お薬の違い

どこかの漢方薬局にて相談され、周期療法にて漢方薬を飲んでいる人からよくお薬の処方についての質問を受けます。

今日のお問い合わせでは、

『高温期のお薬が今まで「参茸補血丸」だったのが、「海馬補腎丸」に変わったのはなぜでしょうか?』

というものでした。

当店の処方では「参茸補血丸」を「双料参茸丸」に変更したり、「参馬補腎丸」を加えたりすることは良くありますが、「参茸補血丸」を「海馬補腎丸」に変更することはあまりなく、なぜその処方に変更されたのかは、ご本人の症状や体質をみていませんので、判断することは難しいものです。

一般的に言えば、補血作用に富む「竜眼肉」の入っている「参茸補血丸」は、帰経が「心・脾」で、虚労や神経衰弱、盗汗、不眠、足腰の倦怠感などのある場合に使い、周期療法では「血虚」「運化作用の低下」や安心作用を目的として使用します。特に黄体(高温)期に使用しますが、低温期にも使用することもあります。

また肺を強める作用に富む「冬虫夏草」の入っている「双料参茸丸」は、帰経が「肺・腎」で、虚弱体質や止咳、化痰、自汗、盗汗、病後の体力低下などのある場合に使い、周期療法では「黄体(高温)期の力不足」「安胎」を目的として、黄体(高温)期に使用します。

補陽作用に富む「海馬」の入っている「海馬補腎丸」は、帰経が「肝・腎」で、補陽、強壮、活血作用があるために遺尿、夜間頻尿、老人性咳嗽、難産、疲労回復、老化予防に使われます。従って、少し年配の人に使用します。

同じ「海馬」を含むものでも「参馬補腎丸は、「海馬補腎丸」ほど動物生薬が多く含まれていない分、それを飲むことで「のぼせ」の症状が起きる心配も少なく、「腎陽不足」で体温の低い女性や男性の不妊症にも使えますので、周期療法の処方によく使用します。

それぞれのお薬には働きがあり、それが作用を及ぼす経絡があります。処方は、一人一人の正確が異なるように、目的は同じでも漢方医それぞれで異なるものです。

もし自分の処方に疑問があれば、処方した漢方医に直接聞くことが一番です。直接聞いた上で、それでもまだ疑問点が残る場合は、西洋医学と同じくセカンドオピニオンで他の漢方医の意見を聞くのが良いでしょう。

どんなことでも自分で納得した上で、治療を受ける、行動する、お薬を飲む・・・、など行わなければ不安を持ったままで受けても良い結果は生まれません。疑問点はしっかり解消してから進んでください。

アンチエイジング

東洋医学では「35歳を過ぎると体は衰えていく」と書かれています。西洋医学からみても、35歳以上は高齢出産として扱われます。

しかし現代人の女性は、30歳過ぎた頃くらいから仕事が楽しくなり、仕事が落ち着き「子供を」と考える時期には35歳を過ぎてしまっているということは多々あります。

そんなとき、少しでもアンチエイジングが出来れば良いな、と思うことでしょう。実年齢はある程度の年齢でも中身さえ若ければ、問題はありません!

少しでも歳が進まないように、自分でできることを行っていきましょう。

まずは「早寝早起き」「規則正しい生活」「食べ過ぎない」「適度な運動」。

これらができていることがまずは最初の条件です。

次に「体を温めるため」にお風呂に入る工夫をしましょう!現代の女性は低体温の人が増えています。低体温であれば、血行が悪く、代謝も低く、老廃物の排出もしにくいものです。

そこで時間のあるときは半身浴を20~40分行うこと、

時間のないときは、熱めのシャワーを全身に浴びて、その後40度くらいのお湯に肩まで浸かって5分、湯船から出て体を5~10分冷まし、また湯船に肩まで浸かって5分、湯船から出て体を5~10分冷まし、また湯船に肩まで浸かって5分、そして最後に冷水シャワーを浴びる、

これで温まった体温を入浴後も持続させることができます。

また、入浴前にジンジャーティーや生姜湯を飲み、お風呂のお湯の中には何か入浴剤を入れてください。

もし時間的余裕があれば、生理痛や婦人病などに効くとされている大根の葉を干したものを煎じた液を入れると良いでしょう。作り方は、今旬の大根の葉っぱを1週間ほど干して、干した葉を鍋に入れて塩を加え煮汁が茶色くなるまで煮た煎じ液をお風呂に入れるのです。とても効果的です。

