習慣性流産とは言わせない!

ほっぺたが落ちそうなくらい、まるまるとした可愛い赤ちゃんの写真が送られてきました。

昨年10月に3,108gで産まれたYちゃんです。

YちゃんのママのSさんは、昨年まで「ぷれぷれママ」の仲間でした。

「抗リン質抗体」は検査では陰性だけれども血栓ができやすい体質であるために、妊娠しても流産を2回も繰り返していました。もともと「冷え性」で「疲れやすい」体質であることも、その原因であったことでしょう。

30歳のSさんが当店のドアをノックされたのは、昨年の初め。

漢方薬で「子宮内膜が薄いこと」「生理の量が少なくなってきたこと」を改善したいとのことでした。

Sさんは「気血不足」で「肝鬱気滞」、「血お」があることが原因であることが、顔色、体格、舌の状態、脈などから判断できたために、「婦宝当帰膠」、「衛益顆粒」、「参茸補血丸」などをお勧めしました。

結果、早くも漢方の治療を始めて2周期目、お電話にて陽性反応の報告を受けました。

Sさんの場合は、ここからが肝心です!

何とか3回目の流産とならないように、10ヶ月間保てる体にしなければなりません。

西洋医学的には、血栓予防に「アスピリン」、子宮収縮抑制薬、ヘパリンを低下させる薬などを服用することで治療を続け、漢方的には安胎と胎児の発育のためのお薬を続けてもらいました。

5週目に胎嚢が確認されてからもまだまだ油断ができず、引き続き西洋医学的アプローチとともに、漢方的なアプローチも続きました。

「もう大丈夫」と確信できるまで、長い長い時が経ったように感じられました。

Yちゃんがこれから育っていく何十年もの月日を考えると、10ヶ月なんてほんのいっときにしか過ぎないのですが、今から振り返っても長い格闘だったように思えます。

でも今、こうしてほっぺの立派なYちゃんの写真を見ると、楽しい格闘だったなって笑って話すことができるのは、赤ちゃんの魔力なのですよね。

適度な運動の大切さ

胃腸が弱く、漢方も飲めない30歳Nさん。8ヶ月前より鍼灸治療にて来店されています。

1年半前にたった1ヶ月のみ排卵誘発剤を使用して不妊治療をしたことにより、排卵日が11日目と早くなってしまい、1年間何もせずに自分のペースを取り戻そうとしたけれども戻らず、何とか自分のペースを取り戻したいと当店に来られました。

鍼灸治療を続けながら、Nさんには自分でも毎日続けられることも行ってもらいました。

まずは、「冷え性」であることの改善策として、「温性の食材を食べてもらうこと」、「お風呂に入ったら家事をせずにすぐに寝ること」、

「体力低下」「風邪をひきやすい体質」の改善策として、「週1回の太極拳」、「晴れの日は毎日1時間程度のウォーキング」

を続けてもらいました。

その結果、この冬はあまり「冷え」を感じることもなく過ごせ、風邪をひかずに過ごすことができました。

さらに「ウォーキング」を続けてもらってから、確実に基礎体温が安定しだしたのです。低温期が今まで波状だったのが安定し、排卵日も14日目になり、その分、高温期もしっかり2週間あるようになってきたのです。

「大分と体調が整ってきましたね!」

と喜んでいた矢先のこと。

本日来店されたNさんの体温表を見ると、波状型に・・・!

「今周期は何かありましたか?」

よく伺ってみると、花粉症持ちのNさんはこの時期は外に出ることを控え、しばらくウォーキングに行ってないとのこと。

胃腸も弱く、細身で体力不足のNさんにとっては毎日1時間のウォーキングが気血のめぐりを良くしてくれ、胃腸の働きを良くし、心身のバランスを整えてくれるのに役立っていたのです。

マスクと眼鏡をしたら花粉症も大丈夫ということなので、またウォーキングを続けてもらう約束をしました。Nさん本人もウォーキングをしている時の方が体も軽く、食事も美味しく食べられていたようですので、反省されたようです。

何でも少しずつでも続けることで、その積み重ねたものがとんでもなく大きくなっているものです。たくさんのことを1度にするよりも、少しずつを毎日続けることが大切です。この春から何か一つ、新しいことを毎日続けてみませんか?

