悪阻(つわり)解消法

人によって様々な症状が現れる「悪阻(つわり)」。

安定期に入るまでの時期に酷い人が多いようですが、安定期を過ぎてもまだその症状が出ている人も居ます。

通常であれば「気持ち悪い症状」は、その原因を除去すれば良いのですが、「悪阻」の場合は、その原因が「お腹の中に赤ちゃんが居ること」なものですから、その原因を除去するわけにもいきません。

こんなとき、漢方では上焦(じょうしょう)を治す生薬である「黄芩」の煎じ液を服用してもらいます。少々苦いですが、その煎じ液を少しずつ何回にも分けて服用してもらうことにより、「吐き気」や「むかつき」を和らげてくれます。

また、その「黄芩」に加えて、「むかつき」を解消してくれるツボを刺激することで、さらに悪阻を和らげてくれます。

そのツボは、「内関(ないかん)」です。

心包経(しんぽうけい)という経絡に属するツボで、みぞおち部分のつまりを取り除いてすっきりさせる働きがあります。

(前回の「チャングムの誓い」では、毒のある実を食べて失神していた女の子のこのツボに鍼を刺して、毒素を吐かせていました。そのツボです!同じツボでも刺激方法により、吐かないようにさせたり、吐くようにさせたりするのです。)

ただし、まだ安定期に入らない不安定な時期のときは、あまりこのツボを刺激しすぎない方が良いです。その代わりに、みぞおち部分を「みぞおちから外に向かって」やさしくマッサージするのが良いです。

もし、鍼灸院が近くにあれば、その部分に接触鍼か金鍼を当てる(接触させるか当てるだけで、刺しません!)施術をしてもらうことをオススメします。

妊娠することは喜びですが、悪阻は辛いですよね。是非、「黄芩」と「ツボ刺激」にて乗り切ってください。

流産3ヵ月後

41歳のKさん。漢方服用3週期目、鍼灸治療2週期目の7月初めに妊娠がわかり、安胎のお薬を服用されていました。妊娠されてからは、鍼灸治療には来られませんでしたので、自宅でできる安胎のお灸をしてもらうように、指導していました。

ただKさんは、妊娠された時もどちらかと言うと、「弱い脈」をしていて気になっていましたので、本当は鍼灸治療も続けてもらいたかったのですが、なかなか都合がつかなかったようです。

本来は、妊娠の時にでる「滑脈」は、ザワザワとしていて、大きくはないのですが、しっかりと手に触れる脈なのです。それがKさんの場合は、ザワザワしているのですが、力のない弱い脈でした。

Kさんは、その後も週に3~4日のパートを続けておられました。

8月に入ったある日のこと。

仕事中に突然出血!

すぐに病院へ行かれましたが、結局流産という結果となりました。

それからKさんは、ショックから立ち直れずに、毎日涙して過ごしておられたようです。

8月初めにお薬を購入されてから、パタッとKさんからの連絡が途絶えていましたので、その経過を伺ったのは、3ヶ月経った今日でした。

「便りのないのは良い知らせ」とばかり思っていた私達にとっても、その報告はかなりショックでした。

しかし、3ヶ月経ち、まだ少し心の傷は癒えていないけれども「また頑張ります!」とおっしゃったKさんのお顔を見て、また私達も共に頑張ろう、と思いました。

ただKさんは、「気持ち」や「出来事」に一喜一憂して、それが身体に負担を与えてしまうタイプですので、「頑張る」というプレッシャーはまた危険です。

そんなKさんに掛けた言葉・・・。

「頑張らなくて良いのですよ。自然体でゆったりとした気持ちで。」

「あはっ。そーでしたね。」とKさん。

今回の残念な結果も、ご自身の「自分へのプレッシャーによるもの」も一理ある、ということを認識されているのでしょう。その教訓は次に必ず繋がるものです。

今日のその笑顔の中に、次に待つ「喜び」を見たような気がしました。また気持ちを一新して、今度は頑張らないように、待っている「喜び」に向かって進めるはずです。

8週目の掻爬手術後

32歳、アメリカ在住Mさん。

今年3月の一時帰国中に不妊の相談で来店されました。アメリカでは多くの中医師が在住し、漢方薬を扱っていますので、今後の継続のためにも、Mさんが在住されている近くの中医師より購入してもらうように、こちらでいくつかの錠剤の漢方薬をお勧めしました。

勧めたものは「桂枝茯苓丸」「温経湯」「当帰芍薬散」「爽月宝」です。それらとイソフラボンを服用し続けられた4ヵ月後に妊娠!

