初潮は12歳で、それ以来月経は順調に来ていましたが、就職を機に不順となり、不定期になってしまいました。月経は2~3ヵ月に1度で、時には1年くらい無かったときもありました。

クリニックでホルモン検査をしたところFSHの値が130もあり、カウフマン療法をしながら月経を起こしていましたが、反応が鈍くなり卵巣にはもう卵がないので「更年期になるでしょう!」といわれてしまいました。

まだ30代の若さで閉経になってはと随分落ち込みましたが、「そうだ。まだ漢方薬を試したことがない!」と思いつき、相談に来られました。

30代後半で「卵巣早衰」の診断で、漢方薬の服用を始めました。体質や性格はストレスに弱く神経質で、ホットフラッシュのようなのぼせもあります。そこでストレスを緩和し、陰を補う処方で3ヶ月間服用してもらいました。

その後、なかったオリモノも見え隠れし、基礎体温表(BBT)も動きが見え、良い状況に変化してきたことがわかります。3ヶ月も月経が来ないのはあまりよくないので婦人科受診をしてもらいました。医師が言うには「消えかかっていた卵巣が復活してきたな~!」「何かしてた?」ときかれ、うれしくて舞い上がったそうです。「今周期は黄体ホルモンを服用して月経を起こし、次周期卵の成長を見ていこう!」といわれたそうです。

今まではもう「卵巣には卵がない」といわれていただけに「次周期様子を見ましょう」といわれたことが、「とてもうれしい。光が見えてきました!」とYさんは喜んでいました。漢方薬はひたすら「卵を作る」ことを考えて処方しました。勿論FSHは20に下がってきています。卵が出来てくれれば万々歳です。そんな日も近いことでしょう!

グレード1 か グレード2か?

45歳のHさん。不妊治療を始めて8年になります。

高度生殖医療(ART)を5年続けましたが、卵の発育が悪く誘発しても育ってこず、医師からは「この先…」といわれ思い切って漢方に救いを求めてこられました。

漢方を始めて3年。周期療法を続け、ようやく卵が出来始めました。20mmの立派な卵です。しかし、ご主人の体調が悪く、自然妊娠が困難な状況下でICSI(顕微授精)をすることになり、気持ちを新たにIVFに挑戦しました。何年か振りです。

Hさんは自然周期の採卵ですので、なかなか採卵のタイミングが取れず、1年に2回ぐらいしかチャンスはありません。でも、その数少ないチャンスが来ました。採卵でき無事授精もし、分割もよく胚盤胞にまで順調に進んでくれました。その胚盤胞と2年かけてストックした受精卵を戻すことになりました。ストックしてきたのは グレード1とグレード2の2個ありました。今回の新鮮胚とどちらかを戻すことになりましたが、さぁ、どちらを移植するのか、Hさんは大変悩みました。

ご主人と相談した結果Hさんが選んだのは「グレード2」の移植でした。「グレード1」を移植して万が一着床しなかったら落胆して立ち直れないかもしれない。もし、「グレード1」が残っているなら「まだグレード1が残っている」と心の支えとなって次に臨めると話してくれました。早く結果を出したいから、良いほうから使うという考えもありますが、グレードの低いほうから使って着床し、グレードの高い受精卵を残してしまい後悔された方もいました。

どっちを選択するか!難しいですね。そのような経験ありませんか?

いまHさんのおなかには着床しようとしている胚がいます。頑張れ「グレード2」ちゃん。そして新鮮胚ちゃん!

羊水検査はどうですか?

先日ご予約されて、お母様と一緒に相談にこられたTさん。

「先生おかげさまで!」とお腹をさすってのご挨拶でビックリしました。Tさんのお腹はまさしく妊婦さんのお腹なのです。4ヶ月です。

Tさん(40歳)は6ヶ月間漢方薬を服用してきました。結婚して5年。なかなか授からず不妊クリニックにも行ってました。ホルモン剤にて月経周期をつくり、排卵誘発剤を使い採卵、肧移植をしてきましたが、すべて「卵がよくない」といわれ、漢方で何とかならいかと相談にこられたのが昨年の夏でした。

漢方薬の補腎剤の<杞菊地黄丸> や<補血丸>、 気血双補の<婦宝当帰膠>などを使い周期療法をしてきました。12月にIVFをすることになり、IVFのスケジュールにあわせての漢方薬を服用してもらいました。その後気になっていましたが、その時妊娠されたようです。思いがけずにTさんの朗報に笑みがこぼれてきます。

しかし、Tさんは不安を持っていました。「羊水検査どう思いますか?」突然の難しい質問にたじろいでしまいました。「羊水検査したいのですか?」「はい。受けようか迷っているのです」なぜTさんは羊水検査を受けようと思ったのでしょうか!40歳を越えての妊娠には染色体異常が多く見られること、それを聞いただけで心配で仕方ありません。

羊水検査して異常見つかったらどうしますか?

