流産の可能性

結婚暦13年目のNさん35歳。

今まで自然妊娠にて6週目で流産を2回繰り返されていました。その原因は、抗リン脂質抗体が陽性であったためでした。これがわかったのは2回目に流産された時でした。

抗リン脂質抗体が陽性であった時の産科の所見としては、「反復流産」があります。「妊娠中・後期の子宮胎児死亡」、「重篤な妊娠中毒症」、「血栓症」、「子宮内胎児発育遅延」、「自己免疫疾患または膠原病」がある場合はその疑いがあります。

抗リン脂質抗体が陽性の人には、低用量のアスピリン療法をされますが、その療法の役割は依然として不明であるのが現実です。抗血小板作用は動脈血栓の予防にはなりますが、不育症に対して臨床的に有効かというデータはほとんどないということも言われています。

それに対してペパリン療法の不育症の治療の有効性は多く報告されており、スタンダードになりつつあります。

Nさんの場合は、高温期にのみアスピリン剤であるバファリンを服用されていました。それに加えて、漢方薬を服用され、4周期目にて自然妊娠されました。

今回は何とか流産せずに持たせたい!

即、産婦人科に入院され、止血剤、黄体ホルモン剤注射、カプロシン(ヘパリン)の皮下注射、バファリンの服用が胎児が確認されるまで続きました。

その後もカプロシンとバファリンの服用は続き、併せて漢方薬も服用されていました。

流産は「気虚」が主な原因であるために漢方薬は、主に補気剤を使用していました。

ところが、30週目に入ったとき、出血!

即、入院され、その後出血はおさまりましたが、結局32週目に帝王切開にて双子の赤ちゃんを出産されることになりました。もちろんまだまだ赤ちゃんは小さかったのですが、抗血小板作用のあるお薬を服用されているためか、どうしても赤ちゃんを持たせる力が不足してしまうのでしょうか。かなりの早産になりましたが、誕生からまだ1ヶ月経たない赤ちゃんは今元気に育っています。

やはり、抗血小板作用のお薬を飲まれている抗リン脂質抗体が陽性の人は、流産や早産の可能性が大きくなってしまいます。Nさんのように漢方薬を服用されるのが良いことかと思われます。