ホルモン剤に疲れて

35歳のKさん。3年前より病院にてホルモン剤による不妊治療をされてきました。

卵巣の機能が悪く、卵の育ちが悪い、とのことでホルモン剤による不妊治療が始まったのですが、3年間で様々な体の変化が起きました。

ホルモン剤の不妊治療をする前は、それほど悪くもなかった基礎体温表が波状型になり、卵巣も腫れ、自力では生理も来なくなってしまいました。さらに、生理後には4~5日不正出血が続くようになりました。

産婦人科の医師に「ホルモン剤の治療に疲れたのでしばらく止めたい」と訴えたところ、「自力では生理は来ないでしょう」と言われ、絶望状態。

「何とかホルモン剤で崩れてしまった体調を漢方で取り戻したい」

と当店をHPにて検索し、問い合わせをされました。

東京にお住まいのKさんは、当店には来店できませんので、「HP上の問診表にご自身の体質や症状をご記入いただいたもの」、「基礎体温表」のデータをもとにして、Kさんに合った薬を考え、発送するという形で服用していただきました。

例えば、病院から出ていた「きゅう帰膠艾湯」に加え、「田七人参」を服用していただきましたところ、服用後2日目にぴったり不正出血が止まり、その後不正出血は起こっていません。

そして、漢方服用2周期目の今月、自力で生理が来ました!

「もう自力では生理は来ないでしょう」と言われる程、自己機能が衰えていたのですが、2週期目にして早や自己回復力が付いてきました。

この調子でどんどん回復し、良い卵が作れるようになっていくことでしょう。

少し短くなった道のり

6月に紹介した34歳のYさん。

ホルモン治療により卵巣が腫れ上がり、右の卵巣より出血してから精神的に不安定になり、神経内科の薬漬け。

今年初めに当店に来てから、今までやってきた悪い生活習慣の改善、意識改革により、6月にやっと197日目の生理を迎えてから73日が経った先週、やっとまた生理が来ました。

通常なら「生理が来ること」は当たり前のこと。しかし、Yさんにとっては「傷ついた心」を修復させないと生理が来ないのです。

一度6月に修復されかけた「心」は7月にまた不安定になり、体温もガタガタ。また腰からお尻にかけてのゾクゾク感、下腹部の痛みに襲われ、眠りの浅い毎日が続きました。

8月に入って、少し「心」が安定しだし、その頃より、ガタガタの低温期が安定し、その後高温期が出来ました。そして先週、生理に。

まだまだ73日目の生理ですので、安定したとはいえませんが、前回の197日目に比べると、明らかに回復の兆しが見られます。

今は、周期療法を離れ、全身症状の改善のための漢方薬と、週に1回の鍼灸治療にて少しずつ「心の傷」を治しています。

「長い道のり」が少し短くなって来たような気がします。

腎陽虚と腎陰虚

大学1回生のSさん。高校在学中から生理不順。

家系的にも「血の症」に関係する体の不調が付きまとうのでしょうか、お母様もお姉様も生理不順だそうで、鍼灸治療に通われていたそうです。

Sさんの場合は、高校生の時の過度のストレスから精神的に崩れ始め、それが引き金となり、体のリズムが乱れて生理不順になりました。全く生理が来ない月が何ヶ月も続き、精神は興奮状態のため夜は眠れない日々が続いていました。

Sさんが鍼灸治療に来られたのは、2年前。

1年間で周期が35日くらいまで回復するようになりました。3ヶ月前より鍼灸治療に加え、漢方薬も服用され、現在相互作用での治療を続けておられます。

先周期より変化が見られ始めました。

今まで不安定だった高温期がしっかり出来るようになりだしました。今までも高温期が出来ると、必ず生理は来たのですがその高温期がなかなか出来ない時もあり、不安定でしたが、先周期よりしっかり出来始め、今周期も高温期が出来ました。

Sさんの場合は、高温期に必要な「腎の陽気」が足りなかったこと、また低温期の「腎の陰気」が少し弱かったこと、精神的なことですぐ心が乱れるタイプであること、が生理不順の原因でした。

