今度こそ!

初潮を迎えたときから生理不順。20歳を超えた時には、もう既に自力で生理が来ない状態になっていた36歳Mさん。不妊改善の漢方薬はサボりつつも2年半前から続けています。

しかし35歳になった昨年、サボっていてはいけないと、自分にムチを打ち、本腰を入れて飲むようになるとともに、鍼灸治療も取り入れていきました。

鍼灸治療にてMさんが常に持っている「胃の不快感」、「肩こり」、「偏頭痛」を改善することで、ストレスを解消でき、体への負担が軽くなる分漢方薬の効き目もアップすることでしょう。またもちろんのこと、鍼灸治療でも周期に合わせてツボを変え、調整していきますので、それとの相乗効果によりますます薬の効き目が良くなります。

Mさんの場合は、卵巣がなかなか働かないために、頭から卵巣への刺激が過剰になっています。刺激が過剰になるだけで卵胞は育たないので排卵もせず、卵巣刺激ホルモン値が過剰になった卵胞期が長く続くのです。そのまま放っておくと、卵巣が刺激過剰になりますので、カウフマン療法により、生理を無理に起こすように持って行くのです。

しかし、しっかりと卵胞が育つと、排卵が起こり、高温期となるのです。その機会がMさんの場合は年に2、3回ほど。

そんな中、本腰を入れ治療を始めた3ヶ月目の昨年6月に、何と妊娠陽性反応が出たのです!Mさんにとって、今まで「妊娠」の「に」の字も聞けなかった自分に、まさかそんなことが起こるとは思っても見ませんでした。

それから大事に大事に・・・と育てていくはずだったのですが、結局心拍が確認できず、残念な結果となってしまいました。

あれから1年。

冷え性のMさんにとって、冬は体も冬眠状態。春に一度完全でない卵胞が育ったようですので、雪解けと共に体も動き出したようです。

また本腰を入れた治療を始めようと、先月から鍼灸治療を再開しました。先月は結局カウフマン療法のお世話になりましたが、今月はなかなか良さそうです。

今が大切な卵胞期。しっかり「滋陰」のお薬を服用し、良い卵胞が育つように持っていきたいものです。年に少ない機会ですから、今を大切に、でも焦らずに体調を整えていこうとしています。今度こそ、微笑むことができるように。

乳児アレルギー

10ヶ月のKちゃんのママからご相談です。

離乳食をぼちぼち始めた3ヶ月ほど前から、Kちゃんの手足に湿疹ができ始めました。とても痒いようで、見ていられません。皮膚科から出ているリンデロンも根本治療に至らないために薬が切れると痒みが増すようで、可愛そうです。

ママがアトピー体質で自分と同じような悩みを持つようになってほしくないので、今のうちから体質改善をして何とかしてあげたい!とのことでした。

ほんとに乳児のアレルギーは見ていて辛いものです。

遺伝的な要素ももちろんありますが、赤ちゃんの場合は、その原因として消化器系が弱っていることが多くあります。ですので、その改善策としては、消化器系を強めるように漢方薬にてお手伝いすることになります。

そこで漢方薬は「小建中湯」をオススメしました。また「どくだみ茶」を飲むのも良いです。

それに加え、入浴剤として、「当帰」と「地黄」を煎じた煎じ液をお風呂に入れると、保湿作用があるために痒み抑え赤みを取ってくれます。

それらを組み合わせていくことで、Kちゃんは痒い苦しみから開放されることでしょう。これでママも安心です。同じようにお悩みのママ、是非可愛いお子様のために、お試しください。

休みの間に

お盆休みの間に一番多く寄せられていたお問い合わせは、「漢方による不妊治療について」でした。

そして休み明けの今日に、新規の来店者で多かった相談は、やはり「漢方による不妊治療」でした。

夫婦共にお休みのこの間に、じっくりと2人で先のことを話し合う時間が持てたからなのでしょうか。ネットで検索する時間の余裕があったからでしょうか。

ただ家を出てから「来店したい」とお電話されたり、突然来店されたりした場合は、手持ちに基礎体温表を持っておられないことが多かったために、ホルモンバランスや体調の経過を把握しにくく、周期によってきっちり処方を変える周期療法のお薬が決めにくくなります。

ご来店、もしくはご相談をされる際には、是非、情報の詰まった基礎体温表をお知らせください。体温表を見ると、どのホルモンが乱れているのか、何か問題なのか、ある程度予測がつきます。そしてその改善計画も立てやすくなります。

