着床前診断

やっと妊娠したのにまた流産・・・。

流産した時一番辛いのは、やはりママとなるはずだった当本人。なのに周りからは「養生が悪かったから」とか「何かしたのではないか」などと攻められることが多いものです。

それが何度も繰り返されると「私には育てる力がない」と自分を責め、落ち込むこともしばしば。

しかし流産する率は結構高いもので、妊娠した人の1割強にそれは起きることなのです。また流産を繰り返すと「習慣性流産」という名が付けられてしまいますが、だからと言って妊娠・出産できないわけではありません。

ただ、何度も流産を繰り返すと、心身ともに負担が大きいために、弱気になり、諦めてしまう人もいるようです。

そこで、今年の春、日本産婦人科学会は、遺伝子に問題があるために流産を繰り返してしまう率を低くするために、「着床前診断」(体外受精時の受精卵の遺伝子を調べる診断)を習慣性流産の患者にも適用されるように認めました。

受精したからと言ってその卵を無条件に戻すのではなく、流産しにくい受精卵を見極め、それを母体に戻すことができれば、流産する可能性は低くなるはずです。

もちろん、流産を繰り返す原因は、その遺伝子の異常ばかりではなく、母体の体質である「抗リン脂質抗体」ができてしまう自己免疫疾患、子宮の奇形、ホルモンの乱れなども関わっています。

何が原因となるのか、を突き止めれば、それに対する西洋医学的アプローチも漢方的アプローチも十分可能です。

今まででも「抗リン脂質抗体」ができる自己免疫疾患の人が、西洋薬と漢方薬を共に服用しながら妊娠約10ヶ月を乗り越え、無事出産された例は多くあります。西洋薬だけではその抗体ができるのを防ぐには少し力不足で、一方漢方薬だけでもその力は少し不足しているのです。この場合は、どちらも併せて治療を行っていくのが一番良い結果に繋がるように思えます。

是非、それぞれに合った治療法で、繰り返す流産を食い止めましょう!