検査が反対に危険な状態を生むやも知れません。難しい問題ですね!でも、やっと出来た赤ちゃんが不安に感じるのではなく、安心して伸びやかに成長してほしいと願っています。

習慣性流産を乗り越えて

かわいい訪問者です。お母さんに抱かれ8ヶ月になるH君が来てくれました。

なんとお父さんが運転して2時間かけてきてくれたのです。感激です。春の日差しがまばゆい暖かな午後、店内はとても明るいハッピームードに変わりました。しっかり周りを見ては、ここはどこ?と確認しているようです。

お母さんのYさん、当店ご来店時は何回も繰り返す流産に身体も心も傷つき、漢方薬に救いを求められてこられました。

当店に来てすぐ妊娠され、あっという間に流産されてしまいました。4回目の流産で、いわゆる「不育症」です。その後Yさんは体質改善のため1年間避妊していただきました。その間、周期療法(月経期、卵胞期、排卵期、高温期)で体調を整えていただきました。そしていよいよ挑戦。妊娠はしましたが問題はこれからです。最後まで、挙児をえられるまでは本当に喜べません。

妊娠中も<婦宝当帰膠> <参馬補腎丸> <衛益顆粒>などを服用してきました。毎月毎月祈るような気持ちでした。もう少しで10週目に入ろうとしたときに羊水が減り始め、血圧が上昇したため、緊急の帝王切開、無事H君を出産したのでした。

今腕に抱いている子はまぎれもなくYさんの子。なかば諦めつつもどうしても授かりたい一心で漢方薬を1年半服用しました。その子が今はスイミングに通い、わらべ唄の会にも入って、集団の中順調に育ち皆から可愛がられているようです。

健康で大きくなって、家族揃って幸せになってくださいね。Yさんおめでとう!

H君生きることは大変だけどいろいろなことに挑戦して、わんぱくな男の子育ってくださいね。

双角子宮

先日ひょっこりKさんが店に来られました。なんとお子さんを連れておられます。

「あれっ? Kさんですよね。」 「そうです」 「いつ生まれたのですか?」 「半年前!」そんな会話が昔を思い起こさせてくれました。

Kさんは子宮の奇形で何回も流産を繰り返していたのです。しかし医師からは妊娠も可能といわれ、漢方薬を求めてこられました。今から3年前でした。

基礎体温は激しく上下し、周期も20日~26日と短く、非常にバラバラの体温でした。お話から「双角子宮」という子宮の奇形でした。

双角子宮の場合、軽い場合はStrassmann 手術、高度の場合はJones&Jonesu手術が行われるのが一般的ですが、Kさんは手術でなく漢方薬を選択し、来店されたのでした。

まずは月経周期を整える処方を半年間服用いただき、その後周期療法に切り替えました。子宮内膜の状況を良くするためのお薬や、35歳の高齢のため生殖能力を高めるお薬など、<婦宝当帰膠>をベースに服用してもらいました。

2年くらい周期療法を行い月経周期も整い、バラバラだった基礎体温表も2相性に整ってきた頃から、相談に来られなくなっていました。しかし、お聞きするとしっかり<婦宝当帰膠>を出産時も産後もずっと続けて服用していたとのことでした。そして、知らない間にしっかり男児を生んでおられたのには驚きました。

自然妊娠、しかも自然分娩で安産。「漢方薬のおかげです」と挨拶され感激しました。

昨年は単角子宮の方が無事出産され、また今双角子宮の方が出産し子供を抱いておられるのです。ほんとうに良かったです。漢方薬を勧めてて良かったとつくづく思うのです。

男性不妊

Sさんのご主人は<精子先体反応陽性>による男性不妊のため 顕微受精(ICSI:イクシー)を勧められています。

精子先体反応とは精子が透明帯を通過するときに、精子の頭部からアクロシンという酵素を分泌し透明体を融解するのですが、この濃度が低いと受精が阻害され、不妊症になるというものです。Sさんのご主人は先天的にこの濃度が低いのです。そのため顕微授精(ICSI)しか方法はないということでした。

Sさんは43歳。基礎体温も2相性に整っており、IVFの準備が始まりました。年齢よりも若い卵巣機能で、刺激療法にも反応します。OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の予防をしながら、採卵~胚移植を目指しています。

そんなSさんには<シベリア霊芝>や<婦宝当帰膠>、<杞菊地黄丸>などの漢方薬でバックアップし、成功に導きたいと思っています。

抗リン脂質抗体

久々の掲載になってしまいましたが、これから続けて行きたいと思います。

今日は妊娠は出来るがすぐ流産してしまうという<抗リン脂質抗体>の例です。

YTさん32歳、4回の流産を経験されまだわが子を抱いていません。何とか次回は無事出産できるよう、そして元気な赤ちゃんを産みたいとの願いで漢方薬を求めて来店されました。

