中国・南京に行ってきました

11月20日から25日まで、南京中医薬大学に<不妊症の周期療法>の研修に行ってきました。研修の内容は後ほど書きますが、まずは帰りに立ち寄った<杭州>の街を紹介します。

杭州市の西側に位置する西湖は中国十大美景の一つで、周囲約15キロの湖には多くの景勝地があります。

中国禅宗十大古刹の一つの霊隠寺にある石仏

胡慶余堂は清の時代からある庭園式の漢方薬店で、北京の同仁堂と並ぶ有名な老舗薬店。中には歴史上の名医や、生薬、製薬道具などを展示しています。写真は漢方で使う動物生薬の展示。

 

中国茶博物館は茶をテーマとした中国唯一の博物館で、西湖の西側の龍井郷にあり、ここのお茶は龍井茶として有名です。茶園を見てきました。

本格的な冷えのはじまり

今週から寒さが厳しくなり、冷え症の相談が増えてきました。

手足の冷えは当然のことですが、頭痛がする、胃痛が起きる、肩こりがひどくなった、手先がしびれるなどの関連症状も訴えられます。

冷え症の原因は、水分が多い、血流が悪い、ストレスに弱く緊張状態が持続する方など様々ですが、いずれの場合も<婦宝当帰膠>がよく効きます。以前は体質によって<当帰芍薬散>や<当帰四逆加呉茱萸生姜湯>、<真武湯>などと選択して使い分けていましたが、結果からみると<婦宝当帰膠>が最も効果が高く、汎用性があり、多くの方に喜んでいただいています。

この薬は成分の70%がセリ科の植物<当帰>という生薬で、女性のための基本生薬として、冷えだけでなく、生理トラブルなどの改善を目的に、女性に必要な<補血>薬として重要な役割を果たします。先日の不妊症克服セミナーでは、講演いただきました<劉怜先生>が不妊に欠かせない漢方薬として紹介されていました。

さあ!これから<当帰>の出番です!

セミナーご参加、ありがとうございました

先日、10日に開催しました<不妊症を克服するセミナー・妊娠力を育む>には多数ご参加いただき、ありがとうございました。おかげさまで会場はほぼ満員になり、また講演の内容もすばらしいもので、私どもスタッフにとっても勉強になりました。

最初にご講演いただきました<足立病院・中山先生>のお話は、生殖医療の技術は年々高度になっていますが、その中でも体外受精や顕微授精などの生殖補助医療における妊娠成功率は、三つの要素

<個人の妊娠能力> <胚培養技術> <医師の技量>

が一定レベル必要であり、このいずれかが低いと妊娠率は低くなるとのことでした。そして

<漢方や鍼灸> <運動> <ストレス解消>

なども妊娠率を高める要因となるとのことでした。

また、続いて中医学の立場から<劉怜先生>のお話では、正しい生理周期が妊娠力の基礎となり、その周期ごとにベストな状態をつくる周期療法の考え方、またそのために必要な

<肝腎の働きを高める>ことが妊娠力を高めることになる

というお話でした。さらに、妊娠に最も必要な生薬が<当帰>であり、その当帰がたくさん含まれる<婦宝当帰膠>が優れたお薬であることも説明いただきました。

その後の質問コーナーでは、たくさんのご質問に対し、先生方が丁寧に回答いただき、皆様もしっかりメモをされているという真剣さを実感しました。

ご参加いただきました皆様にとって、大変有意義なセミナーであったと思います。当店も今回学んだことを生かし、実践してまいりたいと思います。

男性不妊が増えています

最近赤ちゃんがほしいとご来店されるカップルの中で、原因が男性側にあるケースが多くなりました。統計によりますと不妊のカップルの30~40%に及ぶといいます。。

今日来られたYさんご夫妻は結婚されて2年、1日も早く赤ちゃんがほしいと病院通いを始められました。30歳とお若いです。今までクリニックに通い人工授精をされましたが、良い結果に結びつかず、元気なく当店を訪れてこられました。BBTは二相性になっていますが高温期が短め、イライラがあり、いろいろ考え事もあり憂鬱な気分で、時々落ち込んでしまうといいます。お話を伺ううちに、「実は…」と話されました。

