抗リン脂質抗体

久々の掲載になってしまいましたが、これから続けて行きたいと思います。

今日は妊娠は出来るがすぐ流産してしまうという<抗リン脂質抗体>の例です。

YTさん32歳、4回の流産を経験されまだわが子を抱いていません。何とか次回は無事出産できるよう、そして元気な赤ちゃんを産みたいとの願いで漢方薬を求めて来店されました。

お聞きするとほとんどが7週~9週までの早期流産です。アレルギー体質で、小さい時からアトピーで苦労されています。検査の結果、<免疫性不妊>で<抗リン脂質抗体>が陽性でした。抗リン脂質抗体は自己抗体が引き起こす血栓性疾患で、血栓症や流産・死産との関係が深いとされて注目を集めています。YTさんも4回の流産の原因がこの抗リン脂質抗体陽性のため、赤ちゃんを成長させる血管が血栓症になり、赤ちゃんに栄養が行かなくなり流産してしまうのです。

抗リン脂質抗体で流産経験の有る方は、アスピリンを基本的に使用し、ヘパリンを用いて血栓を予防していくのです。

YTさんも4回目の流産から4ヶ月経過した後の妊娠で、うれしいはずですが不安が先に頭をよぎります。もう、心配でご飯も咽を通りません。

漢方薬は、免疫系を調整しながら、赤ちゃんが丈夫に育てられるような安胎薬を服用してもらいました。しかし、7周期目より出血が始まりました。慌てて医者に行くと、「血栓がおきるより出血した方がよい」といわれ、出血の量が多いのには大変驚かされ毎日毎日心配で夜も眠れない状態が続いたのでした。今は9週目ですが出血は止まっていません。

漢方薬では「気虚・お血」として捉え、<婦宝当帰膠>、<帰脾錠>、<双料参茸丸>、免疫調整のための<衛益顆粒>を服用してもらっていましたが、大量の出血はほぼ治まり、赤ちゃんは大きく育っています。このまま大きくなって、是非挙児を得られるよう祈る気持ちです!

おめでとうございうます

あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。

今年もさらに研鑚を積み、皆様の願いを叶えられるよう一緒に取り組みます。

お正月には赤ちゃんの写真入り賀状がたくさん届きました、ありがとうございました。

漢方薬を服用され、中途で切れて気になっていたSさん、Mさん、Aさん、に赤ちゃんが生まれていたんです。「おかげさまで元気な赤ちゃんが授かりました。感謝しています」と。うれしいですね!

また、なかなかお目にかかれない遠くの赤ちゃんたち。成長した姿を賀状で見せていただきました。「ああこんなに大きくなっている」「もう七・五・三だったんだね」「弟ができてすっかりお姉ちゃんだ~!」「ポッター症候群でなくてよかった!」一枚一枚に、漢方薬を飲まれていたときの状況が思い起こされ、そこに私の思いが重なり感慨に浸り、至福の時を頂きました。本当に良かったと思います。

今年は、「赤ちゃんがほしい」と願う方たち全員に授かってほしいと切に望んでいます。昨年は漢方BABYが100人を越えました。今年はもっともっと漢方BABYが誕生しますように!

気になる肥満と不妊

肥満は排卵障害の原因になることはすでに知られていますが、一般に肥満女性に多嚢胞卵巣症候群(PCOS)が多く、月経不順や原発性・続発性不妊症のリスクを増加すると言われています。ただし、PCOSの方は必ずしも肥満ではありませんがやはり肥満が多いようです。

女性のBMI(体格指数)が35以上の夫婦は、正常値25の夫婦に比べて26%自然妊娠しにくく、BMIが40を越えると43%自然妊娠しにくいと言われています。

5年位前のこと、奥様の身長155cm、体重79kg、BMI35、ご主人は身長170cm、体重108kg、BMI37のジャンボご夫妻、Cさんが相談に来られました。

「まずは減量からスタートしましょう」とお2人に食事指導や運動療法をご指導しました。しかし、なかなか思うように減量せず困まったことを思い出します。

お2人とも3ヶ月で5kgしか減量できず、そのうちクリニックに行きだしてIVFに挑戦しだしました。もちろん基礎体温表(BBT)はガタガタ、一相性で無排卵です。その身体に排卵誘発剤や刺激療法をされていました。

