悲しいけれど

34歳Fさん。5年前に女の子を6回の人工授精にて授かりました。そして2年前より2人目を望み、人工授精を繰り返しているけれども1人目の時よりも反応が悪く、良い結果につながりませんでした。

自分なりに生活改善をしてみたり、極度の「冷え性」を改善するために「腹巻」「レグウォーマー」を使ってみたり、体を冷やす食べ物を控えるようにするなど様々努力してみましたが、一向に「冷え性」も改善しません。

これは体のバランスが自分の力では立て直しができないくらい崩れたためと判断し、漢方薬の力を借りることにされました。

Fさんにはまずは体のバランスが戻るまで、人工授精などの治療を休憩してもらうことにしました。そして「冷え性」の改善、卵巣の働きを良くするために補気・補血作用のある「婦宝当帰膠」をベースにし、竜眼肉が入った増血作用のある「参茸補血丸」を組み合わせ、体の立てなおしをしていきました。

しかし体の立て直しには多少の時間がかかるものです。Fさんは5周期漢方薬を続けても目立って体の変化を感じられないことに、少し不安を抱いていました。しかしそう感じていたちょうどその周期、妊娠陽性反応が出たのです!

人工授精をすることもなく、自然で妊娠できたその瞬間「漢方薬を続けていて良かった」と感じたと言われました。

そして順調にすくすくとお腹の中で育っていく小さな命。まだ鼓動は聞こえないけれども、確かなものが宿っていることが感じられるなかで、幸せな瞬間を楽しんでいました。

ところが、9週目のこと。突然の出血・・・!そして流産・・・。

期待に胸を膨らませ、小さな鼓動を大きく育てる日々を夢見ていたのに・・・。

結局Fさんの流産の原因は、抗リン脂質抗体症候群であることがわかりました。これは、抗リン脂質抗体が認められることで、動静脈血栓症、習慣流産、血小板減少症などの症状を呈する自己免疫疾患です。次回からの妊娠の際には、流産防止に努めなければなりません。

Fさんの辿ってしまった「流産」という道。しかし「流産」は悲しいけれど、「妊娠できる」ということで、次につながる良い兆候です。次に向けて体の立てなおしをしていけば、また小さな鼓動を聞くことができるでしょう。

Fさんにはまずは「婦宝当帰膠」「冠元顆粒」にて次の月経が来るまで立て直しをしてもらいます。流産後は出血が続くことがあります。子宮内をきれいにするために、活血剤を主に使用し、早くに月経が整うようにすることが大切です。

次のスタートラインは間近です。今の「悲しさ」を早く「嬉しさ」に変えられるように、気持ちの入れ替えも大切です。