しっかり確かめて

今月8日には100円ショップのアクセサリー売り場から「金属アクセサリー類」が姿を消しました。

その原因は、市販されている安価な金属製アクセサリー類に有害な鉛が含まれていることがわかったからです。

この有害な鉛は、乳幼児が飲み込んだり、なめたりすることで、脳や神経系の発達に障害を及ぼすことがわかっています。

「鉛中毒」は重金属中毒の中で、一番身近な中毒です。

その中でも「無機鉛中毒」について。

その3主徴は、「貧血」「腹部疝痛」「神経症状(末梢神経障害、橈骨神経麻痺)」です。

具体的には、

造血器系・・・貧血(低色素性小球性貧血)

消化器系・・・「食欲減退」「便秘」「下痢」

神経系の末梢系・・・「筋肉痛」「筋力低下」「下垂手・垂れ足」、小児では「視神経炎による失明」。

神経系の中枢系・・・鉛脳症(頭痛、嘔吐、痙攣発作、昏睡、死亡)

その他の症状・・・腎障害、無月経、不妊症

などです。

特に小児の経口摂取による場合は、致命率も高く、脳後遺症を残すと言われています。

「3歳以上対象」とされ販売されていた「金属アクセサリー」。乳幼児は口が第3の目と言われるほど口で物を確かめ、認識していくものです。思わず口にしてしまった綺麗なはずのアクセサリー、実はそれが有害だったとは・・・!

これだけ世の中に物が溢れてしまっては、安全でないものも知らず知らずのうちに混ざってしまっていることでしょう。子供のおもちゃは、しっかりとチェックされたものを使用することを心がけましょう。

アトピー体質予防に

小学3年と小学1年お子様を持つ38歳Mさん。

まだまだ子育て奮闘中。

上のお兄ちゃんが幼少の頃、アトピーが酷くて大変だったようです。

子供は体中が痒くて掻きむしるし、掻くとどんどん酷くなる・・・。イライラしてはいけない、と思いながらMさんもイライラし、それが子供に伝わり、それがまた子供のストレスになり、ますます悪化するばかりで悪循環。

そのうちに、育児ノイローゼに陥り、Mさんも子供も疲れ果てていました。

こんなとき漢方では、生後間もない乳児に「まくり」(別名:海人草:かいにんそう・かいじんそう)を吸わせて胎毒を下す習慣がありました。

その頃「まくり」は海人草に大黄・甘草を加えて煎じたものが一般的でした。その後、甘草・黄連・紅花・大黄を加えた甘連湯なども「まくり」と言われるようになったようです。

Mさんの小学3年生のお子様は、今は、アトピー症状もすっかり良くなって「保湿クリーム」程度で過ごせるようにまでなったようです。ステロイド漬けだった幼少の頃。もう少し早くに漢方に出会っていれば、予防が出来てこんなに苦労しなくて良かったかもしれませんね。

芍薬甘草湯

月経周期を整える「周期療法」で、排卵期に使用する「芍薬甘草湯」。

このお薬の効能・適応症を調べると、「傷寒論」では、風邪の引き始め(太陽病)の症状で「脚攣急(脚がひきつれる)」を治す、また「拘攣し、急迫する者を治す」とあります。

これを応用し、「子宮の痙攣」、「痛み」などにはこのお薬を使用します。

また、「肝」がうまく働いていないために、筋肉が引き攣れ、排卵がうまくいかないような症状のときにも、「疏肝理気剤」であるこの薬を使用したりします。

お薬もそのものの本来の働きに注目し、それが体に及ぼす結果を応用して使用します。一般的なお薬の効能や適応から判断すると、疑問を持ってしまうかもしれません。しかし、その処方にはしっかりとした目的があるものです。