この休みの期間と休み明けに多かった不妊のご相談では、そのほどんどが病院でのホルモン治療を何年も続け、その結果、卵巣が腫れかけ、子宮内膜も薄くなってきてしまい、以前のほうが調子が良かった、と言われる人でした。

それと共に、子宮内膜症、子宮腺筋症の症状を持つ人が多いことも特徴的でした。それらの症状があるために、余計に病院での治療法はホルモン療法になったり、手術をすすめられたりするのでしょうが、あまりにも機械的な治療法に何ともいえない憤りを感じます。

西洋医学ではホルモン療法、手術しかないそれらの症状を、その治療法でないもので改善しようと望まれるのであれば、それは漢方なのです。

漢方治療は、なぜそのようになってしまったのか、そのようになりやすい体質にターゲットを当て、流れが悪く、癒着などしやすい体質を改善しつつ、ホルモン療法にて弱ってしまった卵巣の力を強め、薄くなってしまった子宮内膜を厚くするように持って行きます。

もちろん、長年かけて出来上がった体質は、そう短い間に改善するものではありませんが、半年も続ければ何かが変わってくることは間違いありません。

是非、漢方を信じて長年かけて築いてしまったバランスの崩れた体質を改善してください。

まるで更年期

39歳Fさん。病院での不妊治療歴は5年。

何度人工授精と体外受精を行っても成功しないその原因は「子宮内膜症」と「子宮筋腫」ではないかということで、昨年にそれらの手術を受けられました。

しかしその手術を受けてから体調が悪く、卵胞もしっかり育たなくなりました。おそらく手術前に行った、「生理を止める薬」が影響していることと思われました。年齢的にも一度負担をかけると回復に少し時間がかかってしまうことも加わって、体調がなかなか回復しないでいたのでしょう。

「顔のほてり」「イライラ感」「便秘」・・・自分の中に起こっているこれらの不調は、まるで更年期のようなもので、ますます不安はつのるばかり。

妊娠というのは健康な母体のうえに成り立つものですので、このように体が不調で卵巣の機能も衰えているときに、追い討ちをかけて体外受精などの不妊治療を続けることは避けたいものです。

「漢方で体調を整えたい」とFさんが来店されたときは、体調も基礎体温もガタガタでした。おそらく5年間の激しいホルモン治療にて卵巣は刺激過剰となり、子宮内膜の状態も悪く、たとえ良い卵ができたとしても着床しにくい環境になっていることは明らかでした。

Fさんには、しばらく病院での治療を休み、漢方のみで体調を整えることを約束してもらいました。

漢方薬は「婦宝当帰膠」をベースとし、「血府逐お丸」「紫河車」「参茸補血丸」「逍遥丸」などを周期に合わせてうまく組み合わせることで、3ヶ月ほど体調と体温の様子を見ました。

そして3ヵ月後、今までホルモン治療をしていたためか、体重が増え続けていたのですが、漢方に切り替えてから、体重が減少し、不妊治療を行う前のいつものFさんの体重に戻り、むくむこともだるさもなくなり、結果として、イライラ感、のぼせも解消したのです。

必然的に基礎体温も整い、きれいなニ相生になってきたのです。もちろん卵胞もしっかりと育つようになりました。

これだけ「健康な母体」が整えば、体外受精をしても成功率は高いと言えます。今後Fさんは5回目の体外受精に挑戦する予定です。きっと良い結果が得られることでしょう。

可憐な蓮

お盆の時期には蓮の可憐な花をあちこちで見ることが出来ます。

そしてお盆の過ぎたこの時期には、花びらの散った後の「蓮の房」の姿を見かけます。この蓮の房の中に潜んでいる「蓮の実」を食べたことはありますか?そのまま房から取り出し、口に運んでみてください。とても甘く、美味しいものです。

中国では「蓮の房売り」の姿を良く見かけます。中国の人はこの実をおやつとして愛食しているようです。中秋の名月の時期になると出てくる有名な「月餅」や中国菓子の餡として、「蓮の実」が使用されていますよね。

この「蓮の実」。とても栄養価も高く、漢方でも薬膳料理でも幅広く使用されているものです。

作用としては、「安神」「補腎」「健脾」「止瀉」の効能があり、精神的な過労による不眠、不安、のぼせ、口渇、帯下、食欲不振、小児の胃腸虚弱、乳児の吐乳などの改善薬として、他の生薬と調合されます。