しかし残念なことにその命は、大きく育つことはできませんでした。先月妊娠8週目にして心拍の確認ができなかったために、掻爬手術を受けられました。

おそらくまだ「卵」に元気がなかったのでしょう。

このような状態になった今は、「体力を早くに回復させること」、「子宮の内膜の修復を行うこと」が大切です。

まずは、「婦宝当帰膠」と「爽月宝」を1ヶ月服用してもらい、その後「婦宝当帰膠」「六味丸」「温経湯」「当帰芍薬散」を服用いただきます。

Mさんが在住されているところにないものはアメリカまでEMSにて発送し、あるものは地元で購入していただくようにしました。

よく海外在住の方よりお問い合わせをいただきますが、やはり言葉の通じにくい海外では、中医師といえども本当にわかってもらえているのか不安なことがあるために、「日本語で」「日本人の体をよく知っている日本人」に処方を考えてもらいたい、ということになるのでしょう。

荷物のチェックの厳しい国では薬の発送は難しいですが、アメリカなどでは可能です。世界各国にお住まいの方々、お気軽にお問い合わせください。

妊娠中に大切なビタミン

健康な皮膚や髪を作ってくれ、美肌のためにビタミンCと共に欠かせないビタミンB6。

妊娠中は、通常の6倍もの量が必要だそうです。

ビタミンB6は、タンパク質や脂肪の代謝をスムーズにする働きをしています。不足すると、アミノ酸の代謝異常を引き起こし、これが「悪阻(つわり)」の原因の一つになるという説もあります。

妊娠中は、特にしっかり摂取して、不足しないように心がけてください。

妊娠中だけでなく、生理前症状をお持ちの方もしっかり摂取してください。月経前のだるさ、頭痛、肌荒れ、などの症状も軽減してくれます。

10月10日は長い道のり?

35歳のNさん。当店にて漢方を服用され始めたのは昨年の6月。その時点で結婚5年目。

結婚4年間は避妊をしていましたが、5年目より「子作りを!」という計画でしたが、なかなか恵まれず。せっかく妊娠した昨年の4月に7週目で流産をしてしまいました。

ショックからまだ立ち直れない流産後2ヵ月の昨年6月に、漢方薬の力を借りようと来店されました。

漢方薬を服用されてから半年後の11月末。妊娠検査薬にて陽性反応。

しかし、12月初めの検査にて、「胎嚢は確認できるが、中で出血している」との報告を受けました。

大変です!まずは、「きゅう帰膠艾湯」と「当帰芍薬散」をお勧めしました。

その後、12月半ばには中での出血は治まりましたが、かなりの「悪阻」と「お腹の張り感」に悩まされる毎日。

あまりにも食べられない毎日が続いているようですので、「衛益顆粒」などを服用してもらいました。

そのうち、悪阻は治まりましたが、年明けには風邪をひき、西洋薬は服用できないために漢方薬を服用し、また何とか難を逃れました。

安定してすっかり安心していた4月半ば、出血が起き、また漢方薬の止血剤を。

そして、8月初め、待望の元気な女の子を出産されました。臍の緒が体に巻き付いていたようで、かなりの難産でしたが、元気に産まれてきてくれて、ホッとしました。

いろんなことがあった10月10日でしたが、これからのことを考えると、こんな期間なんて短い道のりなのでしょうね。

順調に

6月に当店で妊娠チェックをされ、感動の瞬間を共に味わった32歳のNさん。

あれから3ヶ月が経ちましたが、順調にお腹の中の赤ちゃんは育っています。

しかし、今日までの3ヶ月間に、いろんなことがありました。

6月半ばの7週目の検診で、胎嚢が通常の半分ほどの大きさで、昼と夕方には出血する毎日。産科医にはこの出血は子宮口のポリープのもので、大丈夫と言われましたが、心配する気持ちに拍車をかけて、吐き気やムカムカ感に負われる日々が続きました。

6月末には血塊が下り、病院へ。

心音は聞こえているということでしたので、赤ちゃんには問題はなかったようですが、「田七人参」などをお勧めしました。

7月初め、8週目の検診で、小さい胎嚢の中で小さい赤ちゃんが育っている、との報告を受けました。今はすっかり出血も止まりました。

7月半ば、10週目の検診にて赤ちゃんは3cmに育っていました。出血もあれ以来なくなり、ひとまず安心。

そして、現在、順調に育っているとの報告を受けています。

でもまだまだ油断は禁物。安胎の漢方を飲みつつ、安静にしてゆっくり育てて行きましょう。

残念な知らせ

漢方を服用して1年、やっと授かった小さな命。

あまりにも小さすぎて、弱すぎて・・・、10月10日は持ちそうにない、と小さな命が思ってしまったのか、流産しやすい6週目で明るい世界に出る前に、逝ってしまいました。

「持ちそうにない」なんて思わなくてもよかったのに。

でも一度流産すると、妊娠しやすくなりますので、初めて妊娠経験された時の流産はそれほど心配されなくても大丈夫です。

妊娠して10月10日までの間、何回か流産しやすい危険な時期というのがあります。その時期は、「冷えること」「落ちるようなものに乗ること(自転車やバイク、飛行機など)」「振動などのストレスをかけること(長時間のドライブ、過度の運動など)」などに、注意してください。

