まぁ、いいかぁ、と思ったときに。

結婚5年目。30歳のTさん。

4年前より子供が欲しいと思いながらタイミングにて様子を見ていましたが、なかなか恵まれなかったので、3年前より婦人科へ。

しかし検査の結果は、ホルモンも卵管も通水の検査も問題ありませんでした。しかしそれでも恵まれないために、排卵促進剤の「クロミッド」、「セキソビット」、漢方薬の「当帰芍薬散」など服用しながら人工授精を2回行いました。しかしそれも喜ばしい結果には結びつきませんでした。

次に婦人科で行われた治療は、卵胞ホルモンを補う薬である「プレマリン」、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの配合薬でピルの仲間で女性ホルモンを補う「プラノバール」、黄体ホルモンを補う「ルトラール」などの薬を組み合わせて、排卵や月経を調整するものでした。

そして2年の月日が流れました。

なかなか改善されないことに、不安と焦りを感じた昨年の春、同じように悩んでいた友人から「漢方薬を飲み始め、2周期目ですぐ妊娠したから行っておいで!」と勧められ、ご友人と一緒に来店されたのです。

とてもデリケートな性格がTさんの気持ちを乱し、そのことが体の機能に影響するために、そのデリケートさを補うこと、そして今まで行ってきたホルモン治療の後遺症を調整すること、を重きに薬の処方をしました。

それに加えて初めの3ヶ月間は、鍼灸治療も併せて行っていました。

当初のTさんの状態は、下肢は冷え、顔はのぼせ、少腹は固く、舌先は赤く、次髎穴付近の腫れが診られました。

それらの体質改善とホルモン剤の副作用を取り除くように、鍼灸治療と「衛益顆粒」「帰脾錠」「シベリア霊芝錠」「杞菊地黄丸」などを組み合わせていきました。

昨年末、「今年中に妊娠したい!」という思いが焦りに繋がり、なかなか良い結果が出ないうちに、年が明けました。

今年に入り、「まぁ、いいっか。今年はもっとゆったりと過ごそう。」と病院通いも止め、漢方の周期療法も周期で薬を服用することに自分で自分にプレッシャーを与えてしまうために、全周期通しの漢方に変更し、のんびりと過ごすことに生活スタイルを変更しました。

そんな中、2月初め、Tさんから妊娠陽性反応の連絡が入ったのです!

知らず知らずのうちに、友人のお腹が大きくなっていくこと、毎月生理が来る自分、にプレッシャーを与えていたのでしょう。そのプレッシャーから解き放たれた瞬間、約10ヶ月で充分に改善されていた体は、Tさんの願いを受け止めてくれたのです。

良かったですね。

もうこれで自分にプレッシャーを与えることがなくなりました。これからは、はっきりと確認されたお腹の中の小さな鼓動と共に、明るい未来に向かって進んでいくのみです。