根っこである蓮根は、私達日本人にも体に良い食べ物としてとても馴染みのある食べ物ですが、可憐な蓮は花の房から実、葉、根っこまで、すべてが薬用となる優れものです。

可憐な蓮の咲き終わった姿を眺めながら、「美味しそう」と感じてしまうのは、私だけでしょうか。是非、一度、体に良い「蓮の実」を味わってみてください。

自宅出産のために

妊娠9ヶ月目のHさん。

昨年漢方の周期療法を3周期続け、めでたく妊娠されたHさんですが、赤ちゃんが確認できた頃から赤ちゃんの方向があっち向いたりこっち向いたりと、ちゃんと下を向いていることがなかったそうです。

「そのうちにちゃんと下を向くようになるので大丈夫ですよ」と医師や助産師より言われていたようですが、9ヶ月経っても上を向いたまま。

Hさんは、助産師による自宅出産を希望していて「もし逆子であれば自宅出産はできない」と言われているらしく、そろそろ治さなければならない時期になってきました。

しかし自分で逆子体操をするけれども一向に治る気配が見えず、困った末に助産師に「逆子の鍼灸治療を受けてみては?」と勧められ、当店の鍼灸治療に来られました。

原因として考えられることは、この暑い夏の冷房により足元が冷えたこと、暑いのであまり動いていないこと、がありますが、妊娠半ばに左の尾てい骨横の仙骨部に圧痛が走るようになり、それ以来、同じ姿勢で居ると腰痛のような痛みに襲われる、ということも気になるところです。

男の子を出産される予定ということですので、尚更その仙骨部の痛みがネックになるような気がします。

逆子を治すことで、その痛みは軽減することが考えられますので、まずは逆子を治すことを中心にお灸を行い、自宅でも自分で毎日行ってもらうように「棒灸」を持って帰ってもらいました。

お灸を自宅で続けてもらうこと、そして運動不足の生活から脱出してもらうために、暑くない時間帯で木陰を最低1時間は歩いてもらうこと、を指導しました。

妊娠して体が重たく、余計に暑く感じますが、体を動かさないとめぐりが悪くなり、赤ちゃんの環境にもよくありません。しっかりそれらを続けることで、赤ちゃんの居心地が良くなり、逆子も治り、念願の自宅出産ができることでしょう。

ダラダラ出血

37歳Oさん。周期療法による不妊治療を漢方のみで続けて3周期目。

いつも月経期間が1週間以上続くために、子宮内の環境が早くに整わないのか、卵胞期が20日以上と長く、その卵胞期に育つ卵の質に問題があるためか、黄体期が短いという月経周期となっています。

Oさんの場合の質の良い卵が育たない原因としては、月経期が長いということばかりでなく、卵胞期も少し体温が高めであることもあげられます。

Oさんにはそれらの原因を徐々に改善していくために、周期により漢方薬を調整しました。

子宮内に小さな子宮筋腫が存在することもあり、前周期までは月経期に「水快宝」を使っていましたが、その破血作用によりより出血が続くものと思われるために今回は「冠元顆粒」と「田七人参」を調整し、ダラダラと続く出血の改善を計りました。人によっては、「帰脾錠」を使用して調整することもあります。

また卵胞期の安定には「杞菊地黄丸」などを使用しました。

まだ今、卵胞期途中ですが、今のところダラダラ出血は前周期ほどもなく、安定した卵胞期を保っています。今周期は「質の良い卵」が期待できそうです。

しっかりと「質の良い卵」ができれば、排卵もスムーズに行われ、高温も安定することに繋がります。この卵胞期の時期にストレスを少なくし、無理なく過ごすことが大切です。ちょうど今週末より仕事もお盆休みの期間に入りますので、ちょうど良い時期なのではないでしょうか。楽しみです。

思わぬトラブル

いつもは起こらない「痔」。妊娠後半になってくると、「痔」が発症することがよくあります。

妊娠後半になると、お腹が張ってくるので「便秘」になることが多いものです。反対に下痢になるのは危険ですので、便秘の方がまだ良いのかもしれませんが、やはり便秘は辛いもの。そして便秘になるだけでなく、それがきっかけとして、肛門や直腸静脈の流れを妨げることになり、うっ血することで「痔」が起こってしまいます。

でもそんなときに西洋薬の「下剤」を飲めば、「下痢」になる可能性があるために危険です。そんな時は、なぜ便秘になったのかの部分を個人に寄って見極め、調整してくれる漢方が安心です。