どうも、ご主人の精液検査結果が悪かったようで、誰にも話せず悩みを抱えておられたようです。ご主人の精子数は1400万、直進率は15%から25%で、「乏精子症」に分類されます。「乏精子症」になりますと、顕微鏡下での体外受精(ICSI)の対象になるのです。

お2人で悩み、できれば漢方薬で精子の数を増やしたいと来られたのです。受精しやすい精子数の最低総数は6000万/ml、運動率は50%以上無ければならないのに、Yさんのように20%程度しかない方は随分おられます。

漢方薬はその人の体質を見ていくつかの処方を決めていきます。Yさんには、身体のほてりを改善する<瀉火補腎丸>や身体を元気にする<イーパオ>などを服用してもらいました。現在まだ2ヶ月ですが体調も良くなったので、近々に精液検査をする予定です。

Yさんご夫妻の願いが叶いますよう私たちも応援したいと思っています。

かわいい訪問者

秋の高い空がひろがる爽やかな日、かわいいかわいい赤ちゃんの訪問を受けました。Sさんご夫妻とS君、初対面です。「始めまして。世話になったSです。おかげさまでこんなに大きくなりました。」「赤ちゃんが授かるよう京都の神社やお寺に行きましたので、今日はお礼参りにきて先生のところに寄りました。」車で3時間もかけて会いに来てくれました。

この世に生を受けて5ヶ月になったS君、見知らぬ私をじーっと見つめ親と識別しているのでしょう。知恵もしっかりついています。にっこり笑ってくれました。漢方薬を飲んで産まれたた赤ちゃんは色白といいます。S君もやはり色白、お肌ツルツルです。

思い起こせば、Sさんのご相談を受けたのが今から1年10ヶ月前でした。結婚してまだ2年でしたが「39歳の高齢なので焦りがあります」と。基礎体温は低温期が不安定で「オリモノ」が少ない状態でした。早速、周期療法をはじめ、<婦宝当帰膠>、<冠元顆粒>、<オリジン>、<杞菊地黄丸>など数種類の漢方薬を服用していただきました。そして基礎体温がきれいな2相性になり、高温期も維持できたとき、妊娠が判明しました。服用して8ヶ月でした。体調がとても良くなってきたと喜んでいただいた上での妊娠でした。

心拍が確認されての感動、つわりの辛さをうれしさに変え、初めての母親学級に緊張し、初めての胎動に感激しながら少しずつ大きくなっていく、おなかにうれしさと不安が入り混じっての210日でした。Sさんは「一日も欠かさず漢方薬を飲めたことが今日に繋がったと思います」とありがたいお言葉を送ってくださいました。

今日始めてお会いし5ヶ月に成長したS君を囲んで親子でカメラに収まってくれました。レンズの向こうには幸せ家族が映っています。輝く笑顔が素敵でした。お幸せに。

排卵障害 5

昨日の早発卵巣機能不全(POF)のもう1例です。

Hさんは42歳、不妊治療をはじめて6年たちました。排卵誘発剤をたくさん行ったためか、卵巣が悲鳴を上げ、働かなくなってしまいました。

「あなたの卵巣にはもう卵は有りません。これからは更年期対策をしてください」といわれ、途方にくれての来店でした。

「とりあえず2年間漢方薬を服用してください」とお願いし、長~い卵胞期を<シベリア霊芝>、<杞菊地黄丸>などで乗り切り、周期を整え月経が来るのを待ちました。その後は、周期療法を行い、<冠元顆粒>、<婦宝当帰膠> <補血丸>などを適宜使い、1年後には20mmの成熟卵胞が採卵できるようになったのです。良かったです。45歳になったHさん、自然採卵でこれからのIVF-ETに願いを託しています。