またお風呂の中で、足のマッサージを加えるのも良いでしょう。足裏マッサージでは、かかとの角質は、卵巣や子宮などの機能が弱っていることを現していると言うようです。東洋医学では、かかとの角質はいわゆる「血虚」の症状です。加えて「冷え性」であることも多いものです。その部分をやさしく軽石で擦ったり、親指でマッサージするのも良いです。

また足の内側の「脾経」を下から上に向けてやさしくマッサージするのも良いです。「むくみ」や「冷え症」「生理不順」などの改善に効果的です。

低体温を改善し、気血のめぐりをよくすれば、若々しさは戻ってきます。是非始めてみてください。

受験の最中

女性のホルモンバランスと精神的なストレスは、とても複雑に影響しあっています。

もともと排卵痛とPMSがあった24歳Tさん。只今受験生。一度大学を卒業されましたが、やはり自分の進みたい道はこれじゃない、と改めて大学受験に挑んでいます。

昨年夏前より「婦宝当帰膠」を排卵前から月経が始まるまで飲むことで、排卵痛が全くなくなり、PMSもほとんど出ることがなくなりました。さらに冷房病になる夏も「婦宝当帰膠」でうまく乗り越えられ、快適に受験生活をしていました。

また秋頃から「板藍茶」を併用することで、毎年ひいていた風邪も引かなくなりました。

このまま順調に勉強ができ、楽々合格できるはず!・・・と思っていた矢先、今年になって、排卵痛にPMSが起き始めたのです。さらに月経時には「むくみ」まで出て、体調不良の日が続きました。ちょうどセンター試験の頃でした。

精神的に自分を追い込んだ結果の症状でした。受験生にはよくあることで、リラックスして力を発揮することができず、そのことがホルモンのバランスを崩し、時には「にきび」の症状が酷くなったり、TさんのようにPMSやむくみが酷くなることが多くあります。

ここまでTさんも酷い症状がでるとは思っていなかったために、通常のように「婦宝当帰膠」だけ定量で飲んでおられました。

この様な状態のときは、できれば「婦宝当帰膠」は多めに服用し、「逍遥丸」を加えたり、「柴胡加竜骨牡蛎湯」、「能活精」などをお使い頂ければ良かったことでしょう。

今年の試験はまだ続きます。次はこの様な症状が起こらないように、調整していきましょう。

長い長い卵胞期

公私共に重なるストレス。こんなにもショッキングなことがいくつも重なるなんて・・・。

10月末にいくつものショックにより、Oさんは身も心もかなりの打撃を受けました。それから身に起こるあらゆる症状・・・。細かいニキビ、血走った眼球、痛んだ毛、遅れる排卵日・・・。

今までにない症状にOさんも戸惑いを感じていました。顔では平静を装うことができても、体はとても正直なのです。黙っていてもわかる人にはわかってしまうものです。

東洋医学で重要視される「五診」。その中でも「望診」は患者を診る初めの段階で、とても重要なものです。全体の顔の色、部分的な顔の色の変化、そしてその場所、それらによって、その人がどこの経絡が病んでいるのか、どんな状態にあるのか、大体わかるものです。

Oさんの症状の細かいニキビ。これは顎のラインであることから腎経の特に生殖器系にトラブルが起こっていることが伺えます。

血走った眼球。これは肝経にトラブル、つまりイライラ、鬱積が溜まっていることが伺えます。

毛が痛む。これも腎経と肝経があり、先天の元気が失われていることが伺えます。もしかしてストレスにより質の良い睡眠が取れていないのかもしれません。

結局、それらのことによりホルモンバランスが崩れ、排卵が遅れ、長い長い卵胞期が継続してしまう結果となってしまいました。

それでもOさんはそのうちに体が慣れて改善していくだろう・・・とそのまま3ヵ月、何も処置せずに過ごしていました。

「そろそろオリモノがあるかな」と体温をチェックしながら過ごす毎日。しかし何も変化が現れません。それどころか、症状はますます酷くなるばかり。

今回のバランスの崩れ方は今までにないことだと察知したOさんは、漢方薬にSOSを出されたのです。

Oさんには崩れた腎を補うために煎じ薬の「補陰湯」、鬱積した流れをよくするために「冠元顆粒」「逍遥丸」「紅サージ」により様子を見てもらうことにしました。

体のバランスが崩れてから3ヶ月を経過していますので、少し時間がかかるかもしれません。Oさんには漢方薬を服用することだけでなく、今抱えるストレスをうまく解消することも必要です。

