妊娠しやすい体温表分析

今日は月1回行っている「不妊相談会」の日。

昼の1時から5時までの時間帯で25人が訪れます。当然のことながら予約時間はかなりずれ込み、いつも1時前から相談会を始めますが、終わる時間は6時過ぎ。それでも妊娠されて喜ばれる顔が見たい一心で、じっくりと相談を受けています。

何人か妊娠されていますので、今までの妊娠された人のデータも含め、今一度、基礎体温表を分析してみました。

全体として言える事は、

  ☆ 低温期が安定している

ということです。

「低温期が安定している」ということは、卵胞がしっかり育っている、つまり卵の育ちが良い、ということです。

卵の育ちが良ければ、排卵後、高温期もしっかりとした高温期になりますし、「流産すること」も「胎膿の中の育ちが悪いこと」もまずはありません。もちろん、排卵障害であればこれには当てはまりません。

高温期が安定することも、まず根底にあるのは「安定した低温期」なのです。

低温期が「波状型」であったり、「高めの体温」であったり、「短め」であったりする場合は、まずは、低温期安定の治療を目指してください。

高温期時の整体

不妊治療をされている33歳Kさんからの問合せです。

「高温期1週間目なのですが、ボキボキ鳴る整体や鍼は受けても良いのでしょうか?整体の先生は続けた方が良いと言われているので行きたいのですが、どうなのでしょうか?」

高温期は基本的にデリケートな時期です。排卵し、もし着床でもしかけているのであれば、そんな時期に骨(腎)を揺るがすようなボキボキ鳴るような整体やマッサージは避けた方が良いです。

また、鍼灸治療もやさしい鍼刺激や温灸などに留めた方が良いです。

ただ鍼灸治療に関しては、本人にとってそれが「強刺激」なのか、「やさしい刺激」なのか、判断できないかもしれません。

そう言った場合は、その鍼灸の先生が周期によって治療方法を変えられているか、によって判断してください。つまり治療する際に「基礎体温表」を確認されているか、否か、ということです。基礎体温表を確認されて、それにより治療をされているのであれば大丈夫でしょう。

特に妊娠しにくい体である(不妊治療をされている)Kさんのような場合は、より一層高温期の時期を大切にしてもらいたいものです。少しの刺激でも経絡のバランスを崩すものです。そうでなくでも不安定であるのに、その刺激により駄目になる可能性は大きいものです。

整体は受けるのであれば、卵胞期にしてください。鍼灸治療は確かな治療所をお探しください。

10月10日は長い道のり?

35歳のNさん。当店にて漢方を服用され始めたのは昨年の6月。その時点で結婚5年目。

結婚4年間は避妊をしていましたが、5年目より「子作りを!」という計画でしたが、なかなか恵まれず。せっかく妊娠した昨年の4月に7週目で流産をしてしまいました。

ショックからまだ立ち直れない流産後2ヵ月の昨年6月に、漢方薬の力を借りようと来店されました。

漢方薬を服用されてから半年後の11月末。妊娠検査薬にて陽性反応。

しかし、12月初めの検査にて、「胎嚢は確認できるが、中で出血している」との報告を受けました。

大変です!まずは、「きゅう帰膠艾湯」と「当帰芍薬散」をお勧めしました。

その後、12月半ばには中での出血は治まりましたが、かなりの「悪阻」と「お腹の張り感」に悩まされる毎日。

あまりにも食べられない毎日が続いているようですので、「衛益顆粒」などを服用してもらいました。

そのうち、悪阻は治まりましたが、年明けには風邪をひき、西洋薬は服用できないために漢方薬を服用し、また何とか難を逃れました。

安定してすっかり安心していた4月半ば、出血が起き、また漢方薬の止血剤を。

そして、8月初め、待望の元気な女の子を出産されました。臍の緒が体に巻き付いていたようで、かなりの難産でしたが、元気に産まれてきてくれて、ホッとしました。

いろんなことがあった10月10日でしたが、これからのことを考えると、こんな期間なんて短い道のりなのでしょうね。

順調に

6月に当店で妊娠チェックをされ、感動の瞬間を共に味わった32歳のNさん。

あれから3ヶ月が経ちましたが、順調にお腹の中の赤ちゃんは育っています。

しかし、今日までの3ヶ月間に、いろんなことがありました。

6月半ばの7週目の検診で、胎嚢が通常の半分ほどの大きさで、昼と夕方には出血する毎日。産科医にはこの出血は子宮口のポリープのもので、大丈夫と言われましたが、心配する気持ちに拍車をかけて、吐き気やムカムカ感に負われる日々が続きました。

