タバコと不妊

最近「赤ちゃんが授からない」と来られる方に喫煙者が多いのには驚きです。若いAさんは29歳。なかなか授かりません。問診でいろいろ尋ねると「1日20本タバコを吸う」といいます。

「タバコの害」はいままでたくさん報道されていますが、吸う方はあまり気になっていないようです。
私は「タバコは止めてください」と必ず言うことにしています。
喫煙は心筋梗塞や脳卒中など循環器系疾患や癌、消化器系の疾患の発生率を高めます。
特に呼吸器疾患では、肺がんで死亡する危険性は喫煙しない人の4,5倍。口頭癌では32,5倍。口腔・咽頭癌では3倍と報告されています。呼吸器では癌にならなくても「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」にかかりやすいといわれています。死亡率も年々増加傾向にあり2020年には疾患死亡順位が4位になると推定されています。そのCOPDの発症要因の90%が喫煙が原因であるということが発表されました。

不妊とのかかわりでは、喫煙によるエストロゲンの減少、流産、死産、低出生体重児、あるいは子宮外妊娠などの合併症がいわれています。これらから閉経が早くなり若くしておばあさんになることもあります。卵胞も減少し妊娠しにくくなります。

これからお母さんになることを希望している方は、生殖能力の低下という事実を認識して、健康上リスクを再考すべきと思います。

Aさんは意を強くして禁煙され、クリーンになったAさんのもとにコウノトリが舞い降り、念願のわが子を抱くことが出来ました。

喫煙されている皆さん、コウノトリが舞い降りるよう、禁煙しましょうね!