一度深いストレスのポケットに入り込んでしまったら、なかなか抜け出せないものですが、きっと徐々に抜け出せるようになってくることでしょう。もう少しだけ長い卵胞期とお付き合いしてくださいね。

無駄ではないお薬

カウフマン療法による治療をしつつ漢方薬を服用されている28歳Aさん、体外受精に向けて体の調整をしている36歳Tさん、プレマリン、プラノバール、にて生理を起こしながら治療をすすめています。

今周期は明らかに調整だけの周期で、周期の終わり頃にお薬により生理を起こすことになっているAさん、採卵はしたものの、今回は戻さずに次の周期を待つことになったTさん、どちらも口を揃えて「今周期は妊娠には至らない周期なのに高温期の漢方薬は飲まないといけないのですか?」と尋ねられました。

確かにどうせ流れてしまう内膜なのに、それをふわふわに育てるために高温期にはそれ様のお薬を飲むわけですから、もったいないように思えます。

生理が来たときには、望みをかけて飲み続けた漢方薬が全て流れていってしまうように感じます。「またスタート地点でやり直しか・・・」と思ってしまいます。

しかしこれは無駄なことではないのです。美しい高温相を作ることは、黄体ホルモンが十分に出て、内膜がしっかり育った証拠なのです。それを整えることは、次の周期を良い状態に導くことに繋がるのです。決して無駄ではないのです!

次の良い結果に繋がる源と捉え、「参茸補血丸」「参馬補腎丸」「帰脾錠」などの高温期の丸い玉をしっかり飲んでください。それを口に入れた分、しっかり体に返ってくるものです。是非お薬を飲む際には、次の周期、そしてその次の周期・・・と変わっていく体を期待して、楽しみながら飲んでください。きっと良いことがあるはずです。

不眠と更年期

52歳Nさん。もともとのどは弱い方で、よく痰が絡んだりしていました。昨年の秋、風邪をひいたことがきっかけで長引く咳に悩まされ、病院に行くと「気管支炎」と診断されました。

そしてその薬を飲むこと半年、舌が痺れるような感覚が生じ、味覚障害に陥りました。味がわからなくなり、食事も作れなくなってしまいました。さらに今度は寝られなくなってきたのです。入眠もスムーズでない上に、中途覚醒してしまう毎日。

今までそのようなことがなかったために、Nさんはこの症状はお薬の副作用だと思い、病院にてそのことを主張しましたが、気管支炎の薬がストップされただけで、後は、安定剤と睡眠薬が出されました。

それからはデパスの安定剤を朝・晩に飲み、寝る前には睡眠薬を服用しないと寝られなくなってしまいました。しかも睡眠薬を服用しても3時間ほどすると覚醒し、それ以降寝られなくなる毎日。

これらの症状が起こったきっかけが薬だったため、余計に薬への不信感と恐怖を感じ、飲みたくないけど飲まないといられない葛藤で毎日苦しんでおられました。

そんなとき、息子さんから漢方薬をすすめられたのです。西洋薬と異なり自然のもので、それがないといられないような依存性はなく安全だということだからです。それならやってみようと、遠くからお電話をくださいました。

気持ちを和らげるように柴胡剤の入った「柴胡竜骨牡蛎湯」をベースといtし、気滞を散じ気分を明るくする「半夏厚朴湯」、大黄・黄ごん・黄連の力により心下のつかえを取る「三黄瀉心湯」を調合したものでしばらく様子をみてもらいました。

そして「感応丸気」を頓服として使って。

初めの2ヶ月間、あまり症状に変化がないために、漢方薬に対する不信感が出てきたようで、電話口にて訴えられるNさんの言葉には力がなく、不安がとても伝わってきました。

しかしここで漢方薬を止めてしまうと、また副作様症状の出た西洋薬に頼らざるを得なくなるために、それだけはしたくないというNさんのお気持ちを感じ、のんびりと構えて「何とかなるわ」といった気持ちでもう少し漢方薬を続けるように説得しました。

そして3ヶ月。

その頃を境にNさんの睡眠に変化が現れました。

夜に睡眠薬を使って寝るものの、途中で覚醒することが無くなってきたのです。今まで西洋薬を1年ほど続けていたのに全く症状に改善が見られず、それどころかますます薬に頼っていた時のことを思えば、かなりの進歩だと言えるでしょう。