疑問を持ったときは、その処方をされた専門の先生に聞くようにしてください。お薬も自分で理解して納得した上で、服用してもらった方が効き目も倍増するものです。

命の大切さ

結婚5年33歳のYさんは、今まで考えたことのないことに直面していました。

「子供ができないかもしれない」

その現実に、今までは「子供を産むこと」など考えたこともなかったことを改めて考えたときに、「子供が欲しい」と感じている自分に出会ったのです。

それは乳癌が発見され、その手術後の抗癌剤による治療をしているときのことでした。抗癌剤を使用している間は「子供は作らないように」と忠告されたことが、自分の奥底にあった願望と対面することになったのです。

もし、乳癌の抗癌剤治療が続けば、このまま子供を産むことなく時が過ぎ、もう産めない年齢になってしまうかもしれない。

そう思うとなお一層その願望は膨らむばかり。

今までであれば、「いつでも産めるからまだまだ」と思っていたことが、「できないかもしれない」という言葉により、Yさんの考えは変わっていったのです。

そして改めて「命が生まれる大切さ」について考え、それと同時に「命がなくなる辛さ」も感じるようになりました。

幸いYさんの抗癌剤治療は続くことなく、その後の経過も良好で、「自分が作り出す大切な命」について前向きに進んで行き、その1年後、「命」を宿すことができました。

人間は人生の中で、「なくなって初めて大切だとわかること」を多く経験します。「大切なこと」がなくなってしまう前に、大切だと気づけるような人間でありたいですね。

冬虫夏草

昨日の「チャングムの誓い」の最後で紹介されていた「冬虫夏草」。

これは、中国の四川、貴州、雲南、チベットなどに産する蛾の幼虫に生えたキノコの一種です。コルジセピン、コルジセプス酸、ビタミンB12などが成分として含まれております。

また病後の体力低下や、虚弱体質の改善に「冬虫夏草」に「人参」「鹿茸」などを配合したものが「双料参茸丸」。

日本ではこの「冬虫夏草」は高級品としてあまり日常では目にすることはありませんが、中国圏では「不老不死」や「滋養強壮」のお薬として、食卓でも馴染みのあるものです。

以前中国に行ったときのことです。

中国の職場では常にお茶のポットが置かれていて、それを自由に飲んだり、掃除などをしてくれるおばさんがコップに入れてくれたりします。

そのお茶ポットを開けてみると、そこには・・・

お茶の葉に紛れた「冬虫夏草」がいくつか入れられていたのです!!!

中国ではお茶の葉に虫が沸いていることは良くあることですので、「ぎょっ!」と初めは思ったものです。

この様に、中国では日常的に健康のために一つ加えることをしているようです。それだから中国の人はお肌が綺麗なのでしょうか?

食が溢れている日本人の私達は、「毎日食べるその一口が、体を作っている」ということをもっと認識し、食生活の見直しをしないといけないようです。

桃の節供

今日3月3日「雛祭」は五節供の一つで、上巳(じょうし)の節供、桃の節供と呼ばれています。上巳は当初3月の最初の巳の日とされていたのですが、後に3月3日に定まったと言われています。

中国では、この日は忌日で邪気に見舞われやすいとされ、この日に災厄を祓う行事があったようです。

日本でも「巳の日の祓え」として、人形(形代:かたしろ)に心身の穢れを移して、海や川に流していました。その名残が「流し雛」。

この「祓えの行事」と「宮中の女の子が雛遊び」とが結びつき、「雛祭」として現在のような「女の子の成長と幸せを願う行事」となったようです。

雛祭に欠かせないもの、というのはいくつかあります。

「雛人形」「ひなあられ」「菱餅」「引千切」「貝合わせ」「ばら寿司」「蛤」「笹鰈」などなど・・・。

それぞれに意味があるのですが、その中でも「引千切」について少しご紹介しましょう。

「引千切」は「ひちぎり」「ひっちぎり」「ひきちぎり」と読み、雛祭の菓子として出されるものです。

これは、宮中での祝儀に用いられた「戴餅(いただきもち)」や参内者に手でちぎって分け与えた餅の形に由来すると言います。

京都ではその昔、女の子を出産する際に、これを婿方の家に贈る風習があり、現在ではその風習にちなんで「雛祭」にはこの菓子が出されるようになったようです。

子供が流行病などで亡くなることが多かったその昔には、年に何回か行われる「祓えの行事」が大切でした。今はあまり「祓えの行事」としては見られていない「雛祭」ですが、今一度この日の意味を見直してみると、我が子がすくすく成長している当たり前の姿が、もっと有難く思えてくるに違いありません。

