自力で排卵

この春より漢方治療に加えて鍼灸治療をされている35歳のMさん。漢方はMさんに合わせた煎じ薬を服用されています。

20代の頃よりお薬なしでは、生理が来ません。要するに「無排卵」です。

無理にお薬で生理を起こさせて、内膜を綺麗にし、何とか自分で卵を作れるように調整をするのですが、卵ができるのも年に2、3回だけ。今年に入って1回も排卵せず、従って、自分で高温期も作れない状態が続いていました。

鍼灸治療を加えて3週期目。

そろそろ病院に行って、また高温期のお薬をもらいに行こうとしていた矢先、体温が高温に!

「あれ?いつ排卵したのかな?」

今回も排卵しないものだと諦めていて、排卵に気づかず、高温期になってしまいましたので、今回はタイミングは合わせられませんでした。

しかし、今年になって初めて自力で卵を作り、排卵し、高温期ができたので、徐々に体質が改善してきていると言えるでしょう。

この調子で、来週期も自分で卵を作ってほしいものです。

男性が7割

「不妊」というと、原因は女性にあるものと思われがちです。確かに「子宮後屈」「子宮後傾」「子宮内膜症」「卵管閉塞」などは、女性に原因があります。

しかし実際には、女性には西洋医学的には何も問題ない場合、男性の方に問題があることが、現代の「不妊」の原因の7割を占めていると言われています。

男性の場合は、現代人の多くは「腎陽虚(じんようきょ)」が強く出ています。「腰痛持ち」、「色白」、「冷え性」で、「精子の数が足りない」タイプです。

そういった「数には問題がない」場合は、「肝陽虚(かんようきょ)」であることが多くあります。これは、「ビールをよく飲む」、「油っこいものをよく食べる」、「野菜不足」であるタイプです。

どちらにせよ、隠れた「冷え」を取り、血の循環を良くするように、「漢方」や「鍼灸」では治療をします。

決して女性ばかりに原因があるわけではないことを、理解してください。その上で、夫婦揃って「不妊治療」に取り組み、協力しあうことが大切です。

初めて高温期が・・・

漢方を服用されてから3週期目の高温期を迎えたKさん。ちょうど1ヶ月前からは鍼灸治療による改善も併せてされています。

本日、高温期13日目。ちょうどお薬がなくなってしまったので、来店。

もし、今週末にお薬がなくなる予定であり、今週末に高温期が続いているようであれば、もしかして妊娠の可能性があると期待できたのですが、本日は13日目であるため、判断しかねました。

確かに滑脈は出ているのですが、これは妊娠時に限らず、排卵期から生理前まで出る脈ですので、今の時点でははっきりと判断できません。今週いっぱい様子を見ていただくことになりました。

ただ、Kさんは、今まで高温期は10日間しかなかったそうです。それが今周期に入り、13日目まで続いていることは初めてだと言われました。

本来は、高温期は14日程あるべきであり、Kさんが今まで10日間しかなかったということは問題であったのです。漢方治療を始めて3週期目で、高温期の改善が見られました。

また、Kさんは「気持ち」に大きく左右されるタイプ。このような方は、イライラしたり、眠りが浅くなったり、その結果、肩や頚のこりが酷くなりがちです。

その部分は、お薬相談の際の「カウンセリング」と1ヶ月前より始めた「鍼灸治療」により、かなりの改善が見られます。

気持ちがゆったりするようになった結果、高温期も改善し、Kさんの体は「妊娠しやすい母体」へと一歩近づいたと言えます。今周期が駄目でも次周期は「また一歩」近づくことでしょう。

不妊治療の治療費

高度医療の「不妊治療」は、健康保険が適用されない自由診療のため、治療費の負担は重いものです。

今までなす術もなく、子供が授からなかった夫婦にとっては、希望の医療と言えますが、やはり、治療費の負担が気になるところでもあり、本当に自分にとってこの医療が必要なのか、不安な面もあるでしょう。

そんな方に嬉しい情報をお知らせします。

最近は、ホームページを通して、治療費の明細や治療実績を公開する不妊医療専門の医療機関が増えています。また昨年には、全国の14施設が「治療の質の確保」や「患者の満足度の向上」を目指して、「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」を結成したように、どんどん「不妊治療」を支援する質の良いシステムが作られつつあります。

これらの情報を元に、早くに「自分に合った医療」と「クリニック」に巡り合ってください。クリニックによって、治療内容や受診期間にかなりの差があり、必然的にそれにかかる費用もjかなりの差が生じてきます。