早発閉経は漢方薬で対応できそうです。

排卵障害 4

排卵障害の中には早発卵巣機能不全(POF)があります。40歳未満の卵巣性無月経と定義され、血中ホルモン値ではFSH>37mlU/ml  E2<30pg/ml を示します。子宮は小さく内膜は線状で薄く、卵巣内の卵胞が枯渇している状態が多いとされ、このような状態では、治療が困難といわれています。

Kさんは33歳、結婚して1年。20歳前半は不規則ながら月経は来ていたようですが、後半からはだんだん来潮しなくなり、病院にいきホルモン剤の投与を受けていました。ホルモン剤を飲まなければ来潮しない「無月経3年」です。ホルモン検査ではFSH 106mlU/ml, E2 13pg/ml でした。卵巣の中には、卵胞が見えないというのです。「早発卵巣不全、早発閉経」と診断されていました。33歳の若いKさんには「閉経」は過酷な二文字です。「漢方で何とか閉経を免れたい!」との切なる思いで来店されました。

現代医学が治療困難といったPOF、漢方で何とか改善出来たらと思い、現在煎じ薬を用いています。さらに補腎・活血、疏肝作用のある <逍遥丸>、<杞菊地黄丸>、<冠元顆粒>などを服用してもらっています。

排卵障害 3

排卵障害の中で多く見られる症例は多嚢胞卵巣症候群(PCOS)があります。

PCOSは卵巣の中に多数の卵胞が存在し、神経中枢レベルの排卵障害と違い、卵巣レベルの排卵障害となります。

PCOSでは3高1低という(LH↑、アンドロゲン↑、インシュリン↑、E2↓)内分泌所見が見られます。原因は何らかの異常によりアンドロゲンの産生が過剰になり、卵胞の成熟を邪魔し、卵胞閉鎖、退縮を促すので、その結果排卵障害が起こるといいわれています。

PCOSの臨床症状は、男性化、肥満(いまは必ずしも肥満ではない)、多毛、そして高い流産率、排卵誘発により卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりやすいといいますから厄介です。また最近では糖尿病とのかかわりも指摘されていますので、メタボリック症候群の管理も大切になってきます。PCOSのお客様は非常に多いですね。

Zさん31歳は結婚されて4年、赤ちゃんを希望し某大学病院を受診され、ルトラール服用して月経を起こし、クロミッドを服用して排卵誘発を繰り返していました。ホルモン剤を服用しなければ月経が来ないため、ずーっとホルモン剤を服用しなければならないのかと不安になり、当店にこられたのでした。

卵巣のエコーからも小さい卵がたくさん見え、PCOSのテキストどおりネックレスサイ状にみえています。BBTは長い卵胞期が4ヶ月続いています。一相性のため周期療法は使わず<シベリア霊芝>や<婦宝当帰膠>を処方しました。2ヶ月経ちやっと排卵がありました。そこから煎じ薬を中心に周期療法を開始し、1年後自力排卵で妊娠されました。

大学病院ではなんらホルモン剤は投与されておらず、正真正銘漢方のみの自然排卵・自然妊娠の快挙でした。いまZさんはお産のために実家に帰っておられますが、元気な赤ちゃんを産むことでしょう。

PCOSの治療は月経後からのクロミッド服用で排卵を促すのですが、漢方薬は多嚢胞になりやすい体質をかえ、たくさんある卵胞の中から如何に早く主席卵胞を作るかにかかってきます。体質を変え、卵胞の成長を促す漢方薬があることはうれしいですね。