昨年漢方服用にて妊娠された人の多くが、女の子を出産されました。今日始めての「雛祭」を迎えている赤ちゃんが多くいます。きっと可愛い雛人形が飾られたことでしょう。「祓え」も忘れずにされたでしょうか。

お血・痰湿の体質改善の末に

昨年夏から周期療法による漢方の不妊治療をされている27歳Sさん。

「子宮内膜症」があり、一昨年「子宮筋腫」と「チョコレート嚢腫」の開腹手術をされました。漢方的にはSさんのタイプは「お血」「痰湿」タイプ。少しぽっちゃりされていることも特徴的です。

生活面でも「痰湿」になるような食事を避け、適度な運動を心がけるように指導するとともに、その症状を改善するような漢方を処方し、自他共に体質改善に努めてきました。

昨年末、随分と基礎体温表も整ってきたことより、漢方を始めるまで休んでいた西洋医学のホルモン療法を再開されました。

ホルモン療法を始めるに当たって、内膜症や卵巣の検査を行いましたが、全く問題なし。

Sさん本人はもしかしてまた内膜症が再発しているのではないか、と不安でしたが、その点は漢方にて進行を防ぐことができていたのでしょう。どこにも再発も新たな症状も発見されることはありませんでした。

そして1月、1回目の挑戦!

良い感じで治療が進みましたが、結果は残念!

そして2月、再挑戦!

2月半ば、生理予定日が過ぎましたが、まだ高温期。

もう少し待ってみよう・・・。

5日が過ぎましたが、まだ高温期。

おそるおそる検査薬にてチェック。

待ちに待った「陽性反応」!!!

この「プラス」の表示を何度と夢見たことでしょう。

すぐに病院に行き、念のために「プロゲステロンの膣座薬」を受けました。

このまま高温期が続いて欲しい・・・。

こんな時には「神様」が居ると信じて「神頼み」をしてしまうのは都合がいいことだと思いながら、思わずやってしまっている自分に出会うものですよね。

漢方薬は、「田七人参」と「衛益顆粒」にて様子を見ました。

そして今日、病院にて胎嚢が確認され順調に育っている、との報告がありました。

しかし流産しやすい9週、11週とまだまだ危険がたくさんです。

これからもまだ「神様」には頑張ってもらわないといけませんね。

子宮筋腫と不妊

子宮筋腫とは、子宮筋層にある平滑筋に出来た良性の腫瘍のこと。この腫瘍は女性ホルモンのエストロゲンにより大きくなります。

子宮筋腫はできる部位によって「粘膜下筋腫」「筋層内筋腫」「漿膜下筋腫」の3つに分類されます。もっとも発生頻度の多いものは「筋層内筋腫」です。それぞれ経血が多くなったり、不正出血が起こったりと、何らかの症状があるものですが、「漿膜下筋腫」は比較的自覚症状が起こりにくいものになります。

さてその筋腫ですが、子宮筋腫が必ずしも不妊の原因となるわけではありません。しかし、受精や受精卵が着床しにくくなることはあります。

それは、卵管近くに筋腫ができることで、卵管を圧迫し精子や受精卵の通りを防いでしまったり、受精卵が着床する際の子宮くうの収縮の邪魔をしてしまったり、筋腫により子宮内膜の血流が悪くなり内膜が十分に育たないこと、などが原因となるからです。

妊娠を希望するか否かによって、筋腫の治療方法も異なってきます。

妊娠を希望しなくても月経過多や不正出血、生理痛など生活上支障をきたす症状がある場合は、何らかの治療をした方が良いでしょう。

将来設計に合わせて、婦人科医と相談されることをおススメします。

もし、大きさが3cm未満、妊娠に支障のない位置、などであれば、是非安全な漢方治療をお試しください。漢方治療は、体質を改善しながら筋腫の治療をしていくために、筋腫の一部分だけでなく、体全体からきれいになっていきます。

筋腫がなくなる頃には、「何だかきれになったね」と言われることになるでしょう。