そして5ヶ月。

今では安定剤のデパスをほとんど飲むこともなくなり、とても調子が良いようです。まだすっかり漢方薬を止めるには不安が残りますので、もう少し安定するまで続けてもらうことにしました。Nさんもとても喜んでおられ、以前の明るさが戻り、家族も明るくなって、円満に過ごされているようです。

Nさんのように、治療の迷路に入り込み、出られなくなった人は、是非、お問い合わせください。きっと出口が見つかるはずです。

黄体機能不全

33歳Oさん。5年前に子宮内膜症、チョコレート嚢腫が判明、腹腔鏡下手術を行い、その後無事に一人目を出産されました。

そして2人目を・・・と挑戦し、やっと5年後の今年の春に授かりました。しかしその喜びも束の間、2ヵ月持たずに流産する結果となってしまったのです。

Oさんは、ホルモン剤などの治療をする前に、少し時間がかかっても、まずは自分の体を整えることを考えよう、と漢方薬による体質改善を次の進む道に選びました。

その時点でのOさんの基礎体温表は、高温期が波状型をしていて、「黄体機能不全」であることが見て取れました。何とか高温期を安定させ、持続させることができれば、またの望みもそう遠くないと思われました。

もともと子宮内膜症があったことにより「お血体質」の可能性があることから、「水快宝」と「冠元顆粒」を重きにして調整しました。

そして、1周期が経過しました。

基礎体温表は、今まで波状型だった高温期がとても安定し、その長さもしっかり14日間あるようになったのです。早い改善です!このことからOさんには、常に多少活血する必要があることがわかります。

Oさんにはもう1周期、同じ活血剤を中心とした漢方薬で体の調整を行います。

この調子で行けば、きっと嬉しい便りも近いことでしょう。

更にもっと早くに目標に近づくためにも、Oさんには漢方薬を服用するとともに、血の流れが悪くならないように生活スタイルに気をつけてもらうことも大切です。

これからの時期、寒くなってきますので、「冷えること」「運動不足になること」「甘いものの食べすぎ」などには気をつけて、常に「血液サラサラ」を心がけて生活していくことをおすすめします。

新しい補腎薬

この秋から商品化された「参馬補腎丸」。同じように「海馬」を使った「海馬補腎丸」とは、少し働きが異なるものです。

どちらも「腎」を補う薬です。特に「腎陽」を補うものとなっています。

参馬補腎丸」は「海馬補腎丸」よりも入っている動物生薬が少ないために、陽を補う力は弱いのですが、その分、「脾経」の力を補うものがたくさん入っています。

男性に使用する場合は、若い人で元気のない人に良く、女性であれば、腎陽虚で全体的に体温が低い力不足の人に良いものです。また脾経を強めますので、脾経が弱る傾向にある女性にとっては尚更良いお薬です。

従って、周期療法にて使用する場合は、全体的に体温が低く、「腎陽虚」が著しい人には全周期通しの処方として使用したり、高温期の体温が低かったり、伸びが悪い場合に、「参茸補血丸」と共に使用したりします。

37歳Oさん。低温期が20日と長く、高温期になったかと思えばそれを保つ力が弱く、期間が10日ほどしか続かず生理になってしまいます。

オリモノはあるので、低温期は長いのは少し多嚢胞性卵巣気味なのかもしれないために卵胞期に「シベリア霊芝錠」、そしてもう少し腎陽の力が欲しいので、高温期に「参馬補腎丸」にて改善を計りました。

すると、それを飲み始めたその周期、いつもなら20日間ほど続く低温期が16日になり、その後しっかりと排卵し、体温はきれいに上昇、高温期も12日間と長くなったのです。

とても早い改善です。Oさんにそれらの漢方がぴったりと合ったのでしょう。その調子であれば、近い未来に良い便りが届く予感がします。もうしばらく様子を見ながら、Oさんの体調を整えていく予定です。

どうして?