お聞きするとほとんどが7週~9週までの早期流産です。アレルギー体質で、小さい時からアトピーで苦労されています。検査の結果、<免疫性不妊>で<抗リン脂質抗体>が陽性でした。抗リン脂質抗体は自己抗体が引き起こす血栓性疾患で、血栓症や流産・死産との関係が深いとされて注目を集めています。YTさんも4回の流産の原因がこの抗リン脂質抗体陽性のため、赤ちゃんを成長させる血管が血栓症になり、赤ちゃんに栄養が行かなくなり流産してしまうのです。

抗リン脂質抗体で流産経験の有る方は、アスピリンを基本的に使用し、ヘパリンを用いて血栓を予防していくのです。

YTさんも4回目の流産から4ヶ月経過した後の妊娠で、うれしいはずですが不安が先に頭をよぎります。もう、心配でご飯も咽を通りません。

漢方薬は、免疫系を調整しながら、赤ちゃんが丈夫に育てられるような安胎薬を服用してもらいました。しかし、7周期目より出血が始まりました。慌てて医者に行くと、「血栓がおきるより出血した方がよい」といわれ、出血の量が多いのには大変驚かされ毎日毎日心配で夜も眠れない状態が続いたのでした。今は9週目ですが出血は止まっていません。

漢方薬では「気虚・お血」として捉え、<婦宝当帰膠>、<帰脾錠>、<双料参茸丸>、免疫調整のための<衛益顆粒>を服用してもらっていましたが、大量の出血はほぼ治まり、赤ちゃんは大きく育っています。このまま大きくなって、是非挙児を得られるよう祈る気持ちです!

気になる肥満と不妊

肥満は排卵障害の原因になることはすでに知られていますが、一般に肥満女性に多嚢胞卵巣症候群(PCOS)が多く、月経不順や原発性・続発性不妊症のリスクを増加すると言われています。ただし、PCOSの方は必ずしも肥満ではありませんがやはり肥満が多いようです。

女性のBMI(体格指数)が35以上の夫婦は、正常値25の夫婦に比べて26%自然妊娠しにくく、BMIが40を越えると43%自然妊娠しにくいと言われています。

5年位前のこと、奥様の身長155cm、体重79kg、BMI35、ご主人は身長170cm、体重108kg、BMI37のジャンボご夫妻、Cさんが相談に来られました。

「まずは減量からスタートしましょう」とお2人に食事指導や運動療法をご指導しました。しかし、なかなか思うように減量せず困まったことを思い出します。

お2人とも3ヶ月で5kgしか減量できず、そのうちクリニックに行きだしてIVFに挑戦しだしました。もちろん基礎体温表(BBT)はガタガタ、一相性で無排卵です。その身体に排卵誘発剤や刺激療法をされていました。

治療始めてからますます肥え、基礎体温は見るも無残でした。「ホルモン治療よりまずはダイエットです!」の言葉も、 「赤ちゃんがほしい!」という想いの方が強かったのだろうと思います。5ヶ月くらいで来られなくなりました。もう少し知識があれば、先を見越したアドバイスができたのにと悔やまれます。どうされているのでしょうかCさんご夫妻。

肥満と生殖能力の関係はこれから解明されると思いますが、今流行の<メタボ>にならないためにも肥満は避けたいですね。今Cさんが来られたら、PCOS対策として「シベリア霊芝」「桂枝茯苓丸」「温胆湯」「防風通聖散」など<痰湿・お血>の改善に取り組み、肥満を解消させる方策を立てることでしょう。

男性不妊が増えています

最近赤ちゃんがほしいとご来店されるカップルの中で、原因が男性側にあるケースが多くなりました。統計によりますと不妊のカップルの30~40%に及ぶといいます。。

今日来られたYさんご夫妻は結婚されて2年、1日も早く赤ちゃんがほしいと病院通いを始められました。30歳とお若いです。今までクリニックに通い人工授精をされましたが、良い結果に結びつかず、元気なく当店を訪れてこられました。BBTは二相性になっていますが高温期が短め、イライラがあり、いろいろ考え事もあり憂鬱な気分で、時々落ち込んでしまうといいます。お話を伺ううちに、「実は…」と話されました。

どうも、ご主人の精液検査結果が悪かったようで、誰にも話せず悩みを抱えておられたようです。ご主人の精子数は1400万、直進率は15%から25%で、「乏精子症」に分類されます。「乏精子症」になりますと、顕微鏡下での体外受精(ICSI)の対象になるのです。

お2人で悩み、できれば漢方薬で精子の数を増やしたいと来られたのです。受精しやすい精子数の最低総数は6000万/ml、運動率は50%以上無ければならないのに、Yさんのように20%程度しかない方は随分おられます。

漢方薬はその人の体質を見ていくつかの処方を決めていきます。Yさんには、身体のほてりを改善する<瀉火補腎丸>や身体を元気にする<イーパオ>などを服用してもらいました。現在まだ2ヶ月ですが体調も良くなったので、近々に精液検査をする予定です。

Yさんご夫妻の願いが叶いますよう私たちも応援したいと思っています。