牛蒡子を煎じる?食べる?

最近、助産師さんが「牛蒡子(ごぼうの種)」を妊婦さんに紹介しておられるようで、妊婦さんが「牛蒡子」を良く購入しに来店されたり、ネットでの注文も多くなっています。

通常は「牛蒡子」は「煎じて」服用いただくのですが、助産師さんが「炒って食べる」ように指導されているところもあるようです。

別の所での何人かの助産師さんがそのように指導されていることを聞きますので、そのように指導されるのも珍しくないようです。

ただ、この「牛蒡子」、味は「辛く」「苦い」ものですので、噛んで食べるには決して美味しいものではありません。

また、「牛蒡子」の使用方法が記されている生薬の書物には、「牛蒡子」を炒ったものを細かく砕いて服用することは記されていますが、噛んで食べるようには記されていません。

あえて、美味しくないものを噛んで食べるよりも、煎じた液を服用する方が良いような気がします。

ご本人が「美味しく」「楽しんで」服用できる方法が一番良いですが、「牛蒡子」を食べている妊婦さんは、是非一度「煎じたもの」をお試しください。問題なく飲めるようでしたら、是非「煎じたもの」の方をおススメします。

hCG注射剤

hCGはいわば卵胞という風船を「割る力」に相当します。hCGは赤ちゃんが作り出すホルモンで、妊娠反応の元になる物質です。

そのhCGは黄体を刺激することに用いられ、その注射剤は内服剤とは異なり、卵巣を直接刺激し排卵を促すものとなります。

32歳Yさん。初潮を迎えた頃より常に生理不順で、20代初めに、生理が止まってしまったことをきっかけに10年以上もホルモン剤の力を借りて、生理を起こさせることを続けていました。

そのYさんが、ホルモンを思い切って止め、漢方薬に変更し、3ヶ月目に自力で生理が来るようになり、その後も周期は長めではあるけれども体温も2相性で改善し、今月で8ヶ月が経ちました。

先周期のこと。

「そろそろ排卵かな」と感じる時期に、卵の育ちを見てもらおうと、婦人科に行き、検査を受けられました。その際に、

「せっかく病院に来たことだし、もう排卵の時期なので、注射でも打っておこうと思って、hCGを打ってきました。」

との報告を受けました。その結果、見事に排卵し、高温期もしっかりできたのですが、その後、7日経ったある日、ガクンと体温が下がり、生理に。

ここ3ヶ月は、遅いながらも自力で排卵し、高温期も13日以上はあったのが、今回は7日しかありませんでした。

排卵準備も出来ていないのに、自然に逆らって無理に排卵させたがために、卵の質が良くなかったためでしょう。何事も焦らずに改善されるのを楽しみに、自然に任せることが「ゆっくり」だけれでも「早道」なのです。

乳児湿疹

今日は漢方の周期療法にて妊娠・出産されたママとその赤ちゃんの集まりの「ひよこママの会」の第4回目の日でした。今年はこれで終わりで、第5回は来年暖かくなってからの開催予定です。

今日もひよこママ達の「心配事」や「この時期の発育」など様々なことを小児科の橋本加津代先生にご指導いただきました。

その中で、今日は冬に多い「乳児湿疹」について紹介します。

秋から冬にかけては、空気がとても乾燥する季節です。

この季節を初めて迎える赤ちゃんのお肌は、その乾燥した空気に敏感に反応して「湿疹」や「かさつき」が出やすくなります。

それは、今までお母さんのお腹の中で過ごしていたときは、「脂肪」に包まれていたのが、初めての「乾燥期」には、お腹の脂肪に包まれていたときよりも脂肪分が足りなくなるために、「湿疹」が出やすくなるのだそうです。

湿疹に赤味がなくてカサカサしているものであれば、保湿剤をお肌に補ってあげると良いということです。その保湿剤は、ワセリンなど口に入っても大丈夫なようなものをお使いください。

漢方薬では、症状に合わせて「紫雲膏」や「タイツコウ軟膏」、「瑞花露」などがおすすめです。

それらの保湿剤を塗るタイミングは、吸収が良い「お風呂あがり」が一番良いです。

また、湿疹が「治ってはまた出る」の繰り返しで心配だということに関しては、「治る」ということが大切で「治る」時期があれば心配なく、そのうち治まりきれいになってくる、ということです。

