婦人科医の独り言

婦人科医が不妊治療にやってきた37歳のAさんに、診察室で懇々と話をしていました。

「旦那さんと将来のことを良く考えて、どう生きていくかの将来設計をしてください。」

なぜ、そのようなことを婦人科医がAさんに言ったのか・・・。

それはその婦人科医の経験上、37歳くらいの年齢になって一生懸命に不妊の治療を行い、やっと妊娠できた40歳。その不妊治療を受けていたご夫婦が2人の考えを語ったとき、

「子供なんて要らなかった」

という結論に達したことが多いからなのです。

つまり、せっかく「子供ができること」の目標に向かって婦人科医も自分なりに最高の治療を施した結果がこういうことであれば、患者さんが負担する治療費も掛かる上に、今までやってきたことが、無駄になってしまうことがありうるからなのです。

不妊治療を受ける前に、自分達の様々な将来像を描いてください。

 ☆不妊治療を受け、子供が出来た自分達の将来

 ☆不妊治療を受けたけれども、授からなかった将来

 ☆不妊治療を受けずに、授からなかった将来

それぞれ自分達の年齢別にその将来像を描き、「本当に自分達の目指している『よろこび』とは一体何なのか」、を今一度自分に問いかけることも大切ではないでしょうか。

風邪予防に!

「風邪の予防」に「手洗い」「うがい」は欠かせないもの。今まで「手洗い」「うがい」はあまり効果がないと思われていたようですが、最近、これらの行動により風邪を防ぐことが出来るということが改めて言われるようになりました。

また、近年流行っている「ノロウィルス」による「下痢」や「嘔吐」の症状も、しっかりとした「手洗い」により防ぐことができます。

もちろん予防接種も予防の1つの方法ですが、接種後の予防で日常使えて安全なものをおススメします。

板藍茶(ばんらんちゃ)」です。

「板藍茶」には、「板藍根(ばんらんこん)」という生薬が含まれています。

漢方では、「清熱涼血」「解毒」の効能があります。

近年、中国では、「日本脳炎」「インフルエンザ」「ウィルス性肝炎」などへの効能も研究され、「板藍根」の注射液なども開発されているようです。

この「板藍根」の入った「板藍茶」で、うがいをするようにして服用したり、お茶に溶かしてお茶として服用したりすることをお勧めします。

この「板藍茶」は、お子様でも妊娠中でも安心して飲むことができるものです。是非、風邪の流行るこの時期に、お守り代わりとしてお持ちください。

水蛭の効き目

「水蛭」は「すいてつ」や「すいしつ」といい、日本や中国、朝鮮に生息する蛭(ひる)をそのまま乾燥したものです。

良く知られているのが、「蛭」はフランスやドイツ、オランダ、イタリアなどのヨーロッパで「瀉血療法(汚い血を出す療法)」の道具として利用され、「脳卒中」「緑内障」「肺結核」などの治療に応用されてきました。

「蛭に吸い付かれると血が止まらなくなる」と言われますが、これは、蛭の唾液の中に「ヒルジン」と言われる抗凝血物質が含まれているためです。

乾燥させたものにはこの「ヒルジン」は破壊されて含まれていませんが、「ヒスタミン様物質」や「ヘパリン」が含まれます。

「ヒスタミン様物質」は「血管拡張」や「血管透過性亢進」などの働きがあり、「ヘパリン」は血液を凝固させる過程のトロンボプラスチンに作用し、フィブリノーゲンがフィブリンという血液凝固因子へと生成されるのを防ぐ働きがあります。