6月末には血塊が下り、病院へ。

心音は聞こえているということでしたので、赤ちゃんには問題はなかったようですが、「田七人参」などをお勧めしました。

7月初め、8週目の検診で、小さい胎嚢の中で小さい赤ちゃんが育っている、との報告を受けました。今はすっかり出血も止まりました。

7月半ば、10週目の検診にて赤ちゃんは3cmに育っていました。出血もあれ以来なくなり、ひとまず安心。

そして、現在、順調に育っているとの報告を受けています。

でもまだまだ油断は禁物。安胎の漢方を飲みつつ、安静にしてゆっくり育てて行きましょう。

高温期の出血

高温期の出血には気をつけてください。

「出血」と言っても「鮮血」ではなく「少し茶色い血」の出血です。

高温期で「出血したから生理になったので月経期の薬をください」と言われる人がおられます。もちろん、月経が始まったのであればその薬で良いのですが、「茶色いもの」であれば、それは「着床出血」であるかも知れませんので、月経期のお薬を服用してもらっては大変です。

せっかく着床しかけているのに、それを「きれいに流してしまおう」とする月経期の薬を飲むわけですから、大変です!

お薬を飲まれる際にはその「出血」がどの様なものなのか、しっかり把握してからお飲みください。

今まで流産を3回繰り返されて、今月うっすらと陽性反応が出られたAさんは、高温期後半に少し出血したために確認せずに、月経期のお薬の「冠元顆粒」と「爽月宝」を服用されていました。

そのためだけではありませんが、今まだ高温期は続いているものの胎嚢はあるけれども中身がまだしっかりと見えず心音も聞こえない状態です。残念ながらそのまま育たないかも知れません。

もともと「不育症」でいらっしゃるAさんは、特に着床してからが問題で、充分に気をつけてもらいたいのです。こういった人はしっかりご自身の体調をチェックし、せっかくの着床を無駄にしないように心掛けてください。

ホルモン剤に疲れて

35歳のKさん。3年前より病院にてホルモン剤による不妊治療をされてきました。

卵巣の機能が悪く、卵の育ちが悪い、とのことでホルモン剤による不妊治療が始まったのですが、3年間で様々な体の変化が起きました。

ホルモン剤の不妊治療をする前は、それほど悪くもなかった基礎体温表が波状型になり、卵巣も腫れ、自力では生理も来なくなってしまいました。さらに、生理後には4~5日不正出血が続くようになりました。

産婦人科の医師に「ホルモン剤の治療に疲れたのでしばらく止めたい」と訴えたところ、「自力では生理は来ないでしょう」と言われ、絶望状態。

「何とかホルモン剤で崩れてしまった体調を漢方で取り戻したい」

と当店をHPにて検索し、問い合わせをされました。

東京にお住まいのKさんは、当店には来店できませんので、「HP上の問診表にご自身の体質や症状をご記入いただいたもの」、「基礎体温表」のデータをもとにして、Kさんに合った薬を考え、発送するという形で服用していただきました。

例えば、病院から出ていた「きゅう帰膠艾湯」に加え、「田七人参」を服用していただきましたところ、服用後2日目にぴったり不正出血が止まり、その後不正出血は起こっていません。

そして、漢方服用2周期目の今月、自力で生理が来ました!

「もう自力では生理は来ないでしょう」と言われる程、自己機能が衰えていたのですが、2週期目にして早や自己回復力が付いてきました。

この調子でどんどん回復し、良い卵が作れるようになっていくことでしょう。

流産を3回繰り返して

33歳Aさん。結婚7年目。

28歳の時に流産。それ以降、少し怖くなって昨年まで避妊をしていました。

昨年より子作りをしようとしましたが、2月には7週目で流産。また10月にも6週目で流産。

今年の3月より6月までは誘発剤とhngによりタイミングを合わせていましたが、可愛い子供に恵まれず。悩んだあげく、7月半ばにお母様と漢方薬を試してみようと来店されました。

調度来店された時期は排卵期でしたので、

   ☆ 排卵期に冠元顆粒」、

   ☆ 高温期には「参茸補血丸」、

   ☆ 全周期を通して「婦宝当帰膠」を処方しました。

その後、月経が来ましたので、

   ☆ 「冠元顆粒」と「爽月宝」を、

その他の周期は前回と同じものを服用していただきました。

漢方薬を服用されてから2回目の高温期。高温期が長く続くので妊娠検査薬にてチェックしてみると、うっすらと陽性反応が!