これからの時期は、インフルエンザも心配ですが、飛沫感染するウィルスですので、なるべくうつるような場所に連れていかないように気をつけてください。

赤ちゃんにとって初めて迎える「冬」は、少し厳しいものですが、全てが「学習」で、今後強く生きていくためのものなのです。ママ達もどんと構えて、あまり心配せずに育ててください。

第4回ひよこママの会

☆ 12月7日(水) 13:30~15:30 ☆
<<「第3回ひよこママの会」からの伝言>>
<小児科受診のポイント>
熱や咳、下痢があっても子供が遊ぼうとする元気があれば、病気はそれほど重くない、と判断してよし!常と異なる症状や顔色を見せたときに、注意!
「おしっこ」:尿路感染症を起こしているときもあるので、検尿は大切。
「ウンチ」:ウンチの状態でウィルス性のものなのか、細菌性のものなのかがわかるので、ウンチを持っていくこと! → 抗生物質が必要なのか、が判断できる大切なものです。
★★★今回のお子様の月齢は3~12ヶ月です。★★★
<確認行動が始まる>
1歳までおもちゃを舐めて確認する。第2、3の目が「手」と「口」である。1歳になると「ハイッ」と言って物を渡す。
スリッパも舐める → 「ダメ」と言う → 余計にしたくなる
<母乳について>
母乳だけで良いか?果汁や白湯は飲ませたら良いか? → 別に気にしなくても良い。離乳食までに母乳以外のものが1回でも口に入ったら良い。
<目にゴミが入る>
目にゴミが入り易いのだがどうしたら良いか? → 精製水で洗い流す。基本的には自分で涙を出して出すもの。気になって痛がる、目やに(バイ菌)などがあれば注意しないといけないが、それ以外は涙で流すので気にしなくても良い。
<股関節について>
3か月受診で股関節が固い、と言われた。 → 股関節脱臼の危険性がある場合は、左右差があるはず。左右差がなければ大丈夫。
<寝かせ方について>
抱っこしないと寝ないのですが、どうしたら良いか? → 上向きは不安。クッションなどで体の横を固める。体の横に何かがあり、包まれているような感じだと安心する。お尻が上がるようにお尻の下にクッションなどを入れる。
お母さんが「どうしたの?」「なんで???」となると、お母さんの不安が赤ちゃんに伝わる。お母さんは「どんどん泣きなさい」と構えていること。
<子供の着るもの>
子供はよく動くので、薄着で良い。動くことで手足が温まるもの。
<手足の皮が剥ける>
ハイハイする。手足の皮が剥ける。脱皮と同じで大丈夫!
<乳児湿疹>
湿疹が出て、頭や耳を良く掻く。
この世界に産まれて初めての冬は、顔に湿疹ができやすい。お母さんのお腹の中に居るときは脂肪に包まれているために、初めての乾燥期(冬)には脂肪分が足りなくて湿疹がでやすい。
赤味がなくてカサカサ → 保湿剤:ワセリン系で口に入っても大丈夫なもの。お風呂上りがOK!
湿疹も「塗っては治る」の「治る」があれば、大丈夫!治る力があることを意味するので良い。
<成長曲線について>
成長曲線のカーブが同じであれば、低くても大丈夫。
<インフルエンザの予防について>
インフルエンザは高熱が出る(2005年改訂)。A型が流行りやすい。ワクチンは「ソ連型」「香港型が2つ」で3つの型の混合ワクチン。
予防対策としては、インフルエンザは飛沫感染のために、赤ちゃんをうつるようなところに連れて行かないようにすること。

高温期から月経期への体温差

低温期と高温期の差は、理想的なのは0.3度です。

高温期から月経期になる時は、この差の0.3度ガクンと下がって、月経期に入ります。必ずガクンと下がらなくてはならないか、と言えばそうでもありませんが、「なかなか下がりきらずに生理になる」というのは、「何か邪魔をしているものがある」と考えます。

例えば、「黄体ホルモンが過剰」の場合。

これは多くの場合、ホルモン治療をされている人に見られます。そういった場合は、全体的に高めの体温になっていることが多くあります。つまりこの場合は、ホルモン治療によって、過剰に投与されてしまった「ホルモン」が邪魔をしているのです。

その他には「子宮内膜症」「子宮筋腫」がある場合。

「お血」や「湿熱」があることが子宮内膜や筋層に異常を来たすことになったわけですが、それが「血熱」を生じることにより、その熱により体温をスムーズに下げることができなくなっているのです。