さて、「便秘」を通り越して「痔」になってしまった時、これも早くに対応しなければなりません。

もし「便秘」もまだあるのであれば、原因となった「便秘」を先に治します。「便秘」を治しつつ、「痔」には外用薬の「紫雲膏」を塗るか、座薬の「紫雲膏座薬」を使うことで、早期に改善します。

妊娠に関わらず、少し頑張り過ぎたときに「痔」が発症する人には、根本治療として「槐角丸」を続けることで再発しないように体質の改善が可能です。

妊娠すると、自分の弱い部分に負担がかかり、常のトラブルが起こりやすくなります。また「飲んで良いお薬」にも制限がかかります。できれば常の体のトラブルは、妊娠前に改善しておきたいものです。

ご主人様も漢方で

今度人工授精を予定されている30歳Tさん。

ご主人の検査結果が、あまりよくない数値であったことを改善する漢方をご希望です。

しかしご主人の検査は、たった1回のみ。1回ではそのときの体調により、数値がかなり変わってきますので、1回の検査だけで判断しない方が良いと考えます。何回かの検査を行い、判断した方が良いです。

「睡眠不足」「休み明け」「ハードワークの後」・・・などではその数値にはかなりの差があります。

何回の検査により、やはり衰えが見られる場合は、是非漢方の力を借りてください。

Tさんの旦那様の場合、夜遅い食事をされるために胃腸機能にストレスがかかっていること、その他もかなりのストレスがあること、などから体力の衰えにつながっていると思われましたので、「補中益気丸」と「イーパオ」を使ってもらうことにしました。

通常、一般的に男性の場合の代表的なお薬としては「イーパオ」を使用します。それに加えてその人の体質により何が原因に加わっているのかを判断し、お薬を加えていきます。

同じ悩みを持っているご主人様は、せっかくのタイミングや人工授精を成功させるためにも、是非、漢方の力を借りてみてください。きっと自信につながります。

一見は良薬?!

今日は月1回行っている不妊の相談会の日でした。

毎回多くの人が遠くからご相談に訪れます。今日も今まではメールでのやり取りにて漢方を続けていた人達が、相談会に足を運んでくださいました。

メールやお電話でのやり取りでも充分に症状や状況は把握できるのですが、やはり「百聞は一見にしかず」とは良く言ったもので、お顔を拝見して改めてわかることが多くあります。

それはこちらサイドのことだけでなく、漢方を飲まれている人サイドでも言えることで、相談に応じている先生や電話の応対をしているスタッフの顔を見ることにより、安心感を得られることと思います。

周期療法を続けているお会いしていない多くの人達は、もし、1回でもお会いできる機会があれば、是非、お会いできれば良いのにな、といつも感じています。

本日来られたCさんも、とても安心され、今まで「諦めかけていたこと」にまた改めて挑戦する意欲が出たと喜んでおられました。

Cさんは今まで内膜症やチョコレート嚢腫があり、腹腔鏡による手術をされ、その後体調がよくなるものと期待していたにも関わらず、ますます体調は悪くなるばかり。治療はどんどんエスカレートし、薬漬けになり、その結果約2年間で出来上がったものはホルモンバランスがすっかり崩れてしまった身体でした。もうダメかもしれない・・・。と行き着いたのが、漢方の道だったのです。

そんな不安いっぱいのCさんでしたので、尚更のことだったかもしれませんが、Cさんにとってはお顔を拝見して話をじっくりすることがとても大切なことだったのです。

Cさんにはホルモン治療などで「陰の気」が不足し、低温期の力が足りなくなったための改善としてのお薬を服用してもらっています。それに加え、「水快宝」を少量調整することにしました。

今回、お顔を拝見したことの「心の安心感」と今回すこし処方が変わった効き目が相乗効果となり、今周期は「陰の気」がますます強くなることでしょう。「陰の気」が質の良い卵を育てます。質の良い卵ができれば、排卵もスムーズになり、高温も安定します。

今回得られたCさんの「心の安心感」が、とても強い味方になることは言うまでもありません。きっと今周期の体温に、その効果が現れてくることでしょう。

治療を受けていることに、何かの「不安」や「憤り」を感じることがあれば、それがプラスになることはありません。自分の中に芽生えた「不安」は必ず、解消して、次のステップに進むことが大切です。これはどんな治療にも言えることです。「心の安心感」を得て初めて、良い治療効果が得られるのです。途中で、確認することなく諦めたりしないようにしてください。明るい未来のために。