排卵障害 2

排卵障害 2

排卵障害を起こす原因に、血中のプロラクチン上昇によって引き起こす病態があります。お客様の中にも乳汁が分泌されていたり、乳頭に白い糟のようなものが付着していたり、気づかないことがあったりします。これはプロラクチンというホルモンが乳汁分泌を促しているためです。このプロラクチンは視床下部から分泌されるドーパミンにより抑制されているのですが、ドーパミンの抑制が弱まったり、下垂体に腫瘍が出来ると血中プロラクチンが高くなり、下垂体機能を抑制し、卵胞発育を抑制して月経異常を引き起こすのです。(乳漏性無月経といいます)

40歳のSさんは結婚歴10年、5年前から赤ちゃんを望むようになりました。35歳を過ぎる頃からなんとなく「不妊かな?」と思い始めたそうです。暫く基礎体温をつけながら意識的にタイミング法を試みてましたが一向に検査紙は陽性にならず、クリニックに行ってみました。ホルモン検査でプロラクチン値が38と高値にでて、「高プロラクチン血症」と診断されました。テルロンを投与され服用しましたが、吐き気と頭痛に見舞われ、仕事にも支障を来たし中断されました。

こんなにきつい症状がでるのなら、漢方薬の方が安全かな?と思い来店されました。基礎体温は高低差が強くガタガタ波打っています。低温期も30日間で、排卵までが長くかかっています。典型的な「高プロラクチン血症」です。尋ねるとブラジャーに白い糟が付着していることが多いといいます。

月経周期は40日~45日と長いのですが、きちんと来潮していますので周期療法を取り入れ、長い卵胞期を短縮しようと<炒麦芽>、<婦宝当帰膠>、<逍遥丸>などを服用してもらいました。徐々に卵胞期も縮まり基礎体温表も理想的になってきた頃、待望の妊娠がわかりました。漢方薬を服用して1年でした。

Sさんは現在元気に走り回るお子さんと育児を楽しんでいます。Sさんの症例は「高プロラクチン血証」による「排卵障害」が、炒麦芽などの周期療法で改善され挙児を得られたのですが、このようなケースは非常に多く見られます。プロラクチンが高くなくても「潜在性高プロラクチン血症」が見られることがありますし、またドグマチールや胃薬でも発症することがありますので、気をつけなければなりませんね。

排卵障害 1

先日行われた不妊カウンセリング養成講座の続きです。

「排卵障害」と題し弘前大学の水沼教授が講演されました。当店にも「排卵障害」で悩まれている方が結構多く見られますので、大変興味を持って聞きました。

排卵を含む卵巣機能は、間脳(視床下部)~脳下垂体~卵巣系といわゆる性腺軸の機構によって調節されています。私たちも「排卵障害」を訴えてこられるお客様には、細かくホルモン数値を伺い、中枢(視床下部、脳下垂体)のレベルなのか、卵巣レベルなのかを判断していきますが、詳しい生理・病理のメカニズムを理解していなければ「重症の排卵障害」への対応が難しくなります。現代医学で難治性といわれると漢方薬でも難しいことが多いのですが、漢方の理論を駆使して何とか治療方法の確立を考えています。

水沼教授のお話の中でも有りましたが、「視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンが一定のリズムで分泌されていることが重要で、過度のストレス、過度の運動、ダイエット、環境変化が分泌を抑制するため、無排卵・無月経がおこる」と指摘していました。このように中枢レベルでの排卵障害・無月経は難しいですがとても大事ですね。ダイエットで無月経になった人、激しいスポーツで月経が来なくなった人、人間関係から過度のストレスをうけ無月経になった人、思い当る方はたくさんいると思います。

現代医療での治療はカウフマン療法が主流ですが、漢方薬では性腺軸に作用する補腎・活血薬、具体的には、<六味地黄丸>、<参茸補血丸>、<杞菊地黄丸>や<冠元顆粒>など症状に応じて使い分けします。

当店に来られていますOさん、Kさん、Hさん、Tさん、Iさんはこの中枢性の排卵障害・無月経ですが、時間をかけて頑張って体調を整えていきましょう!