これらの働きを漢方では「活血化お」「通経」の作用があると捉え、お血(血流が悪い状態)による症状に用います。

女性の5人に1人は持っていると言われるこれらの症状は、多くの人の悩みの種です。是非、自分に合った自然のお薬を見つけ、快適な生活を送ってください。

幸せの南京豆物語

中国では、古い楚国の文献にも記載されているように「民間で代々伝えられてきた風習」があります。

その中でも「結婚を迎える男女」のための風習で「南京豆」のお話を紹介します。

結婚を迎える男女のために、親族の中でも「縁起が良く」「子孫が繁栄し」「健康で長寿」の人が「敷布団」や「掛布団」を手作りで用意する、という風習があります。

その掛布団の縁に「棗(なつめ)」「栗」「南京豆」が縫いこまれるようです。

中国語で「棗」は「zao」、「栗」は「栗子(li zi)」と読みます。「zao li zi」と同音異義語の「早立子」の意味は、「早く子供ができること」です。

「南京豆」はその鞘の中にたくさんの実がなることから、「子沢山」を意味します。

つまり、その「棗」「栗」「南京豆」のセットで、「早く子供がたくさん産まれるように」との願いを表しているのです。

近年では、この手作りのお布団の風習はなくなってきているようですが、新婚家庭にお祝いに訪れるお客様に「棗」と「栗」をお茶菓子として出し、「南京豆」は紐をうまく細工して作られた作り物の部屋飾りが、「縁起物の飾り」として飾られるようになったようです。

中国に倣って、「棗」、「栗」、「南京豆」の3点セットをお部屋に飾ると良いことが起きるかもしれませんね。

牛蒡子を煎じる?食べる?

最近、助産師さんが「牛蒡子(ごぼうの種)」を妊婦さんに紹介しておられるようで、妊婦さんが「牛蒡子」を良く購入しに来店されたり、ネットでの注文も多くなっています。

通常は「牛蒡子」は「煎じて」服用いただくのですが、助産師さんが「炒って食べる」ように指導されているところもあるようです。

別の所での何人かの助産師さんがそのように指導されていることを聞きますので、そのように指導されるのも珍しくないようです。

ただ、この「牛蒡子」、味は「辛く」「苦い」ものですので、噛んで食べるには決して美味しいものではありません。

また、「牛蒡子」の使用方法が記されている生薬の書物には、「牛蒡子」を炒ったものを細かく砕いて服用することは記されていますが、噛んで食べるようには記されていません。

あえて、美味しくないものを噛んで食べるよりも、煎じた液を服用する方が良いような気がします。

ご本人が「美味しく」「楽しんで」服用できる方法が一番良いですが、「牛蒡子」を食べている妊婦さんは、是非一度「煎じたもの」をお試しください。問題なく飲めるようでしたら、是非「煎じたもの」の方をおススメします。

hCG注射剤

hCGはいわば卵胞という風船を「割る力」に相当します。hCGは赤ちゃんが作り出すホルモンで、妊娠反応の元になる物質です。

そのhCGは黄体を刺激することに用いられ、その注射剤は内服剤とは異なり、卵巣を直接刺激し排卵を促すものとなります。

32歳Yさん。初潮を迎えた頃より常に生理不順で、20代初めに、生理が止まってしまったことをきっかけに10年以上もホルモン剤の力を借りて、生理を起こさせることを続けていました。

そのYさんが、ホルモンを思い切って止め、漢方薬に変更し、3ヶ月目に自力で生理が来るようになり、その後も周期は長めではあるけれども体温も2相性で改善し、今月で8ヶ月が経ちました。

先周期のこと。

「そろそろ排卵かな」と感じる時期に、卵の育ちを見てもらおうと、婦人科に行き、検査を受けられました。その際に、

「せっかく病院に来たことだし、もう排卵の時期なので、注射でも打っておこうと思って、hCGを打ってきました。」

との報告を受けました。その結果、見事に排卵し、高温期もしっかりできたのですが、その後、7日経ったある日、ガクンと体温が下がり、生理に。

ここ3ヶ月は、遅いながらも自力で排卵し、高温期も13日以上はあったのが、今回は7日しかありませんでした。

排卵準備も出来ていないのに、自然に逆らって無理に排卵させたがために、卵の質が良くなかったためでしょう。何事も焦らずに改善されるのを楽しみに、自然に任せることが「ゆっくり」だけれでも「早道」なのです。