現在「不妊治療」を受けられている方も、今一度、「治療について」見直されてはいかがでしょうか。

もちろん、高度医療の「不妊治療」だけでなく、漢方による「不妊治療」にもかなりの差があります。

漢方に関しては、しっかり夫婦の体質を中医弁証論に基づいて把握し、処方してくれるところをオススメします。体の変化を聞かずに何周期も同じ処方をするようなところはオススメできません。体はどんどん変化していくものです。その変化に合わせて処方を変えてくれるようなところを見つけてください。

どちらにせよ、「体の変化をしっかり確かめてくれる」クリニックや漢方薬店に巡り合ってください。

漢方薬の飲み方

周期療法をされているAさん。

せっかく周期に合わせてお薬を処方されているのに、お薬の飲み方に少し間違いがありました。

* 朝、お薬を飲む前にまずは、モーニングコーヒーを。

* 最近暑くなってきたので、お薬は冷たいお水で。

* 煎じパックも少し冷やして。

このような方法で漢方薬を服用されていては、効くお薬も半分くらいしか効き目がないものです。

基本的に、漢方薬は「~湯」と記されているように、煎じて服用するので温かいものです。従って、漢方薬は、例え錠剤やエキス剤であっても、お湯で服用していただくのが一番です。溶かして服用する場合も、お湯で溶かすのが良いです。

暑い時期だからといって、決して冷やしたりして飲まないようにしてください。せっかくのお薬が台無しです。

また、口直しのためにコーヒーを飲むということも避けてください。コーヒーのような性質の強い飲み物は、それ自身も薬効の作用があるために、漢方薬の薬効を阻害することもあるかもしれません。

例えば、「冷え性」で、「暖める作用のある漢方薬」を飲んでいるのに、「コーヒーを飲む」ことは、「反対の作用」になっています。

せっかくお薬を飲むのですから、その性質を良く知り、自分自身の生活を振り返り、体が悪くなるような間違った生活習慣の改善も是非心がけるようにしてください。

桃の葉の秘密

桃の葉湯は古くから皮膚病に効くことで有名です。アセモ、ニキビ、アトピーなどの皮膚病のつらい症状を和らげてくれます。

ここ最近、梅雨入りしたためにムシムシする毎日が続いています。そのためにお子様のアセモにてお困りで来店される方が多くなっています。

そんな時、私達は、桃の葉を処方します。「桃の葉湯」を作ってもらい、それを混ぜたお風呂にアセモができてしまったお子様を入れてあげるのです。

桃の葉の成分には、フラボノイド、ニトリル配糖体、タンニンなどがあります。桃の葉は、炎症を沈め、皮膚を正常な状態に回復してくれます。その成分が入った「桃の葉湯」を利用することで、皮膚の様々な症状の改善に効果を発揮してくれます。アトピー性皮膚炎にも桃の葉の入浴法は効果的です。

<桃の葉湯の作り方>

1.搾取して十分乾燥させた桃の葉10~30gと大きめの鍋を用意する。

2.鍋に水600ccと乾燥葉を入れ、沸騰するまで強火であとはとろ火にして30分間煮出す。

3.出来上がった煎じ液を風呂に入れ、よくかきまぜる。

*煎じ液をたっぷり作って、直接患部につければ、さらに効果的です。

太っていることが原因

33歳Tさん。

結婚前から少し太り気味でしたが、結婚してからもどんどん太り、体が重く、疲れることが多くなりました。それに加え、第2子になかなか恵まれず。

その頃、Tさんの体重は160cmで70kgでした。

体が太っていると、卵の育ちが悪くなりますし、仮に妊娠されても妊娠中毒になりやすくなります。妊娠された後のことを考えても、体重の制限は必須です。

Tさんの場合は、「妊娠しやすい母体作り」として、まずは「痩せること」を一番の治療としました。漢方でも痩せるようにコントロールはできますが、ゆっくりとした治療になってしまいますので、近道が良いとのTさんのご希望で、「マイクロダイエット」による体重の制限を行うことにしました。

この結果、3ヶ月でマイナス9kg!

3月からマイクロによるダイエットを行われ、6月には9kgの減量完了。その後すぐに第2子を妊娠されました。

体が太っていたために溜まっていた「痰湿」が、痩せることにより取り除かれ、その結果、よい卵が育ち、妊娠への道が開かれたのです。

少し体重がオーバーされている方で、なかなか妊娠できない方は、太っていることが原因で妊娠しにくい体になっていることが多いものです。まずは、体重のコントロールをされることをおススメします。

赤ちゃんのご馳走

「たっぷり」の「質の良い」お乳。

これが、赤ちゃんのご馳走です。

ストレス社会の現代では、お母さんのお乳の出が悪いことが多く聞かれます。赤ちゃんが大きくなっていくときに、風邪などの菌にやられないような強い体になるには、お母さんの質の良い母乳が大切なのです。