従って、Sさんには

月経期には「冠元顆粒」、

卵胞期には腎の陰気を補う「瀉火補腎丸」、

高温期には腎の陽気を補う「至宝三鞭丸」、

月経の全周期通して「逍遥丸」と「桂枝茯苓丸

を処方しました。

高校卒業から何年かブランクの後、希望にあふれた大学生になったこともあり、精神的にも安定し、それに「漢方」の力が加わったので、どんどん20代らしくなってきました。肌には艶、眼には力がみなぎってきました。後、もう1周期、高温期が安定すれば、もう自分の力で大丈夫でしょう。

漢方を休んだ3ヶ月

結婚5年目、34歳のHさん。4年間は病院でのホルモン治療を受けておられました。

4年間の中で体外受精を3回。3回とも良い結果が得られなかったために、2月から漢方薬を服用されていました。

漢方服用3周期で、乱れていた月経周期も大分安定してきたために5月初めに再度体外受精。しかし結果は、不成功に終わりました。

それをきっかけに、パタッと来店されなくなり、3ヶ月が経ちました。

その後の経過が気になったため、電話にて連絡をとってみました。

結局5月初めより体外受精も何もせずに今に至り、せっかく安定していた月経周期も乱れ始め、だんだん低温期が40日以上と長くなり、高温期が9日くらいしかなくなってきたそうです。こうなって初めて漢方が効いていたことが分かり、そろそろまた服用し始めようか、と思っていたところだと言われました。

「離れてみて初めてわかること」は、こういったことに限らず世の中にはたくさんあるものですね。

高プロラクチン血症

2人のお子様を出産後に高プロラクチン血症になられた40歳のAさん。

下のお子様が4歳になるというのに、高プロラクチン血症のために生理は止まったままで、母乳が出ていました。男性ホルモンも通常の倍ほどの値。

来店されたのは、1ヶ月半前の6月半ば。

1ヵ月半の間、「婦宝当帰膠」を1日2回と「炒麦芽」を1日2包ずつ服用していただいていました。

それらを服用されて2週間後、今までなかった生理が来ました。量は少なかったものの、9ヶ月ぶりの生理でした。

そして、9ヶ月ぶりの生理より25日目に、前回よりも量の多い生理がきました。それに加え、今まで出ていた母乳がすっかり出なくなり、舌の歯型もなくなり、体のだるさもなくなり、肌つやも戻ってきました。

服用後、1ヵ月半で早くに改善されました。病院でのホルモン治療とは異なり、もともと持っている自分の力を目覚めさせ、自然な形で正常に機能が働くように導くことができましたので、結果として、期待していなかった「だるさ」や「肌つや」の改善までできました。

こういった場合も、是非、ホルモン治療だけに頼らずに、漢方薬も選択の一つにしてみてください。

心療内科の薬

29歳のAさんからの問合せ。

5年前から「無月経」。食べたくても食べられない、胃のむかつき、倦怠感。

よく伺ってみると、身長が159cmで39Kg。5年前より何らかの原因により心療内科にお世話になり、お薬を服用し続けておられます。

不安や緊張感を和らげる「抗不安作用」、「鎮静・催眠作用」、「抗痙攣作用」としてよく使用されるお薬に「デパス」があります。

不安感や緊張感が多くあり、気持ちが落ち着かない状態であれば、このお薬の力を借りた方が良いこともあります。

しかし、これを女性が服用し続けることにより、体質が「高プロラクチン血症」に傾いてしまうという事実があり、その結果、「不妊症」を招く結果となってしまいます。

もし、ご結婚前であったり、これから出産の予定がある方は、あまり長く「デパス」を服用することはおススメできません。できるだけお薬に頼らず、自力で立ち直れるように、もっと自然の力を借りるべきです。

このAさんの場合であれば、まずは、食生活の改善を重きにし、美味しく食べられるように胃の力をつけ、食を太くすることで後天の元気をつけるように方向付けをしました。

後天の元気が心の元気を導き出してくれるはずです。

「当帰」の名の由来

「当帰」は血を増し(補血作用)、血を巡らし(活血作用)、体を温める働きが優れているので、漢方にはなくてはならない生薬です。

「冷え性」を治す妙薬のひとつとしても知られています。

その「当帰」の名前の由来はいくつか説があり、

「不妊」で悩んでいたお嫁さんが、セリの根を煎じてせっせと飲んでいたところ、病弱な体も元気になり、子宝にも恵まれ、一時は実家に帰されていたのが当(まさ)に帰るべくして帰ったことから、この植物を「当帰」と呼ぶようになった、という説、