37歳Sさん。結婚7年目。

昨年から子作りを考えていたのになかなかできないために、初めて婦人科を受診。そこで子宮内に突出する3cmほどの子宮筋腫が見つかり、今までの繰り返す鉄欠乏症貧血の原因を突き止めることができるとともに、そのことで子供ができない可能性が高い、という現実を突きつけられ、その子宮筋腫をどうするか、の決断を迫られました。

そのままそれを持ち続けると、また繰り返す貧血のケアをしていかないとならない人生。そして子供の居ない人生・・・。

それも一つの人生なのだけれども、「貧血であること」と付き合っていくのは今度何かあるか分からない人生、手術も出来ない体であれば今後支障を来たすこともあるでしょう。また「子供ができない原因」がわかったからには、出来なくても原因くらいは除去しておきたい、とSさんの選んだ道は筋腫を除去する手術を受けることでした。

約3ヶ月かかって貧血を治し、腹腔鏡による手術。そして3ヶ月様子を見て、それから漢方の周期療法によるタイミング療法。

手術した病院の婦人科医には、「半年経って出来ないようであれば、またご相談ください」と言われました。今月でその半年が過ぎることになります。

その間のSさんの体調は、貧血はなくなったものの生理が飛ぶ周期があるようになりました。昨年の末よりそのような症状はあったので、手術のためとは言えませんが、「手術をすることで、卵巣に負担がかかり、早期閉経になる可能性もあります」と事前に言われた言葉が頭をよぎり、ますます不安は募るばかり。

今月は40日を越えても生理が来なく、ずっと低温期のまま。オリモノはあるものの高温にならない毎日。卵が悪いのか、黄体不足なのか・・・?「婦宝当帰膠」「オリジン」を多めに服用し、「杞菊地黄丸」と「参茸補血丸」を調整し続けても変わらず、そのまま低温期が継続しています。

Sさんにふりかかる様々なストレスに体が打ち勝てないのか、やはり年齢なのか・・・?

もちろん様々な原因が絡み合って、Sさんのホルモンバランスが崩れてしまっているのでしょうが、一度婦人科を訪ね、ホルモン数値、卵胞の育ち方、内膜の厚さ、を検査されるのが良いでしょう。どんな数値や状態の時にそのようなことが起こるのか、わかっていた方が漢方も処方しやすいですし、Sさん本人も安心できるはずです。

こんな場合は受診後の結果により、今後の方針を立てていくのが良いでしょう。漢方薬もそれにより変わってきます。見える部分は西洋医学に頼り情報をもらい、西洋医学では見えない部分は東洋医学に頼り体の調整をしていくのがおすすめです。

Sさんも昨年に引き続き、何かが見えるかもしれません。幸せの新たな一歩となるように、まずは踏み出してみましょう。

月経期に排卵?

生理が始まったので、採卵のためにクリニックに行ったIさん。

まだ月経周期4日目にも関わらず、エストロゲンの数値が排卵期の400pg/ml近くで、排卵前だと診断されました。

それから3日後にはIさんの体温は、36度7分をすっかり超える高温となり、排卵後の高温期に突入していました。

このように低温期に入るまでに既に卵胞が大きくなり、周期1週間も経たないうちに排卵することはよくあることです。しかし今回のIさんの採卵予定は、次回に見送られることになりました。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

それは排卵促進剤などを使用したり、多嚢胞卵巣などの場合は、卵胞が多くでき、前周期で排卵しきれなかったものが残り、今周期の月経期に排卵された結果なのです。

今回のような場合は、卵胞は前周期のものではありましたが、しっかり排卵し高温期になりましたので、漢方の周期療法のお薬は「高温期」のものを服用することになります。

39歳のIさんは、今までに5回の人工授精、5回の体外受精をされ、たくさんのホルモン剤を使用してこられました。卵管に少しの癒着が見られるようですが、それほどこれといった問題もないのですが、人工授精や体外受精に数多く取り組んでこられました。

年齢的にも徐々に自分持つ卵巣の力が弱ってくる頃でもあるのですが、その際のお薬によりそれを更に弱めてしまっているように思えて仕方がありません。

ご本人も今回のような症状は今までにはなかったことから、だんだんと不安が募り、このまま何をどのように続けて行ったらよいのか、わからなくなってこられたようです。しかし年齢のこともあり、焦るばかり・・・。

同じように焦ってしまって、高度医療を進めていくうちに、そこまでバランスが崩れていなかったはずの身体のバランスを取り返しがつかないくらいまでも大きく崩すことになった人は多くおられることでしょう。

決して高度医療を止めるのを推奨するのではありません。

例えば、ホルモン治療などを3周期進めて、その後は、漢方などで身体の調整を3周期行い、また西洋医学の治療を進める、という形を取っていく方が良い結果に繋がっていますので、その方法を推奨したいのです。

治療の迷路に入ってしまった人は、今一度、一番良い方法は何なのか、立ち止まってお考えください。焦れば焦るほど夢は遠くなってしまいます。早くに夢を掴むためにも、早めの決断をしてください。