初めの頃の母乳には、赤ちゃんが必要とする「栄養分」そして「免疫力を高めるもの」、がたくさん入っています。反対に1年以上経った母乳は、決して質の良いものとは言えません。なるべく1年くらい経ったときに、時期を見て、「乳離れ」をさせてください。

そのように1年経ってもたくさん出ている場合は良いのですが、初めから「赤ちゃんのご馳走」がちっとも出ない方、少ない方がおられます。

私達はこのような方に、「牛蒡子(ごぼうし)」を処方します。以前は、「タンポポ」を処方しましたが、今は「牛蒡子」が主流になっています。民間では、「味噌汁を飲むと出が良くなる」と言っていたようですが、日本の「味噌」は塩分が多すぎて、返って良くないようです。

「牛蒡子」に併せて「婦宝当帰膠」を服用してもらうことをお勧めしています。是非、「少し出が悪いな」、「少ないな」、と思われる方は、お試しください。

ただ、決して「出ない」「出にくい」ことを気にしすぎないでください。気にしすぎることがまたストレスとなり、もっと出にくくなります。子育ては、力を抜いて、ゆったりと・・・、です。

右と左

昨日お電話にて「妊娠検査薬が陽性になった」と報告がありました。本日はお母様が来店され、「こんなに早く結果が出るなんて、信じられない!本当に嬉しい!」とのお言葉をいただきました。

32歳のYさん。昨年末より漢方を飲まれての妊娠です。

Yさんは、生理の周期が遅い、「遅発月経」です。周期は、32日~36日。32日の周期と36日の周期が交代にやってくるタイプです。これは、右の卵巣と左の卵巣の働きが異なることから起こっている症状です。

全ての人ではないのですが、多くの人は月ごとに排卵は右卵巣と左卵巣が交代で行われています。Yさんの場合は生理の周期で、はっきりそれが交代で行われているのがわかりました。

32日の周期であれば、「遅発月経」にはならないのですが、36日になればやはり「遅発月経」ということになります。Yさんの場合は、低温期が長いタイプでしたので、卵胞が育ちにくかったわけです。それにターゲットを当て、卵胞がしっかり育つようなものと排卵がスムーズに行くようなものを処方しました。

結果、32日周期の方の卵巣にて作られた卵が良いものとなり、今回嬉しい結果となりました。

「遅発月経」、「早発月経」のどちらでも、質の良い卵はできにくいものです。もし、生理の周期が「少し早め」、「少し遅め」だと感じる人は、早めの治療を心がけてください。

流産の可能性

結婚暦13年目のNさん35歳。

今まで自然妊娠にて6週目で流産を2回繰り返されていました。その原因は、抗リン脂質抗体が陽性であったためでした。これがわかったのは2回目に流産された時でした。

抗リン脂質抗体が陽性であった時の産科の所見としては、「反復流産」があります。「妊娠中・後期の子宮胎児死亡」、「重篤な妊娠中毒症」、「血栓症」、「子宮内胎児発育遅延」、「自己免疫疾患または膠原病」がある場合はその疑いがあります。

抗リン脂質抗体が陽性の人には、低用量のアスピリン療法をされますが、その療法の役割は依然として不明であるのが現実です。抗血小板作用は動脈血栓の予防にはなりますが、不育症に対して臨床的に有効かというデータはほとんどないということも言われています。

それに対してペパリン療法の不育症の治療の有効性は多く報告されており、スタンダードになりつつあります。

Nさんの場合は、高温期にのみアスピリン剤であるバファリンを服用されていました。それに加えて、漢方薬を服用され、4周期目にて自然妊娠されました。

今回は何とか流産せずに持たせたい!

即、産婦人科に入院され、止血剤、黄体ホルモン剤注射、カプロシン(ヘパリン)の皮下注射、バファリンの服用が胎児が確認されるまで続きました。

その後もカプロシンとバファリンの服用は続き、併せて漢方薬も服用されていました。

流産は「気虚」が主な原因であるために漢方薬は、主に補気剤を使用していました。

ところが、30週目に入ったとき、出血!

即、入院され、その後出血はおさまりましたが、結局32週目に帝王切開にて双子の赤ちゃんを出産されることになりました。もちろんまだまだ赤ちゃんは小さかったのですが、抗血小板作用のあるお薬を服用されているためか、どうしても赤ちゃんを持たせる力が不足してしまうのでしょうか。かなりの早産になりましたが、誕生からまだ1ヶ月経たない赤ちゃんは今元気に育っています。

やはり、抗血小板作用のお薬を飲まれている抗リン脂質抗体が陽性の人は、流産や早産の可能性が大きくなってしまいます。Nさんのように漢方薬を服用されるのが良いことかと思われます。