治療始めてからますます肥え、基礎体温は見るも無残でした。「ホルモン治療よりまずはダイエットです!」の言葉も、 「赤ちゃんがほしい!」という想いの方が強かったのだろうと思います。5ヶ月くらいで来られなくなりました。もう少し知識があれば、先を見越したアドバイスができたのにと悔やまれます。どうされているのでしょうかCさんご夫妻。

肥満と生殖能力の関係はこれから解明されると思いますが、今流行の<メタボ>にならないためにも肥満は避けたいですね。今Cさんが来られたら、PCOS対策として「シベリア霊芝」「桂枝茯苓丸」「温胆湯」「防風通聖散」など<痰湿・お血>の改善に取り組み、肥満を解消させる方策を立てることでしょう。

コウノトリに会ってきました

昨日は研究会グループで兵庫県豊岡市にある<コウノトリの郷公園>に行く機会を得ました。

http://www.stork.u-hyogo.ac.jp/

<コウノトリ>は幸せを呼ぶ鳥として知られ、特に<赤ちゃんを運んでくる>という言い伝えがありますが、元々はドイツ伝わる伝説から始まったようです。

しかし年々生息数が減少し、一時は日本の野生種は絶滅したのですが、昭和40年からの人工飼育によって復活し現在は100羽を超えるまでになり、自然への放鳥も行われています。当日は飼育場所にある田んぼのエサを啄ばむコウノトリや小雨の中をはばたくコウノトリ見られました。この近隣の農家では、農薬の使用を制限し、ドジョウやフナなどが住む田んぼつくりが行われています。

失われつつある自然と動植物は無数にあり、一旦失われると簡単には再生しないもので、その点コウノトリは『幸せを運ぶ』 『幸せ者』かもしれませんね。 

コウノトリの人工巣搭の上はこんなのです

南京研修3

中国の産婦人科学会でも有名な<談 勇>教授の「子宮筋腫」「卵巣嚢腫」の講義がありました。

談勇教授はかって旭川医科大学に6年間在籍されていただけに流暢な日本語での講義でした。私たちの講義のために午前3時までかかって資料を作ったそうです。

その意気込みは多くのスライドに現われ、手術で摘出された「子宮筋腫」、巨大な「卵巣嚢腫」、卵管内で育たなくなった胎児の「子宮外妊娠」、「子宮の奇形」の写真など、目で見る学習には「凄い!」と感嘆した内容でした。「子宮筋腫」の原因と治療、「筋腫を持ちながらの妊娠」など、漢方薬を使うポイントを丁寧に講義してくださいました。

談勇先生の祖父も有名な産婦人科の医者だったそうです。残されていたたくさんの資料をみて、「現代に応用できる事がたくさんあった」と熱く語り、中西医結合で多くの患者さんを助けている談勇先生。手術をしながら、体力回復に、体質改善に、積極的な治療にと、漢方薬を巧みに操る談勇先生の存在はとても大きく逞しく感じました.

南京研修2

夏 先生の診察室には診察を受ける患者、次の患者、次々の患者が入り、問診をする院生、教授の傍で処方を決める院生、その処方を最終的に夏先生がチェックする仕組みなっています。

そこに我々研修団の8人、通訳をされる中医師が入っての大人数。日本の診察風景とは随分違います。患者さんにとっても大変な迷惑化と思いますが、とても協力的で、基礎体温表(BBT)やカルテ、検査データーも快く提示してくれました。

不妊症の患者さんがとても多く、その原因はPCOS,子宮内膜症、無月経などが多かったです。皆さん、月経期、卵胞期、排卵期、高温期に分けてのお薬(すべて煎じ薬)を処方してもらっていました。

大体7日間の処方で経過を観察し、きめ細かく見ていかれます。私たち店頭では7日間単位の処方は難しいですが、これも今後の課題になりそうです。外来では、患者様へのアドバイスや症例のポイントなど、時間を割いての説明を受け、勉強になりました。

南京研修1

  11月20日から南京中医薬大学附属病院に、「周期療法」の研修に行ってきました。

 

   写真は南京中医薬大学の生殖医療センター 入り口

私が店頭で日頃行使している「周期療法」は、1960年頃に中国で考えられてきた新しい治療法です。女性の性周期ホルモンを西洋医学的な理論と漢方医学的な理論を組合わせた、いわば中西医結合の治療法です。