月経不順で「不妊症」のお嫁さんが当帰を用いると、気穴が生き生きし、月経も順調となり、生育もできるようになり、ちょうどそのあたりに夫が帰宅する(当に帰る)と妊娠する可能性が高いという話から、この植物を「当帰」と呼ぶようになった、という説、

など、少しずつ違えども、「当帰」の薬効が女性特有の生理と病理的変化に合致するために、婦人科の要薬として珍重され、「不妊症」を治すお薬には欠かせないことが名前からもわかります。

漢方薬の飲み方

周期療法をされているAさん。

せっかく周期に合わせてお薬を処方されているのに、お薬の飲み方に少し間違いがありました。

* 朝、お薬を飲む前にまずは、モーニングコーヒーを。

* 最近暑くなってきたので、お薬は冷たいお水で。

* 煎じパックも少し冷やして。

このような方法で漢方薬を服用されていては、効くお薬も半分くらいしか効き目がないものです。

基本的に、漢方薬は「~湯」と記されているように、煎じて服用するので温かいものです。従って、漢方薬は、例え錠剤やエキス剤であっても、お湯で服用していただくのが一番です。溶かして服用する場合も、お湯で溶かすのが良いです。

暑い時期だからといって、決して冷やしたりして飲まないようにしてください。せっかくのお薬が台無しです。

また、口直しのためにコーヒーを飲むということも避けてください。コーヒーのような性質の強い飲み物は、それ自身も薬効の作用があるために、漢方薬の薬効を阻害することもあるかもしれません。

例えば、「冷え性」で、「暖める作用のある漢方薬」を飲んでいるのに、「コーヒーを飲む」ことは、「反対の作用」になっています。

せっかくお薬を飲むのですから、その性質を良く知り、自分自身の生活を振り返り、体が悪くなるような間違った生活習慣の改善も是非心がけるようにしてください。

桃の葉の秘密

桃の葉湯は古くから皮膚病に効くことで有名です。アセモ、ニキビ、アトピーなどの皮膚病のつらい症状を和らげてくれます。

ここ最近、梅雨入りしたためにムシムシする毎日が続いています。そのためにお子様のアセモにてお困りで来店される方が多くなっています。

そんな時、私達は、桃の葉を処方します。「桃の葉湯」を作ってもらい、それを混ぜたお風呂にアセモができてしまったお子様を入れてあげるのです。

桃の葉の成分には、フラボノイド、ニトリル配糖体、タンニンなどがあります。桃の葉は、炎症を沈め、皮膚を正常な状態に回復してくれます。その成分が入った「桃の葉湯」を利用することで、皮膚の様々な症状の改善に効果を発揮してくれます。アトピー性皮膚炎にも桃の葉の入浴法は効果的です。

<桃の葉湯の作り方>

1.搾取して十分乾燥させた桃の葉10~30gと大きめの鍋を用意する。

2.鍋に水600ccと乾燥葉を入れ、沸騰するまで強火であとはとろ火にして30分間煮出す。

3.出来上がった煎じ液を風呂に入れ、よくかきまぜる。

*煎じ液をたっぷり作って、直接患部につければ、さらに効果的です。

漢方の本命

漢方は、妊娠しやすい母体作りが本命です。

何度も何度も体外受精をしても着床しない方、ホルモン漬けで卵巣が悲鳴をあげている方、漢方はあくまでも自分の力でホルモンバランスを整え、妊娠しやすい環境づくりをするのです。

環境を整えておくと、何度も体外受精を失敗された方でも成功することがあります。

当店にも体外受精を7~8回されても着床せず、1年~1年半程漢方を続けてやっと体外受精で成功された方が何人もおられます。(もちろん、器質性の不妊の方ですが)

妊娠され、出産まで漢方を飲み続けて、流産や早産を予防し、胎児の発育を促し、安産を確かなものにしていくことが大切です。産後も母体のため、母乳のためにも飲み続けられると良いですね。

漢方を生活のお供にしていただくと、いつまでも元気に過ごせますよ。