出自を告知するということ

不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座で 「出自を告知するということ」 というテーマで、家庭養護促進会の岩崎美枝子さんのお話を聞きました。

神戸市と大阪市の児童相談所とタイアップして、実親に育てられない子供に代わり家庭(里親や養親)を探し「あなたの愛の手を」運動を45年間も実践してきた方のお話でした。とても感動的で胸を打ち心重く響きました。子育てを経験してきたわれわれにはその子らの姿、親の姿が自分達とダブらせてみられ、びんびん響いてきます。

「実は、私達はお前の本当の親ではないんだよ」と打ち明けることが多いが、「本当の親」の意味はなんでしょう?「子供にとっての親とは」何でしょう?

近年、第三者からの精子・卵子・胚の提供による生殖医療で生まれる子供が増えています。AID(非配偶者間人工授精)では1万人以上の子供が生まれています。その子供達の多くは自分の出生の事実を知らされないまま、秘密にされたままでいます。子供達は自分の出生の真実を知りたいのです。私が同じ立場なら親探しをするでしょう! 辛いけど当事者には「告知する」ことが必要でしょうね。

AIDの母親は何気ない言葉に神経をとがらせてしまうというのです。「誰に似ているのかな?お父さんに似てないね!」我々もよく口にする言葉です。でもとっても傷つける言葉であることも知りました。

AIDの子に告知する例をイギリスの本から紹介してくれました。

「パパとママはずっと親になりたいと思っていた。 でも、そのためには何かの助けが無ければダメだと言うことがわかったの。 精子と卵子が一緒になって赤ちゃんが出来ることはお前も知っているね。 さて、悲しいことに、お父さんの精子が足りなかったんだ。 それでクリニックや病院の助けで、ある男性「ドナー」の精子を分けてもらったんだよ。 お前がママのおなかにいるってわかったときは、パパとママはなんてラッキーなんだろうって信じられなかったし、お前が生まれたときには、月まで飛び上がるぐらいうれしかったよ。 それからずっとお前を愛してきたし、これからもずっと愛してるよ…」

AIDをされているAさん、Hさん、Oさん、親になるのはとっても大変だけど、あなた達の「愛」で秘密のない家庭を目指してくださいね!