乳児湿疹

今日は漢方の周期療法にて妊娠・出産されたママとその赤ちゃんの集まりの「ひよこママの会」の第4回目の日でした。今年はこれで終わりで、第5回は来年暖かくなってからの開催予定です。

今日もひよこママ達の「心配事」や「この時期の発育」など様々なことを小児科の橋本加津代先生にご指導いただきました。

その中で、今日は冬に多い「乳児湿疹」について紹介します。

秋から冬にかけては、空気がとても乾燥する季節です。

この季節を初めて迎える赤ちゃんのお肌は、その乾燥した空気に敏感に反応して「湿疹」や「かさつき」が出やすくなります。

それは、今までお母さんのお腹の中で過ごしていたときは、「脂肪」に包まれていたのが、初めての「乾燥期」には、お腹の脂肪に包まれていたときよりも脂肪分が足りなくなるために、「湿疹」が出やすくなるのだそうです。

湿疹に赤味がなくてカサカサしているものであれば、保湿剤をお肌に補ってあげると良いということです。その保湿剤は、ワセリンなど口に入っても大丈夫なようなものをお使いください。

漢方薬では、症状に合わせて「紫雲膏」や「タイツコウ軟膏」、「瑞花露」などがおすすめです。

それらの保湿剤を塗るタイミングは、吸収が良い「お風呂あがり」が一番良いです。

また、湿疹が「治ってはまた出る」の繰り返しで心配だということに関しては、「治る」ということが大切で「治る」時期があれば心配なく、そのうち治まりきれいになってくる、ということです。

これからの時期は、インフルエンザも心配ですが、飛沫感染するウィルスですので、なるべくうつるような場所に連れていかないように気をつけてください。

赤ちゃんにとって初めて迎える「冬」は、少し厳しいものですが、全てが「学習」で、今後強く生きていくためのものなのです。ママ達もどんと構えて、あまり心配せずに育ててください。

第4回ひよこママの会

☆ 12月7日(水) 13:30~15:30 ☆
<<「第3回ひよこママの会」からの伝言>>
<小児科受診のポイント>
熱や咳、下痢があっても子供が遊ぼうとする元気があれば、病気はそれほど重くない、と判断してよし!常と異なる症状や顔色を見せたときに、注意!
「おしっこ」:尿路感染症を起こしているときもあるので、検尿は大切。
「ウンチ」:ウンチの状態でウィルス性のものなのか、細菌性のものなのかがわかるので、ウンチを持っていくこと! → 抗生物質が必要なのか、が判断できる大切なものです。
★★★今回のお子様の月齢は3~12ヶ月です。★★★
<確認行動が始まる>
1歳までおもちゃを舐めて確認する。第2、3の目が「手」と「口」である。1歳になると「ハイッ」と言って物を渡す。
スリッパも舐める → 「ダメ」と言う → 余計にしたくなる
<母乳について>
母乳だけで良いか?果汁や白湯は飲ませたら良いか? → 別に気にしなくても良い。離乳食までに母乳以外のものが1回でも口に入ったら良い。
<目にゴミが入る>
目にゴミが入り易いのだがどうしたら良いか? → 精製水で洗い流す。基本的には自分で涙を出して出すもの。気になって痛がる、目やに(バイ菌)などがあれば注意しないといけないが、それ以外は涙で流すので気にしなくても良い。
<股関節について>
3か月受診で股関節が固い、と言われた。 → 股関節脱臼の危険性がある場合は、左右差があるはず。左右差がなければ大丈夫。
<寝かせ方について>
抱っこしないと寝ないのですが、どうしたら良いか? → 上向きは不安。クッションなどで体の横を固める。体の横に何かがあり、包まれているような感じだと安心する。お尻が上がるようにお尻の下にクッションなどを入れる。
お母さんが「どうしたの?」「なんで???」となると、お母さんの不安が赤ちゃんに伝わる。お母さんは「どんどん泣きなさい」と構えていること。
<子供の着るもの>
子供はよく動くので、薄着で良い。動くことで手足が温まるもの。
<手足の皮が剥ける>
ハイハイする。手足の皮が剥ける。脱皮と同じで大丈夫!
<乳児湿疹>
湿疹が出て、頭や耳を良く掻く。
この世界に産まれて初めての冬は、顔に湿疹ができやすい。お母さんのお腹の中に居るときは脂肪に包まれているために、初めての乾燥期(冬)には脂肪分が足りなくて湿疹がでやすい。
赤味がなくてカサカサ → 保湿剤:ワセリン系で口に入っても大丈夫なもの。お風呂上りがOK!
湿疹も「塗っては治る」の「治る」があれば、大丈夫!治る力があることを意味するので良い。
<成長曲線について>
成長曲線のカーブが同じであれば、低くても大丈夫。
<インフルエンザの予防について>
インフルエンザは高熱が出る(2005年改訂)。A型が流行りやすい。ワクチンは「ソ連型」「香港型が2つ」で3つの型の混合ワクチン。
予防対策としては、インフルエンザは飛沫感染のために、赤ちゃんをうつるようなところに連れて行かないようにすること。