体温が高いままだと、良い卵胞が育ちにくくなります。低すぎる体温だけでなく、高すぎる体温も問題です。高すぎる体温に対しては、邪魔している「何か」が存在するはずです。まずは、それを探ることが大切です。

ヒトクローン胚

韓国の再生医療研究が、倫理問題を巡って危機に陥っています。

折角、世界で初めてヒトのクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作成することに成功し、そのES細胞が様々な臓器や組織に育つことから、病気や怪我で失われた体の働きを元に戻す再生医療に役立てることができるという構想が、倫理的な問題により揺れ動いています。

韓国ソウルの研究チームが、2002年からの研究過程で研究員からの卵子の提供を受け、その報酬を支払っていたことが発覚したことにより、改めてその倫理問題が問われています。

韓国は、儒教国で長子存続を重んじるために、不妊治療も盛んで、代理母出産も実施され、卵子譲渡への抵抗も少ないという国民性があるようです。卵子の売買は禁止されているようですが、それも法的に禁止されたのは、今年の1月からというのには少々驚きです。

日本国内では、文部科学省がヒトクローン胚の研究指針を策定中のようですが、卵子の「ボランティアによる提供のもの」や「不妊治療で使わずに余ったもの」を認めるか否かはまだ決まっていません。

ただ、作成されたヒトクローン胚を母胎に戻すとクローン人間ができてしまうわけですから、研究と言えども、「どこかで自分のクローン人間ができあがっている」というのはかなり奇妙な光景で、やはり極めて慎重に事を運んでもらいたい事柄であるといえます。

しかし映画やアニメには登場する光景であるために、近未来にそのようなことが起きることになっているのかもしれません。実際にあった「鉄腕アトムの物語」のように、それが「物語」でなくなり、もしその光景に出会うようなことがあれば、それがデジャヴといわれるものなのかもしれません。

何だか怖い話です。

夏桂成先生の研修のひとコマ

南京中医薬大学附属病院の夏桂成先生の研修のひとコマ。

70歳を超えられた夏桂成先生、まだまだお元気です。「老中医」として、中国全土、さらに日本でも名が知られている方です。

夏先生の、病院での外来診察は、8時から12時まで。診察の値段は、有名になればなるほどどんどん高くなるそうです。患者様は、高いお金をかけてでも、夏先生の診察を受けに来られています。

研修のある日、訪れてきた外来の患者様が、

「月経期のお薬を午前中に飲むように言われていたのに、間違えて夕方に飲んだら、生理の量も痛みも出てしまいました。」と夏先生に報告していました。中国の患者様はそのお薬がいつの時間帯に飲むべきものなのか知っていて、それを守っているのには驚きました。

基本的に、「月経期」のお薬は「午前中」に、「卵胞期」のお薬は「午後」に服用してもらうように指導されていました。

また、それだけではなく、「卵胞期」は大切な時期ですので、「心理状態」「精神状態」の平穏を保ち、焦らずに十分な睡眠が必要で、タバコは必ず止め、夜更かしを避けて、自然のバイオリズムに順応すること、なども指導されていました。

当たり前のことなのですが、もっと患者様に徹底することが大切だと改めて感じました。   (古村 滋子先生 研修記録より)

夏 先生とともに

中国南京中医薬大学附属病院研修にて

今月24日から29日まで、中国・南京中医薬大学附属病院で「不妊症・周期療法」の研修が行われました。今回は、2003年、2004年に続き、3回目の研修参加となります。

この附属病院には、「周期療法の第一人者」と言われる「夏桂成教授」がおられ、多くの患者様から信頼され、遠方から列車や飛行機で通院されています。

夏教授の診療は、「名医堂」という特別診察室の中で行われます。

「周期療法」とは、月経の周期(月経期、卵胞期、排卵期、黄体期)に合わせて異なる漢方薬を服用して、妊娠の確率を高める治療法です。

女性の体は、月経周期によって、女性ホルモンの分泌が異なり、体調も変わってきますので、その周期に合わせて漢方薬を使い分ける方法は、とても理にかなって効果的であると言えるでしょう。