漢方薬は、「婦宝当帰膠」、「参茸丸」と「衛益顆粒」を服用していただいています。

今まで3回も流産を繰り返されていますので、これからがもっと気をつけないとなりません。

「冷えること」、「長く震動に揺られること」、「落ちたりこけたりするようなものに乗ること」、「寝不足」などに気をつけて、安定するまで大事な授かりものを守ってください。せっかく授かったのですから、しっかりまずは出産まで育ててほしいです。

少し短くなった道のり

6月に紹介した34歳のYさん。

ホルモン治療により卵巣が腫れ上がり、右の卵巣より出血してから精神的に不安定になり、神経内科の薬漬け。

今年初めに当店に来てから、今までやってきた悪い生活習慣の改善、意識改革により、6月にやっと197日目の生理を迎えてから73日が経った先週、やっとまた生理が来ました。

通常なら「生理が来ること」は当たり前のこと。しかし、Yさんにとっては「傷ついた心」を修復させないと生理が来ないのです。

一度6月に修復されかけた「心」は7月にまた不安定になり、体温もガタガタ。また腰からお尻にかけてのゾクゾク感、下腹部の痛みに襲われ、眠りの浅い毎日が続きました。

8月に入って、少し「心」が安定しだし、その頃より、ガタガタの低温期が安定し、その後高温期が出来ました。そして先週、生理に。

まだまだ73日目の生理ですので、安定したとはいえませんが、前回の197日目に比べると、明らかに回復の兆しが見られます。

今は、周期療法を離れ、全身症状の改善のための漢方薬と、週に1回の鍼灸治療にて少しずつ「心の傷」を治しています。

「長い道のり」が少し短くなって来たような気がします。

大らかな気持ちで

周期療法で不妊治療を行っていると、いつも気になることがあります。

あまりにも基礎体温表の変化に一喜一憂されすぎる方が多いことです。

周期療法は、「月経期」、「卵胞期」、「排卵期」、「高温期」のそれぞれの周期によってお薬を変え、それぞれの周期で大切な役割をしているものを強めたり改善したりしますので、体温が気になるのは仕方がありません。

しかし、体温は必ずしもそれが絶対ではなく、気候、室温の変化、睡眠時間、前の晩の食事の内容などによってもかなり違ってくるものです。あまりにも気にしすぎると精神が不安定になり、それが原因で乱れてしまうことが多くあります。

必ずしもきれいな基礎体温でないと、妊娠しないわけではありません。

当店でもあまりにも体温を気にしすぎて、いつも13日目に排卵していたはずの排卵が、遅れてしまった36歳のMさんも、体温を測らなくなってから13日目よりも少し遅れて排卵し、そこでちょうどタイミングが合い、そのまま妊娠期間に突入されましたし、

ガタガタの基礎体温表だった32歳のWさんは、いつ排卵したかわからないような体温表でしたし、高温期への立ち上がりも階段状であったにも関わらず、妊娠され順調です。

あまり気にせず、自分を追い込まず、大らかな気持ちで体質改善をされ、妊娠を待たれた方が良いですね。

高めの低温期

「高温期がない」、「高温期が低い」、「高温期が階段状に上がっていく」といった「高温期」に問題のある人の方が不妊症の症例では多く見られます。

しかし、「低温期が36度6分以上と高め」、「低温期の途中で高温期のような体温になる」といった「低温期」に問題のある人もおられます。

「低温期」とは「月経期」と「卵胞期」からなる期間です。

高すぎる体温では、質の良い「卵胞」は育ちにくいのです。

「低温期」の体温が高めになる原因として、排卵誘発剤である「クロミッド」を長く使用していることもあげられます。この場合、低温期ばかりでなく、全体的な体温が高めとなります。

その他の原因としては、「腎陰虚」で「虚火」によるものがあげられます。それには、「腎陰虚」になるような生活スタイルを改善してもらいつつ、「瀉下補腎丸」などのお薬を服用していただきます。どうしても「排卵し受精し妊娠すると高温期になる」ために「高温期があること」に注目しがちですが、しっかりとした低温期も大切なのです。

今一度、ご自分の基礎体温をチェックしてみてください。