高温期から月経期への体温差

低温期と高温期の差は、理想的なのは0.3度です。

高温期から月経期になる時は、この差の0.3度ガクンと下がって、月経期に入ります。必ずガクンと下がらなくてはならないか、と言えばそうでもありませんが、「なかなか下がりきらずに生理になる」というのは、「何か邪魔をしているものがある」と考えます。

例えば、「黄体ホルモンが過剰」の場合。

これは多くの場合、ホルモン治療をされている人に見られます。そういった場合は、全体的に高めの体温になっていることが多くあります。つまりこの場合は、ホルモン治療によって、過剰に投与されてしまった「ホルモン」が邪魔をしているのです。

その他には「子宮内膜症」「子宮筋腫」がある場合。

「お血」や「湿熱」があることが子宮内膜や筋層に異常を来たすことになったわけですが、それが「血熱」を生じることにより、その熱により体温をスムーズに下げることができなくなっているのです。

体温が高いままだと、良い卵胞が育ちにくくなります。低すぎる体温だけでなく、高すぎる体温も問題です。高すぎる体温に対しては、邪魔している「何か」が存在するはずです。まずは、それを探ることが大切です。

ヒトクローン胚

韓国の再生医療研究が、倫理問題を巡って危機に陥っています。

折角、世界で初めてヒトのクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作成することに成功し、そのES細胞が様々な臓器や組織に育つことから、病気や怪我で失われた体の働きを元に戻す再生医療に役立てることができるという構想が、倫理的な問題により揺れ動いています。

韓国ソウルの研究チームが、2002年からの研究過程で研究員からの卵子の提供を受け、その報酬を支払っていたことが発覚したことにより、改めてその倫理問題が問われています。

韓国は、儒教国で長子存続を重んじるために、不妊治療も盛んで、代理母出産も実施され、卵子譲渡への抵抗も少ないという国民性があるようです。卵子の売買は禁止されているようですが、それも法的に禁止されたのは、今年の1月からというのには少々驚きです。

日本国内では、文部科学省がヒトクローン胚の研究指針を策定中のようですが、卵子の「ボランティアによる提供のもの」や「不妊治療で使わずに余ったもの」を認めるか否かはまだ決まっていません。

ただ、作成されたヒトクローン胚を母胎に戻すとクローン人間ができてしまうわけですから、研究と言えども、「どこかで自分のクローン人間ができあがっている」というのはかなり奇妙な光景で、やはり極めて慎重に事を運んでもらいたい事柄であるといえます。

しかし映画やアニメには登場する光景であるために、近未来にそのようなことが起きることになっているのかもしれません。実際にあった「鉄腕アトムの物語」のように、それが「物語」でなくなり、もしその光景に出会うようなことがあれば、それがデジャヴといわれるものなのかもしれません。

何だか怖い話です。