今回の行われた講義のテーマは、「卵胞期の治療」が中心でした。

卵胞期は、月経周期の中でも、とても大事な時期である、ということを強調されていました。この時期は、「卵の成長を助け」「妊娠を促し」「子孫を繁栄させる」期間であるからです。つまり、周期療法のポイントは、「卵胞期」であり、「質の良い卵胞をつくる」ことにあるのです。

夏教授の周期療法では、卵胞期をさらに「初期」「中期」「末期」と3つの期間に分けて、それぞれに治療をしていく方法を取られていました。妊娠しにくい原因として、「なかなか卵胞が育たない」「おりものが少ない」「子宮内膜が厚くならない」など、様々なものがありますが、卵胞期をさらに分けて細かく治療していくことが、全周期の治療に繋がり、大切であることを痛感しました。

人工授精や体外受精、顕微授精を成功させるには、質の良い卵を作らなければならないことは言うまでもありません。卵胞期の治療を細やかに行うことが成功への道なのです。

     (古村 滋子先生 研修記録より)

研修認定書をいただきまいた。

お腹が冷えて

ここ最近、ようやく「冬」の言葉が似合うような気候になってきました。

そんな中、妊娠6ヶ月を迎えるFさんが「逆子」になってしまったとの報告を受けました。

以前も31週目で「逆子」になったことを紹介したときにも記したように、「逆子」になるのは「お腹が冷えていること」が原因なのです。「お腹が冷えて」赤ちゃんが居心地が悪くなので、ひっくり返ってしまうのです。ですので「お腹を温めて」あげれば、居心地がよくなり「逆子」が治ります。

じゃあ、「お腹をカイロなどでどんどん温めればよいのか」と言ったらそうではなく、「お腹を温めるツボ」を温めるのです。

まずは有名な右の「至陰(しいん)」に温灸をします。(熱いお灸ではありません!)ここは足の小指の先のツボになります。この温灸により、下腹部全体(少腹と小腹)を温めていることになります。

次に「腰圧痛点(こしあっつうてん)」に温灸をします。腰の反対にはお腹があります。腰の部分の圧痛点(コリの反応点)を温灸にて緩めることで、お腹を温め、突っ張っている部分を和らげることができます。

それらのツボを温めて、お腹の環境をよくすることで、温灸をしている最中に「ゴソゴソ」っと赤ちゃんが戻る場合もよくあります。その場でなくても、その日の晩に「あ、動いてる!」と感じることも多くあります。

ただし、医師が手でやっても元に戻らない場合、赤ちゃんの状態を現す脈が「苦しんでいる脈」をしているはずです。その場合は、その他に何かの原因があって、赤ちゃんが逆さを向いている証拠で、こういう状態であれば、「逆子」は戻らないでしょう。

そうならないように、季節柄、お腹を冷やさないように、また「至陰」や「三陰交」などのツボのある足も冷やさないように気をつけてください。

気をつけたい不正出血

10年前に乳癌の治療を受けた60歳のCさん。

その時の治療は、手術とホルモン療法を受けられました。最近茶色い不正出血が続いたので検査をしたら、子宮体癌ということがわかりました。

乳癌の手術後にはタモキシフェン(商品名:ノルバデックス)というホルモン剤が使用されることが多いのですが、これを服用すると子宮体癌になる危険率があがってしまうのです。

このタモキシフェンの作用は、女性ホルモンであるエストロゲンの働きを阻害します。エストロゲンは、乳ガン細胞の増殖を促しますので、タモキシフェンがエストロゲンに対抗することで、患側の乳癌細胞の増殖を抑制もしくは停止させたり、反対側の発生を防止する効果があると考えられてきました。

また、タモキシフェンは、閉経前の妊娠率を上げることも明らかになっています。不妊の治療として排卵を誘発する目的で、タモキシフェンを使用している国もあるようです。反対に、閉経前で妊娠を希望しない人は、避妊の処置をする必要があるということです。

この乳癌予防には良い「タモキシフェン」ですが、子宮体癌を招く可能性が大きいことは、近年になって分かってきたことで、医師から説明を受けていない人も多いようです。

乳癌でホルモン療法を受けた人は、その可能性が大きいこともあるために、年に1回の婦人科検診を必ず受診され、「過去にホルモン療法を受けたことがあることを告げること」、「不正出血がある場合はそのことも告げること」を行ってください。

なかなか婦人科検診にてその事実を医師に伝えない人が多いようですが、早期発見、早期治療のための正しい情報は必ず伝えるようにしてください。家族のためにも必要なことです。