この理論を深く進め実践している「周期療法の第一人者」が南京中医薬大学婦人科教授、<夏 桂成>先生なのです。もうお年は70代。中国では老中医といわれ、診察は「名医堂」という別棟での特別室で行われています。勿論診察料も特別料金で、一般の方の3倍程度ですが、遠くから飛行機で来院されたり、泊りがけで来られて大勢の患者さんでいっぱいです。

左:夏桂成 先生  右:研修団同行の陳志清 先生

私は毎年11月のこの時期に夏教授のもとに研修に行かせてもらい、今回で4回目の研修になります。今回は朝8時から夕方6時までの集中講義「周期療法の基礎理論」を受けました。中医学は3000年もの歴史があり、古代からの「陰陽理論」「易経の理論」がありますが、その理論を充分理解していないと「周期療法」がうまく実践できないことがわかりました。奥深い理論です。

夏 桂成教授は「周期療法は進化し続ける」と言われていました。私も日頃の実践の中で1年目よりも2年目、昨年よりも今年と、確実にステップアップしていることに、嬉しさと自信を感じた4回目の研修でした。

中国・南京に行ってきました

11月20日から25日まで、南京中医薬大学に<不妊症の周期療法>の研修に行ってきました。研修の内容は後ほど書きますが、まずは帰りに立ち寄った<杭州>の街を紹介します。

杭州市の西側に位置する西湖は中国十大美景の一つで、周囲約15キロの湖には多くの景勝地があります。

中国禅宗十大古刹の一つの霊隠寺にある石仏

胡慶余堂は清の時代からある庭園式の漢方薬店で、北京の同仁堂と並ぶ有名な老舗薬店。中には歴史上の名医や、生薬、製薬道具などを展示しています。写真は漢方で使う動物生薬の展示。

 

中国茶博物館は茶をテーマとした中国唯一の博物館で、西湖の西側の龍井郷にあり、ここのお茶は龍井茶として有名です。茶園を見てきました。

本格的な冷えのはじまり

今週から寒さが厳しくなり、冷え症の相談が増えてきました。

手足の冷えは当然のことですが、頭痛がする、胃痛が起きる、肩こりがひどくなった、手先がしびれるなどの関連症状も訴えられます。

冷え症の原因は、水分が多い、血流が悪い、ストレスに弱く緊張状態が持続する方など様々ですが、いずれの場合も<婦宝当帰膠>がよく効きます。以前は体質によって<当帰芍薬散>や<当帰四逆加呉茱萸生姜湯>、<真武湯>などと選択して使い分けていましたが、結果からみると<婦宝当帰膠>が最も効果が高く、汎用性があり、多くの方に喜んでいただいています。

この薬は成分の70%がセリ科の植物<当帰>という生薬で、女性のための基本生薬として、冷えだけでなく、生理トラブルなどの改善を目的に、女性に必要な<補血>薬として重要な役割を果たします。先日の不妊症克服セミナーでは、講演いただきました<劉怜先生>が不妊に欠かせない漢方薬として紹介されていました。

さあ!これから<当帰>の出番です!

セミナーご参加、ありがとうございました

先日、10日に開催しました<不妊症を克服するセミナー・妊娠力を育む>には多数ご参加いただき、ありがとうございました。おかげさまで会場はほぼ満員になり、また講演の内容もすばらしいもので、私どもスタッフにとっても勉強になりました。

最初にご講演いただきました<足立病院・中山先生>のお話は、生殖医療の技術は年々高度になっていますが、その中でも体外受精や顕微授精などの生殖補助医療における妊娠成功率は、三つの要素

<個人の妊娠能力> <胚培養技術> <医師の技量>

が一定レベル必要であり、このいずれかが低いと妊娠率は低くなるとのことでした。そして

<漢方や鍼灸> <運動> <ストレス解消>

なども妊娠率を高める要因となるとのことでした。

また、続いて中医学の立場から<劉怜先生>のお話では、正しい生理周期が妊娠力の基礎となり、その周期ごとにベストな状態をつくる周期療法の考え方、またそのために必要な

<肝腎の働きを高める>ことが妊娠力を高めることになる

というお話でした。さらに、妊娠に最も必要な生薬が<当帰>であり、その当帰がたくさん含まれる<婦宝当帰膠>が優れたお薬であることも説明いただきました。

その後の質問コーナーでは、たくさんのご質問に対し、先生方が丁寧に回答いただき、皆様もしっかりメモをされているという真剣さを実感しました。

ご参加いただきました皆様にとって、大変有意義なセミナーであったと思います。当店も今回学んだことを生かし、実践してまいりたいと思います。