特にこの時期は、外気が暑いために室内や乗り物の中は冷房によりかなり冷えています。足元が冷えないように「素足にサンダル」といった格好は、避けてください。

せっかく授かった小さな命に「危険だ」と思われないように。

流産の後

妊娠13週目で稽留流産をされた26歳Tさん。

掻爬手術を受けられて、術後順調と言われたようですが、3回目の生理から出血量がかなり多く、血の塊が出て、基礎体温表も二相性にならず排卵もされていない様子で、流産後半年経った今もまだ妊娠しないので、心配されてのお問合せです。

漢方では、月経期の出血量の多さや塊は、「お血(おけつ)」として捉え、子宮内に古い血や汚れたものが溜まっているとみなし、十分な排泄をするように調節します。

掻爬の際、どうしても内膜を傷つけてしまうため、「お血」ができてしまうのは仕方がありません。従って、流産後の掻爬手術をされた後は、漢方ではまずは「お血」処理を行います。

しっかり「お血」の処理をしておかないと、内膜症を起こしたりする可能性も出てきます。

基礎体温表が二相性になっていないのは、卵の育ちが少し不十分であるためでしょう。漢方にて「お血」の処理をして、卵胞期を整え、しっかり卵が育つように体調を整えることをおススメします。

流産の可能性

結婚暦13年目のNさん35歳。

今まで自然妊娠にて6週目で流産を2回繰り返されていました。その原因は、抗リン脂質抗体が陽性であったためでした。これがわかったのは2回目に流産された時でした。

抗リン脂質抗体が陽性であった時の産科の所見としては、「反復流産」があります。「妊娠中・後期の子宮胎児死亡」、「重篤な妊娠中毒症」、「血栓症」、「子宮内胎児発育遅延」、「自己免疫疾患または膠原病」がある場合はその疑いがあります。

抗リン脂質抗体が陽性の人には、低用量のアスピリン療法をされますが、その療法の役割は依然として不明であるのが現実です。抗血小板作用は動脈血栓の予防にはなりますが、不育症に対して臨床的に有効かというデータはほとんどないということも言われています。

それに対してペパリン療法の不育症の治療の有効性は多く報告されており、スタンダードになりつつあります。

Nさんの場合は、高温期にのみアスピリン剤であるバファリンを服用されていました。それに加えて、漢方薬を服用され、4周期目にて自然妊娠されました。

今回は何とか流産せずに持たせたい!

即、産婦人科に入院され、止血剤、黄体ホルモン剤注射、カプロシン(ヘパリン)の皮下注射、バファリンの服用が胎児が確認されるまで続きました。

その後もカプロシンとバファリンの服用は続き、併せて漢方薬も服用されていました。

流産は「気虚」が主な原因であるために漢方薬は、主に補気剤を使用していました。

ところが、30週目に入ったとき、出血!

即、入院され、その後出血はおさまりましたが、結局32週目に帝王切開にて双子の赤ちゃんを出産されることになりました。もちろんまだまだ赤ちゃんは小さかったのですが、抗血小板作用のあるお薬を服用されているためか、どうしても赤ちゃんを持たせる力が不足してしまうのでしょうか。かなりの早産になりましたが、誕生からまだ1ヶ月経たない赤ちゃんは今元気に育っています。

やはり、抗血小板作用のお薬を飲まれている抗リン脂質抗体が陽性の人は、流産や早産の可能性が大きくなってしまいます。Nさんのように漢方薬を服用されるのが良いことかと思われます。

妊娠中の心がけ

ほとんど同時期に妊娠されたおふたり。

お一人は、食べ悪阻。もうお一人は、食べられない方の悪阻。

「食べ悪阻」はお腹が空くと貧血のような症状が出て、ふらつき、ムカムカするためにお腹が空くとすぐに何かをお腹に入れないとならない状態になります。初期の頃はそれほど体重は増えないので安心して食べてばかりでした。

安定期を過ぎてから、徐々に体重が増え始め、「赤ちゃんの分だから・・・」と安心して、初期の頃に癖がついた「食べること」を続けていたために、体重がどんどん増えていく一方。

妊娠後期にはだるさが増し、むくみも出てきて、やる気も出ず、ぐったり・・・。

出産は予定日より3日遅れ。「羊水」が少なかったために1ヶ月間赤ちゃんは病院に検査入院していました。母親は病院まで母乳を届ける毎日。そんなことだから産後の養生も出来ずに赤ちゃんが退院後、母親はホッとした途端に貧血で倒れてしまいました。

一方、「食べられない悪阻」の方は安定期まで動けず、ムカムカ続き。

しかし、安定期に入ったら元気になり、仕事にも復帰し、休日には時間のあるときは2~3時間くらい歩き、運動をして赤ちゃん分以上は体重が増えないように運動をしていました。

妊娠後期にも元気でむくみなど全く出ず、出産5日前まで働いておられました。

出産も予定日通り。母子共に元気で問題なく過ごされています。

このおふたりの例でも言えるように、出産までの養生が産前産後の母体に与える影響がかなり違ってきます。妊娠されても安心せずに、元気な赤ちゃんと元気な母体のためにも安定期後は無理なく動き、体重はあまり増やさないように気をつけてください。